結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年03月10日(日曜日)

「死と生は一本の線でつながっている」

3・11。
あれからもう13年が過ぎる。

今年の新年には、
能登半島地震が起こった。
その救済もできてはいない。

人々から集めている税金は、
こんなことにこそ、
素早く効果的に使ってほしい。

政党助成金のために、
税金を払っているのではない。

それにしても、
人間の命が軽くなっている。

いや、人間の命を軽く扱うことは、
ずっと続けられてきた。

それが1000年前も100年前も今も、
あまり変わっていないのだろう。

私たちは進歩しているのか。

日経新聞夕刊のエッセイ「明日への話題」

「老いて心は千々に乱れる」
小池真理子が書いている。
私と同年の女流作家。

「生きることは老いることであり、
老いることこそ生きることだった」

……三島由紀夫の最後の作品、
「天人五衰」の一節。
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「三島は老いを恐れ、
拒絶していた作家だった」

「40代の若さで自ら幕引きをしたのも
頷(うなず)ける」

「老いとは何なのか」

「どれほど魅力的だった人でも、
例外なく皺(しわ)ができ、皮膚がたるみ、
見た目が著しく変貌する」

「身体のあちこちに不具合が起こる。
物忘れが増える。動作が鈍くなる」

「そして、その先に厳然と控えているのは
“死”なのである」

「若いころは、公園のベンチで、
高齢者が背を丸め、
ぼーっとしているのを見かけても、
老人が眠たそうにしているな、
としか思わなかった」

「生命体である以上、誰もが老いる。
どうすることもできない哀しみや諦め、
虚しさを抱えこんで、なお生きる」

「だからこそ、
ぼーっとするしかなくなるのだが、
当時はそんなことは想像できなかった」

「だが、自分が老いの道に入ってみると、
“高齢者”として社会的に漫然と
一括りにされることへの抵抗は
もちろんのこと、
感傷や千々(ちぢ)に乱れる想いの数々に、
日々、圧倒されていることがわかる」

「まるで思春期である」

「死と生は一本の線でつながっている」

「若かったころは活き活きとした命の
真っ只中から死を見つめていたが、
今は終末の側に立って
生を眺めているような気がする」

作家の文章は、
間に言葉を挟むことを拒絶している。

だからそのまま引用せざるを得ない。

「死と生は一本の線でつながっている」
なのに、命が軽く扱われる。
理不尽この上ない。

同じ日経の「明日への話題」
料理研究家・土井善晴さん。
「季節と暮らし循環する」 

「春待ち。
季節を先取りした“はしりもの”とは、
幸福な未来の気配(吉祥)だ」

「このこころ栄えする一瞬は、
日常のハレ」

「日常にもケハレは循環し、
知っていればかなり楽しめる」

土井さんの料理、
簡素にして滋味深い。

文章も滋味深い。
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「喜びとは自然と人の間に生まれる情緒である」

「おいしさは二つ」

「人間が作る(油脂に担保される)快楽と、
もう一つは、美を捉えた精神の喜び」

二つ、というところがいい。
トレードオンだ。

「西洋の美学は感性の構造に無関心できたから、
後者は言うまでもなく和食だ」

「ラグジュアリー(上質)な和食の美は
味つけや数ではない」

「人工的な味つけや工夫は情緒を殺す」

「和食は、低級感覚とされる味覚・嗅覚に
依存しない無限大の豊かさ。
本能的なおいしさはゴールではない」

最近の美食ブームに注文を付ける。

「そうは言っても、
しっかり味付けしないとおかずにはならないし、
育ち盛りの子供と大人は満足しない」

「日常は、さかりものを、
豚バラとピリ辛に炒めたり、
チーズを焼いた魚のグラタンを入れたりする」

「酸味の出た白菜漬けを食べよくするのに
炒(い)り胡麻(ごま)をたっぷりかけて
豆ご飯に添えた」

「なごりとはしり、ケとハレは絶えず交差し
循環するヘリテージ(伝統)は複雑にして難解だ」

「一汁一菜を基本に、
貧と贅(ぜい)のおかずが
バランスよく自然循環する暮らしは理想」

貧と贅、そのバランス。

これは食品小売業の品揃えに通じる。

日常と非日常。
ケの禁欲円、ハレの享楽円。
日常のハレ。

生きるために、
どちらも身近にある。

それがこころ栄えの一瞬なのだ。

合掌。

〈結城義晴〉

2024年03月09日(土曜日)

