結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年09月10日(火曜日)

商人舎9月号「’24アメリカの歩き方」とプラネットトップセミナー

 月刊商人舎9月号、本日発刊。202409_coverpage

[特集]’24アメリカの歩き方
US-Retail視察研究ガイドブック

[Cover Message]
第47代合衆国大統領を決める選挙が展開されている。民主党の青い州、共和党の赤い州。そして激戦区の紫の州。青い州はリベラル、赤い州はコンサバティブ。紫はその中間。しかしそれぞれの州のチェーンストアは青と赤に分けられるわけではない。世界のウォルマートはどちらかと言えば赤い州で強い。青い州からは排除される傾向がある。ターゲットは青い州で人気だ。だが小売業やサービス業は、青と赤を包含して人気を博すのが常道だ。
その青と赤の議論がかまびすしいアメリカ合衆国の17の都市圏を行く。2024年の「アメリカの歩き方」を特集しよう。
冷戦時代の1962年、ジョン・F・ケネディ大統領は言った。「アメリカとソ連の差は、スーパーマーケットがあるか否かである」。「スーパーマーケットを通して、豊かさが実現されていく社会こそ、全国民が願い求めている社会である」。アメリカのリテールはこの言葉を励みにしている。「1時間で買えるバスケットの中身の違いこそ、米ソの違いである」。私たちはそれを確認するためにアメリカを視察研究する。いざ。

[Contents]202409_contents

5年ぶりに「アメリカの歩き方」をお届けします。
今回は17都市圏。

編集部総出で原稿を書いた。
書いているだけで行った気になる。
楽しい執筆だった。

アメリカに行かなくても、
読むだけで十分、楽しめる。

紙の雑誌だけではページが足りなくなって、
網(ウェブ)のページにコラムを書いた。

コラム➀「アメリカの時差」
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コラム②「売価の注意点」
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IDとパスワードをもっている方は必ず、
webページも見てください。

[特別寄稿]は小島健輔さん。
米国カジュアルチェーンに学ぶもの
「アスレジャー」がUSアパレルを変貌させた!
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[Message of September]
来た、見た、勝った。

その場を訪れる。
観察し、分析する。
そして行動し、成果を上げる。

来た、見た、勝った。
Veni, vidi, vici!
I came, I saw, I conquered.

ローマの将軍ユリウス・カエサルは、
ガリアを制圧しローマに凱旋すると、
すぐにオリエントに向かう。

そしてこの遠征の最後にトルコのゼラで、
ポントス王ファルナケスを破る。
早馬を飛ばして元老院に勝利の手紙を送る。

カエサルは文章の達人だった。
来た、見た、勝った、と書いた。
シンプルで的確な表現だ。

アメリカを訪れる。
ヨーロッパに足を伸ばす。
アジアを訪問する。

そんなときにいつも、
私は合言葉を唱える。
来た、見た、勝った。

まずは自ら行ってみる。
現地で現物を観察し、分析する。
そして行動し、学びつつ成果を上げる。

来た、見た、勝った。
「来た」と「見た」が前提となって、
「勝った」がもたらされる。

アメリカを訪れても、
見る、聞く、買う、食べるでは足りない。
勝ったがなければ意味がない。

知っただけでは、
本当に学んだことにはならない。
実行しなければ成長はない。〈結城義晴〉
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さて今日は東京・汐留。
コンラッド東京。
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プラネット・トップセミナー2024」

毎年恒例。
日用品・化粧品・薬品の、
製造業・卸売業のトップが集う。
社長、会長がずらりと揃う凄いセミナーだ。

開会挨拶は坂田政一さん。
㈱プラネット代表取締役社長。IMG_6266 (002)2

プラネットを説明するには、
このイラストがいい。
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168社の資材サプライヤーと、
884社の製造業を、
「資材EDI」でつなぐ。

さらにその884社のメーカーと、
490社の卸売業とを、
「基幹EDI」で結ぶ。
EDIはElectronic Data Interchange、
電子データ交換のこと。

