結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年04月13日(金曜日)

ユニクロ郊外店売場2倍化と居酒屋新フォーマットのライフサイクル革新

大騒ぎした「北朝鮮ミサイル」が失敗。

「人工衛星」と自称する「長距離弾道ミサイル」。
発射後1分余りで空中爆発、洋上落下のオソマツ。

まずは、一安心。
横浜は、そんな騒ぎもよそに、
いたって、のどか。

商人舎近くの新田間川の「散り際の桜」。
20120413163738.jpg

遊歩道に桜の花びらの斑点。
20120413163751.jpg
桜を踏んでオフィスへ。
これもなかなかのもの。

桜の枝には、緑の葉がちらほら。
20120413163802.jpg

対岸の見事な桜も、葉桜に。
20120413163814.jpg
ああ、これから新緑の季節がやってくる。
それもまたよし。

今朝の新聞各紙でちょっと、驚いた。
朝日新聞の看板コラム『天声人語』
読売新聞の巻頭コラム『編集手帳』
完全にカブッた。

与謝野晶子の「みだれ髪」から一首。
〈清水へ祇園をよぎる桜月夜
こよひ逢ふ人みなうつくしき〉

どちらも冒頭にこの歌を使って、
京都・祇園の軽ワゴン車暴走事件を取り上げた。

歩行者7人が死亡、11人が重軽傷。

北朝鮮の「ミサイル」は、
暴走しなくてよかったが、
祇園事件は、ふたつのコラムがこれまた、
車を走る「凶器」とカブって表記。

「突然の凶器」は、
いずれにしても御免被りたい。

突然だが、「生知安行」という言葉を思った。
儒教の「四書」のひとつ『中庸』から。
「生まれながらに知り、安んじてこれを行う」

「生まれながらにして人の踏み行うべき道をよく知り、
考えることなく心のままにそれを行うこと」
三省堂新明解四字熟語辞典にある。

いわば、聖人の境地だが、これは、
ピーター・ドラッカーに通じる。
「マネジャーとして、始めから、
身に着けていなければならない資質が、
ひとつだけある。
才能ではない。
真摯さである」

「始めから身に着けていること」が、
「生知」であり、
「真摯さ(integrity)」は、
「心のままに行うこと」となる。

さて、先週から始めたメッセージ。
「facebookで友達になろう」
「知識商人の輪を広げよう」

結城義晴のフェイスブック
グランドオープン!

意外な人と「友達」になることができた。
本当によかった。

これからも、よろしく。

さて日経新聞にテーマが共通する記事が2本。
第1は、「ユニクロ、郊外店の面積倍に」
現在の標準的な郊外店舗は1000㎡弱。
その2倍の約1700㎡の店舗を、
年間に50店開発。

一部は、3000~3300㎡規模。
つまり1000坪スケール。
これで年商30億~50億円。

「3年後には都市部も含めた大型店全体の数が
現在の約2倍にあたる約300店まで増える」

今年3月オープンの基幹店・銀座店は約5000㎡。
ニューヨークでもロンドンでも、パリや上海でも、
都心部の大型店は大成功。

それを郊外に展開する。

理由は郊外店の老朽化。
この店舗大型化には、
新しいフォーマットづくりの意味がある。

故渥美俊一先生が語っていた。
「店舗の大型化は、
現在の標準店の
2.8倍まで。
それ以上にすると失敗する」

これは渥美先生の「経験法則」。
ユニクロの郊外店の2倍化。
渥美経験法則に合致している。

第2は、「居酒屋離れで変身中」
居酒屋チェーンが「新型店の出店強化」を進めている。
居酒屋市場のピークは、1992年の約1兆4600億円。
その後、減少が続き、2010年に9949億円。

記事には、従来型店舗の限界が指摘される。
それは「和食や洋食、中華などを総花的に提供する」店。

ワタミは路面店の居酒屋「和み亭」を、
ファミレスの「饗(きょう)の屋」に転換。

とは言っても、和み亭は現在、首都圏で11店。
このうち都内の3店を売上高前年比5~10%増の「饗の屋」に変える。

つぼ八は3月、パスタ店「ネオジパング」の1号店を開業。
「5分以内に12種類程度のパスタを提供」
「最低価格が500円という値ごろ感」
こちらも何でも総合居酒屋から低価格パスタ店への転換。

「甘太郎」のコロワイドは、
カフェレストラン「ケーキ&パスタ シルスマリア」開設。

コロワイドは2000年代前半に、
居酒屋業態のマルチ・フォーマット化を志向した。
それが現在、何と全部で70ほど。
そのうちの約6割が居酒屋。

これは、ちょいと厄介だが、
その整理とともに新フォーマットの展開に走る。

三光マーケティングフーズは、
低価格居酒屋「金の蔵ジュニア」を運営している。
こちらもすでにこのブログで紹介したが、
牛丼店「東京チカラめし」を、
今年末までに約40店出店。

外食業の方が小売業よりも、
業態やフォーマットのライフサイクルが短い。
これは明らかな現象。

だから必然的に、マルチ・フォーマット化が進む。
行き過ぎるとそれは、収益性を悪化させる。
コロワイドの70フォーマットは、
それにしてもちょっと激しすぎる。

ユニクロも居酒屋チェーンも、
自らのフォーマットの転換期を迎えている。

ここに求められているのは、
ライフサイクル・イノベーションそのものだ。

カジュアル・ファッションと居酒屋。
問題はそのライフサイクルを、
見通す力ということになる。

売上げが下がってきたから、
ライフサイクルの衰退期に入ったと、
認知するのでは遅い。

業態やフォーマットの、
ライフサイクルそのものへの自覚が必要だ。

ウォルマートのサム・ウォルトンは、
1945年にベンフランクリンのフランチャイズチェーンに加盟し、
1962年、自ら新業態「ウォルマート」を開発する。

その後も、1982年「サムズ・クラブ」、
1988年「スーパーセンター」と、
新フォーマットを実験準備する。

このあたり、
まるで「生知安行」の如く見えるが、
そうではない。
失敗の経験の連続が、
下地にある。

やはりサムも、
柳井正さんの『一勝九敗』が底辺にあるし、
『成功は一日で捨て去れ』の自覚もあった。

ライフサイクル概念に対する「生知安行」があるからこそ、
「成功は一日で捨て去れ」となるのかもしれない。

<結城義晴>

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.