結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年08月30日(金曜日)

パリ・パラリンピック「失われたものを数えるな」の「戦争と平和」

予定していたゴルフラウンドを中止にした。
戸塚カントリー倶楽部。

台風10号で横浜も大雨警報、洪水注意報、
そして雷注意報まで出ている。
だから当然と言えば当然。

それにしても居座り台風。
その被害が各地に出ている。

お見舞い申し上げます。

Paris2024パラリンピックが始まっている。
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パラリンピックは1960年に始まった。
パリでの開催は初のことだ。

史上最多の167カ国・地域と難民選手団、
約4400人のアスリートが出場する。

開会式は凱旋門から、
シャンゼリゼ通りを行進。

すばらしい。

オリンピックはセーヌ川を船で入場したが、
それよりもいい。

茜色に染まった8月のパリの空。

選手団の先頭はギリシャ代表。
先頭には盲導犬が付き添う。

車イスの選手、義足の選手。

見事な入場行進だ。

そしてコンコルド広場に参集。
「革命広場」と呼ばれる。
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12日間に22競技549種目が行われる。
日本からは海外開催最多の175選手。
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聖火台はオリンピック同様に、
チュルリー公園の気球にセットされた。
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「パラリンピック」という言葉は、
「パラプレジア」(Paraplegia)と、
「オリンピック」(Olympic)との造語。
「Paraplegia」は、
脊髄損傷等による下半身麻痺者のこと。

それに「パラレル」(もう一つの)という意味が加わった。

1948年、ロンドン郊外の病院で、
車いす患者のアーチェリーの競技会が開かれた。
入院患者を対象としたストーク・マンデビル競技大会。

この日はロンドンオリンピックの開会式が開かれていた。

これがパラリンピックにつながった。

ドイツから逃れてきたユダヤ人医師が、
第二次世界大戦の戦傷者たちのリハビリに、
スポーツを取り入れ、
それが大きな成果を上げた。

ルートヴィヒ・グットマン博士。
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グットマン博士の理念。
「失われたものを数えるな、
残された能力を最大限生かせ」

日経新聞社会面の記事。

ロシアによる侵略が続くウクライナから、
140人の選手が参加する。

そのなかには戦闘で脚を失った元兵士がいる。
エフヘニー・コリネツ選手。

激戦地で負傷して左脚を切断。
リハビリをしながら、
シッティングバレーボールの競技を始めて、
代表としての出場権を獲得した。

難民選手団からトライアスロンに出場するのは、
シリア出身のイブラヒム・フセイン選手。
2012年に内戦で右脚を失った。
難民申請が認められたギリシャで水泳を再開した。

米国からはメリッサ・ストックウェル選手。
2004年のイラク戦争で左脚を失った。
その後、水泳とトライアスロンの選手となって、
北京、リオ、東京、そして今回の代表となった。
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米国は負傷兵のスポーツを支援している。
東京大会にも退役軍人や軍関係者が20人ほど出場。

世界各地での戦禍によって負傷した兵士が、
平和のためのパラリンピックに出場する。

ウクライナ・パラリンピック委員会のスシケビッチ会長。
「ロシアの攻撃で大勢が障害を抱えるようになっている」

そして言う。
「人類にとって最も重要な『平和』への
メッセージを発信するべきだ」

「失われたものを数えるな、
残された能力を最大限生かせ」

年を取ってくると、
この言葉の意味がよくわかってくる。

台風や地震で失われたものは多い。
しかしそれを数えていてはいけない。

東日本大震災のときの気仙沼。
津波に店と自宅をさらわれた熊谷光良さん。
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絶望する若い人たちに言った。

「何失くした?
商売というのは、
人と技術と信用でやるもんでねぇか。
何か失くしたか?!」
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家も会社も流されたけれど、
家族と従業員はみんな助かった。

命は守られた。

失ったものを数えても仕方がない。
商売は人と技術と信用でやるもの。

残されたものを最大限生かす。

戦争を止め、平和を取り戻すときも、
同じ考え方だ。

パラリンピックからも、
熊谷さんからも、
もっとも大切なことを学ぶ。

ありがたい。

〈結城義晴〉

2024年08月29日(木曜日)

