結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年03月07日(金曜日)

イトーヨーカ堂・ヨークベニマルの「商業と商人の論理」

花粉症が酷い。

今年の予想は、東京・横浜は、
「やや多い」らしい。

3月上旬の現在はスギ花粉。
下旬に入るとヒノキ花粉。

毎朝、食事前に、
薬を飲んでいる。

さて、
セブン&アイ・ホールディングス。
昨日の報道に続く内容。

ヨーク・ホールディングスに関して。

商人舎流通Supernews。

セブン&アイnews|
SST事業をベインキャピタルに8147億円で譲渡

Bain Capital Private Equity, L.P.、
つまりベインキャピタルが
買収目的会社(SPC)を設立する。

SPCは「Special Purpose Company」で、
事務所もなく、従業員もいない会社。

そのSPCに8147 億円で、
イトーヨーカ堂とヨークベニマルなどが譲渡される。

その段取りが以下の図だ。
ステップ0からステップ③までが示されている。
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吸収分割方式で譲渡されたら、
SPCはヨーク・ホールディングスに商号変更する。

その株主構成は、
⑴ベインキャピタル 60.00%、
⑵セブン&アイ35.07%、
⑶創業家 4.93%

創業家には伊藤裕久氏、伊藤順朗氏、
そして大髙耕一路氏が名を連ねる。
伊藤博久さんは故伊藤雅俊さんの長男、
順郎さんは次男で現ヨーク・ホールディングス会長。
大髙さんはヨークベニマル社長。

取引契約の締結は2025年7月1日、
効力発生日は2025年9月1日。

昨2024年10月に、
ヨーク・ホールディングスが設立されている。
セブン&アイの中間持ち株会社。

3月1日付でイトーヨーカ堂は、
代表取締役の異動人事を発表している。
真船幸夫さんが代表取締役会長で、
営業本部を管掌している。

真船さんはヨークベニマルの前社長。

現在は真船会長、山本哲也社長体制。

経験も実績もある真船さんに、
イトーヨーカ堂を立て直しさせる人事か。
それが実現すれば一番いいだろう。

イトーヨーカ堂を何とかしてもらいたい。
私はそう考えている。

ヨークベニマルは盤石だ。

ベインキャピタルは、
ヨーク・ホールディングスの再上場を目指す。
その上場益がベインの利益となる。

総合スーパー業態をやめて、
衣料品をもつスーパーマーケットとなる。
真船さんならそうするだろう。

しかし、しかし。

イトーヨーカ堂news|
原宿竹下通りに「TOYLO MART 原宿店」3/5オープン

3月5日(水)、原宿の竹下通りに、
「TOYLO MART 原宿店」オープン。

30坪のエンタメ特化型店舗。
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イトーヨーカ堂は「TOYLO PARK」を運営している。
体験型おもちゃ売場。

トレンド性の高いキャラクターグッズ、
コレクショントイ、カード、
さらにTV ゲームなどを中心に、
顧客ニーズに応じた商品やサービスを提供する。

限定商品の展開、新商品のテスト販売。
その売れ行きを分析しながら、
今後の「TOYLO PARK」の品揃え強化につなげる。

この30坪の店の目的は、
「流行の発信地原宿エリアに出店することで、
『TOYLO』ブランドの認知拡大・強化を目指す」

そんなことしていていいのか?

イトーヨーカ堂は、
間違いなく大企業病にかかっている。
組織は悪しき官僚化のなかにある。
茹で蛙状態になっている。
「やってる感」が蔓延している。

それを全社員が自覚するところから、
再スタートを切らねばならないと思う。

そうしなければ、
ヨーク・ホールディングスという会社の意味がない。

ヨークベニマルだけならば、
IPOは可能だろうが、
イトーヨーカ堂がお荷物になる。

そして今のところ、
なんの展望もない。

一昨年の商人舎2023年5月号。

私は書いた。
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「工業の論理でセブン-イレブンをスピンアウトさせる。
どこまでも突っ走る世界的なチェーンストアにする」

