結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年03月21日(金曜日)

埼玉県狭山市の「そよら入曽駅前」開業とクルベ対ヤオコー

朝からオンライン会議。

㈱True Dataの取締役会。
td広告

事業の概要。
「6000万人規模の購買データを扱う、
ビッグデータプラットフォーム」

「ビジネスの成長を
パワフルに支援するとともに、
地域や規模に関わらずあらゆる人が
幸せに暮らせる社会をめざしています」

「小売業、消費財メーカー、
その他幅広い業種の皆さまへ、
顧客理解から商品戦略、販促施策、
広告最適化、生産・在庫管理など、
DX時代に有効な
データ活用ソリューションを提供します」img_detail

9時30分から12時まで、
さまざまな経営課題を議論した。IMG_1231 (002)

一方、
「そよら入曽駅前」が
グランドオープン。01
山本恭広編集長と亀谷しづえGMが行ってくれた。

商人舎流通SuperNews。
イオンリテールnews|
都市型SC「そよら入曽駅前」3/21グランドオープン

西武新宿線入曽駅から約200mの距離。
2011年3月に閉校した、
狭山市立入間小学校の跡地を開発。

「そよら」はイオンリテール㈱が展開する、
都市型ショッピングセンターのバナー名。
「入曽駅前」は15カ所目のそよらとなる。

2層の2棟構成で総売場面積は1760坪。
駐車場152台、駐輪場286台。

本棟には1階に核店舗「イオンスタイル」、
2階にキャンドゥを中心に専門店が入居。

別棟には1階にアミューズメント施設、
2階に書店が入る。20250214_aeon-soyora-iriso_1F

20250214_aeon-soyora-iriso_2F

2階の連絡通路に面した広場で、
午前8時半からオープニングセレモニー、
そしてテープカット。02

オープン前に約450人の顧客が並んだ。03

9時にオープン。
2階の連絡通路を通って、
下りエスカレータで入店。04

売場は時計回り。

青果売場から入って奥には鮮魚売場。
うなぎ蒲焼コーナーに顧客が群がる。05

別会場でメディアを集めて記者会見。06

左が古澤康之イオンリテール新社長。
3月1日に井出武美前社長の後任として就任。
右が日浅孝仁店長。07

古澤社長は1972年生まれ。
1995年にジャスコ㈱(現イオン㈱)入社。
戦略部長、北京イオン社長、
まいばすけっと㈱社長を歴任。
2021年3月からはイオンベトナム取締役社長、
2023年3月からはイオン㈱執行役ベトナム担当。
2025年3月1日からは執行役GMS担当。

そよらの基本的な考え方を語った。08

スピーチの詳細とそよら入曽駅前は、
月刊商人舎4月号で紹介する。

そよらを後にして、周辺の競合店を視察。

北方約1.7kmには、
クルベ北入曽店。10

2月15日オープン。
ベルクの二番目の新フォーマット。
エブリデーロープライス、ローコストを志向。

クルベ1号店は2023年7月、
ベルク江木店をリニューアルして登場。
北入曽店は3号店。

店内のビジュアルがさらに尖ってきた。11

隣接地には、
ヤオコー北入曽店。
2000年11月にオープン。
商業施設「マーケットシティ入曽」の核店舗。12

セキチュー、ダイソー、スギ薬局が入る。
ヤオコーは2011年6月に改装。
売場面積664坪の「標準モデル」だ。

クルベ1号店の「江木店」は、
ヤオコー高崎高関店の至近距離に登場した。
群馬県高崎市の闘い。

クルベ北入曽店は新規店舗で、
ヤオコーの既存店の隣に出店した。
こちらは埼玉県狭山市入曽の闘い。

ベルクはクルベによって、
ヤオコーに真っ向から闘いを挑んでいる。

月刊商人舎2023年9月号。
[特別研究]
ベルクのクルベが来た!!
超優良企業が「限界に挑戦」して開発した

新フォーマットの出来栄え
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手厳しく指摘した。
「クルベは『ベルクの限界に挑む』と言いながらベルクの枠の中でチャレンジしている。構造的にビジネスモデルを変えようという挑戦ではない。その結果、最大の課題として挙げておきたい第6は、実は、エブリデー・ローコストになっていないことだ。ウォルマートのエブリデー・ロープライスの本当の意味は、エブリデー・ローコストなのである」

