結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年01月08日(月曜日)

土井善晴の「七草粥」と新成人106万の中の「知識商人」

Everybody, Good Monday!
[2024vol②]

2024年第2週、
そして今日は成人の日の祝日。

昨日のホームコース。
千葉の空。
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関東は暖かい冬の日だ。IMG_0605 (002)4
なぜ木は垂直に立っているのだろう。
まっすぐに空に向かっている。

昨日は七草の日。
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日経新聞夕刊エッセイ。
「あすへの話題」

料理研究家の土井善晴さんが、
連載陣に加わった。66歳。
土井勝さんの次男で、
跡を継いだ。
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タイトルは「春の七草」 

七草粥のおいしいつくり方、食べ方を、
簡潔に教えてくれる。

「前日に、八百屋さん、
いやスーパーに並んだ
パック入りの七草セットを買い求める」

「我が家では、2人だから、
米は1/2カップ」

「手のひらに米をとって
擦り合わせるようにして洗い、
蓋のできる雪平鍋に入れ、
6~7倍の水を注ぎ、
強火にかけて、
煮立てば底からひと混ぜして火を弱め、
蓋を少しずらして、20分以上炊く」

「火加減は蓋の隙間から覗(のぞ)いて、
静かな煮立ちを確かめる」

「粥(かゆ)は米粒が開いて、
花が咲けばよし」

「水気が残る感じにさらりと炊き上げる。
ボテボテするまで煮てはいけない」

ここまでずっと粥のつくり方。

ここから七草を入れる。
「粥を煮る間に七草を刻む。
餅はこんがりと焼き上げる」

刻んだ七草と、
焼き餅。

焼き餅は入れたことがなかった。

「火を止める直前の粥に
七草を混ぜ込み、
火を止めて、
香ばしい焼き餅を入れる」

「茶碗にそっと装い、緑を楽しみ、
自然塩でいただく」

以前は土井さん、
七草を下茹でしていた。
「生を直(じか)に入れるようにしてからは、
緑の味が際立って迫力がある」

「せめて1杯目は、炊き立ての
さらりとしたのをいただきたい。
この分量で2人が軽くおかわりできる」

軽くおかわり。
この程度が粥にはちょうどいい。

今年は餅を入れてみた。IMG_0625 (002)4
美味かった。

土井さん。
「食事は文化だ。
文化が私たちの身を守る」

「この列島の文化は、
豊かな自然を背景に生まれた」

「自然の普遍を思う。
お天道さまの秩序という道筋に
美しいものは生まれる」

「料理する人は自然を信じれば良い。
自然にあるものを料理する」

スーパーマーケットや食品小売業は、
自然にあるものをまず提供したい。

それが文化をつくる。

今日、成人式の若者たちにも、
この文化は伝えたい。

能登には雪が積もった。
今日8日の午後2時現在、
死者は168人に増えた。
ご冥福を祈りたい。

安否不明者も323人に増えた。

避難所で暮らす人たちに、
七草粥は届くのだろうか。

一方、池田佳隆衆議院議員が、
逮捕された。
名古屋選出の57歳。

2人の政策秘書とともに、
政治資金規正法違反の疑い。
派閥パーティー券のキックバック事件。
もちろん安倍派。

自民党は党紀委員会で、
池田議員を除名処分にした。

除名にしたからといって、
自民党の責任が消えるわけではない。

金権体質は一掃しなければならないし、
金がついて回る現在の選挙も、
根本的に改めねばならない。

成人する若者たちに対して、
私たちは全責任を負っているのだから。

総務省の推計では、
今年の新成人は106万人だ。
昨年より6万人の減少。
男性55万人で女性52万人。

このうち何人が商人になってくれるのだろう。
そして何人が政治家になるのだろう。

私はそれを思う。

朝日新聞の「天声人語」。
作家の中島らも。
私と同年だが故人となった。
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「人は所詮(しょせん)、
なるようにしかならない」

「不幸とは、
夢中になれることから目をそらせて
自分を不自然に
たわめていくことの中にある」

同感だ。

自戒を込めて、
新成人たちに伝えよう。

夢中になれることから、
目をそらせてはいけない。

それでも何人が、
知識商人になってくれるのだろう。

では、皆さん、今週も。
霧中になろう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2024年01月07日(日曜日)