日用品・化粧品・薬品の流通に関して、
プラネットは産業インフラとなっている。

取引先データベースは約49万件、
商品データベースは769社18万9972アイテム。

凄い会社です。

それから今村佳嗣さん。
執行役員マーケティング&イノベーション推進ユニット長。
タイトルは、
「これからのプラネットが目指す業界への貢献」 IMG_6273 (002)2
資料をもとに理路整然と説明した。

休憩の後は基調講演。
落語家・林家たい平師匠。ダウンロードtaihei
写真撮影はできないので、
一般社団法人落語協会のプロフィールから。

テーマは、
「笑顔のもとに笑顔が集まる」

90分の講演は長編落語3本分。
たい平師匠はメモもレジュメも見ずに、
淀みなく1時間半を語り切った。

しかし目は真剣そのものだった。
落語とは違うのだろう。

笑点メンバーの話題、
落語家になるための修業時代の話、
泣かせる話もあった。

最後は小噺と『星雲のうた』
そして鶯の声色。

そのあとで、
玉生弘昌さんの挨拶。
㈱プラネット代表取締役会長。
「プラネットの創業から40年」IMG_6286 (002)2

9月8日(日曜日)に満80歳を迎えた玉生さん。
10月24日の株主総会で、
代表取締役会長を退任する。IMG_6280 (002)2
その最後の挨拶を兼ねた講演。
実に淡々としていた。

玉生さんには3つの「出会い」があった。
第1はヒューレットパッカードの、
卓上コンピュータとの出会い。

第2はインテック創業者の金岡幸二社長との出会い。

第3は綿貫民輔元衆議院議長との出会い。

これらの出会いをもとに、
VAN事業を構築し、成功させた。
VANはValue-Added Network、付加価値通信網。IMG_6285 (002)2

玉生さんは二つの会社を創業した。
もちろんプラネットと、
それからTrue Data。

そして自ら両者を位置づける。
プラネットは定型業務のDX、守りのDX。
True Dataは非定形業務のDX、攻めのDX。

最後に、玉生さんは10月に単行本を上梓する。
ダイヤモンド社刊、
『経営者のための経済学史』

以前から教えていただいていたので、
私は知っていた。

それにしても凄いテーマだ。

あのヨーゼフ・シュンペーターも書いている。
『経済学史――学説ならびに方法の諸段階』

玉生さんらしい切り口と、
わかりやすい経済学史になると思う。
大いに楽しみだ。

講演会のあとは懇親会。
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開会あいさつは松本俊男さん。
プラネット代表取締役副社長。IMG_6290 (002)2

乾杯のスピーチと音頭は、
掬川正純ライオン㈱代表取締役会長。IMG_6291 (002)2

㈱True Dataのお二人。
米倉裕之代表取締役社長と、
島崎尚子取締役。
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玉生さんはこれからも変わらず、
True Dataの取締役として指導してくださる。

中締めは、
須崎裕明㈱あらた代表取締役社長。IMG_6295 (002)2
全体最適や最大公約数は、
通用しなくなった」

同感。

帰り際に、
プラネットの松本さん(中)と滝山重治さん。
これからも頑張ってください。
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それにしても『経済学史』への挑戦。
凄いことだ、脱帽。

〈結城義晴〉

2024年09月09日(月曜日)

令和名人会の優勝と「ほんとうにやりたいこと」のserendipity

Everyone, Good Monday!
[2024vol㊲]

2024年第37週。
9月第2週。

奈良と京都の境目あたりは、
最高気温35.2度。

猛暑日。

令和名人会。
関西拡大版。

かさぎゴルフ倶楽部。
実にいいコースです。
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もう古希を過ぎたメンバーが3人。
それでも猛暑の中を元気にラウンド。
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カメラマンが変わってもう一枚。ダウンロード

このゴルフコースには、
「クールカート」が用意されていた。
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4人乗りのカートの4座席に、
このクーラーが1台ずつついている。
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だから水分を頻繁に摂りつつ、
快適なラウンド。IMG_6264 (002)

