結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年03月03日(日曜日)

桃の節句の「ひな人形が怖い」と「自分の頭で考えろ!」

桃の節句。
上巳(じょうし)の節句という。

「上巳」は上旬の巳(み)の日の意味。
巳は十二支のヘビ。

だからもともとは、
3月上旬の巳の日の節句だった。

それがぞろ目の3月3日となった。

1月7日が人日(じんじつ)の七草の節句。
5月5日が端午(たんご)の菖蒲の節句、
7月7日が七夕(しちせき)の笹の節句。
そして9月9日が重陽(ちょうよう)の菊の節句。

草花の節句が1年に5回ある。

日本らしくて、とてもいい。

日経新聞巻頭コラム「春秋」が、
人形工房「ふらここ」のひな人形を紹介。
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まるっこい輪郭につぶらな瞳。
みな「赤ちゃん顔」。

㈱ふらここの代表取締役は原英洋さん。
創業は2008年。

「ひな人形が怖い」
顧客が漏らした一言。

原さんの両親はともに人形師。
家業を継いで働くうちに、
気がついた。

ひな人形を選択する主体が、
祖父母から若い両親に変わった。

豪華絢爛よりかわいい系が好まれる。

そこでたどり着いたのが赤ちゃん顔のひな人形。
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職人たちは「迎合するのか」と大反対。
やむを得ず新しい会社をつくった。
以来、売上げは伸び続けた。

「子どもの健やかな成長を
願う気持ちは普遍。
時代に合わせて変化しつつ、
文化を次世代につなぐのが
役目だと思っています」

ふらここの社員は、
原さんをのぞく33人すべてが女性。
子の有無にかかわらず、
働きやすい職場づくりにも心を砕く。

いいコラムだ。

桃の節句も変わる。
時代は変わる。

ふらここの兜と5月人形。
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それでいい。

仕事や商売は、
時代とともに変わる。

もちろん人間国宝の人形もいい。

両方あるのが豊かさであるし、
ビジネスチャンスは、
どちらにもある。

私はやはり爺の世代なのだろう、
オーソドックスなひな人形が好きだが。

さて、朝日新聞「天声人語」

朝日が大嫌いな人もいるし、
なんとなく好きな人もいる。

私は文章ひとつずつ、
是々非々で見ている。

「クレタ人は常に嘘をつく」とクレタ人が言った――。
有名なパラドックスだ。

発言を本当だと仮定すれば、
そう言ったクレタ人自身が必ず嘘をつく。
したがって「クレタ人は常に嘘をつく」との発言も、
本当ではなくなって、
はじめの仮定と矛盾する。

パラドックス。

この後は朝日らしく、
「センセイたちの発言は、
本当だと仮定しようか」

政治倫理審査会に出た安倍派の幹部たちの発言。

「パーティー収入の還付金が
政治資金収支報告書に記されていないとは
知らなかったと口をそろえた」

「とすると2022年、
安倍晋三会長の言葉は、
うわの空で聞き流したのだろう」

このとき安倍元首相は、
「不透明で疑念が生じかねない」と、
還流をやめる方針を決めた。

「のどから手が出るほど欲しい
政治資金が削られる」

「不透明とは? とたださぬはずがない」

その後、還流継続に方針は一転した。

「それでも不記載を知らなかったとすると、
派閥の会計を担った事務職員もずいぶんだ」

「違法行為であるとただ一人知りながら、
幹部には黙っていたことになる」

コラム。
「いやいや、全体に無理がある。
きっと最初の仮定が違うのだろう」

「センセイたちの発言をたどると
矛盾につきあたる。
政治不信が払拭されるどころか
深まった感さえある」

クレタ人は嘘つきか。
センセイたちは嘘つきか。

あのパラドックスは、
論理のあそびの世界だから面白い。

商人舎2018年10月号特集。
「嘘つき!?」マーケティング9bd2fad8293a7760d46763f58363c11d-448x645

会心の特集だった。

[Message of October]
自分の頭で考えろ!