ワイプラザ輪島の「役に立ちたい」とやなせたかしの「ヒーロー」

成人の日を含む三連休。

2024年最初の三連休だ。
それでも正月休みの延長の連休だから、
国民は休み慣れしている。
大型連休とするならば、
12月28日から明日の1月8日までで、
12日間となる。

それはそれでいいのだろう。

私が二十歳になったときには、
成人の日の祝日は、
1月15日と決まっていた。

それが1999年まで続いて、
2000年からハッピーマンデー制度が導入された。

もともと1月15日は小正月(こしょうがつ)である。
対して元日、あるいは七草の7日までを、
大正月(おおしょうがつ)という。

正月の終わりが小正月で、
切りがいい。

そして小正月に元服の儀が行われた。
「元服」は男子が成人に達したことを示す儀式だった。

奈良時代の貴族から始まって、
鎌倉時代には武士まで広まった。
そして室町時代には民間にも普及して、
戦国時代、江戸時代と続いた。

だから成人の日と元服の小正月は、
歴史的に伝承している。

どちらかといえば、
成人の日は15日がいいと思う。

さて、
朝日新聞「天声人語」

「能登半島地震の被害の甚大さは、
いまだその全容が見通せない。
倒壊した家屋の下にはまだ人がいる。
救援は十分には届いていない。
孤立した集落も残っている」

「困窮と寒さのなか、
助け合う被災者たちの言葉に、
胸が震える」

その数々の言葉の中で、
輪島市宅田町の「ワイプラザ輪島」
㈱ヤスサキが経営するショッピングセンター。
2003年12月オープン。

スーパーマーケットの「グルメ館」、
ホームセンターの「ワイホーム」、
衣料品の「ファッションプラザ」。
そのコンビネーションタイプの店だ。

店の人たちが地震発生の翌日から、
売場を片付け始めた。

そして状態のいい食料品や衣類、生活用品を、
かき集めて4日の朝、開店にこぎ着けた。
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グルメ館の食品営業本部長の大道豊春さん。

「今はみなさん困っているとき。
少しでもお客さんの役に立ちたい」

素晴らしい。

一部の生活用品を除いて、
商品の値段は税込み100円に揃えた。
低価でわかりやすい。

「利益を上げることは、
後で考えればいい」

従来の売場は天井や棚が崩れている。
そこでイートインスペースを仮設売場にした。
余震が起きてもすぐに避難できる。

阪神淡路大震災のときも、
新潟県中越地震のときも、
東日本大震災のときも、
全力を尽くして、
店を開け、売場に立つ。

それが商人の役割だ。

朝日新聞「折々のことば」
昨日の第2960回。

困っている人の
一番の困りごとは

「助けて」と言えないことです。
〈Colabo(コラボ)〉

Colaboは女子高生サポートセンター。
困難を抱え、帰る場所もない少女たちを
支援する一般社団法人。
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そのホームページの一文。

彼女らの多くは、
「自分の問題なんだから、
自分でなんとかしなきゃ」
という気持ちでいる。

だからそのままだと
「ひとりではどうにもならない事態」に
行き着き、追いつめられて、
性的被害に遭うことにもなる。

彼女らに必要なのは、
「特別な支援ではなく、当たり前の日常」だ。

「助けて」といえない人たち。
そんな人たちを助ける。

それが本来、政治であり、行政である。
政府であり、地方自治体である。

それらが足りないとき、まにあわないとき、
小売業、サービス業が助ける。

漫画家の故やなせたかしさん。
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「『アンパンマン』を創作する際の僕の強い動機が、
『正義とはなにか』ということです」

「正義とは実は簡単なことなのです。
困っている人を助けること」
「ひもじい思いをしている人に、
パンの一切れを差し出す行為を
『正義』と呼ぶのです」

「困っている人、飢えている人に
食べ物を差し出す行為は、
立場が変わっても国が違っても
『正しいこと』には変わりません」

「絶対的な正義なのです」

「だから正義って相手を倒すことじゃないんですよ。
アンパンマンもバイキンマンを殺したりしないでしょ」

「それに正義って、
普通の人が行うものなんです。

政治家みたいな偉い人や
強い人だけが行うものではない。
普通の人が目の前で溺れる子どもを見て
思わず助けるために
河に飛び込んでしまうような行為をいうのです」

「ただし普通の人なので、
助けに行って自分が代わりに
溺れ死んでしまうかも知れない。
それでも助けざるを得ない」

「つまり、正義を行う人は、
自分が傷つくことも
覚悟しなくてはいけない」

「怪獣を倒すスーパーヒーローではなく、
怪獣との闘いで壊された街を復元しようと
立ちあがる普通の人々が
ヒーローであり、
正義なのです」

「ワイプラザ輪島」の人々こそ、
ヒーローであり、正義なのだ。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2024年01月06日(土曜日)