「一方、商業と商人の論理で
イトーヨーカ堂、ヨークベニマルを
セブン-イレブンから分離、独立させる」

「コンビニ事業以外は、
伊藤雅俊の思想を受け継ぐ企業であることを
思い出すべきである。
ヨークベニマル創業者の大髙善雄の
『野越え山越えの精神』を貫徹するべきである」

「そしてセブン-イレブンは
鈴木敏文のDNAを継承するのである」

「工業の論理と商人の論理で、シンプルに考える。
それがわからない経営者は去るしかない」

今もこの考えは変わらない。

〈結城義晴〉

2025年03月06日(木曜日)

セブン&アイ「社長交代会見」と「ロピアのキャッシュレス化」

「今年はどんな年になりますか?」

1月の多くの賀詞交歓会で、
いろいろな人に問われた時に、
こう答えていた。

「今年度はM&Aの嵐が吹きます。
トップチェーンでそれが起こると、
ローカルチェーンに波及していきます」

私は預言者ではないし、
ピーター・ドラッカー先生も言っていた。
「予言はするな、モニタリングせよ」

だから観察していたら、
そういう結果になっている。

連日の緊急記者会見。

今日も午後になって、
セブン&アイ・ホールディングスから、
メディア説明会の案内が来た。
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場所はセブン&アイ本社ビル1階会議室。
時間は17時から。

今日も山本恭広編集長が行ってくれた。

会見30分前には、すでにメディアが集まる。seven&i_kaiken01

セブン&アイ広報センターのスタッフから、
集まったメディアに対して、
会見の進行の事前のブリーフィング。seven&i_kaiken03

登壇者の入場から、スピーチ、質疑応答、
フォトセッションの各時間配分まで、
丁寧に説明した。
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私は商人舎オフィスでオンラインで参加した。IMG_0956 (002)

冒頭で井阪隆一社長が語った。
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退任が発表されているから、
多分、最後の会見だ。

井阪さんは3つのことを説明した。

①新しい代表取締役の選任について
②マネジメント施策
③スーパーストア事業の譲渡について

自身が務めた約9年間の施策の振り返り、
さらなる成長のために、
今回の意思決定がなされたことを説明した。
つまり今までと異なる施策のフェーズに入った。
それが代表取締役社長の交代の理由とした。

また、後任のデイカス氏については
小売業界の経験と知識が豊富であること、
米国、アジアに事業展開を広げていくなかで、
リードできる資質があること。
卓越したリーダーシップがあること、
きわめて真摯であることなどを、
選任の理由として挙げた。

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井阪氏は特別顧問に就任する。

続いて新社長に就任するスティーブン・デイカス。
この最初のスピーチは全部、日本語で語った。
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自己紹介から始めた。
「父親はセブン-イレブンの加盟店オーナーだった。
その店で子供のころから働いた経験があったが、
金曜と土曜の深夜シフトはいやだった」

「50年後、まさか父の店の親会社を、
経営する立場になるとは思わなかった」

とても率直で胸を打つ話だった。

さらに今後の経営の構想を説明した。
「企業価値顕在化への道筋」

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この内容は商人舎流通スーパーニュースで報じた。

セブン&アイnews|
新社長CEOにデイカス氏、北米セブンを26年下期にIPO

⑴北米のセブン-イレブン事業を担う7-Eleven, Inc.(SEI)について、2026年下半期までの米国における新規株式公開(IPO)を目指す。

⑵SST事業グループを8147億円(53.7億ドル)でベインキャピタルに譲渡する最終契約を締結。2025年9月に譲渡を完了する予定。

⑶SEIのIPOおよびSST事業グループの非連結化によって回収される資本について、2030年度までに総額2兆円(約132億ドル)を自己株式取得の形で株主に還元。通常の事業運営から創出される利益の株主への還元に関しても、累進配当を行う方針。

⑷株主価値最大化のために、引き続きあらゆる選択肢を追求。特別委員会による検討状況についても状況を報告。なお、すでに発表の通り、セブン銀行株の保有比率を40%未満に引き下げ、連結範囲から除外する施策を今後も進めていく。

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続いて質疑応答。
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井阪さんには手厳しい質問もあった。
それでも肩の荷が下りたような印象で、
珍しく饒舌だった。