日経社説「ドラッグストア統合が問う流通変革」を論評する

寒くなったり温かくなったり。
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三寒四温(さんかんしおん)。
寒い日が3日ほど続くと、
そのあと4日ほど温暖な日が続く。
そしてまた寒さが3日続く。

もともとの意味は、
冬季に7日周期で寒暖が繰り返される現象。
寒い日は晴れ、暖かい日は曇天や雨。

そしてこれは、
朝鮮半島や中国東北部で見られる。

原因はシベリア高気圧。
この高気圧が7日の周期で、
強まったり弱まったりする。

シベリア高気圧は正確なのだ。

日本でいわれる三寒四温は、
明確な3日と4日にはならない。

太平洋の高気圧の影響を受けるからだ。

そして本来、冬の現象なのに、
最近は春先に現れる。

さて、日経新聞の社説。
いつも書くけれど、
日経の社説に、
商業や小売業を取り上げていただいて、
とても感謝している。

「ドラッグストア統合が問う流通変革」

夕方の5時に電子版で公開された。

ウエルシアホールディングスと、
ツルハホールディングスの経営統合。
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売上高2兆円を超える巨大チェーンの誕生。
ドラッグストア市場の4分の1を占める。

「イオンはこれまでドラッグストア以外にも
スーパーの再編を進めてきた」

総合スーパーでは、
ダイエー、マイカル、さらにフジ。
食品スーパーマーケットでは、
全国のマックスバリュ。
さらに、
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス。
そこにいなげやも加わる。

「価格の支配権をメーカーから奪い、
消費者に値下げで還元することを訴えてきた」

ん~。

この認識、ちょっと古くはないか。

今は製造業と卸売業、そして小売業は、
ウィンウィンの関係を目指している。
そうあらねばいけないと三者は了解している。

「イオンが傘下に置いたダイエー型経営の踏襲だ」

これにもちょっと賛成しかねる。
ダイエーの歴史的貢献を評価しつつ、
イオンはその発展形を追求している。
「踏襲」ではない。

平和産業、地域産業、人間産業。
これがイオンの目指すものだ。

平和産業、人間産業に関しては、
ダイエーも同じだったと思う。
しかしイオンの地域産業主義は、
ダイエーの中央集権主義とは異なる。

「デフレ経済が本格化する2000年代ごろまでは
有効な考えだったが、
価格競争力に頼るだけでは
今後の日本経済の方向にそぐわない面がある」

イオンは価格競争力にだけ頼っているか。

中核業態のイオンリテールは、
そのバナーを「イオンスタイル」としている。

「イオンが提供するライフスタイル」の意味である。
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これはイオンが価格一辺倒ではないことを、
自ら表明しようという意思の表れである。

「いまやドラッグストアは
売上げで食品の構成比率を高め、
スーパーなどとの価格競争を展開している。
節約志向の強い消費者にはプラスになる一方、
価格の下押し圧力になっているのも事実だ」

