結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年10月11日(金曜日)

日本被団協のノーベル平和賞とファストリと良品計画の本決算

Japan’s Nihon Hidankyo won 2024 Nobel Peace Prize.
日本原水爆害者議会が、
ノーベル平和賞を受賞した。

日本被団協。
世界でもNihon Hidankyoとして通じる。

ヨルゲン・ワトネ・フリドネス委員長。
新たなノルウェー・ノーベル委員会のトップ。

「日本被団協と被爆者の代表らによる
並外れた努力は『核のタブー』の確立に
大きく貢献してきた」

授賞理由は「核のタブー」の確立への貢献。
「人類の歴史で今こそ、
核兵器とは何かを思い起こす価値がある」

「被爆者の証言を聞くべきだ」

フリドネス委員長は、
被団協のシンボルの折り鶴のイラストを、
スマートフォンに表して示した。

意義のあるノーベル平和賞である。
厳粛な気持ちで受け止めたい。

1982年6月、ニューヨークの国連本部で、
故山口仙二さんが演説した。
日本被団協の代表委員。
〈西日本新聞より〉
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被爆者として初めてのスピーチだった。

「命のある限り、
私は訴え続けます。
ノーモア・ヒロシマ
ノーモア・ナガサキ
ノーモア・ウォー
ノーモア・ヒバクシャ」

日本被団協は1956年に結成され、
二度と被爆者をつくってはならないと訴えてきた。

その成果は2017年7月、
核兵器禁止条約として成就した。

国連で122カ国・地域の賛成で採択された。

2021年1月に発効し、
批准国・地域は70を超える。

しかし、核保有国は参加していない。
アメリカ・中国・イギリス・フランス・ロシア、
およびインド・パキスタン・北朝鮮。

それにNATO加盟国、
および日本、オーストラリア、大韓民国。

アメリカの核の傘の下にあるという理由だ。

しかし2021年10月にノルウェー、
同11月にはドイツがオブザーバー参加を決めた。

被団協は日本もドイツと同じように、
オブザーバー参加することを求めている。

世界には約1万2000を超えるNuclear Weaponsがある。

一方、被爆者健康手帳を持つ人は10万6825人。
平均年齢は85.6歳。
超高齢化が進む。

ノーベル平和賞は、
ほんとうに意義のあるものだ。

静かに感動した。

さて日本小売産業では、
中間決算や本決算の発表が続く。

商人舎流通Supernews。

ファストリnews|
「年商3兆円超」の12.2%増・営業利益31.4%増

㈱ファーストリテイリングは8月本決算。
3兆円の大台を超えた。

売上収益3兆1038億円、前期比12.2%増。
営業利益は5009億円、31.4%増。
税引前利益は5572億円、27.2%増。

売上収益に対する営業利益率は16.1%。

大幅な増収増益、過去最高実績。

2月期決算でセブン&アイ・ホールディングスが、
営業利益5342億円だったから、
ファーストリテイリングは2位となる。

2025年2月期は下方修正して、
営業利益4030億円としている。

だからファーストリテイリングが、
日本小売産業の利益トップの企業となる。

衣料品の専門店チェーンが利益トップ。
凄いことだ。

柳井正さん。
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毎朝5時に起きて、
6時には出社する。

15分刻みでミーティングをこなし、
3時か4時には帰宅する。

夜は本を読み、パソコンを見る。
酒は飲まないし、
夜の会合にも出ない。

週末は必ずゴルフ。

ストイックに仕事に集中する。

良品計画news|
年商6617億円13.8%増・経常利益54.3%増

㈱良品計画も8月期本決算。

営業収益6617億円、13.8%増、
営業利益561億円、69.4%増、
経常利益558億円、54.3%増。

2ケタ増収大幅増益。

営業利益率は8.5%、経常利益率は8.4%。

良品計画は11月23日付けでトップが交代する。
清水智取締役副社長が代表取締役社長に就任。
プロパーの50歳。

プロパーの金井政明会長は顧問に退き、
ユニクロ副社長から転じた堂前宣夫社長は、
代表権のない取締役会長に就任する。
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こちらも盤石の態勢だ。

