「木を見て森を見ず」の国際感覚欠乏とイオン、西友のNB値下げ作戦
商人舎ホームページの人気ブログ。
「中山政男が叱る!! 間違いだらけのPOP」
連載の最終回を迎えた。
中山先生は、
押しも押されもしない日本のPOP広告指導の第一人者。
POP広告に対する40数年の経験と実績がある。
何よりも、誰よりも、
POPに対する深い「愛」がある。
だから中山先生の観察や分析・指摘には、
いちいち納得されられ、感心させられる。
連載のご愛読を、心から感謝したい。
朝日新聞のコラム『経済気象台』。
私の好きなコラムニスト昴氏。
「消費増税関連法案の衆院通過に
ワシントン、ウォール街の友人たちは
『やったな』と半ばうらやましげに言う」
世界経済の低迷と信用不安の元凶を生み出しているのは、
「各国の膨大な財政赤字」。
「一刻も早く財政立て直しに踏み出した国が
一歩抜きんでる」
だから日本の「決められる政治」に、
『やったな』となる。
「党のマニフェスト違反を批判」するグループに対して、
コラムニストは、「木を見て森を見ず」と切り捨てる。
「世界の中の日本という国際感覚に
乏しいことを暴露したに過ぎない」
これも痛快な言い回しだ。
もうひとつ、日経新聞には、
「イオン、1000品値下げ」の見出し。
記事にはイオンのほか、西友、イトーヨーカ堂、
さらにダイエーのビッグA、ピーコックストアの情報が入っている。
しかし大見出しは「イオン値下げ」の方が目を引く。
まずイオンは、今日28日から、
総合スーパー「イオン」などで
ナショナルブランドの価格を、
従来より最大約3割引き下げる。
食品500品目、衣料品50品目、住居関連品450品目、
トータルで1000品目。
2009年3月の3400品目値下げ以来。
記事では、値下げ原資は、
物流費の圧縮分に求められる、とされている。
「自前の配送車両が
メーカーの工場まで出向いて商品を引き取るなど」
西友はすでに今月14日から、
加工食品など500品目を3~26%値下げしている。
こちらも、コスト削減分を値下げ原資とする。
私の言う「利は内にあり(経費削減説)」だが、
西友も店舗や物流センターの作業効率化を図って対処する。
しかしこれは、それこそ徹底しなければ成果は出ない。
徹底とは、「細かく、厳しく、しつこく」
西友は今年末までに対象を約1400品目に広げる。
西友はしつこくなってはいる。
一方、イトーヨーカ堂は、
「競合の動きに応じて個別店舗ごとに対応する」
ダイエーは子会社のボックスストア「ビッグ・エー」を
16年度までに4割増の250店に拡大。
一般の店舗より20~25%安く販売しているが、
これは今回の趣旨とは異なる。
もう一つ、J・フロントリテイリング傘下のピーコックストア。
スーパーマーケット83店を運営。
今年度から低価格店「ピーマート」を本格展開する。
現在2店、12年度中に4店を業態転換、
13年度は新規出店もスタート。
水を差すつもりは毛頭ないが、私は、
百貨店系の高級スーパーマーケット企業が、
ディスカウント型の店舗を展開するのは、
「おやめなさい」と言っている。
消費税増税で、
国民の価格コンシャスは高まる。
しかし、だからと言って、
社風に合わないディスカウント・フォーマットをやってみるのは、
流通業の歴史が示す間違いだ。
もちろん唯一の成功がある。
アメリカのデイトンハドソン百貨店が始めたターゲット。
しかし同社は今では、社名をターゲットと改め、
ウォルマートに対抗するチェーンストアを構築している。
そこまでやれるか?
私はいつも、そう、問う。
さて昨日は横浜の実家に行って、
母に会ってきた。
商人舎オフィスから歩いて10分足らず。
なのに両親の元を訪れる機会は多くはない。
今年揃って87歳を迎える。
来年はともに米寿。
反省しつつ、できるだけ顔を見にゆく。
全体にぐっとこじんまりしてきた母の体、
なのに手だけずいぶん大きくて、
びっくりした。
帰りに、私が卒業した横浜市立宮谷小学校に立ち寄った。
「夢と勇気と知恵を育む宮谷小学校」と、
スローガンが掲げられていた。
放課後の校庭では、
子供たちが遊んでいた。
校舎の外壁には、
創立100周年記念壁画。
コンクリートの鼠色に、
児童の絵の水色が映えていた。
会社に戻ると、
猪股信吾さんが来ていた。
猪股さんは立教大学大学院を修了した修士。
結城ゼミ2期生で、修士論文のタイトルは、
「インターネット空間における小売引力モデルの研究
~検索エンジンがもたらしたオンライン商圏」
とても優れた論文で、
立教大学紀要論文集に採用された。
その猪股さんは、
売れっ子のWEBコンサルタント。
ご用命の向きは、商人舎まで。
今日は、滋賀県彦根市へ。
頑張ります。
<結城義晴>
2 件のコメント
先生の言うとおり、百貨店系のDSは、お客様を失望させるだけです。百貨店系のスーパーのお客様は、やはり、所得も高くそれなりのポリシーを持ったお客様。しかし、DSへの業態変更は、気がつけば本来のお客さまとは違った層がお客様になり、従来のお客様は逃げ出してしまいます。買い物は、ただ買えばいいというものではなく、そこには買う側の「たのしみ」や「ゆめ」が広がっているのです。だから、少しでもその雰囲気のあるアッパーの店舗へと心は動きます。その傾向は所得が高くなればなるほど強いのです。関西のPマートは、結局本来のお客様を逃がしてしまった典型だと思います。なぜ、それを推し進めるのかが、不思議です。
inoueさま、ご投稿感謝。
廃物利用型店舗は、
長続きしません。
それを新店でやろうとしたら、
もっと痛い目に遭います。
アメリカでも1980年代に、
フードラック、フードバーンというフォーマットが登場しました。
すぐに消えてなくなりました。
、