デジタル時代に、
情報があふれる。
膨大なデータが手に入る。

定量調査情報はビッグデータ化する。
定性データもSNSなどから氾濫する。
両者はデジタル化し融合するかに見える。

その結果として、
人間の感情や顧客の心理も、
データ化することができると過信する。

そこに虚が生まれる。
短絡が起こる。
誤謬が生じる。

しかし私たちは記号化された情報を、
素早く、賢く、的確に読み取って、
有益なマーケティングをせねばならない。

そのためには自分の目で見て、
自分の耳で聞く。
そして自分の頭で考える。

それなくしては、
データという間接情報は活かせない。
伝聞情報は使えない。

とりわけ顧客商売のデータ活用は、
最後の最後の最後に、
人間のコミュニケーションが必須となる。

そのうえで自分の頭で考える。
複雑なデータをシンプルな脳で読み解く。
自分の頭で考え続ける。
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今、日本の国会で行われている政倫審。

これも私たちが、
自分の頭で考えて、
結論を出さねばいけない。

そのパラドックスを見極めねばならない。

〈結城義晴〉

2024年03月02日(土曜日)

「金をつくるよりも 幸せをつくる」ことの夢想

今年の桃の節句は日曜日だ。

2歳と0歳の孫娘がいる。
2歳のほうは雛祭りを楽しみにしている。
毎日、おやつは雛あられで、
それをボリボリ、音をさせて食べている。

彼女たちの将来の可能性は無限だ。

しかし彼女たちの未来社会に、
それほど明るい展望はもてない。

自分自身で切り拓いていくしかない。
そうあってほしいと思う。

小さい春が見える。

小唄。
「梅は咲いたか
桜はまだかいな♪」
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沈丁(じんちょう)の香の石段に佇(たたず)みぬ
〈高濱虚子〉
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久しぶりに日経新聞「大機小機」
コラムニストは四つ葉さん。