ありがとうございました。

名人会独特のルールがある。
新ぺリア方式で優勝、準優勝、
それから三位とブービー賞にご褒美。

それからニアピン賞とドラコン賞。

新ぺリア方式なので、
運がよければハンディキャップがもらえる。

ブービー賞は亀谷しづえ商人舎GM。
妥当な線でしょう。

三位は鈴木國朗プロ。
㈱アイダスグループ社長。
実力発揮でニアピン賞も一つゲット。

準優勝が宮本洋一プロ。
もちろんブルーチップ㈱社長。
宮本さんはいつものベストグロスで、
図抜けた技量を発揮した。
ニアピン賞、ドラコン賞も3つ獲得。

そして優勝はお陰様で結城義晴。
ニアピンも一つ。

大叩きしたホールが全部、
隠しホールとなってハンディが付いた。

ありがとうございました。

西川隆さんと一緒に回ったが、
凄いショットを連発。
次が楽しみだ。

西川さんはプログレスデザイン社長。
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才能豊かな店舗デザイナー。
スーパーマーケットの設計とデザインで、
全国のチェーンから引っ張りだこ。

今回は関西開催ということで、
新谷千里さんにお世話になった。
サミットリテイリングセンター代表取締役。
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商人舎magazineに連載を掲載してくれた。
「お客と社員に支持される生産性向上策」
好評のうちに54回で最終回を迎えた。

ありがとうございました。

スケジュールが全部終わって、
次の拡大令和名人会は関東開催。
12月22日、23日です。

ありがとうございました。IMG_6258 (002)

さて久しぶりに「ほぼ日」の糸井重里さん。
今日のダーリン。
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「わたしには、ほんとうにやりたいことがある」
って、そう言う人はすごいなぁと思うんだ。

大谷翔平、藤井聡太はそれだ。

「しかしその裏側には無数の
“わたしは、ほんとうにやりたいことが
見つからないんです”と言う人が
いることも知っている」

そこで糸井さんが考える。
「わたしがほんとうにやりたいこと」
って、なんだろう。

ほんとに、それを見つけている人って、
いるんだろうか。

大谷翔平や藤井聡太はそれだが。

そこで中間的な結論。
「わたしがほんとうにやりたいこと」
ではなくて、
世の中のことはほとんどが、
「たのまれたこと」である。

「”たのまれたこと”ばかりに忙しくて、
“わたしがほんとうにやりたいこと”
ができない、と言っている人が
いっぱいいることを知っている」

糸井さん自身のことを考える。
そして言いきる。

「たいていの仕事は、
ほんとうにやりたかった
ものではない」

これ、大事なことだ。

就職だって、
本当にやりたかったものではないことが多い。

けれどやっているうちに、
これは自分に向いていると思うようになる。

「でも、”ほんとうにやりたいこと”
をやったのとはちがう。
いやだったのかと言われたら、
そんなことはまったくない」

コピーライターの仕事もそうだったらしい。
本当にやりたいことが、
若い時から決まっている人はごくわずかだ。

「”ほんとうにやりたいこと”というのは、
“たのまれたこと”をやっているときに
見つかるもの、かもしれないなぁ、
と思うのだ」

これはセレンディピティだ。
「serendipity」とは、
「何かを探しているときに偶然
探しているものとは別の、
価値があるものを見つけること」

私にとってはゴルフが、
ほんとうにやりたいことのひとつだ。

しかしほんとうにやりたいことは、
うまくならないことなのかもしれない。
下手の横好きだ。

逆にたのまれてやったことや、
ちょっとしたきっかけでやったことが、
一生の仕事になったりする。

それはきっとあなたにとって、
ほんとうにやりたかったことなのだ。

では、みなさん、今週も、
いまやっていることに精進しよう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2024年09月08日(日曜日)