クルベ北入曽店はこの課題を、
大胆に解決しようとしているらしい。

〈結城義晴〉

2025年03月20日(木曜日)

コープ葛飾白鳥店の「買い物カゴ投票」とそのマニュアル

春分の日。

彼岸の中日。

両親の笑顔の写真に手を合わせる。
「まだまだ頑張ります」

木村芳夫さんのfacebookから、
とてもいいニュース。

「返却ついでに、未来に投票」

コープみらいの「コープ葛飾白鳥店」。
消費者が参加できる「買い物カゴ投票」が実施された。
スクリーンショット 2025-03-21 081351

「一部のお肉を『トレー』から
『ノントレー包装』に
変更してもいいですか‽」

「特定の時間帯に、一部の商品棚の照明を
消してもいいですか?」

こんな大きなパネルが、
買い物カゴの返却スペースに設置される。
下部には[YES・NO]の、
2つの選択肢が用意されている。

お店側から二者択一の問いが出される。

顧客が買い物カゴを返却する際に、
「YES」か「NO」回答をする。

顧客は買い物カゴを返却するだけで投票できる。
この手軽さが魅力だ。

ふだんの買い物を通して意思表示ができる。
また、店側も大がかりな仕掛けを準備する必要がない。
こちらは気軽に顧客に問いかけて、
意見を聞くことができる。

このコーナーには、
顧客の判断のためのヒントも併記されている。
プラスチック削減だけではなく、
家庭ごみが減ることや、
そのまま冷凍できることなど、
日常生活の快適さが向上する。

実際の「ノントレー包装」の見本も提示してある。

買い物カゴはどんどん積みあがっていく。
顧客の声が可視化されていく。

その投票結果を受けて、
店側が取り組みを進めることができる。

シンプルな仕組み、簡素な仕掛けで、
顧客の意見を集める。

この「買い物カゴ投票」は、
行動科学の知見が活用されている。

人々がより良い選択を、
しかも自発的にできるように、
手助けする手法だ。

「ナレッジ型コミュニケーション」と呼ぶが、
その新たな手法である。

買い物カゴを返却する行為を、
投票行動に変える。

これによってより良い売場を、
お客とお店が一緒になって、
つくることができる。

この「買い物カゴ投票」は、
滋賀県立大学の山田歩准教授と、
公益財団法人世界自然保護基金(WWF)ジャパンが、
共同で行っている。

この「買い物カゴ投票」マニュアルは、
WEBサイトでも公開されている。

どんな人でも利用可能だ。
問いの立て方、投票の実施方法、
売場への反映の仕方まで、
詳細に解説されている。

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その具体的取り組みとして、
2024年10月から、
コープみらいの実証実験が始まった。
スクリーンショット 2025-03-21 115855

お問い合わせは以下。
メールアドレス:social@wwf.or.jp

滋賀県立大学のモットーが面白い。
「キャンパスは琵琶湖。テキストは人間。」

フィールドワークや実験・実習を、
積極的に取り入れた実践的な教育・研究を通して、
“地”に足のついた「専門性」と、
他者への「思いやりの心」をそなえた
「人が育つ大学」。

山田研究室は、
行動インサイトと生活者インサイトの、
両サイドの組み合わせから、
「人を動かす」コミュニケーション手法を、
研究開発している。

この企画の実施にあたっては、
WWFジャパンや滋賀県立大学の許可は必要ない。

WWFジャパンおよび滋賀県立大学は、
「買い物カゴ投票」の実施に際して、
「アドバイスはできかねます」としている。

それでも多くの企業や店舗で、
この投票を実施してみてはどうだろうか。

ポイントはズバリ「二者択一」の、
わかりやすい問いを考えることだ。

そして変な主張を込めないこと。

そのうえで顧客の行動を促す。

投票することで、
お店に対する信頼も高まる。

是非、取り組んでほしいものだ。

〈結城義晴〉

2025年03月19日(水曜日)