タイトルは、
「株最高値でも縮む日本経済」

日本がGDPでドイツに抜かれた。

2023年の名目GDPはドイツが4.5兆ドル、
日本は4.2兆ドル。

ドイツは就業者数が日本の6割、
労働時間は8割にすぎない。

日本の生産性が低すぎるのだ。

第1位の米国は25兆ドル、
第2位の中国は18兆ドル。

大差がついている。

しかも日独の3位4位集団は、
近い将来に5位のインドに抜かれる。

「経済大国」の看板は、
降ろした方がいい。

「世界第2位の経済大国」だった頃の意識が
抜けきれていない。

コラムニスト。
「日経平均株価は史上最高値でも、
世界の時価総額に占める日本株比率は
6%程度である」

そして海外から見た日本像。

「安くて安全で遊びに行くには適し、
美食とサブカルチャーは人気。
警戒感もさほど持たれていない」

「ただし学びに行くには
大学のレベルが高くなく、
稼ぎに行くには
賃金が魅力的でない」

「まずはそんな等身大の自画像を
直視することから始める必要がある」

同感だ。

コラムニストは過去を懐かしむ。
そしてコラムニスト自身が、
等身大の自画像を直視できていないようだ。

「1990年代前半、日本経済は
世界の6分の1程度のシェアを有していた」

「当時の日本は良くも悪くも影響力があり、
若くして大きな舞台を踏めた」

私にもささやかながら、
そんな体験がある。

「円高を生かして海外体験を積むことも
容易だった」

1ドル70円台のころの海外旅行は、
天国のようだった。

「今では国家の存在感が低下し、
円安定着で海外留学へのハードルも高い」

「次世代の政官財のリーダーを
どう育成するのか。
これをおろそかにすると、
日本はますます埋没するだろう」

コラムニストは。
やはり従来型のエリートだ。

政官財に限らず、
スーパーマーケットのチーフたちが、
弾丸で海外を体験するのもいい。

「スポーツ界では、
世界で活躍する“若くて強い日本人“が
数多く登場している」

「それが何かヒントにならないか、
と夢想している」

大谷翔平、井上尚弥、羽生結弦。

音楽家やミュージシャンだって、
画家や彫刻家や建築家だって、
明治、大正、昭和と、
日本が貧しい発展途上国のころ、
自分で世界を切り開いた。

むしろ政官財の人間のほうが、
税金で「お国がかり」で海外体験をした。

その時代は終わった。
懐かしむことはない。

重厚長大から、
軽薄短小へ。

レース型競争から、
コンテスト型競争へ。

経済大国から、
おいしくて、たのしくて、
心豊かな国へ。

金をつくるよりも、
幸せをつくる。

そんな夢想のほうが、
未来的である。

そしてそのほうが、
長い目で見れば金を稼げる。
模倣困難な経済性を構築できる。

いわゆる経済大国は、
模倣されやすい。

中国がそれをしたし、
インドもそれをする。

ブラジルだって、
アフリカだって。

日本らしさ、
そのユニークさ。
幸せをつくる仕事。

それは新しくてのびやかな、
小売業やサービス業の時代でもある。

大谷翔平の結婚の発表も、
みんなが新しい夢に期待しているからこそ、
これだけ盛り上がるのだ。

孫娘たちも、
幸せをつくることに、
一生をかけるのだろう。

それを願いたい。
明日は雛祭りだ。

〈結城義晴〉

2024年03月01日(金曜日)

「政倫審」の「弁明の機会」と「嘘をつく店」

一月、往ぬる、
二月、逃げる。
三月、去る。

いよいよ弥生。

商人舎Basicコース。
イン・ラスベガス。
5月8日~14日。
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募集を始めたらすぐに、
ありがたいことに、
満員御礼。

すみません。
JTBにお願いして、
目いっぱい、枠を増やしましたが、
ホテルもバスも満杯、満席。

かつてはバス2台、3台の研修もやりました。
しかしそれはどうしても、
研修の中身が薄くなるので、
やめました。
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秋の商人舎US研修を、
急いで企画しています。

ご期待ください。

1月と2月にニューヨークに行って、
結構、忙しかった。
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3月は執筆の季節です。
単行本がひどく遅れてしまった。

昨年から正月にかけて、
猛ダッシュで書いて、
それからニューヨークへ、
と考えていたのですが、
その猛ダッシュができず、
3月に入ってしまった。

一月、往ぬる、
二月、逃げる。

実感しています。

三月、去る。

そうならないよう、
気持ちを引き締めて、
この1カ月をやり抜きます。

私の会社のデスクに掲げている、
ジャン・ジャンセン。
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これを眺めながら頑張ります。

