薬販売の展開、急である。
CFSコーポレーションと統合を目指していた
アインファーマシーズ、
セブン&アイ・ホールディングスと提携。
アインファーマシーズは、
調剤薬局として日本最大手。
調剤最大手とは、何を意味するか。
薬剤師を最大級に抱えているということ。
今後、大衆薬(OTC)を中心とする販売において、
必ず駐在していなければならない登録販売者候補を、
大量に養成する可能性を持っているということ。
もちろん販売ノウハウや、取引先、顧客ネットワークなどに、
しっかりと基盤を持っているということ。
そのアインファーマシーズとセブン&アイが提携。
大きな出来事だ。
こちらの最後の目標は、
全国1万2000店のセブン-イレブンで、OTCを販売すること。
先日来日したコーネル大学名誉教授ジーン・ジャーマン先生は、
「日本のコンビ二は、
アメリカのドラッグストアの機能を果たしている」
こともなげに言った。
私もかねがね、そう思っていたから、
もちろん、その通り、と賛成した。
8月下旬から、登録販売者試験が、
全国で実施される。
10月まで。
その後、来年明けてから、再び試験が始まる。
そして来春から、いよいよ本格化する。
9月、10月の政府条例で細目が決定して、
薬の販売に新しい時代がやってくる。
さて、昨日は、
東京・入谷の全日食チェーン本部へ。
全日本食品㈱社長の齋藤充弘さんと対談。
商人ねっとと商人舎のコラボレーションで、
商品化が進んでいる「CDオーディオセミナー」の第2弾録音。
第一回は、ライフコーポレーション社長の岩崎高治さん。
オーソドックスな経営革新の物語で、
とても良い内容だった。
今回は、日本のボランタリーチェーンのリーダー齋藤さんと、
ボランタリーチェーンおよび商売の本質を語り合う。
全日食チェーンは、現在、加盟店が増えている。
北海道から沖縄まで1800店。
それに、全日食のシステムを活用したり、
商品供給を受けたりしている店舗が、500店。
合計で、2300店の組織となっている。
30坪や50坪の小型店から、
300坪、500坪のスーパーマーケットまで、
加盟店の店舗規模は様々だが、
中心は150坪くらい。
この加盟店をサポートするシステムが、
全日食ならではのもの。
100人のスーパーバイザーが、
週1回ほど加盟店をめぐり、
経営指導する。
ボランタリーチェーンは、
自発的連鎖店、
あるいは任意連鎖店という。
同一資本の元に、
多店舗展開されるのがレギュラーチェーン。
明確な契約の上で、
本部がビジネスパッケージや、
商品・ノウハウの供給をするのが、
フランチャイズチェーン。
これらに対して、
店舗が自由意志で協力し合うのが、
ボランタリーチェーン。
ただし全日食チェーンは、
全品供給・自前物流を貫徹している。
ミニスーパーの日本最大のボランタリーチェーン。
それが全日食チェーン。
全日本食品㈱は、
その本部機能を担う会社。
全国に15の協同組合があって、
この組合を中心にチェーン組織が出来上がっている。
全日本食品は、全国にこれも15の支社をもっていて、
チェーン運営を担う。
齋藤さんは、その全日本食品㈱のプロパー社員から
社長になった。
ボランタリーチェーンの世界では、異例の人物。
どんと肝が据わっている。
恐ろしく頭の回転が早い。
その上で、優しい。
さて対談が始まると、現在、
「全日食チェーン絶好調」であることが明らかにされた。
この7月の数字。
グロサリーの売上高、前年対比143%。
8月は150%を超えて、160%になろうとしている。
なぜか?
その秘密は、CDオーディオセミナーでどうぞ、
というところだが、ひとつだけ公開。
昨年9月から、齋藤さん、
「新商品施策」と名づけた政策を始めた。
3つの施策。
第一。死に筋。
死に筋を定義し、その商品を明確にして、
徹底的に排除する。
グロサリーは月に3個以下の売れ数、
日配品は、週に3個以下の売れ数、
生鮮食品は、日に3個以下の売れ数、
これらの商品を「死に筋」と決めて、
徹底排除した。
第二。売れ筋。
死に筋以外の商品が売れ筋。
しかし調べてみると、
この売れ筋は売場に並んでいないことが多い。
3分の1は欠品している。
この欠品を、排除した。
第三。売価。
全日食のPOSシステムは優れもので、
これを解析することで、値ごろが分かる。
ボランタリーチェーンであるから、
売価設定は加盟店に任されている。
従って、カップヌードルなど、
58円から158円まで売価が設定されている。
しかし全店のPOSデータをつぶさに見ると、
「この値段なら、お客が買ってくれる売価」が、
1アイテムごとに見えてくる。
それを全店に明示して、販売した。
あなたの店の商品、
なぜこの値段なのか。
1品1品、根拠がありますか?
以前からこの値段?
隣の店がこの値段?
イオンやイトーヨーカ堂がこの値段?
問屋やメーカーがこの値段ですと言う?
全日食では、多くのデータから、
この1品はこの値段という適正価格をはじき出した。
これが、当たった。
だから全日食の定価は、黙っていても、
確実に売れるようになった。
死に筋、売れ筋、値ごろ。
三つの政策で、グロサリーの売上高143%。
齋藤さんのお話、これだけでも十分価値があると思った。
心より、感謝。
<結城義晴>