セブン・ローソンのアセアン戦略の可能性と意義

令和6年能登半島地震。
死者が100名になった。

安否不明者は221人。
まだまだ増える。

痛ましい。

自衛隊の逐次投入ではなくて、
初動から全力投入できないのだろうか。

ヘリコプター総出動で、
迅速な救助・救済はできないのだろうか。

命を救うことはできないのだろうか。

それにしても岸田文雄首相の防災服姿。
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閣僚も対策会議メンバーも、
揃って防災服姿。20240105kaigi_01

災害が起こるとこの青色の作業服姿で現れ、
記者会見や会議に出てくる。

「現場で作業にあたる人であれば
しっくりきますが、
政治家が下ろしたてのような
アイロンの効いた作業服で
会議に臨む姿が滑稽に映るという人は
やはり多い」

ネット上の揶揄。
「作業するわけでもないのに、
なんで作業服姿で会見するのだろうか」
「誰も行かないのに作業着コスプレ」

岸田政権に限ったことではない。
東日本大地震発災のときも、
菅直人首相、枝野幸男官房長官らが、
「安易なパフォーマンス」と皮肉られた。

現地に飛ぶのならばまだしも、
首相官邸で語るだけならば、
やはりパフォーマンスと言われても仕方ない。

商人舎流通SuperNews。

能登半島地震news|
チェーン各社で店頭募金活動広がる

チェーンストア各社の店頭募金活動。
意義のあることです。

松井秀夫さん。
大木ヘルスケアホールディングス会長。
フェイスブックのコメント。

「今年の大木の団結の象徴一文字は、
『交わる』『力』、 すなわち『効』」

「国際経済の中でも交わる力を発揮して
一人負けはなんとか挽回していきたいものです」

同感です。

交わる力、効。
素晴らしい。

「セルコレポート」新年号が届いた。
私の連載はもう21回。
タイトルは「艱難は商人を鍛える」
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今回のテーマは、
「虚子とドラッカーの貫く棒のごときもの」

去年今年貫く棒の如きもの
1950年(昭和25年)、
高濱虚子が76歳の12月に詠んだ句。

この句は高く評価され、
虚子が在住した神奈川県鎌倉駅に掲示された。
それを偶然、川端康成が見て、
えらく衝撃を受けた。

去年(こぞ)と今年(ことし)、
まっすぐな棒のように変わらないものだ。
そんな意味の句である。

虚子の孫にあたる俳人・稲畑汀子が書いている。
「時間の本質を棒というどこにでもある
具体的なものを使って端的に喝破した
凄味のある句である」

「この棒の、ぬっとした
不気味なまでの実態感は
一体どうしたことであろう。
もしかすると虚子にも説明出来ず、
ただ『棒』としかいいようがないのかも知れない。
敢えて推測すれば、
それは虚子自身かも知れないと私は思う」

私たちもそれぞれに、
「棒」の意味を実感したい、この正月です。

日経新聞一面トップ
「セブン・ローソン、
アジアでコンビニ1万店増」

セブン-イレブンとローソン。
23年2月期時点のアジア・オセアニアの店舗数。
両者合わせて約5万3000店。

国内は現在、約3万6000店。
すでに日本国内を上回る。

そのアジア・オセアニアで、
今後3年間、1万店を増やして、
6万3000店規模にする。

セブンは現地企業とのライセンス契約方式で、
23年2月期約4万6000店。
今後3年でさらに3600店増やす。

これによってアジアの店舗数は、
26年2月期までに5万店体制になる。
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ローソンは中国5620店、タイ181店、
インドネシア256店、フィリピン101店。
それを3年で約6800店増やして、
アジアで約1万3000店体制にする。

