ちょっと驚いたニュース。
「そごう水島元会長、100歳の祝い」
「あっと、まだ生きてらっしゃったのか」
そんな感じ。
長寿そのものは、
極めてめでたいことだけれど。
百貨店そごうの元会長・水島広雄さん。
1912年生まれで、
4月15日に100歳の誕生日を迎えた。
日本興業銀行から、そごうの社長・会長へ。
2000年段階で、日本最大の百貨店グループを構築。
しかし当時、負債は戦後6番目の1兆8700億円となり、
民事再生法の適用申請。
水島そごうの「成長戦略」は、
結果として見れば、「膨張戦略」だった。
だから破綻した。
昨日、水島さんは車いすで会場に登場。
「百歳はあっという間だった」とコメント。
このコメントはすごい。
こうでなければいけない。
この一瞬の積み重ねこそ
君という商人の全生涯
<故倉本長治>
だからこそ百歳も、
あっという間だったに違いない。
しかし水島そごう「膨張理論」は、
破綻した。
ああ、100歳まで生きたんだ。
他を圧する生命力。
敬服。
一方、日経新聞は朝刊一面トップに、
「総人口、最大の25.9万人減」の記事。
2011年10月1日時点の日本の推計人口。
総務省恒例の調査発表、
総人口は1億2779万9000人。
ただし1年間に25万9000人のマイナス。
減少数は1950年以降の統計で最大。
65歳以上の老年人口は過去最高の23.3%に到達。
そごう水島さんも、老年人口の中の一人。
減少数は過去最大だが、
外国人の国外転出も過去最高を記録。
東日本大震災と福島原発事故の影響。
日本は2005年、戦後初の人口減少に見舞われた。
分かっていたことだが、ショックは大きかった。
その後、2007年以降、人口の自然減が定着。
今や、「少子高齢化」はニッポンの常識。
昨年の人口の最大の減少は、
第1に出生率の低下と高齢化、
第2に震災と原発事故による人口流出。
今年、来年と、少なくとも、
第2の原因は、なくなる。
だからこんなに急激な人口減少は、
起こらない。
都道府県のなかでは、
福島県の人口減少率が第1位で、
1.93%。
これは都道府県別の過去最大落ち込み幅。
人口減少率第2位は岩手県、
宮城県が第4位。
東日本大震災で被災した3県の人口減少が著しい。
一方、年号別にみると、
「平成生まれ」が20.5%。
初めて総人口のと2割を超えた。
しかしやはり全国的に、
「老年人口」が「年少人口」を上回る。
「老年」は65歳以上、「年少」は0~14歳。
年少人口が老年人口を上回る若い県は、
なんと沖縄のみ。
そして75歳以上の「後期高齢者人口」が、
年少人口を上回るのは47都道府県中24道県。
老年人口が多いとは、
日本が長寿国という意味だ。
これは考え方によっては、
日本国の長所。
私はこの長所を生かしつつ、
出生率を上げ、なおかつ、
日本独自の移民制度を創造すべきと考えている。
20世紀にアメリカ合衆国が世界をリードしたのは、
イノベーティブな移民制度が確立されたからだ。
日本はその時代のアメリカとは異なる移民制度を模索し、
創造すべきだ。
小売流通業をみると、
まず伊藤雅俊さんが存命だ。
イトーヨーカ堂創業者・セブン&アイ・ホールディングス名誉会長。
岡田卓也さんもお元気。
イオン名誉会長相談役。
清水信次さんはいまだ現役。
ライフコーポレーション会長、日本チェーンストア協会会長。
そのうえ清水さんは生団連を立ち上げ、その会長。
商人舎最高顧問の杉山昭次郎先生は85歳。
昭和2年生まれで、昭次郎。
壽里茂先生は86歳。
私の大学の恩師・早稲田大学名誉教授。
そして私の両親・結城義登・ヨシ子も、
揃って、今年、86歳。
私は日本が長寿国であることを、
心から喜んでいるし、
身近に長寿者が多いことを誇りにしている。
そのうえで、この高齢者の知恵と力をいただきつつ、
人口の維持・増加を図りたい。
今年の人口統計が発表されたからこそ、
そのことを強く心にとめ、意思を確認したい。
去年(こぞ)今年貫く棒の如きもの
<高浜虚子 昭和25年作>
東日本大震災の去年の2011年、
そして人口減少率過去最高が発表された今年2012年。
「貫く棒の如きもの」を、
私たちは共有しなければならない。
<結城義晴>