今朝、横浜駅西口裏手で、小火騒ぎ。
ビルが密集して、
飲食店、サービス業、小売業が集積している辺り。
写真の右下が新田間川。
その左岸に屋台群。
救急車も出動して消し止め、
大事には至らず。
一安心。
新田間川縁を歩くと、
桜が七分咲きか。
こちらはのどかな風景。
遊歩道と対岸の桜。
毎年、一番先に美しく咲き乱れる。
今週末くらいが満開で、
まさに花見頃。
しかしそのウィークエンドにかけて、
「花冷え」らしい。
きれいな日本語です。
この感覚を味わえるだけで、
日本に生まれて良かったと思う。
あと何回、満開の桜と花冷えを堪能することができるのか。
私も今年、還暦です。
さて、今朝、ふと考えた。
小売流通業・サービス業の社員・従業員のこと。
社員は正社員、
従業員はパートタイマーやアルバイトを含めた人々のこと。
明治・大正・昭和の時代も、
もちろん商売は存在した。
しかし戦後間もないころまで、
ほとんどの小売りサービス企業・事業の従業員は、
若年層に絞られていた。
若年労働者を丁稚として採用し、
こき使って働かせ、
年月を経て給料が高くなると、
ほんの一握りの番頭候補だけ残して、
退職させてしまう。
首を切る。
あるいは辞めていく。
それが会社や店の収益を確保する手段だった。
経営者や店主だけは太っていった。
つまり収益性が低いうえに、
経営者のモラルも低い。
それが大半の小売商業・サービス業だった。
商業界の倉本長治、
ペガサスクラブの渥美俊一、
多くの経営指導家は、
この状態からの脱出を提唱した。
商業の近代化はそれを志向した。
大卒を採用し、教育・訓練を施し、
高齢者にもポストを用意し、
キャリアを積ませ、
そんな高齢者が定年を迎えると、
退職金を支払う。
団塊の世代が定年を迎え、
しかも彼らの自らのスキルで、
定年後も働くことができるようになった。
これは商業近代化の成果である。
だから現在の企業群を見渡して、
若年層の社員・従業員しかいない会社があるとしたら、
それはいまだ、前近代的なものだと考えてよい。
経営者一族だけが、
懐にため込んで、
若年労働者たちから搾取している。
サービス残業も当たり前。
労働基準法をはじめとする法律や労働組合の存在の意義は、
この悪徳資本家然とした経営者を駆逐することにある。
私は「商業・サービス業の現代化」を標榜している。
近代化を「モダン」といい、
現代化は「ポスト・モダン」と称する。
現代化はしたがって、
近代化が果たされた後の、
いわば理想郷の世界を目指す。
私の中学高校の友人たちも、
今年、還暦を迎える。
一流企業の役職員や公務員として、
60歳まで働いた。
しかし彼らの多くは、
いま、新しいことを一から始めて、
わずかな収入を得ようとしている。
小売り・サービス業のスキルを持つ人たちの方が、
定年後の仕事の範囲は格段に広い。
かつての番頭さんと丁稚どんの時代と比べると、
隔世の観あり。
倉本長治先生、岡田徹先生、新保民八先生、
川崎進一先生、渥美俊一先生、
さらに多くの先生たちに、
心から感謝しつつ、
あらためて商業現代化への志を固めたい。
桜の季節。
還暦を迎える結城義晴、
物思いにふける。
さて、商人舎ホームページ巻頭テロップの『流通ニュース』。
アクセス数は絶好調の伸びで、
小売流通・サービス業界トップ。
その流通ニュースの昨日の年度末決算発表の見出し。
まず、セブン&アイホールディングス。
セブン&アイ/2月期は売上高6.5%減、営業利益2割増の2920億円
イトーヨーカ堂/2月期は売上高0.9%減、営業利益5.8倍
セブン-イレブン/2月期は売上高4.9%増、営業利益8.3%増
そごう・西武/2月期は売上高1.9%減、営業利益51.1%増
イオンモール/2月期は売上高4.0%増、営業利益2.5%増
ヨークベニマル/2月期は売上高1.5%増、営業利益68.5%増
セブン&アイ・フード/2月期は売上高1.8%減、営業利益2200万円
イオンのグループ企業の2月期決算。
マックスバリュ西日本/2月期は売上高4.4%増、営業利益4.9%減
イオン九州/2月期は売上高2.2%減、営業利益2.4%増
マックスバリュ九州/2月期は売上高6.1%増、営業利益7.9%増