セブンが3600店増で、
ローソンが6800店増。

両社合わせて1万店増は、
意味のある数字ではないが、
日経記事はローソンがセブンを、
出店数で上回ることを示したかったのだろうか。

人口減少傾向の日本国内市場は、
飽和感状態だ。

鈴木敏文前セブン&アイ会長は、
頑として「飽和はない」と言い続けたが、
鈴木さんがいない今、限界は近づいている。

23年2月期のセブンとローソンの出店数は、
純増数で50店にとどまる。

業界全体の国内総店舗数は6万店弱。
これも頭打ち。

一方、東南アジアのコンビニ市場規模は、
年率2桁ペースで拡大している。

人口対比のコンビニ店舗数の割合も、
日本の半分程度で、
成長余地は大きい。

1人当たり国内総生産(GDP)が目安となる。
3000ドルを超えるとコンビニ普及期に入る。
ちなみに2000ドルを超えると総合スーパーが成立する。

イオンはこの基準でアセアン戦略を採用している。

22年のベトナムが4110ドル、
21年のフィリピンが3572ドル。
多くの東南アジア諸国がコンビニ普及期に入る。

ラオスは21年に2595ドルで、
3000ドルをうかがう水準だ。
だからセブンが23年9月に初出店した。

日本のコンビニは、
4大原則をはじめ、格段に経営水準が高い。
それがある意味で成長を保証する。

ファミリーマートは、
フランチャイズ方式で提携する現地企業と、
昨夏に契約解消してタイから撤退した。

セブンなどとの競争で劣勢だった。

それでもマレーシアや台湾などで再拡大を狙う。

アジアでは現地コンビニとも競う。
中国最大手の美宜佳控股(メイイージアー)は、
22年末で中国で3万店規模。

ただしアジア各国のコンビニの平均日販は、
日本に比べてはるかに低い。

だから日本のコンビニ各社は、
アジアからの利益がほとんど得られていない。

重点課題は店舗数よりも利益だろうが、
それは平均日販にかかっている。

そしてそれは各国のGDPの向上に影響される。
時間が経てば必ず利益が出る。

そんな考えで店舗数を増やす競争をしている。

チェーンストアは人口増の地域で展開せよ。
商売は1人あたりGDPが増えるエリアでせよ。

これは成長戦略の鉄則である。
ただしその地域で競争力を持つ店でなければならない。

〈結城義晴〉

2024年01月05日(金曜日)

24年の商品値上げ一段落と「じゃましないこと」

1月5日、商人舎は仕事始め。

オフィスに出てみると、
年賀状がたくさん届いていた。
ありがとうございます。
心から感謝しつつ、
拝受いたします。

岡田卓也さんからの年賀状は、
いつも元気づけられる。

岡田文化財団が、
三重県「さくらプロジェクト」を始めた。
県内45地区に3年間で5000本の桜を植える事業。

岡田さんのメッセージ。
「さくらは平和の象徴であり、
平和のもと成り立つ産業である小売業も
また平和の象徴であります。
最大の環境破壊である戦争のない、
平和な世界を皆さまととともに祈ります」

素晴らしい。
ありがとうございました。
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柳井正さんの年賀状は、
恒例のレンチキュラー印刷だ。
見る角度によって絵柄が変わる。

ひとつは1984年の第1号店オープンの写真で、
「SINCE1984」とある。
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もうひとつはユニクロ・パリ・オペラの写真で、
「HAPPY NEW YEAR2024」
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どちらにも右下に「40th」とある。
40周年なのだ。

ありがとうございました。

私たちは全員揃って、
サクサクと業務に臨む。

商人舎流通SuperNewsが再開しました。
今年もよろしくお願いします。

そのSuperNews。
帝国データバンクnews|
2023年の値上げは30年間で類を見ない3万2396品目

昨年の商品値上げの最新の結果。
主要食品メーカー195社の値上げ品目数。
2023年累計は3万2396品目。
22年累計は2万5768品目だった。
6628品目上回って、25.7%増。

過去30年で類を見ない「値上げラッシュの年」だった。

今年は1月から 5月までに、
3891品目の値上げが決まっている。
これは昨年比で39.8%の水準。
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一段落ではある。