「価格の下押し」「デフレの元凶」は、
ずっとユニクロやしまむらが、
攻撃された言い回しだ。
いわば常套句。

「人口減が進む中、過度な価格競争は
取引先を含めた消耗戦を招くだけだ」

「過度な価格競争」は、
今やばかばかしいこととして、
産業全体では否定されている。

かつては「1円戦争」などと呼ばれて、
恥ずかしい競争もあった。

しかし今、そんなことをするのは、
マーケットゲリラだけで、
ゲリラはすぐに消えてなくなる。

今、日経が「格安」などと報じる企業企業は、
「コストパフォーマンス」の競争を展開している。

〈価格競争=悪〉
マスコミ全般に、
そんな思い込みがある。

しかしすべての企業は、
正当な価格競争を日々、
繰り返している。

日経の流通担当の記者や論者たちには、
そんな思い込みがないと信じたい。

さらに「人口減」が進めば、
消費者は高い商品を、
買わされなければならないのか。

「多くの雇用を抱える小売業でも
賃上げは欠かせない」

イオンは今年もすでに、
7%の賃上げを発表している。
グループ企業もそれに倣っている。

「統合後は規模の利益を生かした
デジタル化などで経営効率を高め、
高付加価値の品ぞろえやサービスの提供を
より重視すべきだ」

これは経営戦略への介入だ。
余計なお節介だ。

たとえばアメリカのチェーンストア。
ウォルマートやターゲット、
コストコやクローガー、
CVSヘルスやウォルグリーンブーツアライアンス。
彼らは価格戦略を採用しているが、
それが「価格の下押し」などと、
揶揄されることはない。

それぞれの企業が自分のカスタマーに対して、
必死の思いで商品やサービスを提供している。

それぞれでいいし、
それぞれがいい。

トップ企業となる新生ツルハホールディングスは、
マーケットリーダーである。

そしてマーケットリーダーは、
すべからく全方位作戦をとる。
だから価格志向とサービス志向を、
両利きの経営で実現しようとする。

心配することはない。
この経営統合によって、
マーケットリーダーらしい戦略が生まれる。

コモディティ商品は価格志向、
ノンコモディティ商品はライフスタイル志向。

トレードオフを排除して、
トレードオンを追究する。

最後の一言は、
「流通業の変革につながることを期待したい」

日経で小売業を取り上げてくれることは、
本当にありがたい。

しかし社説だからこそ、
専門性を担保しつつ、
正当なロジックを伝えてほしいと思う。

ありがとう。
お願いします。

〈結城義晴〉

2024年03月08日(金曜日)

ロピア「沖縄フランチャイズ出店」と若いジャーナリストとの邂逅

商人舎流通SuperNews。
ロピアnews|
3/25「ロピア沖縄国際通り店」/フランチャイズで沖縄県初進出

(株)OIC(オイシー)グループが、
沖縄県那覇市に進出する。

イトーヨーカ堂の撤退跡への出店で、
北海道と東北にエリアを広げる。

その前に沖縄。

これで北海道から沖縄までの、
「ナショナルチェーン(?)」ということになる。

これはかつての鈴屋が展開した方式で、
邪道だと評価されている。

ドミナントエリアづくりは、
一つひとつ固めていかねばならない。
飛び火してはいけない、と。

しかしロピアはこのセオリーをも、
破ろうとしている。

開業するのは、
「ロピア沖縄国際通り店」
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そしてこれはロピア初のフランチャイズ店舗だ。

運営は野嵩商会。
沖縄県内で「フレッシュプラザユニオン」を、
20店舗展開するチェーンだ。
いずれも24時間営業のスーパーマーケット。

これによってロピアの店舗は、
全国16都道府県と台湾、
合わせ90店舗となる。

ただし沖縄の店は、
売場面積1032㎡(312坪)と狭い。

ここに青果、鮮魚、精肉、惣菜、食品の、
5部門が展開される。

ユニオンの他の店同様に、
24時間・365日の営業。

昨年の商人舎10月号特集。
ロピアの「点と面」作戦
九州と東北の「飛び火」商勢圏づくりを可能とするもの202310_coverpage-448x635
ここで飛び火出店作戦の意味を整理した。

その理論によって沖縄へ飛ぶ。
北海道・東北へ広がる。

さてその成果は。

今日、「セルコレポート」が届いた。
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表紙の写真は、
大阪屋ショップ射水店(富山)。

元気な店が紹介されている。

私の連載はもう23回。
「艱難は商人を鍛える」
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今回は「仕事で苦学する5つの要件」