田子重創業店の「閉店撤回請願書」に思う

商人舎流通SuperNews。

田子重news|
1号店閉店撤回の「請願書」に曽根礼助社長が「回答」

㈱田子重は静岡県に16店舗を展開する。
2024年3月期年商は335億円。

日本を代表するローカルチェーンだと思う。
いわゆる地域密着型スーパーマーケットである。
スクリーンショット 2025-03-20 163916

静岡県焼津市を中心にして、
静岡県全域に店舗を展開する。
スクリーンショット 2025-03-20 162022

曽根誠司会長と曽根礼助社長は、
仲のいい兄弟で、
会社はファミリービジネスである。

そして地域の人たちから敬愛されている。

その田子重の創業店が1973年開業の小川店である。

故曽根令三会長がつくった、思い出の店舗だ。
焼津市小川新町1丁目にある。pic_store01-main@2x

会社はその第1号店の閉店を決めた。

小川店の周辺は人口減少が著しい。

経営努力を重ねたが、収益の回復は果たせない。
スーパーマーケットという事業は
商圏内の人口が全ての業績に影響を与える。

だからいい立地とは、
多くの人々が来店しやすい場所のことだ。

そこで田子重の現経営陣は閉店を決めた。
小川店の約500m西には、
田子重登呂田店も出店している。

2月17日のホームページで、
顧客にお知らせした。
「田子重小川店の営業を終了させて頂きます」

すると閉店撤回を求める顧客から、
請願書が寄せられた。

1000名を超える顧客が賛同していた。

感動的だ。

しかし多分、赤字は消えない。

そこで田子重は曽根礼助社長が、
同社ホームページ上にお詫びのコメントを公開した。

タイトルは、
「小川店閉店を撤回する請願へのご回答」

「4月16日(水)をもって、
やむなく小川店を閉店させて頂くことになりました。」

「閉店することを発表して以降、
近隣地域にお住いの皆様をはじめ
多くのお客様から営業の継続を求めるご要望や
励ましのお言葉を日々頂戴し、
有難く受け止めさせて頂きました。」

「また、この度は1,000名を超える方々が
ご署名された閉店撤回の請願書を賜り、
全ての方のお名前を
謹んで拝覧させていただきました」

その請願書は以下。

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曽根社長の回答文は続く。

「弊社では、小川店が人口減少地域に
立地しているという困難な問題に対し、
これまで鋭意様々な経営努力を重ねて参りましたが、
長年の業績低迷からの回復はいかんともしがたく、
やむなく閉店させて頂くことになった次第です。」

「小川新町で生まれ育った私個人としても、
また組織としても、
歴史と思い出の詰まった
弊社の第1号店である小川店を閉店するのは、
誠に辛く、無念・残念の決断ではありましたが、
地域の皆様に支えられて
事業活動を行っているという事実を
改めて再認識致しました」

「皆様の長きにわたるご愛顧、ご支援に
心より感謝申し上げますとともに、
ご不便、ご迷惑をおかけしますことを
深くお詫び申し上げます。
誠に勝手ではありますが、
お客様のご期待に沿う営業を
今後とも心掛けて参りますので、
何卒、ご理解賜りますようお願い申し上げます。」

「本来であれば、
請願書にご署名くださった全ての方に
お返事、お礼すべきところですが、
それも叶いませんことから
ホームページでの記載をもって、
これに代えさせて頂きます」

ことの顛末は以上だ。

ハーバードビジネススクール流に問おう。
皆さんはどうしたらいいと思うか。

「店は客のためにある」と考えれば、
営業は続けなければならない 。

けれど「店員とともに栄える」と考えれば、
閉店はやむなし。

倉本長治の商売十訓、
「欠損は社会のためにも不善と悟れ」ならば撤退だ。

「愛と真実で適性利潤を確保せよ」も、
結局は撤退を示しているだろう。

だから妥当な意思決定である。

しかし普通に考えればここで、
この店の商圏人口と店舗サイズで利益を出せる、
新しい方法はないかという発想になる。

それが2番目のフォーマットづくりだ。

あるいは無店舗販売の方法である。

マルチフォーマット戦略という。

適正規模は一つではない。

もちろんそれを考え、実行するには、
時間と金がかかる。

ここで判断は分かれる。

従来の政策を貫徹するか、
あるいは新しい政策を模索するか。

そして田子重は決めた。

現在の不採算物件は撤収して、
採算の取れる物件を開発する。
さらに新しいエリアでの店舗展開を探求する。
幸いに田子重は静岡県の、
焼津以外のエリアの店が好調だ。

将来は静岡以外の県にも出店は可能だろう。

そのスピードを視野に入れれば、
今回の判断は正しい。

それでも静岡県のローカルチェーンを
堅持しようとすれば、
小型フォーマットや無店舗販売の開発は、
今後の可能性として残ると思う。

意思決定は難しい。
最後の決断が閉店だった。

それは正しい。

それにしても、
田子重小川店の顧客からの信頼は凄かった。

一番大切なのは、
この顧客のロイヤルティである。

その意味で田子重は、
日本を代表する地域密着型の、
スーパーマーケットである。

〈結城義晴〉

2025年03月18日(火曜日)