紀文正月フォーラムの「両利き経営とポジショニング」

台風10号(Shanshan)。
想像を超えている。

そのルート、その規模。

このままで日本列島を横断してしまう。
甚大な被害が出るだろう。

けれどニュースを見ていて思う。
日本という国は大したものだ。

被害を最小限に食い止め、
すぐに救助、復旧、復興の措置を施す。

小売業も卸売業も製造業も、
そのことに貢献する。

無私と利他。

日本は凄い。

台風10号はどういうわけか大型になる。

2020年9月6日の台風10号。

セブン‐イレブンは九州7県と四国4県、
そして岡山・広島・山口県の約半分の店が休業。
このエリアの3937店舗のうち2020店。

ファミリーマートは九州7県と沖縄県で休業。
1800店舗のうちの1000店。

ローソンは九州7県と山口県・愛媛県、
1691店舗のうち1181店が休業。

「東北の海岸線は、
東日本大震災によって地盤が沈下し、
高潮の被害を受けやすい」

「大げさすぎるくらいの備えが
欠かせないだろう」

去ってみれば
たいした被害もなかった、と、
胸をなでおろしたい。

それから2016年の台風10号。
私は8月30日のブログに書いた。
「迷走台風10号、岩手県に上陸」

この日も同じ講演会が開催されていた。

紀文正月フォーラム。
2024年も台風が九州に停滞しているうちに開催。

冒頭は堤裕㈱紀文食品社長。
創業100周年に向けて、
紀文が目指す姿を説明した。
2038年度がその100周年だ。IMG_6204 (002)

堤さんは丁寧にわかりやすく語る。IMG_6203 (002)
コーポレートブランドメッセージは、
「すこやかなおいしさ、日本から」IMG_6201 (002)

続いて基調講演。
和文化研究科の三浦康子さん。
日本の文化における
「食の力・おせちの力・行事育のちから」IMG_6200 (002)

行事育は三浦さんが提唱する考え方。
日本の行事を楽しみながら、
子どもの心を育て、家族の絆を育む。IMG_6199 (002)

ハレとケに対しても、
ユニークな解釈をしている。IMG_6198 (002)

それから堀内慎也マーケティング部長。
いつも紀文からの提案を語る。
「おせちの買い物に選ばれるお店とは?」IMG_6206 (002)

昨年のデータを丁寧に分析しつつ、
顧客調査をもとに、
2024年末商戦を語る。IMG_6195 (002)
おせちアイテムの解説をしたうえで、
どのアイテムをどのように売るか。
全国の数字をもっている紀文にしかできない提案だ。IMG_6196 (002)

そして最後の講演は結城義晴。
「円安不況と下克上の年末年始商戦」IMG_6187 (002)

PEST分析で2025年度までの、
政治・経済・社会・テクノロジーを概観して、
「選ばれる店」の条件を講演した。IMG_6186 (002)

大前提は「基本の徹底」である。IMG_6189 (002)

それから選ばれるための「ポジショニング」である。
「ポジショニング」とは、
マーケット〈市場、商勢圏と商圏〉の中で、
自社らしい特別の立ち位置を築くこと。
そしてターゲット顧客の頭の中に
独自のポジションを占めるために、
企業が店舗と商品とサービスの
イメージをデザインすること。

イメージをデザインすることが、
その具体的なアクションとなる。
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さらに「凄い売りの方程式」と、
「ハレの方程式」を復習して、
結論はやはりトレードオンと両利き経営。

「両利き経営」は、
成熟事業・既存事業と、
新興事業・新技術の、
両利きが必要であると説く。

前者に求められるのが「深化」である。
言葉としてはちょっとわかりにくいが、
これは「漸進型の改善」のことである。
「顧客への細心の注意」や「厳密な実行」が必須である。

古いチェーンストア理論で、
「完全作業」と呼んだりするが、
それは「深化」のプロセスのことを意味する。

一方、新しいものに対しては、
「探索」が必要である。
ここで求められるのは、
「スピード、柔軟性、ミスへの耐性」である。

新規事業と既存事業だけではない。

たとえばチェーンストアの商品部は本来、
バイヤーとマーチャンダイザーに役割分担する。

かつてのダイエーは同じ役割分担を、
コントローラーとバイヤーと呼んだ。

前者は枠の決まった仕入れ先と調整をする。
後者は新商品を開発する。

前者には「深化」が求められ、
後者には「探索」が要求される。

一人の商品本部長、あるいはトップが、
両方できるのがいい。
両利きのスキルである。

それができない場合には、
役割分担するのがいい。

ただしたいていの組織の場合、
既存事業のスキルが優先されていて、
それが新規事業のスキルを押しつぶしてしまう。

正反対の能力だからである。

その結果、多くのチェーンストアでは、
バイヤーはたくさんいるが、
本物のマーチャンダイザーがいなくなった。

両利き経営とトレードオンによって、
ポジショニングを確立する。

そしてポジショニング競争だからこそ、
下克上が可能となるのだ。
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講演会場の外のホワイエには、
「紀文と大相撲」の展示。IMG_6205 (002)