編集を担当してくれているのが、
㈱ストアジャパン社の和田勇さん。

いつも一番最初に、
ゲラの段階で愛読してくれているとか。

本当にありがたい。
今度、一献、やりましょう。

それからセルコレポートの連載が最終回。
浅野秀二先生の「米国小売業最新レポート」IMG_3050 (002)4

最後のメッセージは、
「人と仲良くする力をもて」

いい最終回だった。

ランチは商人舎の近所の和食屋。IMG_30334

私は金目鯛の開き。
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ご馳走様。

夕方の4時に来客。
平賀康一郎さん。
㈱食品速報の速報部編集長。IMG_E30394
日刊食品速報を毎日出している。

私の講演を聞いてくれたり、
書いたものを読んでいてくれたり。

うれしい限りだ。

1980年生まれの43歳。
早稲田大学第一文学部出身。

まだまだこれから。
将来が楽しみだ。

食品速報は、
「広告を一切掲載しない情報紙」

私が育った商業界や今の商人舎と、
同じ志を持つ。

ジャーナリズムを貫く。

(おもね)ることも、
(こ)びることもしない。

来る者拒まず、
去る者追わず。

いわば正義を貫徹する。

もちろん応援する場合もある。
それも正義の応援だ。

平賀さんからじっくり話を聞いて、
いろいろと話した。

席を変えて居酒屋「志摩」。

山本恭広編集長、
亀谷しづえGMも加わって、
ここでもじっくり話した。IMG_30444
本当に久しぶりに、
若くて骨のあるジャーナリストと会って、
すぐに意気投合。

うれしいことです。

自分の若いころを思い出した。
そして私も若返った。

ありがとう、平賀康一郎さん。

〈結城義晴〉

2024年03月07日(木曜日)

セブン&アイ「SIPストア」の日経記事に物申す。

日経新聞の記事。
「セブン新型店、格安勢と勝負に」

月刊商人舎3月号の記事と被った。

特集ではないけれど、
特別企画で取り上げた。

こちらは山本恭広編集長が取材して、
書き下ろしの記事となった。

日経の記事の執筆は、
編集委員の鈴木哲也さん。
会ったことはない。

読み比べると実に面白い。
視点が全く違う。

セブン&アイ・ホールディングスの、
「SIPストア」
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日経の表現では、
「コンビニエンスストアとスーパーを
組み合わせた新型店」

商人舎は、
「コンビニエンスストアとスーパーマーケットの、
コンビネーションストア」

そして新しい「フォーマット」の実験。

同じような表現だが、
専門性が異なる。

日経記事。
「コンビニの便利さと
生鮮品などの品ぞろえを強みに、
安値競争はしない方針だ」

「しかし千葉県松戸市の店舗周辺には、
格安スーパーがひしめく」

「新たな成長の芽を探るが、
“定価販売”で成長してきたコンビニ王者ゆえの
『イノベーションのジレンマ』を
越えられるか試される」

セブン-イレブン松戸常盤平駅前店を、
増床して改装した。
もともと直営店のトレーニングストアで、
売場面積は通常店の約2倍の290㎡。

永松文彦セブン-イレブン・ジャパン社長も、
この店にはよく通った。
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「イトーヨーカ堂のノウハウを導入して、
肉・野菜・魚といった生鮮品や
冷凍食品を大きく取り入れたのが特徴だ」