私はアメリカテキストの仕上げをしている。
1週間後の1月12日出発。
ニューヨークに10日ほど滞在して、
1月21日に帰国。

ニューヨークの気温は今、マイナス2度。
暖冬の東京・横浜とは大きく異なる。

それでも厳寒の世界最大の都市。
楽しみではある。

さてほぼ日の糸井重里さん。
毎日の「今日のダーリン」

「じゃましない」
とても大事な応援であり、
手伝いであることは多い。

結城義晴のモットーも、
「じゃましないこと」

子どもたちも、
教え子たちも、
そしてこれまでの部下たちも、
その成長を「じゃましない」で通してきた。

「もちろん、わかりやすいかたちで、
手伝いたい、とか、
アドバイスしたいとか、
ヒントを出してやりたいとか、
外れていそうな道を正してやりたいとか、
役に立つものを渡してやりたいとか、
教えたいとか、
とてもいっぱいあるよ」

「それがぴったりハマったときには、
とてもありがたいし、
手を貸したほうの人も
満足度が高いとは思う。

「でも、それを求められてないときにやっても、
“じゃまになる”だけってことが、とても多い」

同感だ。

「応援でも、手伝いでも、
支えになるでも、導くでも、
やる側も、ほんとうにむつかしいと思うんだ」

「だって、無関係な”目もくれない”人だって、
実際、”じゃましない”とも言えるからね」

「手を貸したいと思いながら”じゃましない”のと、
結果的に同じといえば同じなんだ」

「つい”じゃまになる”ような人というのは、
そのことに耐えられないんじゃないかなぁ」

同感だ。

「わたしが手伝った、わたしが助けた、
わたしが教えた」

「それは、実は相手を手伝うのではなく、
その”わたし”の勝手な自己実現だったりもする」

これは気をつけねばならない。
政治家に多い。

「”じゃましない”からはじまることに、
この先、なにかできることが
見つかるかもしれない」

「しかし、そのときがきても、
“じゃましない”が大事だ」

基本の姿勢はこれだ。

「ほぼすべての人間は、
“じゃまされない”ことによって
育てられてきた、とも言えるのだ」

深く、同感したい。

糸井さんの締めの言葉。
「”じゃましない”けど”愛してる”
という簡単な難問」201812_message-ec自動発注

そう、じゃましないけど愛してる。
だから「このとき」という大事なときにだけ、
手伝う、助ける、支える、導く。

能登半島地震にも、
全力で応援しながら、
じゃまをしてはいけない。

〈結城義晴〉

2024年01月04日(木曜日)

2024年も最大の仕事はリスクマネジメントである。

令和6年能登半島地震。
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石川県内の死者は78人になった。
輪島市44人、珠洲市23人。

さらに七尾市5人、穴水町2人、能登町2人、
羽咋市、志賀町それぞれ1人。

ご冥福を祈りたい。

経済評論家の故堺屋太一さんの指摘。
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非常時対策の5段階。