今年から「試食会」と銘打って、
多くの参加者に食べていただいた。

ほとんどの皆さんが、
試食してくれた。

ありがたい。

三浦先生とツーショット。IMG_6185 (004)

それからいつもの三人。
高柳謙一郎営業企画部部長と堀内さん。IMG_6208 (002)こまかい点までのご配慮、
ありがとうございました。
感謝します。

紀文正月フォーラムが無事に終了すると、
私にとって秋がやってくる。

Shanshanは依然、迷走しているけれど。

〈結城義晴〉

2024年08月28日(水曜日)

24紀文正月フォーラム「守るべきもの・変えるべきもの」の両利き

今日は東京・東銀座。
時事通信ホール。
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2024紀文正月フォーラム。
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台風10号の影響を心配したが、
何とか1日目のフォーラム開催となった。
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開始1時間前には控室に入る。
コーヒーを飲みながら、
プレゼン資料の最後の仕上げ。

2024年のフォーラムテーマは、
「変化の時代
『企業が守るべきもの』と
『変わるべきもの』」
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開会前の会場で、弓削渉副社長と。

西日本から来場を予定していた人たちが、
台風の影響で急きょ、欠席となったらしい。
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それでも50名ほどの参加があった。
ありがたい。

冒頭に堤裕社長のごあいさつ。
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紀文食品は1938年創業。
紀文グループでは、
2038年の創業100周年に向けて、
長期経営戦略のもと目指すべき姿を策定した。
それを堤社長が詳しく報告してくれた。

ブランド・メッセージは極めて重要です。

基調講演は、三浦康子さん。
和文化研究家で「行事育」の提唱者。
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日本の文化における
「食の力・おせちの力・行事育の力」
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マツリゴト、ハレとケ、食文化と習慣、
お正月とおせちの意味などを、
丁寧に説明してくれた。

紀文食品からの提案は、堀内慎也さん。
マーケティング本部マーケティング部長。

テーマは、
「おせちの買い物に『選ばれるお店』とは?」
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23年末の年末商戦のデータによる総括、
グループインタビューの調査結果などを踏まえて、
24年正月商戦の方向付けと商品を提案した。
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総括講義は結城義晴。
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私からの提案は、
「円安不況と下剋上の年末年始商戦」
――顧客の心をスイッチさせよ。IMG_E7778
守るべきものは守る。
変えるべきものは変える。

両利き経営は「深化」と「探索」を両立させる。
「深化」はたとえばコスト削減につながり、
「探索」は付加価値の創造を実現させる。

組織はこの両方を実現させねばならない。

明日も同じ講演をするから、
詳細な内容は明日、公開しよう。

フォーラムが終わると、
ホワイエでおせちの試食会。

講師陣で記念写真。IMG_E7793

無事に初日が終わって、
堤社長と國松浩営業本部長と写真。
國松さんは取締役常務執行役員。IMG_7795

最後は、高柳謙一郎さん。
営業企画部部長。
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営業部隊の運営協力をねぎらった。IMG_7799
力を入れて話し過ぎたか、
そのまま帰宅したら、
咳と熱が出た。

申し訳ない。

すぐにベッドに入って、
静養した。
(つづきます)

〈結城義晴〉

2024年08月27日(火曜日)

迷走台風10号と「心こそ心惑はす心なれ心に心心ゆるすな」

台風10号「サンサン(Shanshan)」

迷走しつつ、発達している。
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気象庁。
「破壊力の強い台風となる条件を、
ほぼすべて満たしている」

気象庁の強さの階級は、
「非常に強い」に変わった。

災害リスクが極めて高い。

しかもその移動速度が遅い。
時速10kmに満たない。
普通に自転車をこいだ時のスピード。

酔っ払いの足取りは蛇行しがちだが、
それと似ている。

気象庁の予測は、
「西日本から日本海に抜ける可能性が高い」

そのうえ日本付近には前線がかかっている。
「秋雨の走り」の悪天がもたらされる。

局地的な豪雨や雷雨が起こる。

予報円も大きくて広範囲に被害をもたらす。

ただし、動きが遅い台風に対しては、
備えをする時間を確保できる。

台風情報を丹念に収集して、
万全の「備え」をしたい。

NHKの台風接近時の「やっておきたい備え」
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食料と防災グッズは、
最低10日分用意しよう、とある。