関西拡大令和名人会前夜祭と車いすラグビーの「先入観との闘い」

令和名人会。

1989年に始まったゴルフの会。
その関西拡大版。

昭和から平成、令和まで35年。
私が食品商業編集長になったときに、
筆者の先生方が開催してくださったゴルフ会。

それが今まで続いている。

夕方、奈良の沙山華(さざんか)。
四川料理と北京料理。
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井上謙二さん(左)と西川隆さん。IMG_6251 (002)

こちらは、
ブルーチップの宮本洋一さん(中)と西浦正起さん(右)。
それから鈴木國朗さんと新谷千里さん(左)。 IMG_6256 (002)

かつてはオーナーの自宅だった。
その一番広い個室。
枯山水の庭にぐるりと囲まれている。
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まずはシャンパンで乾杯。IMG_6255 (002)

前菜。
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亀谷しづえが加わり、再び乾杯。
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この店の名物「麻婆豆腐饅頭」
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それぞれいろいろな料理をチョイスして、
フルコースを楽しんだ。
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最後は炒飯かおこげか担々麵。
そしてデザート。

堪能した。

最近のスーパーマーケット業界のことから、
ブルーチップの新しい事業のこと、
西川さんの新しい店舗デザインのこと。

話題は尽きない。
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全員で写真。
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明日は名人会本番。
頑張ります。

さてパラリンピックが終わった。
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東京新聞の巻頭コラム「筆洗」

車いすラグビー。
国際的スターはクリス・ボンド選手。
オーストラリアのエース。

「車いすに乗っている人に対し、
人々はこんな先入観を持っている」

「優しく包み込んであげなきゃ、
彼らはか弱いのだから」

しかしボンド選手。
「この先入観に挑戦しているのが
車いすラグビーなのだ」

車いすへのタックルが認められている。
車いすが大きな音をたててぶつかる。
ひっくり返る。
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だからまたの名を「マーダーボール」という。
つまり「殺人球技」。

荒々しいゲームを見ていると、
これがパラ競技であることを忘れる。

「障害の重い選手は相手の攻撃を防ぎ、
味方のために壁となり、
トライへの道をつくる」

男女混成で女性選手も巨体選手にぶつかっていく。
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今回、日本は米国を逆転で破って、
初の金メダルに輝いた。

準決勝ではオーストラリアの猛攻を、
堅守で防ぎきった。
同国は世界ランク1位。

コラム。
「自分には何ができるか。
それぞれができることを持ち寄り、考え、
ひとつとなって勝利を目指す」

「この調和の競技での
日本の”金”がうれしい。
お見事」

同感だ。

「優しく包み込んであげなきゃ、
彼らはか弱いのだから」

この先入観や偏見と闘う。

反骨とは、
後頭部の骨の出っ張りに表れるとか。

彼らの後頭部の骨は、
みんな出っ張っているに違いない。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2024年09月07日(土曜日)

初秋の「探偵小説」と故上野光平の三つの「「自己啓発の技術」

二十四節気の白露(はくろ)。

露ができ始めるころ。

露は、空気に含まれている水蒸気が、
草木の葉などの表面に凝結して、
水滴となったもの。

けれど今年はまだ、暑い。

横浜は最高気温33.2度。
真夏日。

大阪は34.5℃でやはり真夏日。
名古屋は35.3℃で猛暑日だった。

今年の夏は暑かった。
これからの初秋は、
こんな暑さが常態となるのだろう。

R・B・パーカーの『初秋』は、
思い出深い探偵小説だ。

1982年発表。
スペンサーシリーズ第8作。
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パーカーの教育論が描かれる。
私はスペンサーシリーズの最高傑作だと思う。