このあと鈴木編集委員の記事は、
競合相手に向かう。

5月開業予定のオーケー、
クリエイトSDのドラッグストア、
地元スーパー。

「ともに価格競争力に定評がある」

駅の反対側には西友。
そして業務スーパーとビッグ・エー。

しかしSIPストアは、
この価格競争には巻き込まれない。
商人舎はそう考える。

あくまでもコンビニだからだ。

日経記事は真の競争相手を見つける。
「似た業態として正面からぶつかるのは、
イオン系小型スーパー“まいばすけっと“になる」

私たちもはじめはそんな見立てをしていた。
しかし実態を知ると、違う。

「コンビニと共存できない時代になった」
岡田元也イオン会長の言葉を持ち出して、
「流通2強のセブンvsイオンの争いが
小型店をめぐって激しくなる」

日経の好きな構図だが、
残念ながら、これも全く違う。

その理由は月刊商人舎3月号に書かれている。

今、「まいばす」は1025店(2023年2月末)を超えた。

こちらは教科書通りのドミナントエリア主義。
その意味ではセブン-イレブンと同じだ。

しかしSIPストアは正反対だ。

なぜか。

この視点がなければ、
新しいコンビネーションストアの、
意味はわからない。

日経はクレイトン・クリステンセンを持ち出す。
『イノベーションのジレンマ』

「セブンイレブンの事業モデルが
極めて強固である分だけ、
その“常識“と相反する要素をもつ新型店が
成功方程式を導くのは想像以上の難路だろう」

ここにクリステンセンを持ち出すのは、
的外れだと思う。

日経の提案というか、感想。
「完全に独立した子会社で専念する方法も
あるのではないか。
数々の成功体験をもつ
既存のセブン-イレブン部門と
一定の距離を置く方が、
思わぬ突破口を見つけやすいかもしれない」

断言しておこう。
それはない。

セブン&アイは、
小型スーパーマーケットの、
ドミナントを築こうとは1ミリも考えていない。

SIPストアの初日は、
客数3300人。
売上高197万円。

コンビニの改善と見れば成功。
小型スーパーマーケットとすれば失敗。

日販目標130万円。
24時間、365日営業。
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「SIPストア」なんて、
大げさなネーミングをつけるから、
こんなに大騒ぎになった。

ちなみに、
SIPの「S」はSEJ、「I」はIY。
「P」はパートナーシップ。

スーパーマーケットの人たちが、
勉強に行く意味はない。

〈結城義晴〉

2024年03月06日(水曜日)

カインズ&船井電機「包括的業務提携」のフォーマット化への貢献

Super Tuesday。
共和党はドナルドの圧勝。
15の州と地域のうち14州で勝利。

ニッキー・ヘイリー候補は及ばず。
東部のバーモント州で一矢報いただけ。
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日経新聞のFINANCIAL TIMES。
コメンテーターのジャナン・ガネシュが書いている。

米国大統領選で勝てる候補者は、
どのような人物が理想的か。

①バイデン大統領よりは保守的
②トランプ前大統領ほど突拍子もない人物ではない
③米政界の新たなスタートを象徴する若さがある
④しかし完全な青二才ではない
⑤年齢は52歳くらいが妥当

さらに、
⑥首都ワシントンで弁舌を垂れている人ではない
⑦州知事を経験した人がいい
⑧ここ数十年、大統領出身者が多く、
急成長を遂げるサンベルト地帯の州知事経験者
⑨外交問題を扱った経歴
⑩移民国家・米国にふさわしい生い立ち

「女性であること」を、
ガネシュは条件に挙げていない。

「もし出身地がサウスカロライナ州ではなく、
どこかの激戦州だったら、
これらの基準をすべて満たす
ヘイリー元国連大使」

ニッキー・ヘイリー候補の両親はインドからの移民だ。

「大統領になるために
研究所でつくりだされた候補」

こうまで絶賛したが、
ヘイリー候補は負けた。

民主党もジョー・バイデンが制覇。
米国領サモアで負けただけで、
あとは全勝。

こちらもカマラ・ハリス副大統領は、
大統領選挙に名乗りを上げられなかった。

ミッシェル・オバマも、
自ら名乗り出ることはない。

それでも、
カマラ・ハリスとニッキー・ヘイリーならば、
新しい時代に期待が持てたのに、残念だ。

これで老老対決が決まった。

月刊商人舎3月号、責了しました。IMG_4077 (002)4

いい出来栄えです。
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これまで商人舎では、
企画したことのない特集です。

表紙も特集に合わせて斬新です。

楽しみにしてください。

さて、商人舎流通SuperNews。
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船井電機と包括的業務提携契約を締結

ホームセンタートップの㈱カインズ。
船井電機㈱と包括的業務提携契約を締結。
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オリジナルブランドの家電を共同開発する。