柳井正の考え方は正しい。
それを良品計画が示している。

それは、
店は客のためにあり、
店員とともに栄える。

ベルクnews|
第2Q営業収益1897億円11.5%増・経常利益92億円3.2%減

㈱ベルクの2024年2月期第2四半期決算。
営業収益1897億円、11.5%増。
営業利益90億円、2.3%減。
経常利益92億円、3.2%減。

増収減益。

営業利益率4.8%、経常利益率4.9%。

「前年の高いハードルを背景に、
増収減益の結果になった」

前期は食品値上げの強い追い風で、
営業利益30.4%増、経常利益31.2%増だった。

今期の減益も納得できる。
つまりベルクの好調は続いている。

原島一誠社長、意志を貫徹している。
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さてさてお約束の、
月刊商人舎10月号。202410_coverpage

特集は’24OSD。
「オー・エス・ディー」
Outstanding Store Development。

際立つ店舗開発と店づくり。
それがチェーンストアの成長を支える。

もちろんユニクロや良品計画のように、
商品こそが原動力であることは論を待たない。

商人は英語では、
Merchantと表現するくらいだ。

10月号の内容報告は明日へ。

最後に、
No More Hibakusha。

これだけは私たちの責任として、
心に刻みたい。

〈結城義晴〉

2024年10月10日(木曜日)

商人舎11月号「’24OSD」とセブン&アイ上期決算の「決断や良し!」

嬉しいことがふたつあった。

このところずっと、
小言幸兵衛だった結城義晴。

久しぶりに気分がよかった。

一つは㈱セブン&アイ・ホールディングスの、
第2四半期決算説明会。

これはあとで書こう。
大方のマスコミとは全く違うことを感じた。

もう一つは月刊商人舎10月号発刊。
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特集は、
’24OSD
スーパーマーケットの成長を決定づけるもの202410_coverpage
OSDとは、
Outstanding Store Development。
「卓越した店舗開発と店づくり」

[Cover Message]
自動車メーカーの成長は「新車」で決まる。だから自動車雑誌の売れ筋号は各社の「新車」発表の号だ。トヨタもホンダも日産も、メルセデスもBMWもフォルクスワーゲンもフェラーリも、GMもフォードも新車開発に全力を注ぎ込む。小売業やチェーンストアの「新車」は「新店」である。その店舗開発と店づくりがその後の成長を決定づける。クッキーカッター型の標準化店舗を次々に出店していく場合には、プロトタイプ店舗がそれを担う。しかし都心部やサバブに出店するケースが増えてくると、店ごとにイレギュラーな要件を受け入れねばならなくなる。だから店ごとにその段階で最高の技術を導入し、さまざまな工夫を凝らす。そしてどちらの場合にも、最新のマーチャンダイジングと最新のサービスを盛り込む。2024年の日本の先進スーパーマーケット・チェーンのエクセレントな「新店」をご覧に入れよう。Outstanding Store Developmentの諸相、すなわち’24OSDである。

目次。
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ヤオコーとロピア、
万代とサミット。

堪能してください。

10月号とOSDについては、
明日のブログでもう一度、説明しよう。

Message of Octoberは、
「自分の色を出せ。」

これも明日のブログで。

さて、
セブン&アイ第2四半期決算説明会。
登場は4人。
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オンライン開催だけ。

それでも電話回線をつなぐ方式をやめてくれた。
ZOOMを使ったウェビナー。

それは改善された。

まず、丸山好道さん。
セブン&アイ取締役常務執行役員。IMG_6943 (002)

こちらは商人舎流通Supernews。

セブン&アイnews|
第2Q営業収益6兆0356億円8.8%増・経常利益22.4%減

営業収益6兆0355億円(対前年増減率8.8%増)、
営業利益1870億円(22.4%減)、
経常利益1672億円(26.3%減)、
四半期純利益522億4200万円(34.9%減)。

増収減益。

これはイオンと同じ。

営業利益率3.1%、経常利益率2.8%。

あのイトーヨーカ堂、
あのセブン-イレブンが、
合わせても並みの会社になった。

主要事業会社の今期の営業利益を修正した。
左が修正前、右が修正後。
アメリカのセブン-イレブン・インクが、
3204億円と下方修正。
セブン-イレブン・ジャパンも、
2400億下方修正。
イトーヨーカ堂とヨークベニマルは変わらず。

つまりコンビニ事業が日米とも、
苦難の道を歩んでいる。

それでも日本小売業で断トツの営業利益だ。IMG_6947 (002)

そして松永文彦セブン-イレブン・ジャパン社長。
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国内セブン-イレブンの立て直しこそ、
可及的速やかに解決せねばならない問題だ。

永松さんの話を聞いても、
明快な答えは見つからない。

ジョセフ・デピント7‐Eleven, Inc. CEO。IMG_6955 (002)