もうちょっと涼しくなったら、
また読んでみようか。
何度目になるだろうか。

私立探偵スペンサー。
37歳、189センチ、89キロ。
元地方検事局特捜班。
スタンドプレーのやりすぎで退職。

「誰かが言っている」

「あらかじめ真実はこれだ
と決めてかかったら、
真実を見出すことはできないと」

この初秋の最後に、
スペンサーは一言。
「もうすぐ冬になる」

やっぱりもう一度、読もう。

ヴァン・ダイン、
エラリー・クイン。

もちろんアガサ・クリスティ。

ほとんどを読んだ。

それからレイモンド・チャンドラー。

エドガー・アラン・ポー、
コナン・ドイル。

探偵小説は、
時間があったら読みたいと思ったものが、
山積している。

昔々、ある先輩が、
「読みたい本リスト」をつくっていた。

私も真似してみたが、
そんなリストをもつよりも、
すぐに読んだほうがいいと考えて、
リストはやめた。

今、読みかけは『予告された殺人の記録』
ガルシア・マルケス。

故上野光平さん。
西友の実質的な創業者にして、
流通産業研究所所長・理事長。

私は上野光平の弟子である。
それを誇りにしている。

63歳で亡くなられた。
上野光平

その上野さんは、
凄い読書家だった。

自分が癌であることがわかると、
大好きな小説や文学を読むのをやめた。

そして社会科学の本に集中した。

若い人たちに自分が残すべきは、
商業・流通業の世界のことだと決めて、
社会科学に関する本だけ読むことにした。

その上野光平の『自己啓発のススメ』
商業界誌に3年半連載したものを、
一冊にまとめた名著。
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その第6章は、
「自己啓発の技術」

上野さんは3つの技術を示している。
第1は「読書の技術」
第2は「時間管理の技術」
第3は「モノを書く技術」

上野さんは普通の実務家に、
この三つの技術を薦めている。

読書の技術に関しては、
前園主計著『読む技術』を推薦している。
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本流は丁寧にゆっくり読む「熟読」だが、
「速読」の効用も大いにある。

その速読の方法。
⑴漢字とカタカナの拾い読み
⑵キーワード読みの練習
⑶飛ばし読みとスキャニングとカンニング

これ、私も雑誌原稿を書くときなど、
役立てている。

三番目の書く技術。

「書く技術を高めることは、
自己啓発のテーマであるが、
実はそれ以上に企業にとっての
戦略的課題でもある」

私も様々な研修で、
「書くこと」を要求する。
課題レポートだ。

その「文章を書くときの7ポイント」
一、本気で考えていることがあること。
二、表現を探すのではなく、本気で考えていることが何であるかを、つきつめること。
三、それを、できるだけ簡潔明瞭に、シンプルに書くこと。
四、それは、可能なかぎり論理的でなければならない。
(論理には限界があるが、だからといって論理がいいかげんであってはならない)
五、単純なことをややこしく書くという誘惑に負けるな。
六、独り合点の文章、無駄な言葉、きまり文句、出来合いの言葉などを安易に使うな。
七、そのうえで、モノを書く上での基本的技術を身につけよう。

[結城義晴の文章法]でも、
この上野さんの指摘と胸中するところが多い。

上野さんは晩年に、
小説を読むのをやめた。

馬齢を重ねた結城義晴は、
まだその境地に至っていない。

まだまだ、でしょうか。
秋は読書の季節です。

〈結城義晴〉

2024年09月06日(金曜日)

ヤオコー久喜吉羽店(891坪)「北の旗艦店」のバイオーダー・カフェ

秋は新店開業のシーズン。

ヤオコー久喜吉羽店、
本日オープン。
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山本恭広編集長が取材に行った。

立地はJR宇都宮線・東武伊勢崎線久喜駅から、
東に約1kmのところ。

久喜駅の西口から徒歩10分の場所には、
イトーヨーカドー久喜店がある。yaoko_iy
1974年開業の5層の箱型総合スーパー。
地域最大規模の店舗だ。

1階の食品フロアを除く各フロアでは、
新規テナントの開店準備のため、
改装中のスペースが目立つ。

一方、ヤオコーが位置するのは、
南北を通るいちょう通りと
東西を結ぶ県道が交わる要所。

農地から転用した土地だ。
だから周囲の開発はこれからというところ。
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ヤオコーのこの店の位置づけ。
「北エリアの旗艦店」
ヤオコーは1都6県すべてに出店している。
その北の旗艦店。