CFS/2月期は売上高12.2%減、営業利益3.5%減
イオンクレジット/2月期は売上高0.4%増、営業利益17.2%増
マックスバリュ東北/2月期は売上高1.2%増、営業利益25.8%増
サンデー/2月期は売上高8.2%増、営業利益4.8倍
そして、ファッション専門店の雄。
しまむら/2月期は売上高6.0%増、営業利益10.3%増
見出しだけでも、有益だ。
是非とも『流通ニュース』を、
ご愛読いただきたい。
先日、㈱伊藤園副社長の本庄周介さんと話した。
本庄さんは『流通ニュース』を絶賛してくれていて、
社員にも愛読を薦めているとか。
今朝の日経新聞にも決算情報。
『決算 深読み』の見出し。
「セブン&アイ、5期ぶり
経常益最高前期2931億円
スーパー・百貨店が復調 構造改革の成果じわり」
事業別業態別の営業利益は、
「スーパーと百貨店の復調が鮮明」。
もういい加減に、日経にも業態を理解してもらいたいところだ。
「スーパー」と表現されているが、
ここには「総合スーパー」と「食料品スーパー」が包含されている。
「総合スーパー」「食料品スーパー」は経済産業省の業態用語。
国際的な専門用語は前者を「ハイパーマーケット」、
後者を「スーパーマーケット」と区別し、
荒井伸也さんが指摘した社会的機能の違いが、
明確に認識されている。
「スーパー」が良かったといっても、
食品が好調だったのか、
衣料品・住関連品が復調したのかは、
全く分からない。
「スーパーマーケットが好調」ならば、
「ああ、食生活関連分野が堅調なんだ」とわかる。
「ハイパーマーケットが復調」ならば、
「生活全般に大衆品が伸びつつあるんだ」と理解できる。
食品は好調なのに、衣料品が絶不調で、
全体で低調だった場合、
「スーパー」は不調となってしまう。
例えば、数年前のように、
ヨークベニマルやヨークマートがまあまあ、
イトーヨーカ堂が落ち込んだ結果として、
セブン&アイの「スーパーは不調」と、
一括されてしまうことがある。
これはおかしい。
業態概念でものを書いてほしいものだ。
さて記事にもどって、
「コンビニの10%増(2146億円)に対して、
スーパーは2.1倍の324億円、
百貨店は77%増の99億円と伸びが目立った」
「イトーヨーカ堂の営業利益は5倍の105億円」。
だからヨークベニマルとヨークマートを合わせると、
営業利益219億円ということになる。
イトーヨーカ堂は「キャッシュバックセール」などを止めた。
これで年間50億円以上が浮いた。
粗利益率が29.7%になった。
0.6ポイントの改善。
「そごう・西武」は営業利益111億円、51%増。
結果、フリーキャッシュフローは1200億円。
これは新規出店や改装に投資される。
日経の決算関連記事の二つ目は、
「イオンモール、経常益最高
前期390億円 既存SC堅調」
さらに「ABCマート、
経常益最高前期8期連続」
売上高は11%増の約1410億円。
前期末の店舗数は13%増の650。
売上高総利益率は微減の57%台半ば。
そして「しまむら、前期3期連続で
純利益最高 PB商品伸びる」
前期の売上高(営業収入を含む)は6%増の4673億円。
営業利益は10%増の439億円。
純利益が前期比7%増の252億円。
全店舗数は2月末時点で1742。
新規出店数は台湾の4店を含めて73店。
しまむらの最近の大変身は、
プライベートブランドの売上高比率が、
45%まで高まっていること。
これは前期比約4ポイントの上昇。
ユニクロは100%プライベートブランドで、
しまむらは仕入れ商品。
この対比が鮮明だったが、
しまむらも45%に伸びてきて、
今年度には5割を超えそうだ。
セブン&アイ、イオン、しまむら、ABCマート。
その過去最高の決算。
そして社員・従業員の採用・教育・待遇改善と、
収益性の上昇。
どれも商業近代化から現代化への必須条件だ。
いまだ前近代の会社もあるけれど、
そんな会社に我が物顔させて、
のさばらせておいてはいけない。
そして万一、そんな会社を継いだり、
そんな会社に入ってしまった人は、
まず謙虚に、近代化を志向してほしい。
桜の季節の、
私の思い。
<結城義晴>