さて、政倫審。
政治倫理審査会。

政治家の倫理を審査するために、
日本の国会の両院に置かれる委員会組織。
地方議会にも政倫審はある。

「政治家の倫理」が、
審査されなければならない。

それ自体、ひどい状態だ。

今、日本の、自由民主党の、
国会議員たちの倫理が、
地に落ちているということだ。

何かが明らかにされることは、
はじめから期待できない。

政倫審には「嘘」が許される、
という印象すらある。

だから罰則の伴う証人喚問にしようと、
野党は意気込む。

しかし政治家も経営者も、
学者もジャーナリストも、
弁護士も裁判官も、
部長も店長も、
一人の社会人も、
一人の顧客も、
嘘をついてはいけない。

ところが堂々と政倫審が開かれ、
弁明の機会と称して、
嘘をつく機会が与えられる。

まことに滑稽な話だ。

追求が足りなかった。
その通りだ。

しかし表情は怖い。
しっかり見ていると、
嘘をついている顔はわかる。

そしてこの顔を、
私たちが選んでしまったことに、
自己嫌悪すらいだくことになる。

嘘のない社会にしましょう。
嘘のない会社にしましょう。
嘘のない店、嘘のない売場、
嘘のない仕事にしましょう。

すべてに嘘がない。
そんな聖人君子であることはできない。
その必要もないかもしれない。

しかし一番大事なことに対してだけは、
嘘はいけない。

政治家ならば政治であり、
経営者ならば経営であり、
商人ならば商売であり、
社会人ならば仕事である。

自分ならば、
自分に嘘をつくことであり、
人生そのものである。

結城義晴著『Message』より。
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嘘をつく店

「この店は滅びる」
倉本長治は言い放った。
よほど腹が立ったのか、
それともひどく悲しかったのか。

私も近頃、
そんな気持ちになることがある。

客を平気で待たせる店。
買いたい品が見つかりにくい店。
欲しいものが品切れしている店。
買った商品が傷んでいる店。
きたない店。

一番いけないのは、
嘘をつく店。

「安い」と「良い」とは、
突き詰めると同じことだ。
品質が同等で価格が低い状態を
「安い」といい、
価格が一定で品質が高い状態を
「良い」という。

ただし、「安い」も「良い」も、
嘘をつかない店でのことだ。

客を待たせない店、
分類と陳列の整った店、
欠品のない店、
品質のしっかりした店、
きたなくない店、でのことだ。

「安いよ、安いよ」と
大声を張り上げている者にかぎって、
嘘つきの店がある。
きたない店が多い。

そしてこんな店には、
「買物の得」はあっても、
「生活の得」はない。

「暮らしの得」を提供する店を、
「デスティネーションストア」と表現する。

競争はやがて、
賢い消費者を
多種多数、誕生させる。
逆に、競争者自身は
多産多死の状態に陥る。

しかし、それは
良いことなのだと思う。
進化を意味するのである。
だから私もこう言い切ろう。

嘘をつく店など、滅びてしまえ。
永遠に、この地上から無くなれ。

〈結城義晴〉

2024年02月29日(木曜日)

サミットららテラスHARUMI FLAG店とイトーヨーカ堂木場店

一月、往ヌル、
二月、逃ゲル。

糸井重里さんのほぼ日刊イトイ新聞。
「4年に一度の2月29日」の1日を、
「“おまけ”みたいなものだと気づいて、
安息日にしてみましょう」と決めた。

「いつもとちがう一日なのだから、
いつもとちがうことをしてやりましょう、
と決めた」

それは「さぼる日」と名付けられて、
恒例の行事になった。

だから糸井さんも社員も、
どうさぼるかを工夫する。

いいなあ。

㈱商人舎もやりたいが必ず、
月刊誌の最終締め日に重なる。

4年に1度だら、
やってみましょうよ、という人は、
出てこない。

みんな必死で原稿と格闘している。

今日は東京・晴海。

ららテラスHARUMI FLAGのプレオープン。
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東京オリンピックの選手村だったエリア。
三井不動産が早くから手当てして、
街づくりを行った。

巨大マンションを建て、
ショッピングセンターをつくる。IMG_29654

その三井ショッピングパークが、
ららテラスHARUMI FLAGだ。

午前10時からショッピングセンターの記者会見。IMG_38604

若林瑞穂三井不動産商業施設本部長と、
牛河孝之商業施設本部 アーバン事業部長。

初年度の売上高目標は50億円、
来館者数240万人。

売上高は控えめな数字だ。

午前中、マスコミは館内の写真撮影。

核店舗はサミットストア。
マツモトキヨシ、ダイソーなどが入居。

そして12時から、
サミット㈱の記者会見。IMG_E39924
服部哲也代表取締役社長、
それから星野郁夫、岡田崇両常務取締役。

岡田さんが丁寧な説明をしてくれた。

そのあと、司会者。
「今の説明を受けて、
服部社長、どうぞ」

服部さん。
「どうぞと言われても、
全部説明されてしまった(笑)」

「この近隣で育った子供たちに
この店があって良かったと
言ってもらえるような存在になりたい」
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凄くいい。

服部さんの誕生日は、
戸籍上は3月1日になっている。
しかし実際は2月29日生まれ。

おお、もう還暦か。

4年に1度しか誕生日が来ない。
それはかわいそう。
両親が3月1日にして届け出た。

この話が一番、面白かった。

もちろん店は素晴らしい。

よくできた売場、
新しい工夫も多数。

幹部も現場も相当に努力した。IMG_40384

青果部門から入るが、
実にきめ細かくつくられている。 IMG_29624

鮮魚から惣菜、精肉、冷凍食品まで、
右壁面沿いにワンラインで通す。
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これがいい効果を発揮している。