ブルーチップの「乾燥野菜」とDodgers大谷翔平・山本由伸の「躍動」

午前中は東京・小平。

第一屋製パン㈱本社と小平工場。IMG_1208 (002)

3月の取締役会。

10年間、社外取締役を務めてきたが、
次の株主総会で退任することになった。

細貝理榮名誉会長からご指名いただいて、
及ばずながら非常勤の役員になった。

私なりの役割を、
担うことができたのだろうか。

私自身の勉強にもなった。

ほんとうに感謝したい。
ありがとうございました。
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役員会が終わって、
横浜の商人舎オフィスに戻る。

夕方の4時に、
ブルーチップ㈱の皆さんが来社。IMG_3767 (002)
奥がおなじみの宮本洋一社長、
左は新規開発部長の平野一郎さん。
右は新規開発部長代理の谷﨑誠一さん。

真ん中はパートナーの杉村壽哉さん。
杉村さんは元サンヨー食品販売副社長。
開発や営業のプロフェッショナル。
とくに乾燥野菜の知見は深くて広い。

その杉村さんを中心に、
新規開発部が開発した商品が、
「いろんな料理をおいしくする具」
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日本のコストコ全店の定番アイテムとなって、
この8カ月間で驚くほどの売上げを示す。
まさに製造が間に合わないほど。

この商品の背景から開発経緯など、
杉村さんから教えてもらって感動した。

このあと懇親会。
勢いに乗っていろいろアドバイスもした。

実に奇跡的な商品で、
これからが楽しみだ。

さて、MLB2025シーズンの開幕戦。
東京ドーム球場で開催された。

ロサンゼルス・ドジャースと、
シカゴ・カブス。

家に帰ってからビデオで見た。

ドジャースは、
大谷翔平が1番指名打者。
山本由伸は先発投手。

カブスは、
鈴木誠也が2番指名打者、
今永昇太が先発投手。

凄いことだ。

大谷は初回の第1打席でセカンドゴロ。
3回の第2打席はセカンド正面のライナー。
この二度の対決は今永が大谷を抑えた。

投手が変わって5回は、
1死一塁でライト前に鋭い初ヒット。
逆転のホームインをした。

6回の第4打席は空振りの三振。

3対1で2点をリードした9回は、
第5打席でライトへ二塁打。
そして4点目のホームを踏んだ。スクリーンショット 2025-03-19 035619

今日は5打数2安打、2得点。
1番打者としての責任を果たした。

山本は直球が格段に早くなった。
最速97マイル(156キロ)。
5回を3安打1失点で勝利投手。
スクリーンショット 2025-03-19 035906

今永は被安打ゼロ。
1本もヒットを打たれなかった。
いい投球をしたが4四球を出して、
4回に69球で降板した。

それでも威力のある球を投げた。

鈴木は4打数無安打。
いわゆる4タコ。

しかしバットは振れていた。

いいゲームだった。
5対1でドジャースの勝利。
これから長いシーズンが始まる。

日本のプロ野球は、
だらだらしているという印象を、
あらためて感じさせられた。

鳴り物がないのがとてもいい。

打球の音、投球と捕球の音、
スライディングの音が球場に響く。

これがベースボールの醍醐味だ。

大谷翔平や山本由伸だけでなく、
私自身も充実した1日だった。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2025年03月17日(月曜日)

糸井重里の「35歳から50歳までに道は二手に分かれる」

Everybody, Good Monday!
[2025vol⑪]