カインズが本格的に、
家電を取り込む。

もともと独自開発したオリジナル商品は、
国内外のデザイン賞を10年以上連続受賞。

2007年度にSPA宣言を行った。
もっともSPAは正確には、
Specialty Store Retailer of Private Label Apparel。
衣料品プライベートラベルの専門店小売業。

「製造小売業」という意味でとらえて、
それは許そう。

カインズは2022年度までの15年間に、
オリジナル商品の売上高が約2.3倍に伸びた。

2023年秋には商品開発体制を一新。
従来の事業部やカテゴリーを超える開発をする。

その一環が家電である。

一方の船井電機。
家電製造業のディスカウンター。
1999年からウォルマートとの取引開始で、
急拡大したが、
2000年代に入って、
中国・台湾のメーカーと競合し、
収益性を落とした。

2006年には日本のヤマダ電機と、
独占販売契約を結んだりしたが、
2021年8月に非上場化して、
AV事業依存型から脱皮しようとした。

船井電機は販売力のあるカインズと組みたい。
カインズは家電分野の独自ブランドを開発したい。

両者のニーズは合致した。

オリジナル家電製品の企画開発、
製造、販売、アフターサービスを、
協力して実施していく。

今年の2024年度中に新製品を発売する。

アメリカのホームデポもロウズも、
家電は強力な核部門だ。

ロウズは白物家電では、
アメリカで一番の販売力を持つ。

カインズが米国流のホームセンターへと、
一歩脱皮を図る。

さらにカインズは2022年3月31日、
東急ハンズを買収して傘下に入れている。

これもカインズのフォーマットに貢献する。

業態からフォーマットへ。
ほかにないポジショニングを築く。

カインズが一歩先を行く。

船井電機との包括的業務提携は、
それを如実に表している。

〈結城義晴〉

2024年03月05日(火曜日)

「知」の産業革命のあとに「知」の流通革命が起こる。

3月5日。March 5。
Super Tuesday。

大統領選挙の党公認候補を決める、
州の予備選・党員集会が集中する日。
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今年は民主党が16州・地域、
共和党は15州。

どちらも総代議員のほぼ3分の1が決まる。

今、81歳のジョセフ・ロビネット・バイデンと、
77歳のドナルド。

アメリカの将来は明るくない。

朝日新聞「折々のことば」
毎朝、必ず見る。

第3018回。
私は私なりに生きていきたい。
(小山さん)

「何の保障もない餓死寸前の日々。
理不尽な暴力に晒(さら)され、
身の竦(すく)む毎日」

「東京で長く野宿生活をする女性は、
恵み施しあっても、つるまないし、
干渉も深入りもせずに生きてきた」

「瞼(まぶた)が腫れるほど泣き叫ぼうとも、
誰にも頼らず手なずけられもせずに、
対等でいたいと言い切る」

「小山(こやま)さん」と呼ばれた、
ホームレスの女性。
2013年に亡くなるまで公園で暮らし、
約80冊のノートを遺した。
膨大な文章が書き綴られていた。
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「働きに行きたくない。仕事がかみあわない。もう誰にも言えない。私は私なりに精いっぱい生きた。(…)私にとって、大事なものは皆、無価値になって押し流されていく。」
(1991年11月7日)

「雨がやんでいたのに、またふってくる。もどろうか。もどるまい。黄色のカサが一本、公園のごみ捨て場に置いてあった。ぬれずにすんだ。ありがとう。今日の光のようだ。」
(2001年3月18日)

「駅近くに、百円ちょうど落ちていた。うれしい。内面で叫ぶ。八十円のコーヒーで二、三時間の夜の時間を保つことができる。ありがとう。イスにすわっていると、痛みがない。ノート、音楽と共にやりきれない淋しさを忘れている。」
(2001年5月7〜8日)