どん詰まりが冷食売場。IMG_29614

最後に惣菜、ベーカリー。
ピザはホールで販売される。IMG_29514
店内サインやPOPが刷新され、
いたるところに現場の神経が行き届いている。

ただし、一つだけ感じたことがある。

帰りに岡田常務に伝えた。

それは月刊商人舎3月号に書こうか。
やめとこうか。

今、考慮中。

ららテラスHARUMIから、
タクシーで木場へ。

イトーヨーカドー木場店。IMG_29784

同社の誇る巨漢店舗。
大規模なリニューアルが施されて、
昨2022年3月25日グランドオープン。IMG_29774

しかし、はっきり言って、
その改装効果は薄い。

内装、什器などを新しくして、
テナントなどを入れ替えた。

それでも刷新されたイメージがない。

食品フロアは一番奥にある。
吸引力のある部門を奥において、
各売場の回遊性を高めようとの意図だ。

しかし逆に食品を買う顧客には不便だ。IMG_29704

セブンプレミアムの島陳列が、
館内のコンコース沿いにある。IMG_29714

私の目的は2階。
アパレルゾーン。

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㈱アダストリアが、
「Found Good」のブランドで、
平場にショップを展開した。
アパレル業界では、
「話題騒然」だとか。

それを見に行った。

その内容は、
これも月刊商人舎3月号で、
業界第一人者のコンサルタントとともに、
分析しよう。

㈱イズミが先行的に、
アダストリアとコラボレートした。

イトーヨーカ堂はそのあと、
工夫を加えてショップ展開を図る。

さて、出来栄えは。

ショッピングセンターや店舗のリニューアル。
一番大切なのは何か。

それは人心の一新だ。

仏つくって魂入れず。

昔から言われることだ。

店舗リニューアルは、
売場の人たちの元気とやる気が、
刷新されねばならない。

残念ながら、
それが見られない。
感じられない。

日経新聞が報じた。
1月から早期退職希望を募った。
その退職者数は、
正社員で700人だとか。

店舗リニューアルをしても、
片方で人員削減を意図していたのでは、
元気もやる気も出ない。

仏をつくって、
魂もいれてほしい。

切に願うものだ。

〈結城義晴〉

2024年02月28日(水曜日)

ツルハ・ウエルシア経営統合記者会見の「名と実」

株価は今、過去最高の水準にある。

2月22日、日経平均で3万9098円68銭。
1989年12月29日の3万8915円87銭を、
約34年2カ月ぶりに更新した。

しかし実体経済と金融経済は、
大きく乖離している。

イオン㈱の株価は今日、
3531円で終わった。
1年前よりも1000円上がった。

一方、セブン&アイ・ホールディングスは、
2100円となっている。

夕方の6時から、
突然の記者会見。

札幌と東京で同時に行われ、
私はオンラインで参加した。
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出席者は左から、
吉田昭夫イオン社長、
鶴羽順ツルハホールディングス㈱社長、
松本忠久ウエルシアホールディングス㈱社長。