米国セブン-イレブンも、
業態ナンバー1企業でありながら、
不安定な経営だ。

その理由の説明は完全には納得できない。

しかしここは鈴木敏文イズムに戻ればいい。
現時点で米国コンビニのトップチェーンである。

いかに戻れるか。

日本の腕利きが現地に入って、
地道に立て直すべきだろう。

そして最後に、
井阪隆一代表取締役社長。IMG_6969 (002)

全体戦略を語った。

グループ構造の最適化の案を決断した。

コンビニ事業を、
セブン-イレブン・コーポレーション(仮称)にする。
日本のセブン-イレブン・ジャパン、
米国のセブン-イレブン・インク、
世界のセブンーイレブン・インターナショナル。

その他の事業を、
㈱ヨーク・ホールディングスにする。IMG_6972 (002)

セブン銀行は独立企業となる。

昨日の日経新聞の報道は、
ネーミングの変更に偏っていて、
正確ではなかった。

私もそれに引っ張られて、
勘違いした。

お詫びしよう。

それでも㈱ヨーク・ホールディングスに、
コンビニ以外の会社をまとめる。

イトーヨーカ堂、
ヨークベニマル、
シェルガーデン、
それからロフト、赤ちゃん本舗、
セブン&アイ・フードシステムズ、
セブン&アイ・クリエイトリンク、
その他24社。
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商人舎流通Supernews。
セブン&アイnews|
中間持株会社「ヨーク・ホールディングス」設立

この会社は10月11日に設立する。
素早い。

なぜか。

社員・従業員の気持ちを考えたから。

とてもいい。

今日の決算記者発表の前に、
イトーヨーカ堂では店長会議が開催されて、
このヨーク・ホールディングスの説明が行われた。

これもとてもいい。

社員に先に知らせるべきだ。

いいぞ、いいぞ。

そしてすぐに会社設立。

新しいイトーヨーカ堂グループの出発だ。

私はこれがうれしかった。

そしてスライドの左下に、
小さく文字が書かれている。
私はそれを見逃さなかった。

「*創業家との共同投資の可能性を含む」

おう。

伊藤家が出資して、
そこに投資を募って、
イトーヨーカ堂グループを再編する。

伊藤順朗さん、
わかってくれていた。

伊藤雅俊さんのお孫さんの、
伊藤弘雅さんは今回、
社内に向けて熱いメッセージを発した。

弘雅さんはヨークベニマルで修業し、
昨年9月からイトーヨーカ堂取締役商品本部長。

これまでのセブン&アイの経営は、
井阪さんをはじめとする、
セブン-イレブン出身者で占められていた。

伊藤順朗さんもセブン-イレブン出身だ。

今度のヨーク・ホールディングスは、
イトーヨーカ堂やヨークベニマルの出身者が主体となる。

伊藤順朗さんは代表取締役会長だ。

井阪さんもコメントしていた。
「今回は伊藤(順朗)とも、
なんどもじっくり話し合って決めた」

それがよかった。

私は何度も書いた。

セブン-イレブンは工業の論理で。
インダストリアリズム(産業)の理屈で。

イトーヨーカ堂は商人の論理で。

もちろんヨーク・ホールディングスは、
商人の論理、企業の論理、
そして新しいチェーンストアの論理で、
会社を再建していく。

このところのイトーヨーカ堂の施策は、
間違いだらけだったと思うけれど。

それでも幹部・社員・従業員が一体となって、
伊藤雅俊と大髙善雄の考えを実践してほしい。

それを私も望んでいる。

新しいセブン-イレブン・コーポレーションには、
ほんとうに大変な道が待っている。
しかしこちらは、
海外から超大物の実力者をスカウトして、
世界企業の道を歩むべきだ。

ヨーク・ホールディングスは、
こちらも前途多難ではあるが、
全員の知恵と力を結集して、
現場力を上げていってほしい。

それを私は望みたい。

〈結城義晴〉

2024年10月09日(水曜日)

イオン中間決算「最高営業収益/減益」とセブン&アイの社名変更

日本国国会。

党首討論をしたあと、
衆議院解散。

総選挙に突入する。

10月15日公示、27日投開票。

イオンの第2四半期決算説明会。

東京の大手町サンケイプラザ。IMG_6924 (002)

リアル決算説明会には、
ジャーナリスト、アナリストが集まった。
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山本恭広編集長が現地に行った。

私は横浜商人舎オフィスでオンライン参加した。IMG_6914 (002)

壇上に三人の幹部が並ぶ。
江川敬明執行役財務・経営管理担当(左)、
吉田昭夫代表執行役社長(中)、
四方基之執行役戦略担当(右)。IMG_6906 (002)

