結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年01月15日(土曜日)

篠山紀信の「全裸写真」の撮り方とハロルド・ジェニーン&柳井正の「システムズ・アプローチ経営」

菅直人首相の第二次改造内閣が発足した。

日経新聞一面コラム『春秋』
「この間まで『立ち上がれ』だった人が
大臣の椅子に座っちゃったのか」

与謝野馨新経済財政大臣のこと。

座布団一枚。

さて昨日夜は、東京・赤坂の赤坂サカスの赤坂離宮で新年会。
学者、ジャーナリスト、コンサルタント、弁護士など、40人近くが集まった。

私は法政大学大学院教授の小川孔輔先生の隣の席で、
ずいぶんと交流し、いろいろとご教授いただいた。

小川先生はイノベーション・マネジメント研究科の専攻主任で、
日本フローラルマーケティング協会会長。
コーネル大学RMPジャパンが教室としてお借りしているのは、
法政大学のイノベーション・マネジメント研究センターのセミナー室。
だから本当にお世話になっている。

近く、『しまむらとヤオコー』(小学館刊) を上梓される。

この会合には、ジャーナリストも多数参加。
柴田書店社長の土肥大介さん。
商人舎発足の会発起人のお一人。

㈱ダイヤモンド・フリードマン社取締役の三橋和夫さん。

日経新聞消費産業局次長の白鳥和生さん、
月刊『マーチャンダイジング』編集長の宮崎文隆さん、
日本食糧新聞社記者の板倉千春さん。

それから弁護士の木下潮音先生と男澤才樹先生。
木下先生にはコーネル・ジャパンの講師をお願いしているし、
男澤先生は㈱商業界の顧問弁護士。

さらに、㈱YUMEキャピタル代表取締役でコンサルタントの諸江幸祐さん。
諸江さんは、元ゴールドマンサックスのアナリストで
流通業アナリストナンバー1を何度も獲得。
諸江さんも、コーネル・ジャパン講師。

おいしい中華料理をいただきつつ、
ビールや紹興酒をたしなみ、
議論をし、今年を占う。

ずいぶん酔いがまわったころ、
私たちのテーブルの三橋さんが、
面白い話をご披露くださった。

写真家・篠山紀信の仕事のやり方について。

1975年の雑誌『GORO』では、
山口百恵を特集で「激写」し、
その後、松田聖子や樋口可南子、宮沢りえなど、
話題性と作品数は他の写真家を圧倒。
南沙織の亭主というだけで、今でも、
私の嫉妬心を燃え上がらせる。

その篠山紀信先生、
ヌード写真の仕事をするとき、
初めにすっぽんぽんにして撮影する。

その後、一枚一枚、着せていきながら、
激写を繰り返す。

写真集に編集するときには逆に、
一枚一枚、着ているものをはぎ取っていったように、
写真を並べる。

こうすると、モデルの表情や姿が生きてくる。

はじめに羞恥心が最高潮に達する。
それから開き直る。
すこしずつゆとりが出て、
豊かな表情になる。

ダイヤモンド・フリードマンの三橋さん、
いたく感動したらしい。

私たちも、この話を聞くだけで、
超一級の人間の仕事ぶりに感銘を受ける。

私は、思い出していた。

プレジデント社刊の『プロフェッショナル・マネジャー』という本。
元ITT最高経営責任者のハロルド・ジェニーンが著者。

ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんが、
解説を書いて話題になった。

2004年5月刊行。

柳井さんが書いているのは「はじめに」の部分。
「これが私の最高の教科書だ」とタイトルがある。

「この本が何冊売れたのかは知らないが、
僕が山口県で唯一の読者だったと思っている。
それほど衝撃を受けた」
1985年、「ユニクロ」の2号店を開店させたころの話。

「ジェニーン氏は、『三行の経営論』と題して、こう書く」。
この後に、引用がある。

「本を読むときは、始めから終りへと読む。/
ビジネスの経営はそれとは逆だ。/

終わりから始めて、
そこへ到達するために、
できる限りのことをするのだ」

このくだりが柳井正を衝撃させた。

「ぼくの経営概念は一八〇度変わった」

「『経営はまず結論ありき』で、
最終的に何を求めて経営していくかを決め、
そこから逆算して、
結論に至る方法を考えられる限り考え、
いいと思う順からまず実行する」

「そして、実行の足跡と結論を常に比較し、
修正していく」

いかがだろう、
柳井正の経営の考え方。

これをまさに、「システムズ・アプローチ」という。

第一に、本来の目的を明らかにする。
到達点を明確にする。

目的の明確化である。

そのうえで、
全体を捉えながら部分を築いていく。

このようにシステム思考で問題解決を図る。

柳井さんが学んだハロルド・ジェニーンの経営法は、
「システムズ・アプローチ」だったのだ。

さて、篠山紀信のアプローチ法。
まず「全裸」にしておく。
そこから部分的に衣服を着せていく。
想像するだけで、面白い。

篠山の場合は、到達点は、「オール・ヌード」。
しかし重要なのはそのプロセス。
プロセスそのものが、目的でもある。

経営は、『結論ありき』。
柳井さんは考えた。

しかし、「結論に至る方法を考えられる限り考える」
これが極めて重要だ。

さらに「いいと思う順から実行する」
これも「考える」以上に重要だ。

そのうえで、「修正する」
「システムズ・アプローチ」こそ、
ワクワクさせる経営を創り出し、
ドキドキさせる全裸写真を生みだす。

それにしても南沙織の亭主という点は、
依然として気に食わない。

<結城義晴>


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