商人舎流通SuperNews。

ウエルシア&ツルハnews|
資本業務提携締結・経営統合の協議開始

三者は経営統合の協議を開始した。

このブログでも、
このM&Aの話は書いている。

それが実現する。

遅くとも2027年12月31日までに統合する。

日本最大のドラッグストア連合体、
アジアNo.1のグローバル企業へ。

吉田イオン社長。
「ドラッグストアは、
成熟期、低成長期に入っています」

一方で、健康需要のサービスは、
「成長が見込まれる」

経営統合によって、
スケールメリットが生まれる。
「商品開発や物流面など、
規模の効果が実現できるものは、
早期に出していきたい」

ウエルシアHDの2023年2月期は、
売上高1兆1443億万円、
前年同期比11.5%増。

経常利益521億円(11.0%増)。
2589店舗。

ツルハHDの2023年5月期は、
売上高9701億円(前年同期比5.9%増)、
経常利益457億円(14.1%増)。

店舗数は2763店。

単純合算すると2兆1144億円、
経常利益978億円。
店舗数5352店。

圧倒的なトップチェーンで、
日本のドラッグストア市場8兆3449億円の、
4分の1を占める。

段取りは第1にイオンが、
ツルハHDの普通株式を追加取得し、
ツルハHDを持分法適用関連会社とする。

第2にツルハHDとウエルシアHDは、
株式交換によって経営統合を行い、
ツルハHDが親会社、
ウエルシアHDが完全子会社とする。

ウエルシアHDは上場廃止となる見込みだ。

第3に 経営統合完了後、イオンは、
ツルハHD株式の過半数以上51%未満を取得して、
ツルハHDを連結子会社とする。

資本業務提携契約の締結以降、
遅くとも2027年12月31日までに、
最終合意に係る契約を締結する。IMG_29444

鶴羽順社長は堂々としていた。
「5年後をめどに3兆円にする目標です。
ドラッグストアでアジア首位となる、
世界企業を目指します」

ウエルシアHDの松本忠久社長は、
「ドラッグストアはこれから成熟期に入り、
少子高齢化が進む日本では、
寡占化するだろう」

私は日本国内で寡占から鼎占、
そして複占に進むと言い続けている。

アメリカのウォルグリーンとCVSヘルスのように。
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ツルハHDはイオンと、
資本業務提携を結んでいる。
岡田元也イオン会長が、
2021年7月まで社外取締役を務めていた。

それでも一部PBの供給程度の関係だった。

2023年度が終わる直前の2月28日に、
この記者会見が開かれた。

来年度に一気に統合に向けた交渉が進むのだろう。

世界のドラッグストアで見ると、
ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスと、
CVSヘルスのCVSファーマシーが、
ダントツの1位2位だ。

そのあとの3位にASワトソングループが入り、
4位はアメリカのライトエイドだ。

しかし米国は複占状態で、
ライトエイドはもう見込みはない。

だから新生ツルハHDはすぐにでも、
世界4位に入ることができる。

そしてアジアでワトソンと競う。

そんな構図が見えている。

鶴羽樹ツルハHD会長が納得したのだろう。

イオンは今回も、
名をとらず実をとった。

ウエルシアの人々は、
そのことを了解した。

かれらも実を取った。

ツルハは当面、名を残しつつ、
3兆円のスケールのアジア1位2位、
世界第4位を目指す。

日本国内に追随する者が出てくるだろう。
ドラッグストアチェーンの再編は、
巨大化に向かって進む。

機械でつくられる商品の小売業だからである。

岡田元也イオン会長。
「生き残って、
消費者に必要なビジネスであり続ける。
そのためには一定の規模が必要です」

生き残るためには、
日本という範囲の経済の中で、
マーケットリーダーであることが条件だ。

それはそのまま、
アジアという範囲の経済圏での存在感となる。

セブン-イレブン、ユニクロに続いて、
世界チェーンが登場する勢いだ。

亡くなった宗像守は、
どう思うだろう。

そんなことを考えた。

〈結城義晴〉

2024年02月27日(火曜日)

ロピアNY研修報告会とセブン&アイの「SIPストア」

午前中に東京・丸の内。IMG_28964

㈱OICグループ丸の内オフィス。
「オイシー・グループ」と読んで、
㈱ロピアの親会社。
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窓の下に東京駅が見える。IMG_28944

丸ビルの隣の一等地。IMG_28954

11時から ロピアのアメリカ研修報告会。

第4陣は2月13日に出発して、
17日に帰国した。

ニューヨークの大雪で、
出発が8時間遅れたが、
奇跡的な弾丸スケジュールをこなして、
大きな成果を上げた。
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7つのグループの発表のあと、
全員で投票。

きわめて妥当な結果となって4班が優勝。
感動ある売場とロープライスの実現。
そのために何をするか。
具体的な提案があった。

投票が終わると、
私が総評をする。
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4班の視点と発表は、
私が言うトレードオンの問題意識だ。
おめでとう。

それから浅野秀二先生の講評。
浅野先生はオンラインで、
サンフランシスコから参加。

商人舎の亀谷しづえGMも鋭い指摘をして、
この報告会の意義を高めた。

最後に2月の団長の井上裕一さんが、
締めのコメントを発して、
第4陣の報告会は終わった。

丸の内オフィスにいたので、
第4陣リーダーの宋昌錫さんが、
直接、挨拶に来てくれた。

宋さんは新規事業の社長に就任して、
張り切っている。

いくつかアドバイスしたが、
きっと成功させるだろう。

大いに期待したいものだ。

ランチを挟んで、
午後13時から第3陣の報告会。
こちらは2月9日出発、13日帰国。
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午前中と同じように7グループが発表して、
全員で投票。