江川さんが四半期決算の結果を説明した。
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吉田さんが今後の戦略を語った。IMG_6927 (002)

商人舎流通Supernews。

イオンnews|
第2Q営業収益4兆9994億円6.1%増/売上高過去最高も減益

営業収益4兆9994億円、前年同期比6.1%増。
これが4期連続の過去最高。
全事業で増収を記録。

営業利益986億円(16.2%減)。
過去最高を記録した前期に次ぐ水準。
売上総利益率の低下と販管費増により減益。

経常利益898億円(19.7%減)。
四半期純利益54億8800万円(76.5%減)。

つまり増収減益。

吉田昭夫社長。
「前年同時期に業績をけん引した小売事業が、
価格強化戦略をとったため、
売上高と客数を伸ばすことができたが、
人件費など販管費増加分を吸収できなかった」
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江川さんも吉田さんも、
実に丁寧に正直に実情を語った。

その後、質疑応答となった。

吉田さんと江川さんがすでに話したことを、
「また聞くのか?」といった質問が多かった。

それにも丁寧に言葉を変えつつ話してくれた。

気になること。
質問者がいろいろ聞いた後で最後に、
「教えてください」と言う。

へりくだった印象を出したいのだろうが、
ジャーナリストは教えを乞うものではない。

対等な関係で質問をするのがいい。

逆にある証券会社の人間の質問は、
一貫して高みに立っている印象で、
コンサル指導するような物言いだった。

しかも知ったかぶりの自説を披歴して、
全員の時間を奪った。

それも専門家ならば当たり前のような、
どうでもいい持論展開。

勝手に書いてろ!
勝手に喋ってろ!

そんな気になった。

酷かった。

それでも吉田さんは、
辛抱強く答えていた。
お疲れ様。
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最後に噂の真相のような合併話の質問が出た。
それも固有名詞を出して。

そんなことは決算説明会で聞くもんではない。
答えるはずはないし、答えられることではない。

私も年をとったのか、
小言幸兵衛のようになってきた。
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イオンの中間決算に対しては、
次の商人舎11月号で書かねばならない。

イオン全社員がもう少しだけ、
利益にストイックになるといい。

一方、
セブン&アイ・ホールディングス。

例によって日経新聞に、
上期決算の事前リーク記事が載った。

それは実際に決算説明会で聞こう。
明日の夕方、オンラインで行われる。

それとは別に日経新聞電子版に載ったのが、
「セブン&アイ、社名変更を検討」の記事。

日経系テレビ東京の夜の報道番組でも、
トップの話題になった。

イトーヨーカ堂を売却する検討をしている。

このこと自体もまだ明快ではない。
難題が残っている。

しかし売却が決まったら、
主力のコンビニ事業に経営資源は集中される。
そこで社名を変えるらしい。

社名変更の前にやることが山ほどある。
手順前後だ。

セブン&アイの社名は、
鈴木敏文前会長が決めた。

2005年9月、持ち株会社を設立したときに、
「新・総合生活産業」を目指して、
7つの主要な事業領域をもつ会社となる。
そのうえでイノベーションを進めるとか、
「愛」を表すだとか言われた。

7つのステークホルダー・エンゲージメントもある。
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「セブン」は鈴木敏文創業のセブン-イレブン、
「アイ」は伊藤雅俊創業のイトーヨーカ堂の頭文字。
大方の見方はそんなものだった。

そのセブン&アイの「i」をとって、
セブン-イレブン・ホールディングスにするか、
あるいはセブン・ホールディングスにするか。

いずれにしても「アイ」を削るらしい。

私の印象を先に言っておこう。

まず予測であろうとなかろうと、
日経新聞から出たのはよろしくない。

いつも言うけれど、
とくにイトーヨーカ堂の社員・従業員は、
いい気持ちはしない。

会社から事前に説明があって、
それが新聞や報道機関に載るのが順序だ。

もちろん社内に知らせたら、漏れる。
それが新聞に載る。

それはいい。

だが会社の名称変更は、
幹部や社員に一番最初に知らせるべきだ。

役員の誰かがマスコミにリークして、
そのあとで社員が新聞やネットで知るのはいけない。

それから余計なことだが、
「セブン-イレブン」という名称は、
アメリカのサウスランド社がつくったものだ。

とてもいいネーミングだとは思うけれど、
日本の企業の社名にするには、
何というかオリジナリティが不足している。
そこはよく考えなければならない。
時間をかければいい。

