『商売十訓』を解き明かす【第一訓から第五訓まで】
9月13日、早朝の大阪を発って、
東京周りで、長野へ。
駅には薄いブルーのスーツ姿の楚々とした女性。
本日の事務局、酢屋亀本店・土屋芳子さん。
快晴の空、澄み切った空気の、善光寺の町に降り立つ。
商業界南と北のしなの女性同友会の合同例会。
メルパルク長野。
北しなの女性同友会会長・太田和さん(写真左)。
南しなの女性同友会会長・小椋シガ子さん(写真右)。
お二人を始めとする皆さんに、
温かく迎えられて、
私、感激。
講演にも、丁寧さが増し、熱が入る。
演題は、
『商売十訓』と「自ら、変われ」。
いい機会だから、
『商売十訓』に関して、
掻い摘んで、解説。
昭和30年代の初めに、
商業界創業者の倉本長治が提唱した十の言葉。
50年間にわたって、全国の商業者の道を正した十の教訓。
14文字の言葉がちょうど10編。
だから全部で140文字。
一 損得より先きに善悪を考えよう
まさしく、商売とビジネスの原点。
どんなときにも、何があっても、
絶対に崩してはならない大原則。
これを破るならば、仕事をしないほうがいい。
会社や店は畳んだほうがいい。
ルールを守る、法律を遵守する。
そういったことではない。
規則や法体系の前に、厳然と存在する仕事の大前提。
そんな不変の原理が、『商売十訓』のトップに来る。
私は、この第一訓を、
英語で“プリンシプル”と名づけた。
二 創意を尊びつつ良いことは真似ろ
不変の原理が、掲げられたら、
次に来るのは、当然、変化である。
変革、革新の原理である。
それが、これだ。
「真似る」、すなわち模倣⇒イミテーション。
「創意を尊ぶ」、すなわち創造⇒クリエーション。
人間は、クリエイティブなものを過大に評価したがる。
創造は人間に与えられた、素晴らしい能力である。
けれど、模倣は、仕事を成し遂げていくときの、
不可欠の行為である。
私たちは、模倣を過度に恥じることはないし、
創造だけをいたずらに尊ぶこともない。
イミテーションとクリエーションを繰り返し、積み重ねる。
それが“イノベーション”となる。
三 お客に有利な商いを毎日続けよ
3番目に大事なことは、商売そのもの。
すなわち営業の心得である。
それが、「毎日」⇒エブリデー。
「店は客のためにある」。
顧客第一主義。
カスタマー・オリエンテッド。
私は、ここでいう「お客」は、
私の店の特定の常連顧客であると考える。
店に対する信奉顧客であると思う。
これ、“マーケティング”の真髄を表す。
ウォルマートのエブリデー・ロープライスに貫通している。
四 愛と真実で適正利潤を確保せよ
ビジネスや商売は、利益を生み出さねばならない。
しかし、仕事の目的が利益ではない。
利益は、むしろ手段である。
”プロフィット”はあくまで適正でなければならない。
愛より生まれた利潤。
真実に基づいた利益。
だから、必然的に適正となる。
自然、必然、当然となる。
五 欠損は社会のためにも不全と悟れ
4番目と対になっているのが、これだ。
鏡のようになっている、と考えてもいい。
適正の利潤を上げ続けていれば、
欠損は生じないはずだからである。
商売やビジネスでは、欠損を出してはならない。
しかし万一、欠損が出てしまった場合にも、
速やかに欠損の状態から脱しなければならない。
社会のために不善なのであるから、
まず、欠損を隠してはならない。
常に公明正大でなければならない。
隠さないから、速やかに解消する軌道に乗ることが出来る。
どんな企業も、どんな店も、
過ちを犯すし、失敗はある。
そこから脱するときに、真価が問われる。
本当の力が発揮されるのである。
『商売十訓』はきわめて重要。
だから、明日まで続けよう。
折り返し点の第五訓まで、
よく噛み締めてほしい。
私も、噛み締めよう。
明日まで。
<結城義晴>
(写真は、懇親会の後の北しなの女性同友会の面々とのスナップ)
4 件のコメント
結城先生、昨日はご多忙の中、またご遠方より私どものためにご講演頂き、心より御礼申し上げます。「商売十訓」が精神的支えばかりでなく、経営の体系にかなっているとのお話は、私にとって新しい発見でした。「十訓」の教えは、奥が深いですね。先生のお教えを糧にまた、今日からの商いに心してまいります。先生が最大のキーワードに掲げられた「自ら、変われ」は、実現には課題が山積ですが、常に頭に叩き込んでいきます。ますますのご活躍を。お体お大切に。御礼まで。
ありがとうございます。
『商売十訓』は、仰るとおり深いものです。
私も考え続けます。
そして、「自らを変えよう」と思います。
応援しています。
これからも、ずっと。
合掌。
昨日は私の心の迷いを取り除いていただき、有難うございました!
『商売十訓』にまつわるお話を聞かせていただいているうちに、お蔭様で「私自身がやるべきこと」が見えてきました。
今日の朝礼でも、先生のお話の一部を伝え、まずは自分が変わる覚悟を宣言させていただきました。思いがけず!多くの社員がうなずいてくれました。
まさに霧が晴れるようなそんな貴重な時間をいただいたことに心より感謝を申し上げます。
日本中に「勇気と元気をプレゼントする」結城先生の、ますますのご活躍とご健勝を、この長野よりお祈り申し上げております。
「自分が変わる覚悟を宣言する」
素晴らしいですね。
私も、宣言が好きです。
もともとなまけものの自分を、
駆り立てるために、私は宣言をします。
それが、何かを、長続きさせる秘訣です。
「徹底とは、詳細に、厳密に、継続すること」
徹底するために、私も宣言をします。
同志ですね。
ともにがんばりましょう。