1日3食×10日分×家族数。
水や食料はこれだけ必要だ。

すでに多くの店で、
品切れに近い状態かもしれない。

緊急手配が必要だろう。

全員の安全を担保しつつ、
スピーディーに動きたい。

台風は遅い。
我々は速い。

頑張れ。

心こそ心惑はす心なれ
心に心心ゆるすな
〈沢庵宗彭(そうほう)の『不動智神妙録』〉
「ふどうちしんみょうろく」。
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江戸時代の沢庵和尚の執筆。
『不動智』と略される。

新陰流の柳生宗矩に捧げられ、
宮本武蔵の『五輪書』と並ぶ、
「兵法家伝書」となった。

この道歌そのものは北条時頼の作とされる。
鎌倉幕府第5代執権。
有名な北条時宗の父。

心があるからこそ、
心の迷いとなる。
だから自分のその心に、
心をゆるしてはならない。

後天的に身についた我欲を、
「妄心(もうじん)」という。
歌の最初にある「心」が妄心である。
それが心の迷いを招く。

「妄心」とは心が一カ所に留まり、
固まっている状態。
「有心」ともいう。

人間が本来備えている生命力を「本心」という。
「本心」とはひとところに心が留まらず、
広がった状態である。
これを「無心」という。

その妄心を断ち切ることで、
本心を発揮させることになる。

沢庵はたとえを示す。
本心は水であり、
妄心は氷である。

溶けた水だからこそ、
幅広く役立つ。
固まった氷は、
それでしかない。

禅僧沢庵は禅の真理を説いて、
剣の道の真理を諭した。

この歌はその後の世界の剣術、柔術などに、
大きな影響を与えた。

私たちの仕事にも、
私たちの生き方にも、
意味を与えてくれる歌だ。

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沢庵はこうも言う。
「人無心にして物よく感ず」

無心であれば、本心であれば、
ものをよく感じることができる。

無心の水の心。

台風は巨大な水の塊だが、
私たちは無心で臨みたい。

「心こそ心惑はす心なれ
心に心心ゆるすな」

ありがとう。

〈結城義晴〉

2024年08月26日(月曜日)

政治も商売も経営も「あちらを立てて、こちらも立てる」

Everyone, Good Monday!
[2024vol㉟]

2024年第35週。
8月最終第5週。

あと1週間で8月が終わる。
それでも日中は暑い。

「残暑」という言葉が、
デフォルメされてぴったりくる。

(もろ)きもの心にもてる残暑かな
〈角川春樹〉

ところで昨日のブログの、
「うんちっち」
フランス語では、
「Caca boudin」
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日本語のほうが圧倒的にいい。

今週から月刊商人舎9月号の入稿。
みんなで楽しんで執筆しています。

水曜日の28日と木曜日の29日は、
2024紀文正月フォーラム。
東京・東銀座の時事通信ホール。
今年も2日間、講演します。

お待ちしています。
〈写真は昨年のフォーラム〉
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ただし台風10号が近づいている。

金曜日から日曜日までは、
Japanドラッグストアショー。
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私も行きます。