今のままでも悪いことはない。

思いついたら、
すぐ言いたがる。
黙っていられない。

子供じみている。
そんな印象だ。

また小言幸兵衛になってしまったが、
許せ。

〈結城義晴〉

2024年10月08日(火曜日)

寒露の日の「カスタマーハラスメント条例」と「攻撃的対策」

寒露です。

今日の関東地方は雨で、
余計に寒露を実感させてくれます。

膝の痛み訴へて来し寒露かな
〈村越化石〉

村越化石(むらこし かせき)は、
「魂の俳人」と称された。
1922年生まれ、2014年没。
ハンセン病と闘いながら句作を続けた。

寒露は膝の痛みが出てくるころだ。

東京新聞の一面コラム「筆洗」

「子どもがまだ
食っている途中でしょうが!」

ドラマ『北の国から』シリーズの一場面。
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子ども二人がラーメンを食べている。
ラーメン店の女性店員が閉店時間だからと、
器を下げようとする。

これに田中邦衛さん演じる父親が声を荒らげる。

邦衛さんを応援したくなるシーンだが、
コラムは「店員さんの方も気になる」

「閉店時間とはいえ、どうして
あんなに店を閉めたがったか」

「ひょっとして、この人にも夜、
一人で帰りを待っている子どもが、
いたりして…」

店員と顧客の関係。

全国初の条例が東京都議会で、
全会一致で可決、成立した。
カスタマーハラスメント防止条例。

この条例はカスハラを定義した。
「客から就業者に対し
その業務に関して行われる著しい迷惑行為で、
就業環境を害するもの」

そして規定する。
「何人もカスハラを行ってはならない」

運用にあたっては、
客の権利を不当に侵害しないよう
留意しなければいけないとしている。

ただし条例に罰則はない。
来年4月1日から施行される。

コラムは人をなるべく怒らない方法を教えてくれる。
「相手の生活や家族を空想すること」だそうだ。

「たとえば目の前の従業員が
どんなお正月を過ごすかを頭に浮かべる。
家族で笑っている光景か。
あるいは仕事で正月どころではないかも…。
なるほど、ちょっとは優しくなれるか」

顧客も従業員も対等。
それが本質だ。

リッツカールトンのクレド。
We are Ladies and Gentlemen Serving Ladies and Gentlemen.
私たちは、紳士淑女にご奉仕する紳士淑女です。

互いに紳士淑女であればいいのだが、
客の側が紳士淑女でないから困る。

月刊商人舎8月号特集。
「’24商売のヒント」
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「カスハラ」に対する基本方針を掲げよ!
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厚生労働省もカスタマーハラスメントを定義する。
「顧客や取引先などからのクレーム・言動のうち
社会通念上不相当なものであり、
その手段・態様により、
労働者の就業環境が害されるもの」

労働組合のUAゼンセンは、
「悪質クレームの定義と
その対応に関するガイドライン」を、
具体的に発表している。

(ア)社長をだせ、責任者を呼べ、上の者をだせのリピート
(イ)対応の悪さを執拗に指摘
(ウ)不快感を晴らすために、
叶いそうにない要求をあえてストレートに主張
(エ)文章をよこせ、一筆入れろとの請求
(オ)長時間の監禁
(カ)普通の顧客なら受け入れる対応を拒絶しつづける
(キ)店頭・事務所に居座り、大声で非難し、帰らない

UAゼンセンは、
「以上のような行為があれば、
悪質クレームの可能性が高い」としている。

このUAゼンセンのガイドラインをもとに、
小売企業が「カスハラに対する基本方針」を、
掲げる例も増えた。

東京都の条例には罰則はないが、
こういった小売業、サービス業側の、
カスハラ方針には味方をしてくれる。

月刊商人舎は最後に言い切る。
「カスハラ頻発と悪質化の時代には、
防御的政策では足りない」

「攻撃的対策が必須である」

「それが働く人たちの
人格と尊厳を守ることに
直結するからだ」

わが商人舎は、いつも力強い。

〈結城義晴〉

2024年10月07日(月曜日)

「スーパー総選挙」はヤオコーが首位/中間決算続々発表

Everyone, Good Monday!
[2024vol㊶]

2024年第41週。
10月第2週。

急に涼しくなりました。
明日は二十四節気の寒露。
「露が冷気によって凍りそうになるころ」

商人舎流通Supernews。

スーパー総選挙news|
第5回は1位ヤオコー/オーケー5連覇ならず

TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」が、
第5回「スーパー総選挙」を実施した。

私は聞いたことがないが、
作詞家でコラムニストのジェーン・スーが、
パーソナリティを務める番組。

リスナーが最高と思うスーパーマーケットに投票する。
第5回の投票総数は3万7155票。
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ヤオコーが1位を獲得した。
6581票。