私なりに生きていく。
それがいちばん、いい。

二十四節気の「啓蟄」
冬籠りの虫が這い出るころ。

外は冷たい雨だが1日中、
横浜商人舎オフィスで原稿執筆。

お昼はセブン-イレブンで、
サンドイッチを買ってきてもらって、
パソコンに向かいながら頬張る。

小山さんには申し訳ない気もする。

誰かの役に立てばいい。
そんな気持ちで原稿を書いている。

私は私なりに生きていく。

日経新聞「大機小機」
タイトルは、
「知の産業革命と日本」

「日経平均株価が連日で最高値を更新し、
4万円台に乗せた。
明るいニュースだが、
手放しには喜べない」

同感だ。

コラムニスト癸亥さんは、
「世界経済を観察する」

「バブルが崩壊した1990年代は、
インターネットが産業に革命をもたらした」

「現在はAIが、
新たな革命をもたらそうとしている」

産業に革命をもたらした本質とは何か。

英国に始まった産業革命。
「コアは“力”だった。
機械力が人力に置き換わっていった。
蒸気機関や内燃機関がその象徴」

「これに対し、
現代の産業革命のコアは、
“知”にある」

ピーター・ドラッカーが指摘した。
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「デバイスが人知を補完するようになり、
情報通信の高度化が
知の伝達と統合を爆発的に加速させている」

「資本主義ならぬ『知本主義』である」

これもドラッカーが見抜いていた。

「さらに知力が機械力を支配しつつある。
ロボットがその象徴となろう」
他方、知力が暴発しかねないため、
その制御が重要課題となっている。

この産業革命に対し、
日本はどう向き合ってきたのか。

「多分、現代版産業革命の本質を
看過している」

拙著『チェーンストア』は、
産業革命と流通革命を描いた。
6886b1f283874559f01ac2fc1c2c99ce-448x641
流通革命は必ず、
産業革命のあとに起こった。

今、「知」の産業革命が起こっている。
ならば「知」の流通革命も起こってくる。
いや、起こっている。

現代版産業革命を看過した日本政府は、
既存企業の保護政策を維持する。

「輸出企業が円高を嫌うため、
政府には円安バイアスが強い」

これは重大な問題だ。
円安が今、日本をだめにしているのに。

「さらにバブル崩壊以降、
企業の経営破綻を防ぐため、
極端な金融緩和政策を打ち出してきた」

これもまだ継続されている。

「これらに安住した多くの企業は
事業部門の整理と新規集中投資を怠った」

「既得権益にすがる動きも根強い」
これが深刻だ。

「大企業の従業員は
年功序列と終身雇用に張り付いている」

「医師、弁護士、会計士などの
知力を主とする職業こそ、
現代版の産業革命を活用して
新たなステージに進めるはずなのに、
既存の資格に拘泥している」

「国民や企業は、
革命のただ中に放り込まれている事実を
十分に認識し、行動すべきである」

知の産業革命のあとに、
知の流通革命が起こる。

私の確信である。

〈結城義晴〉

2024年03月04日(月曜日)

「1200食のマーケティング」と「良く噛んで食べる」

Everyone, Good Monday!
[2024vol⑩]

2024年第10週。
3月に入って第2週。

月刊商人舎3月号の追い込み入稿。

昼過ぎに黒田節子先生から、
突然の電話をいただいた。

驚いた。

89歳になられた。

それでもお元気な声は、
まったく変わらない。

マーケティングの世界では、
良く知られた先生だ。

その著書の三部作。
『食卓革命』(1984年、日本経済新聞社刊)
『1200食のマーケティング』(商業界刊)
『売り方革命』(1990年、有斐閣刊)

私は商業界刊の2冊目にかかわった。
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「あの頃、私、
働きすぎちゃったのよ」