商人舎流通スーパーニュース。
ヤオコーnews|
9/6「ヤオコー久喜吉羽店」開店/バイオーダー式のカフェ新設

オープンモール型のショッピングセンター。
準核店舗としてセキ薬局、DAISOが、
9月16日にオープンする。

開店前には行列ができた。yaoko_line

店舗面積は891坪で、同社最大規模。
初年度年商は27億円。

現在のヤオコーは、
1店当たりの平均年商は28億円だから、
この面積ならば相当控え目の予算だ。

青果と惣菜のダブルコンコース。
鈴木哲男流に言えば「こってり型」。yaoko_1st

店舗導入部には、
「ヤオコー デリ&カフェ」が設けられた。yaoko_cafe

イートインコーナーで、
バイオーダーのメニューを提供する。
それがこの店の新趣向。

モーニングセットには、
ロイヤルブレッドを使ったフレンチトースト。
ランチ時間帯には、
惣菜売場の手仕込み豚かつを使った定食を提供する。

売っているものをその場で提供する。

イータリーの合言葉。
We Sell What We Cook,
and, 
We Cook What We Sell.

自慢の商品をできたて、つくりたてで、
食べてもらう。

グロサラントの基本の取り組み。

オープン前に行われる「ヤオコー体操」。
店内作業のさまざまな動きを想定したストレッチで、
朝礼時に必ず行うルーチン。yaoko_safe

久喜吉羽店の鮮魚売場は最重点部門。
尺数も同社最大。
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酒類売場も最大規模。

川野澄人社長の記者会見。yaoko_kawano1

ネットスーパー作業用のスペースに、
30人の記者が集まった。

川野さんは語った。
「北エリアは新しい商品よりも、
ベーシックなものを選ぶ。
基本的な商品を磨き込んだ」yaoko_kawano2

その一方で、
「最大規模の売場面積なので、
新しい取り組みを差し込んだ」

年商目標27億円だが、
「30億円以上を目指す」と自信を見せる。

いやいや将来的には、
40億円や50億円を狙っているはずだ。

詳細は次の月刊商人舎に掲載予定。

いろいろと聞きたいこともあるが、
それは誌面で明らかにしよう。

さてパリ2024パラリンピック。
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ゴールボール男子日本代表が金メダル。
決勝の相手はウクライナ。
延長戦でゴールを決めて勝利。
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見事だ。

金メダルは続々と獲得している。

車いすテニス・女子ダブルスは、
上地結衣・田中愛美ペア。

日本は車いすテニス大国である。

卓球・女子シングルスは和田なつき選手。

さらに車いすテニス・女子シングルスは、
上地結衣選手がダブルスと合わせて二冠。
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おめでとう。

柔道・女子57kg級は廣瀬順子選手。
見事な一本勝ちで金メダル。

このパラリンピックもあと2日。
祭りのあとの寂しさがやってくる。

それでも全力のプレーを見ている、
熱いものがこみあげてくる。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2024年09月05日(木曜日)

ああ、2001年9月販売革新「全篇ウォルマート問題特集号」

月刊商人舎9月号、
責了しました。

拍手、パチパチ。

本当にお疲れ様。
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9月号は毎年、
アメリカ特集。
基本は一冊まるまるUS Retail。

9年連続で企画し編集している。

最初は2016年9月号。
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この年の米国チェーンストアランキング。20160910_yuuki_04

ウォルマートは年商4821億ドル。
1ドル100円換算で48兆円。

2位がCVSヘルス、
3位がコストコ、
4位がクローガー。

そして5位にアマゾン、1070億ドル。
10兆円だった。

私は書いている。
「ウォルマートに何が起こっているのか?」

しかしその後、ウォルマートは、
体質を変えつつ、
オムニチャネルリテーラーへと、
蛻変を遂げた。

[特別対談]もある。
石原靖曠×結城義晴
日米チェーンストアの「賢者は歴史に学ぶ」
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このロング対談の中で石原先生。
「最近はチェーンストアの人たちも、
オーソドックスな勉強をしなくなりました」

