新日本スーパーマーケット協会第1回全国大会の「無戸籍論」と「脱職人気質」
新ブログが登場しました。 「スーパーマーケットの省エネ環境戦略」
広島市の環境コンサルタント森下兼年氏が
省エネ法や食品リサイクル法、温暖化対策に関する情報を発信していきます。
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木村拓哉主演の「ヒーロー」というテレビドラマ。
正義感の強い検事像が描かれて人気で、映画にもなったが、
大阪の特捜検事の逮捕はそれを覆した。
狭い狭い検事村。
そこでは自供を引き出す「割り屋」が腕利きと称される。
刑事がホシを自供させることを「落とす」といい、
その名人を「落とし屋」というのに対して、
検事の方は「割り屋」。
しかし「何屋」と呼ばれる者、
特殊な存在、職人となりやすい。
本来の「職人気質」は、
あくまでも己の技術を追求するというもので、
これはよろしいのだが、
小売業、特にスーパーマーケットで、
自分の技術に固執するあまり、
近代化を阻む存在があった。
日本のスーパーマーケットはこの「職人問題」を解決して、
見事、近代化を果たしたが、
「特捜検事の割り屋」には、
この悪い意味での「職人化」が感じられる。
閉鎖的な世界。
閉鎖的な心理。
閉鎖的な仕事ぶり。
そこに悪しき職人体質が蔓延する。
そして悪しき職人世界には、
不正がはびこりやすい。
編集という仕事にも、
実はこの職人問題がある。
私は、30年間、編集の現場に身を置いてきた。
そして一貫して、「チームワーク」を重視してきた。
現在、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科では、
結城ゼミで6人の院生を指導しているが、
「合宿主義」だし、そのうえで「チームワーク主義」。
ここで言う「チームワーク主義」は、
「悪しき職人気質」の正反対の概念。
「検察庁の信頼と権威の失墜」を新聞は書く。
「自浄を進めよ」と訴える。
しかし「検察村の職人気質」を廃しない限り、
こんな問題はなくならないに違いない。
恐ろしいことだが。
これまで、こういった問題が、
表に出なかっただけなのだから。
日本の不正は「カビ型」といわれる。
欧米の場合は「虫型」。
カビ型にはびこる「悪しき職人化」。
カビ型は、全体のマネジメント体制を改革するしか、
解決の方法はない。
さて9月1日から新名称となった
社団法人新日本スーパーマーケット協会。
その第1回全国大会東京大会が、
ザ・プリンスパークタワー東京コンベンションホールで開催された。
全国スーパーマーケット協会と日本セルフ・サービス協会、
両社団法人の合併から1年。
さらに新名称となってから最初の今大会には、
正会員、賛助会員の2000人ほどが参集し、
広い会場は参加者で埋め尽くされた。
第一部が式典、第二部が記念講演会、第三部が懇親会の構成。
式典の冒頭は、協会会長の横山清さん。
㈱アークス社長。
主催者を代表して開会のご挨拶。
「この日を迎え、胸が熱くなった」と開口。
「出店をすれば売上げが上がる時代は終わった。
少子高齢化でマーケットはこれまでのように大きくはならない」
現在のスーパーマーケット産業のおかれている状況を分析。
「暮らしを支えるインフラ産業としてスーパーマーケットが戸籍をもつ。
そのためにも、450社を超える正会員、750社の賛助会員とともに、
新日本スーパーマーケット協会が果たしていく役割は大きい」
横山さんの「スーパーマーケット無戸籍論」。
スーパーマーケット・トレードショーを東アジアを中心とした世界最大のフェアにしていくこと。
各種検定試験や、コーネルRMPジャパンをはじめとする積極的な教育支援活動。
スーパーマーケット三団体による販売統計調査とデータ蓄積による社会的責任。
これら一つひとつの活動を積み重ねるとともに、各協会と連携しながら、
「食の経団連、ソフト経団連」としての役割を担っていきたいと決意を語った。
続いて清水信次名誉会長が挨拶。
「われわれ小売業は年中無休で日常の暮らしに貢献しているが、
重厚長大産業に比して冷遇されている。
各協会団体があるが、小異を捨て大同につき、
流通産業連合体として、消費者代表と力を合わせつつ、
産業の発展に寄与していかなければならない」
「そのためにも、国政に代表者送りこむ必要がある」
戦中・戦後の話を交えた、清水さんらしいご挨拶だった。
声は朗々と張りがあり、今なお、いや、ますますお元気。
その後、経済産業省、農林水産省の挨拶につづき、
㈱シジシージャパン CGCグループ代表の堀内淳弘さんが来賓のご挨拶。
「ダイエー創業者の故中内功さんが、
『日本スーパーマーケット協会』の設立を通産省(当時)に働きかけたが、
かなわなかった。
その意志を継いでくれといわれて、
『全国スーパーマーケット協会』が誕生した。
昨年、セルフ・サービス協会との合併を果たし、
ひとつの協会が誕生したが、
すべて横山会長なくしては実現しなかった」
新協会の常任理事のお披露目のあと、
常任理事の中村洋子さんが「大会宣言」を発表。
式典の中盤は
「第1回SMTSグッドデザインブースアワード2010」表彰式。
大賞は㈱寺岡精工。寺岡和治社長が栄えある第1回大賞を受賞。
特別賞は(社)北海道商工会議所連合会。
続いて食品表示管理士検定上級合格者の認定証の授与式。
㈱いかりスーパーマーケット営業本部の三角進弥さんと、
㈱サンベルクス営業企画部の高松冴子さんが代表して登壇。
上級合格者はわずか39名の狭き門。
栄えある授与式にお二人とも嬉しそう。
そして来年9月開催にされる第2回大会は札幌。
ホスト地区を代表して、
北海道スーパーマーケット協会会長の桐生康夫さんが
参加呼びかけを行い、式典はクライマックスを迎えた。
式典の最後を飾ったのは、鈴木織衛指揮、
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団による、
スクリーンミュージックの演奏。
懐かしの映画音楽全6曲の生演奏には、盛大な拍手が送られた。
盛りだくさんの式典だった。
第二部の記念講演会は、
武庫川女子大学国際健康開発研究所所長の
家森幸男さんが世界25カ国で調査した成果を発表しながら、
「食で培う健康・長寿」と題して講演。
食品産業に携わる者にとって貴重な資料と提言をいただいた内容だった。
第3部は懇親会。
この項は明日につづく。
「職人問題」を解決し、近代化を果たした日本のスーパーマーケット産業。
産業としての戸籍を獲得し、「現代化」へ突き進む。
その意味でも貴重な新日本スーパーマーケット協会の第1回全国大会だった。
<結城義晴>
1 件のコメント
こんにちわ。
新日本スーパーマーケット協会の事を調べていて、たどり着きましたが、
>日本の不正は「カビ型」といわれる。
>欧米の場合は「虫型」。
>カビ型にはびこる「悪しき職人化」。
>カビ型は、全体のマネジメント体制を改革するしか、
>解決の方法はない。
の記述について、概要を詳しく知りたく思い、コメントいたします。
当然のことながら、検索は一通り試しておりますが、お手上げ状態です。
不正の仕組みが、欧米と日本で違うのなら、
欧米モデル(コミュニティー・民主主義・議会システム・行政官僚システム・会社組織)を単純に適用しても、うまく機能しないのは、ある意味当然であり、
「カビ型」「虫型」のモデルを学ぶことで、
現在の日本における「ゴタゴタぶり」を解決するヒントになる気がしてならないのです。
ぜひ、この事の解説と、解決事例を交えたコラムの掲載を期待します。