2位はオーケーで5589票。
この企画が始まってから、
オーケーは四連覇していた。

ヤオコーが五連覇を阻止したことになる。
今後はマッチレースか。

3位はスーパーベルクスで、3752票。
頑張った。

4位がライフ(2793票)、
5位がロピア(1830票)。

6位に広島のフレスタが入って1645票、
7位は兵庫のスーパーマルハチ(1419票)。

このあたりは地元の人しか知らないだろう。

8位が神奈川のsanwa(1096票)、
9位は東京の文化堂(1066票)、
10位がこれも東京のコモディイイダ(948票)。

まあ、ラジオ番組の人気投票だから、
それなりのものだが、
ヤオコー、おめでとう。

[上場企業の中間決算]
続々と発表されている。

スーパーマーケット業態のチェーン。

ライフnews|
第2Q営業収益4219億円5.4%増・経常利益127億円1.1%減

ライフは増収減益。
営業利益率は2.9%と踏みとどまった。

ハローズnews|
第2Q増収増益/1033億円8.2%増・経常利益14.3%増

絶好調の増収増益。
営業利益も14.0%増で、
営業利益率5.6%と健闘。

総合スーパー業態の企業。

フジnews|
第2Q営業収益4017億円0.7%増・経常利益61億円12.7%減

今年の3月1日に㈱フジが存続会社となった。
㈱フジ・リテイリングとマックスバリュ西日本㈱を、
吸収合併した。

2024-2026年度の中期経営計画を策定、
2030年度の営業収益目標を1兆円と定め、
3つの基本戦略に取り組む。
⑴企業文化の確立
⑵既存事業の改革
⑶事業インフラの統合とシナジー創出