こちらも妥当な結果となって、
2班が優勝した。

エコバッグをマーケティングした研究で、
内容が濃いものとなった。

私が総評。
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「テキストの185ページを開いて!」と初めて、
イノベーションのタブーを話した。

それからまた浅野先生、亀谷GM、
井上団長のそれぞれの講評。

いずれも内容のある指摘だった。

こちらは古舘青洲リーダーのチームが、
予想通り優勝した。

そのマーケティングの視点を、
マーチャンダイジングや店づくり、
さらに新規事業開発に、
大いに活用してほしい。

最後に事務局と写真。
商人ねっと㈱のみなさん。
左から工藤恵理佳さん、東恩納歩さん、
そして河本眞友子さん。IMG_38564

OICグループの丸の内オフィスを辞して、
大手町を歩く。

右手に東京駅が見える。IMG_28994

いつ見ても堂々としている。IMG_29004

丸の内仲通りの彫刻。

名和晃平のTrans-Double Yana(Mirror)。
2012年製作のアルミニウム製。IMG_28984

イゴール・ミトライ作「眠れる頭像」
1983年、大理石作品。IMG_29014

15分ほど歩いて、
大手町プレイスタワー。
IMG_29034

地下1階に降りる。
IMG_29054

毎月、血液検査と尿検査。
そして診察を受ける。
IMG_29094

田嶼尚子医院長の専門病院。IMG_29084

隣接するトモズで薬を買う。
IMG_29074
ありがたい。

アメリカに行っていたけれど、
体調管理はよくできていて、
田嶼先生に褒められた。

一方、山本恭広商人舎編集長。

「SIPストア」の記者発表会に行った。
松戸商工会議所の会議室。

50名を超えるマスコミが集まった。seven_sip00

スライドを使った概要説明は約30分。

説明会の後、バス2台に分乗して、
SIPストア1号店に移動。
「セブン-イレブン松戸常盤平駅前店」sip06

現地で迎えてくれたのがこのお二人。
永松文彦㈱セブン-イレブン・ジャパン社長、
加藤聖子㈱イトーヨーカ堂執行役員食品事業部長。
恒例のフォトセッション。seven_sipo3

トレーニングストアを兼ねた直営店を、
増床して改装した店舗。
売場面積は約2倍の約88坪となった。

横長のレイアウト。

売場は右側にコンビニゾーン。
ファストフード、飲料、パンが並ぶ。
左側にはスーパーマーケットゾーン。
生鮮三品、日配品、冷凍食品、調味料など。
セブンプレミアムデリカも中核商品だ。20240227sip-3

このゾーンには、
イトーヨーカ堂の商品が加えられている。
売れ筋上位アイテムである。
生鮮食品は「Peace Deli流山キッチン」から供給。
昨年3月の稼働。sip08

取り扱いアイテム数は約5300。
通常のセブン-イレブンより、
2000アイテム品揃えを拡大した。sip05

内食対応のアイテムに加えて、
ロフト、アカチャンホンポなど、
グループの他業態の売れ筋から、
高頻度アイテムを拾った。seven_akapon

グループ企業のリソースを最大活用して、
次世代セブン-イレブンを模索する。

「SIPストア」と称するが当面、
フォーマットとしての横展開は、
想定していない。

次世代セブン-イレブンを模索している。
それに足りない売り方や商品について、
情報収集をして、
それを成果にする。

ご存知のようにセブン-イレブンは、
フランチャイズチェーンだ。

その2万店を超える加盟店のための、
実験店という位置づけだ。

そこにイトーヨーカ堂が、
協力するという構図だ。

この、話題の「SIPストア」は、
コンビニエンスストアとスーパーマーケットの、
コンビネーションストアである。

月刊商人舎3月号で、
じっくり分析しよう。

〈結城義晴〉

2024年02月26日(月曜日)