①救助
②救済
③復旧
④復興
⑤振興

この際、
「長期的な視野を持つ必要がある。
決して方向を誤ってはいけない」

短期的・短絡的な救助・救済の視点だけで、
長期的な復興・振興を間違わせてはいけない。

絶望的な状況の被災者たちに、
希望をもってもらわなければいけない。

非常時の原則。
「軽いものから先に」

第1に、最も急ぐ軽いものは「情報」。
携帯電話やインターネットで、
情報が簡単に入る世の中となった。
しかし非常時の情報収集は難しい。

第2は、「生活物資」。
まず飲料と医薬の配布。
その次が緊急の食料。
そしてその次が燃料と衣料。

第3は、「安全な生活空間の準備」。
そしてそこへの搬送、
仮設住宅の提供。

ここまでが第1段階の救助である。

このあと第2段階の救済は、
被災から10日後くらいになる。
道路、水道、衛生、電力、ガスなどの
ライフラインの応急処置。

堺屋さんは指摘している。
「大事なのは速度。
最低限のライフラインをつなげるリミットは、
1カ月以内」

そして第3段階の復旧に入るのは、
被災後1カ月。

水道、道路、電力、鉄道などを、
旧(もと)に復すとともに、
店舗や飲食店を再開させ、
日常生活を復元させる。

その間も小売業は、
いち早く自力で復旧する。

それが社会貢献となる。

復興から振興へは、
ビジョンが問われる。

地震が頻発する能登半島。
この地域の将来像をどうするか。

国会や内閣をはじめとする国と、
石川県をはじめとする地方自治体に、
構想力、想像力が求められる。

私たち日本列島に住む人間にとって、
共有すべき命題である。

「元気を出そう・元気を売ろう」

元気を出そうよ。
それがあなたの仕事です。
元気を売ろうよ。
それがあなたの役目です。

お客さまに笑顔が戻る。
街に活気が蘇える。
あなたの商品のおかげです。
あなたのサービスのたまものです。

たとえ店頭から、
商品が消え失せようとも。
たとえ倉庫が、
空になろうとも。

あなたは店を開けようよ。
あなたは売場に立ち続けようよ。
店で元気を出そう。
売場で元気を売ろう。

元気があなたの付加価値です。
元気があなたの利潤です。

苦しい時にも、
元気が買える。
どんな時でも、
元気が貰える。

たとえ地震に
襲われようとも。
たとえ津波に
見舞われようとも。

店を開けよう。
売場に立とう。
元気を出そう。
元気を売ろう。

それがあなたの仕事です。
それがあなたの役目です。

店を開けよう。
売場に立とう。
元気を出そう。
元気を売ろう。
〈結城義晴〉
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新潟日報の巻頭言「日報抄」
〈アスファルト道路もあちこちで
ポッカリ地割れしており、
地下からボコボコ水が吹き出している〉
〈砂といっしょに吹きあげた水が、
高さ二メートルもあった〉
〈家が傾き、砂の中にめり込んだ〉

1964年の新潟地震を伝える記事。

それからちょうど60年。

「自分が住む場所の特性を理解することが
防災の第一歩になるはずだ」

その通り。

生活する場所、
仕事する場所。
その地域特性。

「災害も事故も、
時と場合を選ぶことなどない」

「そんな当たり前のことを、
改めて胸に刻む年明けになった」

2024年も私たちの最大の仕事は、
リスクマネジメントである。

〈結城義晴〉

2024年01月03日(水曜日)

能登半島地震と羽田日航機事故と初売りの「バタフライ効果」

2024年はどうなるのだろう。

能登半島地震。
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富山新聞によると、
1月3日10時17分時点で、
64人の死亡が確認された。

輪島市の被害が多くて31人、
珠洲市が22人、七尾市が5人、
穴水町、能登町が各2人、
羽咋市、志賀町が各1人。

ご冥福を祈りたい。
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一方、東京都大田区の羽田空港。

2日の午後5時50分ごろ、
C滑走路で日本航空516便が、
海上保安庁の航空機に接触した。

着陸の際、発火し、炎上した。
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516便は午後4時15分に新千歳空港を離陸し、
約1時間半後に羽田に着陸しようとしていた。

516便の乗客・乗員計379人は、
スライダーを使うなどして全員が脱出した。

海上保安庁機は5人が死亡した。

英国のガーディアン紙は、
「奇跡の脱出」と見出しを掲げて、
元パイロットの言葉を載せた。
「私たちは奇跡を目撃したと、
言わなければならない」

海上保安庁の航空機は、
能登半島地震対応物資を搬送するために、
新潟航空基地に向かうところだった。

「バタフライ効果」とは、
蝶がはばたく程度の非常に小さな撹乱でも
遠くの場所の気象に、
影響を与えるという現象のこと。

小さくはないけれど、
能登半島地震が、
羽田の航空機接触事故に、
影響を与えた。

NHKは予定していた番組を、
すべてキャンセルして、
能登半島地震の実況中継を実施した。

思い切った番組変更だが、
さすがにNHKだと思った。

余震はまだまだ続いている。
予断は許されない。

さて正月恒例。
箱根駅伝。

往路は青山学院大学が制した。
今年は「負けてたまるか大作戦」

「一強」と呼ばれた駒澤大学は今年、
三大駅伝の出雲駅伝と全日本大学駅伝を勝利し、
圧倒的に有利だという評判だったが、
それを覆した。

復路も安定した走りでトップを堅守。
大会新記録の10時間41分25秒で優勝。
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駒澤大学は昨2023年に三冠で、
今年も2年連続三冠を目指したが2位。
3位には櫛部静二が監督を務める城西大学。
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わが早稲田は7位に入った。
まあまあの走りを見せてくれた。
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箱根駅伝が終わると、
正月気分も抜ける。

