顧客満足と従業員満足を両立させる律法(おきて)
ジェームズ・キャッシュ・ペニー。
ご存知だろうか。
頭文字に略すと、
J・C・ペニー。
こういえば、商業関係者ならば分かるだろう。
あのシアーズと覇を競ったペニーを起こした伝説上の人物。
1950年代には、「世界の小売王」と呼ばれた。
会社は、現在でこそ、パブリクッスについで、
全米第14位の小売業(『フォーチュン』版)に甘んじている。
年商199億ドル(2兆3900億円)、
しかし純利益11億5300万ドル(1384億円)。
いまだ、純利益率5.8%と高レベルの企業だ。
業態フォーマットはシアーズと同様の、
日本では、ゼネラルマーチャンダイズストアと呼ばれる。
しかしアメリカでは、専門マスコミでも、
マスマーチャンダイザーという。
一般の消費者からは、大衆的な百貨店と認識されている。
ジェームズ・キャッシュ・ペニーは、
1876年生まれの、生まれながらの商人である。
自伝を「メインストリート・マーチャント」と名づけた。
本通り、表通りの商人。
意訳すると、「王道を行く商人」。
私はこれが好きだ。
ジェームズは、牧師であり、農夫であった父から、
大きな影響を受けて、育った。
片手に聖書、片手に鍬を持った父は、
17歳のジェームズに、こう教えた。
「神は、お前の数々の過失を許してくださるに違いない。
しかも神がお求めになることは、
お前が最低の条件を満たすことだけである。
最低の条件とは、ゴールデンルールと呼ばれるものだ。
聖書マタイ福音書7章12節に示された神との契約である」
ジェームズ・キャッシュ・ペニーの最初の店には、
店名の看板の代わりに、
『ゴールデンルール』と大きく書かれていた。
2号店、3号店にも、
『ゴールデンルール』の一枚看板しか掲げられていなかった。
そしてこの『ゴールデンルール』を貫くペニーの店は、
全米小売業史に残る奇跡的な成長を遂げたのである。
では、ゴールデンルールとは何か。
「さらば、すべて、人にせられんと思うことは、
人にもまた、そのごとくせよ」
2007年の現在も、
ゴールデンルールは生きる。
顧客満足(カスタマーサティスファクション)も、
従業員満足(エンプロイーサティスファクション)も。
ゴールデンルールが貫かれるならば、
必ずや、両立する。
75年ぶりの暑さを示した日。
熊谷と多治見で40.9度。
ゴールデンルールは、
日本中の商店で、
日本中の商人に、
どの程度、実行されたのであろうか。
「さらば、すべて、人にせられんと思うことは、
人にもまた、そのごとくせよ」
<㈱商業界社長 結城義晴>