11月8日、カリフォルニア、ロサンゼルス。
イギリス第1位の小売業「テスコ」の、
アメリカ合衆国での最初の店がグランドオープン。
9日、グランドオープンの喧騒が去った日。
私は、ノブ・ミゾグチさんと二人、
このテスコの店「フレッシュ&イージー」を訪れた。
やはり“fresh&easy”と書いたほうが断然、気分いい。
小文字の綴りを採用したところが洒落ている。
ミゾグチさんは、アメリカでの私のパートナー。
ダイエーのバイヤーご出身で、
アメリカの食品と店舗に関する超のつく専門家。
“fresh&easy”は8日、
ロサンゼルスとその近郊に、
一挙に6店をオープンさせた。
私たちは、そのうちの3店を回った。
最初の店は、ロスの中心からも最も近いフリースタンディング。
道路を隔てた反対側に、セブン‐イレブンが出ている。
コンビニエンスな店ということだ。
第二は、中心から東に行ったサバブの近隣型ショッピングセンターの店。
ショッピングセンターの名を「アップランド・ビレッジ」という。
“fresh&easy”の隣に、バラエティストアの「ダラー・ツリー」がある。
ダラー・ツリーは、6300店、63億ドルのバラエティストア第3位。
そして、四つ角の道路の斜め前に、これも近隣型SC。
核店舗はあの「トレーダー・ジョー」
そしてドラッグストアの「ロングス」、
衣料ディスカウントストア「マービンズ」。
第二の店は、郊外の小型スーパーマーケットの役目を果たす店。
第三の店は、オレンジ郡アナハイムのこれも近隣型SCに立地する。
この店は、おそらくバラエティストアの撤退跡に出たもの。
ミゾグチさんの読み。
核店舗が、結果的に“fresh&easy”しかない。
3店ともに、異なる立地への出店。
これ、優れた方針。
テスコは、今年中に30店規模に持っていくことを発表している。
すなわち、さまざまな立地に一挙に出店する。
そして、すぐに300店まで拡大する計画に違いない。
店舗面積は、第一と第二の店が、1万平方フィート、約300坪。
第3は、1万2000平方フィート、360坪。
3店ともに、品揃え、レイアウトともに、
完全に標準化されている。
それでなくては、一挙に6店、2カ月で30店も出すことはできない。
この8日、ロサンゼルスタイムスは、
ビジネス欄で“fresh&easy”を大きく取り上げた。
「トレーダー・ジョーとラルフをブレンドした店」
つまり、トレーダー・ジョーの
①小型
②グロサリーストア
③ヘルス志向
④ディスカウント
この4つの要素を持つ店。
同時に、このエリア地域一番シェアを有するクローガー傘下のラルフ。
オーソドックスで普通の店。
そのブレンド。
最も普通のスーパーマーケットと、
最も個性的な店の間を取って、
上手にポジションをつくったフォーマット。
これがロサンゼルスタイムスの見出しから私が読み取った内容。
実際に店を見ても、妥当な表現か。
小型のグロサリーストア。
もちろん生鮮も乳製品もデリもある。
フルラインのスーパーマーケットではあるが。
グロサリーは、 “fresh&easy”のプライベートブランドが目立つ。
圧倒的に目立つ。
そして、健康志向、環境対応。
これはトレーダー・ジョーのコンセプトに通じる。
さらにトレーダー・ジョー以上の価格競争力。
これに、低投資・低コストを付け加えると、
“fresh&easy”となる。
トレーダー・ジョーとの違いは、
第1に人件費コストが、断然低いこと。
第2に品揃えアイテムを、ぐっと絞り込んでいること。
最大の課題は、
この“fresh&easy”のプライベートブランドが、
この地の顧客から、
本当に受け入れられるかという点にある。
<この“fresh&easy”レポートはまだまだつづく、結城義晴>