そして気持ちは現実に戻る。
その現実の初売り。

日経新聞が報道した。
「百貨店初売り、高額品好調」

1日から初売りを実施したのが西武池袋本店。

客数は前年同日比8%増の約35万人。
売上高は6%増。
免税売上高は2倍。

2日が初売りの高島屋日本橋店。
前年を約1割上回る売上高。

国内富裕層とインバウンド客がけん引する。
初売りに向けた福袋は、
約430種類、約1万4000個。

食料品の数千円の福袋から、
ダイヤモンドなどのセット福袋2024万円まで。

伊勢丹新宿本店や三越銀座店は、
アジアからを中心に訪日客が目立った。

大丸心斎橋店は開店前に600人が行列。
中国や韓国、香港などからの訪日客が回復。

阪急うめだ本店は、
開店前から約2000人が列を作った。

関西ではとくに外国人客が、
福袋を狙って押し寄せた。

イオンの初売りは、
1月1日から4日までの4日間。
約380店舗とオンラインショップで開催。
280以上の企画を用意した。
前年の1.4倍。
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そしてイオンは1月3日、
「令和6年能登半島地震 緊急支援募金」を始めた。
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実施期間は1月3日から1月31日まで。
全国のイオンのグループ店舗約1万カ所で、
店頭募金を実施する。

セブン&アイ・ホールディングスは、
1月2日から2万2000店で募金を開始している。

迅速な対応は素晴らしい。

小売業、商業全体の格を上げてくれる。

考えてみると商売こそ、
バタフライ効果の生業(なりわい)だ。

ほんの小さな、
蝶の羽ばたきのような、
店頭の行為や笑顔が、
やがて全体の繁盛を生み出す。

そんなことを信じて、
この得体の知れない2024年に、
立ち向かいたい。

〈結城義晴〉

2024年01月02日(火曜日)

「令和6年能登半島地震」と「イオン7%賃上げ」報道

三が日は年賀状。
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新年のお祝い気分を覆すように、
「令和6年能登半島地震」が起こった。

心からお見舞いを申し上げたい。

石川県能登地方で最大震度7の揺れ。
マグニチュードは7.6。

この地方では2018年ごろから、
地震回数が増えている。
2020年12月からは活動が活発化して、
能登群発地震と呼ばれている。

2021年7月からは、
さらに活動が活発になり、
昨2023年5月5日には、
最大震度6強の地震が起こった。
マグニチュードは6.5。

それが1月1日に最大化した。

今後も広範囲に活発な地震活動が続く。

北陸の小売業の皆さん、
頑張ってほしい。

スーパーマーケットも、
ドラッグストアもコンビニも、
自らの安全を担保しつつ、
役割を果たしてほしい。

とくに㈱どんたくは、
この能登半島のローカルチェーンだ。
13店舗を経営する。

㈱バローと業務提携をしているが、
こういったときにこそ、
その関係は心強い。

頑張ってほしい。

さて1月1日の日経新聞一面。
「イオン、パート7%賃上げ」

昨年も賃上げ7%をいち早く発表して、
それを実施したイオンだが、
今年の元旦の日経一面記事でも、
今春の7%賃上げを公開することになった。

これはイオンの広報のヒットだ。

国内企業最多の40万人のパートタイマー。
日本の非正規雇用の約2%を占める。

パートのグループ平均時給は現在1070円。
それが75円程度の引き上げとなる。

イオングループ労働組合連合会は、
その非正規雇用者が組織されていて、
これも国内最大だ。

「年収の壁」にも対応する。

政府は昨23年10月に、
「年収の壁・支援強化パッケージ」制度を始めた。
これを活用し、なおかつ手当を出して、
保険料の負担を緩和する。

短時間で働く従業員にも、
ボーナスや子育て支援金などを支給する。

これはグループ会社にも適応される。

正社員は約10万人だが、
彼らの賃上げも前年超えで調整する。
定期昇給やベースアップを含む、
グループ平均の前年実績は4.85%だったが、
これを上回って、7%に近づける。

記事にはイトーヨーカ堂との比較が出ている。
23年の春季労使交渉で妥結した賃上げ率は、
パートで3.07%、正社員で2.01%だった。

イオンはパートが7.09%、
正社員が4.85%だった。
40万人のパートと10万人の正社員。

イオンにやられた、
と感じる経営者もいるかもしれない。

しかしイオンが他産業に先駆けて、
小売業、流通業、チェーンストアは、
賃上げに積極的であることを示した。

むしろそれを追い風にすることを、
考えて、対応したほうがいい。

それだけのインパクトのある記事だったと思う。

それにしても能登半島地震。
お見舞い申し上げたい。

〈結城義晴〉

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