納得。

「みんなただ成果を上げることだけ考えて
動いているでしょう」

「以前は一生懸命、理論武装したものです」

「理論武装をしたいと願った時代と、
理論武装しなくなった時代」

それからさらに8年が経過した。

「もう今の若手は理論の勉強をしたって、
何になるという感じがあります」

「若手の上司たちがまずそう思っていますから。
そんなことしている暇があったら、
“もうちょっと働け”みたいな話になる」

今、チェーンストアの若手は、
どこでどんな理論の勉強をしているのだろう。

少なくとも商人舎は、
理論武装の手伝いをしたいと考えている。

この連続特集を9誌全部集めて、
一冊の単行本にすれば、
とてもいいアメリカ小売業テキストになる。

今月号も、力の入った特集になった。
ご期待を乞いたい。

一冊まるまると言えば、
2001年9月の販売革新を思い出す。
21世紀に入った年の秋の特集号。IMG_6225 (002)
「全篇まるまる]
ウォルマート問題特集号。

編集長はもちろん結城義晴。
編集時点で48歳だった。

スタッフのなかに、
亀谷しづえGMの名前もある。
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その目次。IMG_6228 (002)
よく編集してあるし、
よく書いている。

40代後半の脂の乗り切った時代。

この号で初めて私がつくったのが、
「逆ウォルマート史」

現在もアップデートして、
米国テキストとして使っている。

アメリカ小売業を見るときに、
3つの目が必要となる。

すなわち、虫の目・鳥の目・魚の目である。

「虫の目」とは、現場を見る力。
細部まで丁寧に「見極める能力」。

「鳥の目」は、大局を見る力。
全体像を俯瞰しながら「見渡す能力」。

「魚の目」は、流れを見る力。
時間の経過の中で現在と未来を「見通す能力」。

「逆ウォルマート史」は、
「魚の目」を詳細に教えるものだ。

この号の翌年2002年3月。
ウォルマートは西友との包括的提携を発表し、
筆頭株主になった。

この号はそれを予見した特集だった。

ちなみに月刊商人舎の、
2016年アメリカ特集の1年前、
2015年9月号特集は、
YAOKO-Innovations
[1998狭山店⇒2015ららぽーと富士見店]徹底解剖201509-cover-448x633
懐かしい。
これも凄い特集号だった。
一冊まるまるヤオコー特集だ。

雑誌のことを思い出すと、
どれも感慨深いものばかりだ。

さて現時点に戻って、
ヤオコーnews|
8月既存店7.3%増/全店PI値は100.0%

8月の月次業績。

既存店伸び率は前年同月比107.3%。
23カ月連続で前年をクリアした。

前月の7月の既存店伸び率は103.4%で、
5%未満の伸び率は2023年3月以来の水準だった。

秋に向かって、円安不況が響いて、
ダウントレンドが見え始めたのか。

そんな心配をしたが、
杞憂に終わったか。

既存店客数は103.2%、客単価は103.9%。
1品単価が103.6%。

ヤオコーに死角はない。

ヤオコーの若手は今、
どんな理論の勉強をしているのだろう。

〈結城義晴〉

2024年09月04日(水曜日)

CIとは逆にウォルマートは「赤」でターゲットは「青」

月刊商人舎9月号。
責了の日が近づく。

今回も編集部の自主マーチャンダイジング。
仕入れ原稿が1本だけある。

その道の大家にお願いした。

楽しみにしてください。

今日の原稿を書き終えて、
帰途につく。

新田間川。
IMG_6223 (002)

ダイエーのイオンスタイル横浜西口。 IMG_6224 (002)