イオンと丸紅の戦略的提携と「総合商社」との「是々非々」の関係

Everyone, Good Monday!
[2024vol⑨]

2024年第9週。
2月最終週で、
金曜日から3月。

一月、往ぬる。
二月、逃げる。

今年こそ一層そう感じる。

1月と2月は、
ニューヨークに行っていた。
だから余計に、
時間が早く感じられるのだと思う。

そして三月が来る。
しかし三月、去る。

しっかり仕事して、
しっかり生きていこう。

今日は朝から東京・小平。

第一屋製パン本社兼小平工場。IMG_E28834
臨時取締役会。

役員の皆さんが明るい顔をしていると、
会社も明るくなる。

業績も順調。

頑張ろう。

そのあと、新小平駅。
貨物列車が通り過ぎる。IMG_28844

EF210-108。
IMG_28864

武蔵野線は以前は貨物線だった。
だから今も、貨物列車が走る。
長いながい列車。
妙な郷愁がある。
IMG_28874

その後、南武線、東海道線を乗り継いで、
横浜駅に戻ってくる。

西口のイオンモール。
IMG_28884

店舗の前は広場になっていて、
これはとても良かった。IMG_28894

キャッチ&ゴー。
IMG_28914

顧客が入っているところを、
見たことはあまりない。
大丈夫だろか。
IMG_28904

オフィスに戻って、
月刊商人舎3月号の入稿。

いい原稿です。

「第一人者の渾身提案」
読みごたえがあります。

誰でしょう。

私では、もちろんない。
あるコンサルタントの先生の原稿。
全部合わせると1万2000字。

ご期待ください。

さて、商人舎流通SuperNews。
イオンnews|
丸紅と戦略的提携を強化/イオン株式を追加取得

イオン㈱が総合商社の丸紅㈱と、
「戦略的パートナーシップに関する契約書」を、
新たに締結した。

すでに2013年3月27日付けで締結していたのが、
「戦略的パートナーシップに関する協定書」

双方の関係はより強固になる。
丸紅はイオンの株式を追加取得。

商品調達・商品開発の推進、
国内外における流通機構の構築、
GX(Green Transformation)、
DX(Digital Transformation)。

中長期的に共同で取り組みを拡大していく。

五大商社と言われる。
三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅。
ここに豊田通商が加わってくる。

丸紅はこの中で、
B2Cに弱い。

だからイオンとの協業を進めるのは、
丸紅にとって最良の道だ。

そして丸紅は若手を登用する傾向が強い。
これはイオンにとってメリットが大きい。

三菱商事は全体バランスの商社だが、
このたびKDDIと組んで、
ローソン事業を飛躍させようとしている。
小売業ではライフコーポレーションをはじめ、
多くのチェーンに金と人材を送り込んでいる。

三井物産はずっと、
セブン&アイと関係が深い。

伊藤忠は日本アクセスなどを通して、
消費産業全般に強い。
ファミリーマートを子会社化している。

住友商事はサミットやトモズを傘下に置く。
消費生活産業に力を入れている。

丸紅はもともとダイエーとの関係が緊密だったが、
今はイオンに接近している。

商社と商業。
商社と小売業。
商社とチェーンストア。

総合商社も大きな産業の枠組みで見れば、
卸売業だ。

江戸時代の三井高利の越後屋は、
三越百貨店になったのではなく、
三井物産になり、三井銀行になった。

だから商社と小売業は、
本来、密な関係をもつ。

オマハの賢人ミスター・ウォーレン・バフェット。
2020年12月に日本の5大商社の株を、
5%ずつ手に入れた。

商社機能の優秀性を高く評価したと同時に、
いずれもそれぞれに特長をもって、
拮抗していると判断した。

私は総合商社とは、
ニュートラルな関係を築くべきだと考えている。
是々非々だ。

とくに商品開発や原材料調達において。

私自身が総合商社の皆さんとは、
そんな関係性を堅持している。

しかし競争環境の中で、
今回のイオンのような判断も出てくる。
大同盟時代である。

このアライアンスの面でも、
是々非々がいいと思うが。

では、みなさん、今週も、
是々非々で。

Good Monday!

〈結城義晴〉

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