昨日から二十四節気の「霜降」。
露が冷気によって霜となって降り始めるころ。
次の節気はもう「立冬」
セブン&アイ・ホールディングスが、
投資家向けの事業説明会を開催した。
もちろんオンライン。
井阪隆一社長が、
2030年段階の年商30兆円ビジョンを披露した。
2030年度には、
世界で30の国・地域でコンビニの店舗展開をする。
店舗数は10万店に達する。
といってもこれはグループ売上高である。
世界の全加盟店の売上高を合計した数字だ。
決算上の営業収益ではない。
最新の24年2月期のグループ売上高は、
17兆7899億円である。
だから30年度までの6年間で、
12兆円強の増益を目指す。
何といっても中核となるのが、
日本国内のセブン-イレブン・ジャパンと、
米国のセブン-イレブン・インクだ。
前者は9月から270品目をディスカウントした。
加盟店にも評判は良くない。
セブン-イレブンの本質から外れた。
一度、ディスカウントすると、
元には戻れない。
そしてアメリカのコンビニと同じ道を歩む。
この10年ほどセブン-イレブンは、
商品のレベルが落ちた。
「底上げ弁当」などと揶揄される。
このところの月次成績でも、
ファミリーマートとローソンは、
前年比でプラスだが、
セブンだけがマイナスだ。
これを食い止めねば、
「30年30兆円」など、
絵に描いた餅だ。
井阪さんは2030年まで、
社長の任を担うつもりなのだろうか。
第9期も残すところ2講座となった。
今日のオペレーションマネジメント。
そして11月のマーケティングマネジメント。
1月には論文考査と修了式。
カリキュラムはマネジメント体系に基づく。
4月にミッションマネジメント。
5月にヒューマンリソースマネジメント、
7月にフィナンシャルマネジメント。
9月には商人舎ミドルマネジメント研修会、
課外受講。
9期生の学習もいよいよ佳境に入る。
学んだことをすぐに実践する受講生も多い。
それがうれしい。
オペレーションマネジメントは、
スーパーマーケットにとって、
もっともリアリティのある領域だ。
もっとも多くの人間がかかわるのが、
オペレーションである。
英語のOperationは、
病院では「手術」を意味する。
外科手術はサージカル・オペレーションと呼ばれる。
だから略して「オペ」と言う。
チェーンストアの現場の作業システムは、
医療の手術と同じ重みをもつ。
まずアメリカの製造業で、
プロダクトマネジメントが生まれ、
進化した。
根本思想は標準化、単純化、専門化の3Sである。
それが同時期に発展していたチェーンストアに導入された。
そしてレイバースケジューリングプログラムとなった。
これがオペレーションマネジメントの前段。
LSPの概論までを講義した。
その内容は、
商人舎ミドルマネジメント研修会で、
高野保男講師によって既に講義されている。
テーマは
「生産性向上」「コスト意識」の重要性。
万代の売上げと利益構造、
営業利益率の数値目標、
それを達成するための具体的な取り組みを
現場に即してわかりやすく講義してくれた。
秀逸の講義だ。
商品部と運営部の役割、
そのうえで実際の現場の画像を見せながら、
作業の課題や改善点を指摘した。
全員が会社の方針を理解し、
やる気を出す講義だった。
第3講義は竹中天志さん。
フラッグショップ塚口店の店長、
万代カレッジ第1期生だ。
店長として1店舗を運営するうえで、
オペレーションマネジメントがいかに大事かを強調。
PDCAを前提に、
竹中さんはOODA LOOP(ウーダループ)を使う。
OODAとは、
O=オブジェクト(観察)
O=オリエント(状況判断・方向付け)
D=ディサイド(意思決定)
A=アクト(行動)
PDCAで計画的な行動をし、
OODA PLANによってスピード感を生み出す。
竹中さんが強調すること。
それは「目標」。
その目標を全員で共有すること。
これによって、
オペレーションマネジメントを遂行する。
ドラッカーの「目標管理」そのものだ。
竹中さんの講義は、
9期生のモチベーションを高めてくれた。
すばらしい内容だった。
私はとてもうれしかった。
昼食は近所のラーメン店で、
ちゃんぽん麺。
いつも本社1階の渋川店の弁当を食べるのだが、
渋川店は今日から1カ月かけて大改装。
オーケー関西1号店が11月26日にオープンする。
それを迎え撃つ。
製造業の生産管理が教えること。
ウォルター.A.シューハートは、
品質管理の特殊原因と共通原因によって、
品質のマネジメントの体系を示した。
ウィリアム.E.デミングは、
バラツキをなくすこと、
すなわち標準化のエッセンスを教えた。
6つのガイドラインとマネジメント14の原則。
大野耐一の「トヨタ生産方式」と、
ジャストインタイム方式は、
いつもスーパーマーケットに寄り添っている。
「なぜ」を5回、問い直せ。
現在の能力=仕事+ムダ
どんなにスキルがアップしても、
能力にはかならずムダが潜んでいる。
それを消し込んでいくことが、
生産性向上の本質である。
第三期中期経営計画に基づいて、
サプライチェーンマネジメントに対する、
最新の取り組みを紹介してくれた。
ロジスティックとグローカルソーシング、
店舗へのラストワンマイルまで、
中筋さんらしい丁寧な講義だった。
テーマは「生産性向上とサービスレベルの向上」。
学んだことから何をなすべきかを議論。
その後、各班の発表。
これに和久さんと私が寸評する。
和久さんの指摘は的確で厳しい。
最終講義は結城義晴。
今、万代は正念場を迎えている。
この状況の中で将来をつくるのは、
現場を担う人々だ。
先輩たちがつくってくれた関西トップの現状を、
一段と改革するのは「君たちだ」。
そしてその武器は、
オペレーションマネジメントである。
万代イムズの本質を説き、
和久さんらしい檄を飛ばした。
講義と議論、発表。
サプライチェーンマネジメントは、
9期生たちにとって、
身近で喫緊のテーマだ。
学んだことを自身の現場で実行する。
それを望みたい。
充実した講義の一日だった。
〈結城義晴〉