そう、おっしゃった。
その後はヨーロッパに通い詰めた。
やり残したことを、
やりつくすように。

そして黒田先生は今、藤沢在住。

積もる話が溜まっている。

来週、さっそくお会いすることにした。
うれしい限り。

2010年10月の商人舎標語。
タイトルは、
「良く噛んで食べる」

――日本人は1年間に1200回食事する。
朝昼晩の食事以外に、
間食、夜食、つまみ食い、おやつなど、
すべて含めると365日で1200回になる。

それが黒田節子著、
『1200食のマーケティング』の根拠となった。

この1200食をすべて、
「良く噛んで食べる」

するとすべてが良い循環に変わる。

拙著『メッセージ』から。
「良く噛んで食べる」

人間ドックに入って出てきたら、
金属疲労のごとく、
いっせいにチェックが入れられた。
全身疲労の四十九歳。

要は、
体重を減らせ、
痩せろ、
節制せよ。

そこで、考えた。
「良く噛んで食べる」
これに徹しよう。
そうすればすべて上手くいく。

まず消化がよくなる。
胃腸の負担が軽くなる。
歯が丈夫になる。
顎も発達する。

食べ物の味が分かるようになる。
食べる時間は長くなるが、総体的に量が減る。
量が減れば、少しだけお金もかからなくなる。
その分、美味しいものを食べようと努力する。

うん、
すべてよくなる。
健康になるはずだ。
しかし困った。

「良く噛んで食べる」とは、
いったいどうすることなのか。
そこで再び、考えた。
「心の中で数えながら噛む」

最低40回、あるいは48回。
この習慣をつける。

「いち・に・さん・し・ご・ろく・しち・はち」
「に・に・さん・し・ご・ろく・しち・はち」
「さん・に・さん・し・ご・ろく・しち・はち」
「し・に・さん・し・ご・ろく・しち・はち」………

このくらいで、たいていのものは、
心地よく口の中から消えていく。
きちんと噛むために、適当なかたまりを、
順序よく口の中に入れるようになる。

食物の堅さにも、
関心を払うようになる。
すべてよくなる。ときどき、
舌や唇を噛んでしまうこともあるが。

しかしみたび、考えた。
この私の「食べるマニュアル」は、
果たして、
食事時だけのものなのか。

実は、これが何にでも使える。
事実も、問題も、「良く噛んで食べる」
苦情も、報告も、「心の中で数えながら噛む」
目がさめている限り、何でも。

「いち・に・さん・し・ご・ろく・しち・はち」
「に・に・さん・し・ご・ろく・しち・はち」
「さん・に・さん・し・ご・ろく・しち・はち」
「し・に・さん・し・ご・ろく・しち・はち」………
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49歳の販売革新編集長のときの巻頭言です。

私は今も、気がついたら、
心の中で数を数えている。

それが自制となる。
我慢となる。
それが熟考につながる。

黒田節子先生の電話から、
ここまで来てしまった。

ありがとうございました。

今週は、月刊商人舎の最終入稿。
そのあとは単行本の執筆。

さて日経新聞本誌の一面の右片隅に、
「格安店の出店加速」

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス。
長いネーミングだなあ。
略してPPIH。

「格安が売りの“ドン・キホーテ”などの出店を
2024年6月期に前期比5割増やす」

「ディスカウント型の食品スーパー“ロピア”も
25年2月期に前期比3割増の20店出す」

「ハレの日などには高額品を買う一方、
生活必需品は節約する選別消費が
一段と強まっていることに対応する」

私の言う「享楽円と禁欲円」である。

PPIHは23年6月末に国内486店舗を抱える。
6月末までに25店舗以上を新規に出す計画。
出店ペースは前期の16店の1.5倍。

「3月中旬にはダイエー成増店跡地に、
都内最大級の店舗を開く。
24年末には高知市に新店を開業し
ドンキの全都道府県出店を達成する見通し」

一方、OIC(オイシー)グループ。
傘下には「ロピア」や「アキダイ」、
そして上場企業の「スーパーバリュー」。
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「25年2月期にロピアを
前期比3割増の20店出す計画」

イトーヨーカ堂の北海道・東北の店が含まれる。

「神奈川地盤ながら全国に約90店あり、
32年2月期までにはさらに
300店規模に増やしたい考えだ」

ドンキをダシにして、
ロピアとOICグループを、
新聞一面でお披露目する。

そんな印象の記事だ。

こんな記事も、
よく噛んで食べる。

そうすると、裏側が見えてくる。
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では、みなさん、今週も、
よく噛んで食べよう、何でも。

Good Monday!

〈結城義晴〉

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