そのうえでESG経営を推進する。

フジも1兆円を視野に入れる。

平和堂news|
第2Q営業収益2080億円4.2%増・経常利益2.2%増の好決算

増収増益だが、
営業利益だけ減じた。

客数増加により売上高が増加。
戦略的価格設定で値入率が下がり、
粗利益率が低下した。

オークワnews|
第2Q営業収益1225億円0.9%増/経常利益61.8%減

何とか増収を果たしたが、
大幅減益。

全社を挙げて利益にストイックになるときだ。

サンエーnews|
第2Q営業収益1207億円5.1%増・経常利益94億円9.2%増

営業収益5.1%増、営業利益8.6%増、
経常利益9.2%増、四半期純利益5.8%増。

営業利益率7.6%も業界随一。
その調子だ。

一方、ドラッグストア業態の企業。

ウエルシアnews|
第2Q売上高6306億円3.2%増も経常利益22.2%減

増収減益で、
営業利益率3.0%。

タバコを取扱い中止して、
その分、売上げは減じたが、
営業収益は前期比3.2%増。

医薬品2.4%減、調剤8.4%増。
化粧品3.7%増、家庭用雑貨4.4%増、
そして食品が6.4%増。

8月末時点のグループ店舗数は2867店。

ツルハnews|
第1Q売上高2734億円5.2%増・経常利益151億円6.3%増

こちらは増収増益。
営業利益率5.5%。

8月末のグループ店舗数は2643店舗。
うち調剤薬局が940店舗。

スギnews|
第2Q売上高4138億円12.9%・経常利益18.4%の増収増益

スギホールディングス㈱は二ケタの増収増益。
絶好調。

営業利益率は4.9%。

ホームセンター業態の2社。

DCMnews|
第2Q営業収益2878億円16.5%増・経常利益12.6%増

二ケタ増収増益で絶好調。
営業収益16.5%増、営業利益18.3%増、
経常利益12.6%増。

営業利益率7.3%。

今年1月9日付で㈱ケーヨーを完全子会社化。
その分が第2四半期決算に寄与した。

9月1日にDCM㈱を存続会社、
ケーヨーを消滅会社として吸収合併した。

アークランズnews|
第2Q営業収益1592億円0.6%増だが経常減益

売上高は微増の0.6%増。
営業利益は14.7%増で経常利益が26.9%減だが、
額はそれぞれ101億円。

営業利益率も経常利益率のともに6.4%。

2022年9月1日にビバホームを完全子会社にして、
社名をアークランズに変更した。

社内調整も済んだようで、
営業利益と経常利益が歩調を合わせてきた。

最後に、
しまむらnews|
第2Q売上高3306億円4.3%増・経常利益4.1%増

増収増益の好決算だった。
営業利益率9.5%。

2024年度のテーマは、
「当たり前を改める」。

すべての「当たり前」という考え方を、
改めていく。

商品のつくり方や売場の見せ方、
組織や人材育成、システムや用地開発など、
すべての部署でそれに挑戦する。

2024年度の中間決算、
おおむね好調のようだ。

今週は水曜日にイオンの決算説明会が、
リアルとネットで行われる。

木曜日にセブン&アイがオンラインで行うが、
こちらは荒れ模様が予想される。

では、皆さん、今週も、
利益にストイックでありたい。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2024年10月06日(日曜日)

「よき習慣」ほどよいものはない。

空もすっかり秋らしくなった。IMG_6868 (002)

道路脇の花壇に、
ニチニチソウが咲いていた。
IMG_6874 (002)

 

初夏から晩秋まで次々に花が咲く。
そこで「日々草」と名づけられた。
IMG_6875 (002)

色とりどり、グラデーション。IMG_6879 (002)

しかしニチニチソウには毒性がある。
「ビンカアルカロイド」。
10種以上のアルカロイド。

その10種類のうち、
ビンクリスチンとビンブラスチンに、
細胞分裂阻害作用がある。

食べてはいけない。IMG_6880 (002)

赤い日日草にはカメラの焦点が合いにくい。IMG_6877 (002)

夕方、いつものように自由が丘へ。
IMG_6891 (002)

 

パリの花屋、モンソーフルール。
IMG_6886 (002)

今はハッピー・ハロウィン。
IMG_6887 (002)

店の入り口。
IMG_6888 (002)

メインの売場はいつも華やか。
IMG_6890 (002)

テーブルに小物を陳列する。
IMG_6889 (002)
きちんとした店には、
いつも安心させられる。

基礎的な業務を自律的にやっているからだ。

糸井重里さん。
10月の初めごろの「今日のダーリン」

「よき習慣」ほど
よいものはない。

よいことが
習慣になっている人は、

ほんとうに強いよ。

同感だ。

「よい習慣」。
やりたいことができたら、
迷わず、それを習慣にしてしまおう。

なにか向上したいとか、
実現したいとか思ったら、
その練習を
「よき習慣」にすることだ。

習慣とは何度もなんども繰り返すうちに、
無意識のうちにできるようになること。

前野隆司さんの本に、
『幸せに働くための30の習慣』がある。
81c1ZvGk1mL._SL1500_

その第1章は、
「幸せに生きるために必要な10の習慣」

小見出しだけ並べても面白い。

⑴「ご機嫌そうな人」を装う
⑵通勤時に公園を通る
⑶嫌な出来事をポジティブに変換する
⑷職場の飲み会ではしゃいでみる
⑸「ありがとう」に感謝の理由を添える
⑹「一人じゃない」と思える時間を持つ
⑺隣のデスクを拭く・時々サボる
⑻仕事と自宅以外で過ごす時間を持つ
⑼「面白そう」を気軽に試す
⑽習慣1〜9のうち、まず一つを試す

⑵「通勤時に公園を通る」はすぐにやったらいい。
有名な広い公園でなくとも、
街の中の小さな公園でいい。

私が好きなのは、
⑸「ありがとう」に感謝の理由を添える

それを習慣にする。

いいなあ。

近江商人の「十訓」というのがある。
そのひとつ。

「今日の損益を常に考えよ、
今日の損益を明らかにしないでは、
寝につかぬ習慣にせよ」

社長や店長は、
今日の損益を明らかにすることを、
習慣にするといい。

私はブログを書くことを習慣にしている。

ヘンリー・ミンツバーグは教える。
「義務的な仕事を習慣にせよ」

そして大事なことを、
義務にしてしまう。

すると大事なことが達成できる。

「よき習慣」は、
とても、いい。

〈結城義晴〉

2024年10月05日(土曜日)

イオン「ESGブランド調査」の首位とKKRクラビス会長の「履歴書」

「第5回ESGブランド調査」
イオンが初の首位。

日経BPの調査。

ESGは「環境・社会・企業統治」
その活動に対する企業イメージ。

2020年の調査開始。
昨2023年まで4年連続で、
トヨタ自動車がトップだった。

今回は6位だった。

このESGブランド調査は4部門で評価される。
⑴環境(Environment)
⑵社会(Society)
⑶ガバナンス(Governance)
⑷インテグリティ(誠実さ)