2025年第12週。
暑さ寒さも彼岸まで。
春の彼岸の週。

今日17日の月曜日が彼岸の入り、
20日の木曜日は春分の日。
23日土曜日が彼岸の明け。

彼岸商戦はつつがなく成果を上げたい。

ずいぶん日が長くなってきた。

東京の日の入りは、
昨日の16日が午後5時49分、
今日17日の日の出が午前5時49分。

今日あたりが昼と夜の時間が同じになる。

嬉しいかな、
気分が晴れる。

今日は午前11時からランチを挟んで、
夕方、3時過ぎまで編集会議。

そのあとも4時過ぎまでミーティング。

つくづく感じたことは、
実際に向かい合って話すのが、
一番いいということだ。

メールで連絡を取り合うのは、
補完的に使うのがいい。

オンラインも便利だけれど、
リアルに接することに比べると、
成果はずっと少ない。

懸案の問題が次々に解決されていって、
実に爽快な気分になった。

いい仕事が形になりつつある。
みんな、ありがとう。

さてほぼ日の糸井重里さん。
毎日のエッセイ「今日のダーリン」
その3月15日版。スクリーンショット 2025-03-18 014407

「人は、35歳から50歳までの間を、
なんだったらほとんど同じ調子で
生きられるんです」

ん~、面白い。

「0歳から人はずっと成長し続けて、
だいたい25歳くらいまで
目に見えて大きくなります」

「心身ともに、
赤ん坊から大人になっていく25年です」

「で、35歳くらいになると、
子どもの背丈じゃないけれど、
その人が伸びるところについては、
だいたいの目処がついて、いちおう、
『その人』の完成形みたいなものが仕上がります」

納得。

私は36歳のときに、
編集長になった。

それが結城義晴の「完成形」みたいなものだった。

「そこから、そのときの実力のままで、
50歳くらいまでなんとか生きられます」

「見た目はそれ相応の
年の取り方をしていきますが、
35歳のころの力のままで
行けちゃうんですよね」

ここからが大事。

「だけど、
この35歳から50歳までの15年間に、
実は、道は二手に分かれるように
思うのです」

「”だいたいこれでいい”と
止まってしまう人と、
“まだ先はあるけど、
なにができるだろう”と思う人に」

ん~。
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「ほんとうは、
『まだ先はある』が現実なんですが、
それを意識しないでも
50歳くらいになれるから、
2周目の人生が来ないままの人も
大多数になります」

みなさんはどうだろう‽

糸井さんの意見。
「2周目の人生を
おもしろく生きている人たちは、
35歳くらいの『完成形』の先で、
挑戦してるというか、
なにかと変化をし続けているように
見えるんです」
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糸井重里、自問する。
「おまえはどうだったんだ‽」と訊かれたら、
「ぼくは、いろんな偶然が重なって、
35歳から50歳は、
じたばたせざるを得なかったと思ってます」

「そのおかげで、50歳から後の
2周目がおもしろくなった。
運がよかったということのようにも思えます」

「おまえはどうだったんだ‽」
結城義晴に聞かれたら、
36歳で編集長になって、
必死の思いで仕事した。
そうしたら50歳のときに社長になった。

私の場合、社長は編集長の続きだった。
ただし会社は大きな問題を抱えていた。
それを解決せざるを得なかった。

ここでじたばたした。

そして問題を解決しかけた時に、
突然、社長を首になった。

そこでまたじたばたした。
すると「押す力と引く力」が作用した。

自分の会社をつくった。
大学院の教授になった。
産業内大学の副学長になった。

それまでと違う人脈、
異なる仕事をした。

自分の力ではない。

糸井さんと違って、
50くらいから、
「じたばた」しどおしだった。

糸井さんの結論。
「35歳くらいの『完成形』の時期から、
惰力で生きていくには、
その後の時間は長すぎるんでね」

「35の2倍生きても、まだ70なんだ。
あまりにも長いだろう‽」

そうそう。
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そしてまだ、70歳には、
次がある。

私はそう考えている。

「じたばた」したほうがいいよ。
疲れるけれど。

「艱難は商人を鍛える」
私は最近、そう言い換えている。

では、みなさん、今週も、
したばたしよう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2025年03月16日(日曜日)

ラジャン教授の「同じ間違いを繰り返す一方、 新しい過ちも犯す」

雨の日曜日。
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もうすぐソメイヨシノが開花する。

今はこれが満開。
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モクレン。
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コブシとよく似ているが、
コブシの花はやや小ぶりで横に広がり、
花びらが完全に開く。

モクレンの花は上向きに開く。
大きな花びらは完全に開くことはない。
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木蓮に夢のやうなる小雨哉
〈夏目漱石〉

