結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年09月26日(月曜日)

「重厚長大の経団連」に対して「軽薄短小の生団連」設立に向けて、思うこと

Everybody! Good Monday!
[vol39]

2011年第39週、
9月最終の第5週。
週末の土曜日から10月に入る。

9月の商人舎標語は、
「疾走せよ、疾駆せよ」

はたして私は、
「疾走、疾駆」できただろうか。

そしてあなたは、
「疾走、疾駆」できただろうか。

「疾走、疾駆」という言葉を使う時、
いつも思い出すのが、
故人ではあるが渥美俊一先生。

そして渥美の盟友・中内功ダイエー創業者。

昭和63年(1988年)3月1日発刊のロングセラー。
『商業経営の精神と技術』は、
㈱商業界創立40周年を記念して、
渥美俊一語り下ろしで発刊された本だが、
(ゴーストライター結城義晴初の書き下ろし本だった)
その「あとがき」の最後に渥美は書いている。

「素晴らしい仲間はいっぱいいる。
ちょっと先を疾駆している同志も決して少数ではない」

ここで「疾駆」という言葉が使われるが、
その「ちょっと先を疾駆している同志」の先頭に、
中内功がいたことは間違いない。

その後、「あとがき」はこう結ばれる。
「一緒に、走り出そう。
懸命に攀じ登ってゆこう。
私たちは志の高い商人を、
精一杯応援すべく、
年中無休で研究し、
その成果の普及に努力の限りを尽くしている。
まず名乗りを上げ給え」

私も、商人舎も、
この宣言と志を同じくするものだ。
「年中無休」の志は、
[毎日更新宣言]に受け継がれている。

そんな思いを込めて、
「疾走せよ、疾駆せよ」

その9月の疾走、疾駆は、
10月に引き継がれることとなる。

その節目が、
9月から10月にバトンタッチされる今週だ。

私は、明日9月27日から10月3日まで、
テキサス州と北カリフォルニア州を巡る。
怒涛の10月がはじまる。

さて、仮称「国民生活産業消費者団体連合会」
設立への動きが急ピッチで進んでいる。
流通業界の大同団結を目指す「新経済団体」。

「日本経済団体連合会」を略して、
「経団連」という。
対して、「国民生活産業消費者団体連合会」は、
「生団連」と呼ぼう。
いい名称です。

命名は、この「生団連」の旗振り役・清水信次さん。
日本チェーンストア協会会長にして、
日本スーパーマーケット協会名誉会長、
社団法人新日本スーパーマーケット協会名誉会長などなど…、
そして㈱ライフコーポレーション会長。

1946年8月、まず「経済団体連合会(経団連)」が誕生。
自由主義経済の維持・活性化を通じて、
日本経済の再建・復興を図ることを目的としていた。

一方、1948年4月、
「日本経営者団体連盟(日経連)」が発足。
こちらは「経営者よ 正しく強かれ」をスローガンに、
適正な労使関係の確立を目的とした。

しかし日本経済が飛躍的な発展を遂げると同時に、
経済問題と労働問題は密接不可分の課題となってきた。
そこで、2002年5月28日、
経団連と日経連が統合。
新たな総合経済団体として「日本経済団体連合会」が発足。

この経団連は、会員数1603社・団体等。
わが国を代表する企業1281社、
製造業やサービス業等の主要な業種別全国団体127団体、
地方別経済団体47団体などから構成。

なお、日本には「経済三団体」があって、
1928年4月10日成立した「日本商工会議所」が一番古く、
次が、1946年4月30日設立の公益社団法人経済同友会」。
三番目が「経団連」で、それが「日経連」と合併して、
日本を代表する経済団体となった。

この経団連に対して、生団連は、
小売流通業の業界団体が大結集し、
消費財メーカーの団体や企業などと連携。
消費者の視点に立った政策を提言する。

日本小売業協会、
日本チェーンストア協会、
日本百貨店協会、
日本スーパーマーケット協会、
新日本スーパーマーケット協会、
日本フランチャイズチェーン協会などなど、
数多くの小売業の協会・団体が加盟し、
さらに消費財製造業、消費財卸売業のほか、
主婦連合会など消費者団体にも参加を呼びかけている。

ちょっと古い言い回しだが、
経団連が「重厚長大」ならば、
生団連は「軽薄短小」である。

今朝の日経MJのコラム『底流を読む』で、
編集委員の田中陽さんが、
「どちらを向くのか流通新団体」と題して書いている。

9月30日に、「世話人会を開き、
12月2日に設立総会の開催を予定している」

設立趣意書。

「経団連や商工会議所をはじめとして、
業種業態に対応した団体は多数存在するが、
残念ながら1億2600万人の生活、生命を守るための組織団体は
いまだに存在していない」

四国・徳島のキョーエイに、
故倉本長治が贈った言葉が思い出される。
「市民生活を守る砦たれ」

「政府、行政の政策運営に対し、
一致団結して我々の考えを、
十二分に反映させるだけの発言力、意見具申提案、
そして実行力が必要であります」
趣意書はこう宣言する。

田中さんは、この団体の課題を分析する。
第1に「大手資本中心の組織もあれば、
商店街組織や中小スーパーを束ねる団体もある。
利害関係は複雑だ」

第2に、「国に強いメッセージを届ける有力なコンテンツ」が乏しい。

そこで田中さんの提案。
「ならば発想を逆にして、
消費者へ情報発信すればどうだろう」
「新団体が有益な情報を消費者に提供する」

それももちろん、貴重なことだと思う。

しかし、偉そうなことを言うようだが、
私は、思う。

大企業から中小・零細企業、
そして消費者までの大同団結こそ、
「生団連の意義」である。

経団連が、「重厚長大」の大企業中心だとすれば、
生団連は、「軽薄短小」の超特大企業から中小企業まで。

これこそ21世紀的な「存在価値」を意味する。

商業・サービス業は、
大動脈・大静脈もあれば、毛細血管もある。
自然界の森のように、大木と雑草が共生する。

その人体や大自然の森のような産業を代表する団体。
これこそ経団連の存在を認めつつ、
対極の軸を形成する「生団連」の役割だと思う。

そのためには「オクシモロン」の考え方が必須となる。

もちろん初めから政府、行政に、
物申したり、具申提案したりは、難しい。

ここで二人の賢者の見解。
一人は中部大学教授の武田邦彦先生。
「衰退していく業界の特徴」

第1は、業界が団結していない状態。

第2は、業界が、
正しいことをしていると思い込んでいる状態。

第3は、「多様化しない業界は潰れる」

そして第4が、業界や企業が、
「先手を打って社会に出ていかない状態」。

「生団連」は、多様な企業や団体が団結をし、
先手を打って社会に出ていこうとするものだ。

「正しいことをしていると思い込んでいる」としたら、
ここがちょっと危険というか、大集合に黄色ランプがともる。

本当に難しいことだけれど、
「売り手良し、買い手良し、世間良し」を、
暗中模索、試行錯誤、行きつ戻りつで、
議論し、調整し、妥協し、協力して、
導き出さねばならない。

その方法は、もう一人のピーター・ドラッカー先生。
「第1に、理想を求め、
第2に、手持ちの道具で、
第3に、ケースバイケース。
第4位、一歩一歩」

「生団連」の疾走、疾駆に期待しよう。

ではみなさん、
今週も。

Good Monday!

<結城義晴>


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