ブランド名を含む主要560社名を対象に、
2024年5月30日〜6月28日の期間に、
インターネット調査を実施して、
約2万1000人から回答を得た。

イオンは環境部門で1位だった。
イオン環境財団の活動は高く評価された。
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岡田卓也名誉会長の卓見だと思う。
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個別項目では、
リサイクル、廃棄物削減に力を入れている、
プラスチックの使用削減など
資源の有効利用に努めている、
などで高い評価を得た。

イオンは全部門で10位以内に入って、
総合1位となった。

小売商業全体にとっても、
誇らしいことだ。

総合2位はソニー。
さすが。

昨年の20位から躍進した。
イオン同様に全部門で10位以内。

6位に下がったトヨタは、
型式指定の認証不正があって、
ガバナンス部門の評価が大きく下がった。
環境と社会、インテグリティの3部門では、
依然、ブランドの強さは健在だった。

日本最大企業にして、
世界最大の自動車メーカー。

イオンの今回の首位は、
トヨタから恵んでもらったようなものか。

それでも「いい会社」という評価は、
とてもうれしい。

さて日経新聞「私の履歴書」
今月はヘンリー・クラビス
KKR共同創業者兼会長。
Key Speakers At The Year Ahead: 2014 Conference

1944年、ニューヨーク生まれ。
名門コロンビア大学でMBAを取得後、
投資銀行ベア・スターンズに入行。

1976年、親友のジョージ・ロバーツ、
ジェローム・コールバーグと、
3人で投資会社を興した。
コールバーグ・クラビス・ロバーツである。
頭文字をとってKKR。

株式の公開買い付けで大胆な買収戦略を展開。
レバレッジド・バイアウト(LBO)と呼ばれる。

1980年代には、
ウォールストリートを象徴する企業となった。

1989年、RJRナビスコを買収。
これは史上最大のLBOとして知られる。

西友の筆頭株主は今、KKRである。
西友はウォルマートに買収され、
2021年に今度は楽天とKKRが、
ウォルマートから西友株を取得。

その後、楽天はその持ち株をKKRに売却した。

今、KKRが85%、ウォルマートが15%。
つまり日本の小売業とも深い関係をもつ。

そのクラビスは言う。
「私たちは資本主義の力を信じている。
資本が自由に動くことで
企業も人々も繁栄する」

「企業は世の中を変える力を持っており、
そんな企業への投資は
世界が対応を迫られている
脅威をも解決できる」

KKRは買収ファンドの草分けだ。
現在はプライベート・エクイティ(PE)とか、
「代替投資」と呼ばれる。

セブン&アイがイトーヨーカ堂を売却する際、
エクイティファンドに声をかけた。

そこから今回の件が漏れた。

「企業を買収、改革して価値を高める。
幹部も社員も自社株を持ち、
投資が成功すれば誰もが豊かになれる」

創業期の企業ならばそれもできる。
しかし超巨大な企業となると、
社員は自社株を持てなくなる。

それでもクラビスは強調する。

「ファンドにお金を出すのは、
公的年金基金や財団、近年は個人に及ぶ。
私たち自身個人的に、
あるいは会社の自己資金で投資している」

アメリカ人には年金制度がない。
だから株式投資が年金の機能を果たす。
個人の責任において。

「共に所有する」が、
KKRの哲学の核心にある。

クラビスとロバーツは共同創業者であり、
いとこ同士である。

どちらも祖父たちが、
ロシア帝国下の国々から移民してきた。
クラビスの祖父はベラルーシ、
ロバーツの祖父はラトビア。

クラビス家は小売業を、
ロバーツ家はホテル経営をした。

そしてどちらにも共通する哲学があった。

「自分がしてもらいたいように、
人にもしてあげなさい」

JCペニーと同じ「ゴールデン・ルール」である。
これがKKRの風土の根幹をなす。

KKRが人を採用するとき、
どこを見るか。

採用される候補者が、
夕食でウエーターにどんな態度を取るのか。
タクシーの中で運転手にどう接するのか。

ウエーターや運転手は、
二度と会わない人かもしれない。
だがそのような人にどう向き合うのかが大切だ。
日々の行動にこそ、人間の本当の性格は表れる。
クラビスはそう言う。

「ハゲタカファンド」などと揶揄されるが、
だからこそクラビスたちは、
「ゴールデンルール」を大切にする。

日経の「私の履歴書」の連載に登場する狙いは、
ここにあるのかもしれない。

〈結城義晴〉

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