日経新聞電子版の「時論・創論・複眼」

シカゴ大学大学院の、
ラグラム・ラジャン教授。
警告を発する。

1963年、インド生まれの62歳。
2013年から2016年まで、
インド準備銀行(中央銀行)の総裁を務めた。
金融論、銀行論が専門の経済学者。
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2003年、フィシャー・ブラック賞受賞。

2005年、後の米住宅バブルの崩壊を警告し、
2007年の世界的な金融危機を予見した。

2011年、米国ファイナンス学会会長。
2013年ドイツ銀行金融経済賞受賞。

トランプ政権をどう見るか。

「新しい手法を試そうとの姿勢だろうが、
保護主義などはごく古い策で、
皆にとって害になることを
あらゆる研究が示している」

「今日の製造業の雇用喪失は、
オートメーション(機械化)が主因だ。
関税で製造業を守っても、
機械が米国内で仕事をするだけだ」

関税は雇用の回帰には全く効果がない?

「第1次トランプ政権の、
鉄鋼関税をめぐる研究では、
1人分の雇用を生むのに、
50万〜100万ドルかかった。
わずかに雇用が増えても
費用対効果は見合わない」

「現実には電気自動車や電池といった分野では、
中国の技術が米国をしのいでいる。
中国企業が国内で激しく競争した結果で、
学ぶべきだ」

関税による保護は米競争力を削がないか。

「インドでまさに起きたことだ。
関税を課すたび生産効率が落ち、
関税措置の継続や強化を強いられる、
悪循環に陥る」

産業は鍛えられねばならない。

「関税を使うなら特定産業が一息ついて、
追いつくための時間稼ぎと位置づけ、
恒久的な補助器具にしてはいけない」

関税の引き上げはインフレの沈静化を阻むのか。

「製品にコストを上乗せする関税は
理論上インフレ要因だが、
それ自体の影響は限られる」

「関税引き上げに伴う値上げが
一度きりならインフレの持続と言えず、
米連邦準備理事会(FRB)も看過するはずだ」

「だが関税引き上げが繰り返され、
これによりインフレ期待が高まったり
賃上げの要求が強まったりすれば話は別だ」

「長期的には、
米国への生産移管に伴うコスト増や、
外国製品との競争が和らいだ企業の賃上げ、
といった要因も考慮する必要がある」

トランプ政権は減税の公約をした。

「過去の減税を続けるだけなら、
景気刺激にはならない。
だがチップ収入や社会保障に絡む免税など、
他の措置を上乗せすれば、
景気を刺激し物価上昇の要因となる」

「連邦準備理事会が、
インフレ抑制に取り組むなか、

正反対の政策をとるのは、
マクロ経済政策面からご法度だ」
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米国の国際経済・貿易の課題は?

「米国が自由貿易に背を向けたのは
トランプ氏のせいだけでなく、
『他国にだまされ競争力を失った』と
国民が信じたためだ」

「この現象は米国で定期的に起きる。
1980年代には日本が世界の製造業を支配し、
米国は魅力ある製品を作る力を失ったと思われた」

「だが米国はiPhoneやテスラを開発し、
AIも発展させた」

「米国は製造業だけでなく、
サービス業でも
競争力をもつことを

自覚すべきだ」

これは私たちが実感することでもある。
アメリカはサービス業の国だ。

「無理に太陽電池を作る必要などない。
AI分野で世界一であり続ければ、
十分なビジネスを維持できる」

「保護主義への幻想が去れば、
おのずと何をすべきかは見えてくる。
その後、自らの技術革新の力を信じ
前に進めばいい」

「問題の本質は米国の人々が
技術変化にうまく対応できるかだ」

私たち日本人にも同じことが言える。

今、2007年のような危機の芽は見えるか。

「経済には常に脆弱な部分がある」

「問題はそれらが重なり大きな破滅を招くかだ。
何がどう危機を生むか予想は難しい」

「前回の震源地となった
低所得者向けのサブプライムローンも、
誰も注目していなかった」

「規制緩和の動きには注意したい」

「焦点はこれが
高水準の資産価格を一段と押し上げ、
レバレッジ(てこの原理)を高めないか。
この両者は常に危機の源泉となる」

「前回の金融危機から17年がたち、
人々の気も緩んできた。
当時を知らない教え子らも
投資銀行などで働いており、
記憶の忘却という問題も生じる」

「危機の記憶が次世代に引き継がれなければ、
同じ間違いは、
繰り返される危険がある」
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西村博之コメンテーター。
「過ちが繰り返されるのには理由がある。
自国産業を守るのに関税を課すとの主張は、
直感に訴える。
規制撤廃で経済が潤うとの理屈もそうだ」