さて、自民党総裁選挙に、
次々に出馬表明が出される。

日経新聞「大機小機」
8月24日版。
「自民総裁選まだ期待できるか」

コラムニストは四つ葉さん。

「自民党総裁選は普通の選挙ではない。
公職選挙法で取り締まられず、
ルールは毎回のように変わる」

しかし、
「現職総裁が自発的に身を引いた後は、
名勝負が多い」

1998年、橋本龍太郎首相が退陣した後。
「凡人、軍人、変人」の戦い。
小渕恵三首相を誕生させて、
当時の金融危機への対応策を決めた。

森喜朗首相が退陣した2001年の総裁選。
「自民党をぶっ壊す!」と叫んだ
小泉純一郎首相が地滑り的な勝利を収めて、
「聖域なき構造改革」路線の端緒となった。

納得。

自民党が野党時代の2012年。
谷垣禎一総裁が再選を求めずに
安倍晋三氏が総裁に復活した。
それがアベノミクス相場につながっていく。

今回は岸田文雄首相が、
突然の総裁選不出馬を宣言。

その意味では期待がもてるか。

私は自民党員ではないし、
特別にどこかの政党を支持しているわけでもない。

老年の無党派層だ。

最大の注目点は、
「派閥なき自民党総裁選は可能か?」

自民党は結党時から合併政党であり、
「派閥の寄り合い所帯」だった。

「それが総裁選の度に衝突し、
勝者と敗者を生み出して、
組織としての鮮度を維持してきた。
そして長期政権の秘訣でもあった」

しかしパーティー券の裏金問題を契機に、
自民党への国民の不信がつのった。

その不信は派閥単位の「政治とカネ」によって、
増幅された。

岸田首相が示した対応策は、
「派閥を解消してトップが責任を取る」だった。

コラムニスト。
「とりあえず派閥の締め付けがないと、
候補者が大勢立つことがわかった」

その通りだ。

「古い政党が新しい時代に適応できるか。
今回の総裁選はそれが問われよう」

同感だ。

国民の期待に応えることは、
自民党の政治家たちの意向に反することになり、
総裁選で勝つために党政治家にご機嫌を取れば、
国民の期待から離れる。

あちらを立てれば、こちらが立たず、
こちらを立てれば、あちらが立たず。

派閥の時代には、
ここでトレードオフしても、
総裁になることができた。

しかし今はそれができない。
両立させなければならない。
コンパティビリティである。

つまり新総裁には、
トレードオンが求められる。

商売や経営と、
その意味で同じだ。

あちらを立てて、こちらも立てる。
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国民の期待に圧倒的に応えることによって、
自民党政治家と自民党員にも支持される。
本来は、そうならねばいけない。

これは立憲民主党の代表選にも当てはまる。
けれど立民の候補者たちは、
相変わらずトレードオフの考えの中にある。

それは本気で政権をとる意志がない、
あるいはその意志が薄弱だからだ。

本気ならばトレードオンになるはずだ。

そこで派閥を解消した、
自民党の候補者たちに期待がかかる。

トレードオンのお手並みを見せてもらおう。

見事にやってのける者が出てきたら、
これは仕事や経営にも参考になる。

しかし結局は古い政党のままで、
なし崩しの多数決となったら、
国民はがっかりする。

しかし、そうなりそうで心配でもある。
脆きもの心にもてる残暑かな

では、みなさん、今週も、
あちらを立てて、こちらも立てよ。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2024年08月25日(日曜日)

日曜日の絵本「うんちっち」

娘がふたりやってきた。
2歳の子と10カ月の子。

絵本を読んでほしいとねだられたので、
これを読んであげた。

うんちっち。IMG_6107 (002)
フランスで育ったアメリカ人。
ステファニー・ブレイクさん。
ふしみみさをさんの訳がとてもいい―――。

むかし むかし
あるところに、
うさぎのこが いました。
うさぎのこは
ことばを たったひとつしか
いえませんでした。

それは……
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あさ、あかあさんが
「ぼうや、おきなさい!」
と、いっても。
「うんちっち」

おひる、おとうさんが
「ちびすけ、ほうれんそうを おたべ!」
と いっても。

よる、おねえさんが
「ちびくん、おふろに はいろう!」
と よんでも。
「うんちっち」

――ところがこの「うんちっち」に、
事件が起こります。

あるひ、オオカミが やってきて、
うさぎのこに いいました。
「ぼうやを たべても
いいかい?」
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うさぎのこは こたえました。
「うん ちっち」

オオカミは
ぺろりとひとくち、
うさぎのこを
たべてしまいました。

――あらあら、たいへん。

オオカミが いえに かえると、
おくさんが いいました。
「おかえりなさい、あなた」

オオカミは こたえました……
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――あれあれ? オオカミは、
うさぎのこになっちゃったのかな?

しばらくすると、
オオカミは たいそう
きぶんが わるくなって、
おいしゃさんを よびました。

おいしゃさんは いいました。
「くちを あけて、アー
いってごらん」

ところが オオカミがいった ことばは・・・
「うんちっち」

――やっぱり。

おいしゃさんは びっくりして
とびあがりました。
「きみは、うちの むすこを
たべたね!」
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――おいしゃさんは、
うさぎのこのおとうさんだったんです。

おいしゃさんは、
オオカミのおなかから、
うさぎのこを みつけだして、
さけびました。
「ああ、ぼくの
だいじな
うんちっち!」

うさぎのこは
おどろいたように いいました。
「おとうさんったら なに いってるの?
ぼくは シモンだよ。
しってるくせに!」
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――うさぎのこは、いろんなことばで、
おはなしができるようになっていました。

いえに かえると、
おかあさんが まっていました。
「ちびちゃん、スープを おたべ!」

うさぎのこは
うれしそうに こたえました。
「うん! わあ、これ すごくおいしいね」

ところが つぎのあさ、おとうさんが
「ちびすけ、はを みがきなさい!」
というと、
うさぎのこは・・・
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「オナラブー!」
と こたえましたとさ。[おしまいっ]

――ありがとう。

〈結城義晴〉

2024年08月24日(土曜日)

大谷翔平の9回裏満塁本塁打の40/40に乾杯!!!

