ジジとオランジェリー[2010日曜版vol43]
ヨコハマも秋まっさかり。
ユウキ・ジジです。
ユウキヨシハルのおとうさん、
ずっと、いませんでした。
ニューヨークからロンドン、
そしてパリまで、
世界一周。
パリでは、モンパルナス・タワーにのぼった。
おとうさんは、高いところがすきなんです。
コーショキョーフ症ぎみではあるんですが。
パリの街を一望のもとに、
見おろせるところ。
ナポレオン3世がつくった街並み。
とおくにエッフェル塔がみえる。
ひだりうえのほうに、モンマルトルの丘。
そのしたのほうに、ルーブル宮殿。
ルーブルにつづいて、
公園がみえます。
チュルリー公園。
その公園のはしっこに、
オランジェリー美術館。
ながいこと、閉じていました。
印象派というひとたちの絵が、
たくさんあります。
とくに、クロード・モネの「睡蓮」の絵がすごい。
まあるい部屋がふたつあって、
360度でまあるく、
スイレンの絵がかざってあります。
おとうさんも、ここだけは、
ゆっくり、たのしんだ。
では、みなさんにも、
ごらんにいれましょう。
ぐるぐるっと、
オランジェリーの再現です。
いかがです?
モネだけではありません。
ルノアールとセザンヌが、
びっくりするほど、あつめられている。
おとうさんの、
とくにすきな絵。
セザンヌ。
モディリアニ。
そしてユトリロ。
2週間のシゴトのあと、
おとうさんは、
つかれきって、
かえってきました。
そのあとも、いそがしくて、
一日もやすんでいません。
でも、かえってくれば、
とにかく、ボクは、
あんしんします。
ときどき、すきな絵を、
みたりもしているし。
スキン・シップもできるからです。
もうすこし、がんばれば、
そして11月になれば、
きっと、シゴトも、
らくになるにちがいありません。
ボクは、それを期待しています。
<『ジジの気分』(未刊)より>