帰りにダイエーを見るだけで、
心が温まってくる。

子どものころから、
この店にはお世話になった。

ありがとう。

さて朝日新聞の「天声人語」
「ウラ番組がつまらない」

テレビに対する失望感。
とくに地上波。

ある、ある。

コラムは言う。
「立憲民主党の代表選である」

「自民党の総裁選を横目に、
最大野党が何を見せてくれるかと
期待する人も多かろうに、
出馬を表明したのは前代表と元首相」

「昔の名前で出ています、は良くない、
との冗談が現実になったようだ」

「古き政治にしがみつく
自民党との違いをアピールするのに、
相も変わらぬ古い顔ぶれのままでいいのか」

あちらを斬ってこちらも斬る。
朝日らしいやり口。

名物キャスターだった久米宏さん。

視聴率が低迷していた際、
スタッフに二つを求めた。

「いわく内輪の事情ばかり考えず、
自分たちのウラ番組をちゃんと見ること、
そして、街を歩くこと」

これ、小売業のストアコンパリゾンと同じだ。

コラム。
「いまの野党にも同じように言いたい。
民主主義の最大の力は、
変わることができることだ。
政権交代の選択肢を、
国民に堂々と示してほしい。
ここはぜひ、新しい姿で」

この天下の天声人語に、
江川紹子さんが辛口コメント。
ジャーナリストで神奈川大学特任教授。

実に面白い。

世論調査で立憲民主党の支持率が伸びない。

それは前回の民主党政権時代の、
負の記憶があるからだ。

江川紹子。
「ただ、この”記憶”は、
同党の政権運営の拙さだけでなく、
後の安倍政権が”悪夢のような”と
揶揄罵倒を繰り返したことで作られ
固着した面もあり、
当時の記憶がない若い人までが、
悪いイメージを植え付けられている」

「そんな負の印象や不信感を抑えて、
内閣総理大臣を任せられる安心感を
人々に与えられるか」

「現実可能でよりましな国の方向性を提示して、
人々の心に希望や期待のタネをまけるか」

「具体的な政策論争を戦わせ、
その後は結束して前に進めるか」

「ここが立憲民主党の代表選の
最大のテーマだと思う」

いいこと言うなあ。

「それに比べれば、
今日の天声人語氏がこだわる
“昔の名前”とか顔の新しさとかは
微々たる事柄ではないか」

その通り。

「よりましな国の方向性」――。

前に書いたけれど、
自民党は正式には自由民主党だ。

立憲民主党も国民民主党も、
ついでに社会民主党も、
みんな「民主党」がつく。

日本の政治は「民主党」だらけで、
みんなDemocracyを標榜する。

それは「中道」を意味している。

だから五十歩百歩。

江川紹子が言うように、
「よりましな」ものを選ぶしかない。

アメリカ大統領選のように、
民主党か共和党かを、
チョイスするわけではない。

労働党と保守党の二大政党制の、
イギリスとも違う。

倉本長治先生も、渥美俊一先生も、
政治と宗教には口出ししなかった。

わかる。

だから私はどちらを支持するかなど書かない。
いや、どちらも支持してはいない。

それでも「中道」ばかりで、
いずれにもポジショニングが希薄なことくらい、
強調してもいいだろう。

ちなみに故安倍晋三氏は、
ノンポジショニングの日本政治にあって、
「保守」を鮮明にした。

安部時代の自民党は、
「保守党」だった。

だからポジショニングを得て、
長期政権を実現させた。

アメリカでは、
民主党の色は青で、
共和党の色は赤である。

だから民主党の強い州を青い州と言い、
共和党の強い州を赤い州と呼ぶ。

アメリカのチェーンストアは、
青い州と赤い州とに店舗展開している。

ウォルマートは赤い州に強い。
Photo by Iron Lotus Creative / Stephen Ironside

タ―ゲットは青い州で人気が高い。
cut1_1565 (1)

州に限らない。

アメリカには赤い市、赤い郡があり、
青い市、青い郡がある。

ウォルマートは赤い市や赤い郡でお役立ちし、
ターゲットは青い市や青い街で共感を得る。

コーポレートカラーは逆だけれど。

米国チェーンストアのポジショニングは、
政治に対しても鮮明である。

日本の小売業、サービス業は、
その意味でポジショニングが出しにくい。
「ノンポリ」が当たり前だからである。

それはそれでいいのかもしれないが、
ポジショニングは鮮明にしなければならない。

顧客に対する基本的な態度である。

〈結城義晴〉

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