大谷翔平。
40/40。

40本塁打/40盗塁。
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メジャーリーグの打者三冠王は14人出ている。
三冠王は本塁打、打点、打率で、
シーズンのトップになること。

しかし40本塁打/40盗塁は、
これまで5人しかいなかった。
大谷が6人目となった。

それほどすごい記録だ。

とびきりの大リーガーばかりだ。
1988年のホセ・カンセコ。
オークランド・アスレティックス。
1996年のバリー・ボンズ。
サンフランシスコ・ジャイアンツ。
1998年のアレックス・ロドリゲス。
シアトル・マリナーズ。

21世紀に入ってからは、
2006年のアルフォンソ・ノ、
ワシントン・ナショナルズ。
昨2023年のロナルド・アクーニャJr、
アトランタ・ブレーブス。

打って、走って、投げる。
これが野球選手の三要素。

そのうちの打ってはホームラン、
走っては盗塁。

大谷はそのうえ投げるも一流。
投手と打者の二刀流。

ドジャース対レイズ戦。
リアルでテレビ観戦していた。

4回に今季40盗塁を決めた。
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ゲームは3対3で、
9回裏を迎えた。
2アウト満塁。

そこで1番DH大谷翔平。
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左腕投手ポシェの初球。
あっさりと左中間に打ち上げた。
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それがスタンド最前列に入った。

サヨナラ満塁ホームラン。

ダイヤモンドを大股で走り抜けた。

ゲームは7対3で勝利。
ベンチ総出で出迎えた。

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ドジャースタジアムのスタンドも、
一体となって歓喜した。

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もう、言葉はない。

前人未到の45/45はやり遂げるだろう。

そして50/50まで実現してしまいそうだ。

来年度からは投手も再開する。
だから盗塁は減る。

今期しかないという状況。

そのうえ、
126試合目の9回裏2アウト満塁。

ほんとうに言葉はない。

今日はこれだけで満足。
みんなで祝福しよう。

乾杯。

しかしなぜ、ショーヘイは、
ここまで愛されるのだろう。

日本ではかつて、
「巨人・大鵬・卵焼き」と言われた。
大人気の三つのもの。

しかし九州生まれでへそ曲がりの子どもの私は、
巨人は大嫌いだった。
卵焼きもそれほどの好物ではなかった。

大鵬だけは大ファンだった。

小学校3・4年の担任の先生、
押切美那子先生が大鵬と同郷の幼馴染で、
命を懸けて応援していたから、
私も影響を受けて大ファンになった。

ただし巨人と卵焼きは、
好きではなかった。

大谷翔平は無条件で、
日本人もアメリカ人も、
中国人も韓国人も、
子どもも大人も年寄りも、
例外なく応援している。
そのように見える。

私は何でもお店にたとえるが、
今の大谷翔平はどんな店だろう。

とびきり品揃えがよくて、
品質も確かで、
価格が安くて、
凄く快適で、
とても親切で、
他に類のないお店。

日本で言えば昔の三越か。

それから勃興したころの、
圧倒的なダイエーか。

今のアメリカで言えば、
コストコかトレーダー・ジョーか。
それらを超える存在か。

マーケット・リーダーであれ。
いつも私はそれを言う。

さもなくばマーケット・チャレンジャー。
あるいはマーケット・ニッチャー。

これは全体に向けてそれぞれに、
ポジショニングせよ、という意味だ。

しかし大谷翔平は、
圧倒的なマーケット・リーダーだ。

日本人もアメリカ人も、
中国人も韓国人も、
子どもも大人も年寄りも、
例外なく好きな店。

ベースボーラーとしての翔平は、
打つ、走る、投げる能力とともに、
その人柄がとてもいい。

店も同じだ。

商品とその価格。
それとともにフレンドリーであること。

それらがアウトスタンディングであること。

大谷翔平をこのように論じても、
まったく面白くはないけれど、
大谷翔平のことを思うだけで、
うれしくなる。

思うだけでうれしくなる店。
そんな店を皆さんもつくってください。

お願いします。

〈結城義晴〉

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