「そこに潜むコストやリスクに、
痛い思いをした後に気付いても遅い。
教訓は、なぜ生かされないのか」

ラジャン教授。
「我々は同じ間違いを
繰り返す一方、

新しい過ちも犯す」

残念ながら人間の営みに、
夢のような小雨は降らない。

〈結城義晴〉

2025年03月15日(土曜日)

茨城ゴルフ俱楽部の「有無」像と大谷翔平の「無心の本塁打」

ゴルフ「立心の会」。

今日は名門・茨城ゴルフ倶楽部。IMG_1166 (002)

クラブハウス横の彫刻。
山崎正義作「有無」
IMG_1162 (002)
ゴルフの神髄は「無心」にある。
有の心を静め、
無の心で臨む。

Outはそれができたが、
Inはできなかった。

如実にスコアに表れた。

中村博さんと山本慎一郎さん。IMG_1165 (002)
茨城ゴルフ俱楽部西コースは、
カートが導入されていない。

だから全ホールを徒歩でラウンドする。
ゴルフの王道だ。

私は1万9000歩を超えた。

それでも一打を打ってから歩くと、
その間に考える。

この考えるタイミングが、
ゴルフというスポーツに適している。

プロはカートに乗らない。
歩き続ける。

そして打つ。

そのとき優れたプロは「有」の心を静める。
それがゴルファーを「無心」に導き、
集中した「一打」が放たれる。

仕事も同じだ。

経営も同じだし、
政治も同じ。

石破茂に「有」の心が生まれた。

いや「有」の政治世界に育って、
当たり前の感覚になっていた。

それは今の時代には許されない。
恩師と仰ぐ田中角栄の全盛期とは違うのだ。

さて、メジャーリーグベースボール。
ドジャースとカブスが来日している。

開幕シリーズが来週の火曜と水曜に開催される。

そのプレシーズンゲーム。
球場は東京ドーム。

いつもメジャーの試合をテレビで見ているから、
東京ドームがひどく狭く感じられた。

昼のカブス対阪神タイガース戦。

カブスの鈴木誠也は2番・指名打者。
二松學舍付属高校から広島東洋カープへ。
2019年と2021年にセリーグの首位打者。

大リーグ3年間で本塁打55本、
通算打率2割7分8厘。

30歳になった。

立派なメジャーリーガーだ。

このゲームも7回に、
バットを降りながらレフト前ヒットを放った。

阪神は先発投手の門別啓人(もんべつけいと)が、
5回を無安打無四死球無失点。
わずか55球の完全投球で勝利投手。

北海道出身の20歳。
2022年ドラフト2位の左腕。

阪神が3対0で勝利した。

期待が持てる。

夜のゲームは、
ドジャース対読売ジャイアンツ。

大谷翔平が1番指名打者で先発出場。
紹介の必要はないが鈴木と同じ30歳。

巨人の投手はエースの戸郷翔征(とごうしょうせい)
宮崎県都城市生まれ、
聖心ウルスラ学園高校出身。
2018年ドラフト6位の24歳。

エキジビションマッチだったが、
ドジャースが5対1で快勝。

3回に新加入のマイケル・コンフォートが、
見事なホームラン。
2014年ドラフト1巡目で、
ニューヨークメッツ、
サンフランシスコジャイアンツを経て、
今年、ドジャースに加わった。
32歳の外野手。

活躍するだろう。

それから2打席目の大谷。
スクリーンショット 2025-03-16 102437

低め外側の球を救い上げて、
ツーランホームラン。
スクリーンショット 2025-03-16 102622
このシチュエーションでよく打てるもんだ。

その後、テオスカー・ヘルナンデスも本塁打。
ドミニカ出身、32歳の外野手。

これで一挙に5得点。

ドジャースの投手陣は、
抑え投手を並べたブルペンデー。

大谷は2打数1安打2打点、1四球。
8回に退いたようだが、
私は昼間の疲れでうたた寝していた。

それにしても、
大谷翔平のライトスタンドへの放物線。
「久々に帰ってきたなっていう感じがしたので、
いいゲーム、いい打席だったと思う」
淡々と語った。

大谷は「無心」を心得ている。

以て自戒とすべし。

〈結城義晴〉

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