結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2008年09月17日(水曜日)

リーマンの破綻と千葉県・茨城県の店店の顧客との「相互信頼」

リーマン・ブラザーズの米国連邦破産法11条適用で、
地球をぐるりと回った経済危機。

アメリカでは、1929年のブラックマンデーになぞらえられた。
世界大恐慌の再来かと。

負債総額6130億ドル(64兆円)で史上最大。
アメリカ証券会社第4位の経営破綻。

しかし、日本銀行、欧州中央銀行、米国連邦準備理事会が、
37兆円の資金供給をして、
世界経済破綻を食い止める策に出た。

だから日本の一般市民などには、
さして影響がないようにも見える。

実体経済に生きるものは、影響を受けにくい。

私も、ジャーナリストであるから、
いっさい、株は持たないことにしている。
だから個人的には、自分の資産への影響は全くない。

ご承知のように、リーマンの経営破綻は、
米国サブプライムローン問題に端を発する。

信用度の高いプライムローンに対して、
信用力の低い人向けの住宅ローンを、
サブ(準)プライム(優良)という。

要は、もともと信用のないものを証券化して、
そこに格付け機関が、偽りの信用を付加して、
なおかつ「安易に儲かる金融商品」としたもの。

それにリーマンも、
他の大手金融機関も乗った。

もちろん日本の金融機関や投資家も。

最初は低金利で、住宅ローンなどを貸し付け、
一定期間が来ると急激に上がる仕組み。

だからもともとサブプライムローンは、
信用の置ける「金融商品」であるはずがない。

しかし、みんなで渡れば怖くない、とばかりに、
馬鹿な金儲けに走った。

それがサブプライムローン問題。

さてここで最大の問題は、
世界で150兆ドルとも、170兆ドルともいわれる金融経済の危機が、
50兆ドルの実体経済にどのくらいの影響を及ぼすかということ。

金融経済は、貨幣経済とも言われるが、
実体経済が縮んでいるのに、
貨幣経済が膨れる。
困った現象が起こっていた。
これが、景気は悪化するのに、
物価が上がるという問題の源。

「スタグフレーション」という。

私は、貨幣経済の急膨張を、
「現代のバベルの塔」にたとえたが、
リーマンの破綻は、これに当たるのだろう。

人間が、神をも恐れず、
天に届くかというバベルの塔をつくり始めたとき、
神は、一瞬にして人間どもの言語を通じなくさせて、
バベルの塔の計画を破綻させた。

言語とは、人間の信用を築くもの。

「信用」の破綻が、人間の浅ましさを自覚させ、
大それた行いを戒める。

サブプライムローンには、そんなたとえ話が、似つかわしい。

さて、実体経済のひとつが、消費。

すなわち、世界の生活者の消費マインドに、
一部の貨幣経済破綻が、
どこまで影響を与えるか。

それが日々の商売をも左右する。

私たちの「実ビジネス」に関連するのは、この一点だ。

そして、イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊さんが言うとおり、
「自分の力の及ばないところで起こる大変化」が起こった。
それに耐えるためには、
「実ビジネス」に徹するしかない。

「原理・原則、全うせよ」である。

昨日は、千葉県・茨城県のスーパーマーケットをぐるりと視察。
そこで感じたこと。

店は本来、地域に根付いている。
どんな店も。

お客様は、ローンを組んで家やマンションを買う。
あるいは敷金・礼金を払って、住むところを借りる。

すなわち投資して、その地域で生きる。

だから自分の住んでいるところは、
本来、よくあってほしいと切望しているはず。

つまり、自分の住んでいる地域の店には、
もともと愛着を感じるものなのだ。

自分が住んでいる家から一番近い店は、
誰しも、「自分の店」と思いたい。

ところが、店の側が、
一人ひとりのお客様のその気持ちを忘れる。

自分に引き戻して考えれば、すぐに分かることを、
仕事となると、すぐに忘れる。

お客様が、自分の店と考えたい、その当の店の側が、
お客様の気持ちを否定してしまう。

お客様と店との間にあるもの、
それが相互の「信頼」であり、「信用」である。

千葉県・茨城県の店店には、
そんな可能性が、すべてにあった。
可能性は与えられていた。

可能性を、「実体経済」に変えていた店は、
少なかったが、あった。

それが、残念でもあったが、嬉しくもあった。

リーマンの破綻と、
千葉県・茨城県の店。

「相互信頼」「信用」という意味で、
つながっている。

私たちは、「実体経済」の担い手として、生きる。

それだけは変わらない。
変えてはいけない。

<結城義晴>


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.