「やり残したことは?」

「…ありません」

ん~。
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「鈴木敏文さんには連絡したか?」

「電話でご報告しました。
ご苦労様と言ってくださった」

私は聞きたかった。
「セブン&アイ・ホールディングスに蔓延する、
大企業病をどのようにして払拭するつもりか」

指名されるはずもなかった。
NHKをはじめ大新聞の記者ばかり指名された。

デイカスさんは顧客、加盟店、従業員に、
率直に向き合うと答えていた。

それが回答だろう。

デイカス新社長には期待したい。
それから井阪さんには、
ご苦労様と言っておこう。

最後にフォトセッション。
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最後に一つ。
デイカスさんの通訳の女性は、
素晴らしかった。

さてもう一つのニュース。

OICグループnews|
ロピアでキャッシュレス決済導入/公式アプリにチャージ

3月4日の方針発表会で、
髙木勇輔OICグループ代表取締役社長が、
すでに社内には発表していた。

私もそれを聞いていて、
大いに納得した。

ロピアの特長は「原則現金払い」だった。
それを公式アプリへのチャージによって、
キャッシュレス決済ができるようにする。oic_app_cashless

クレジットカードの手数料は高い。
ロピアは「現金払い」にしてもらって、
その分を顧客に売価で還元してきた。

これからは「ロピア 公式アプリ」で、
現金、クレジットカード、銀行口座の、
いずれかの方法で事前にチャージしてもらう。

顧客はそのアプリで決済できる。

クレジットカード、銀行口座でチャージすれば、
システム利用料はかかる。oic_app_cashless_2

また1000円のチャージごとに、
OICグループオリジナルポイント「C(シー)」が、
100Cずつ付与される。

この「C」ポイントは、
特別な体験やアイテムと交換できるが、
換金/支払いに使えない。

九州エリアから順次導入を始めて、
本年度内に全国の店舗で対応する予定だ。

顧客が喜ぶ。
店員や店長も喜ぶ。

いまだに現金払いを採用している、
最大の会社がロピアだそうだ。

顧客と店員が喜ぶことは、
なによりいい。

〈結城義晴〉

2025年03月05日(水曜日)

トライアルの「西友子会社化」記者会見と西友の「不思議な運命」

1日中、横浜商人舎オフィス。

月刊商人舎3月号の最後の原稿執筆。
ちょっと変わった趣向の特集タイトル。

楽しみにしていてください。

午後になって、西友の売却先が決定したニュース。
例によって日経新聞の先行記事。
大手新聞が追随した。

そしてトライアルホールディングスがリリース。
西友もニュースリリースを発した。

商人舎流通スーパーニュース。
トライアルnews|
西友を完全子会社化/3820億円で全株式取得

株式取得資金は3820億円。

安いなあ。
それが第一の感想。

トライアルの手元資金に加えて、
取引銀行から新たに約3700億円を、
借入金として調達して手当てする。

ドン・キホーテのPPIHが逆転負けしたのか。
そう思った。

西友news|
KKRとウォルマートが西友全株式をトライアルHDに売却

こちらには大久保恒夫CEOのメッセージが載っている。

そして緊急記者会見の案内が出た。

17時30分開始。
グラントウキョウノースタワー18階。
東京駅直結の大和カンファレンスホール。

山本恭広編集長が行ってくれた。

主催はトライアルホールディングス。
「トライアル・西友共同記者会見」
もちろん西友完全子会社化の件。trial_seiyu_daiwa

ホールには200名弱のメディアが参集。trial_seiyu_media

緊急だったのでちょっと少ない。
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会見登壇者は5名。
トライアル側が3名、西友が2名。
写真左から、
石橋亮太トライアルカンパニー社長、
亀田晃一トライアルホールディングス社長、
永田洋幸Retail AI CEO。
野村優西友CFO執行役員兼人事総務本部長、
武田正樹西友執行役員経営企画本部長。
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西友大久保恒夫社長は所用のため欠席。
残念というか当たり前というか。

その大久保社長のメッセージが、
野村執行役員から読み上げられた。
「この数年間、商品力・販売力を強化することで価値を創造し、それにより創出された利益を教育、IT等の前向きな投資に回し、さらに価値を創造するという価値創造サイクルの実現に注力してきました」

「その結果、収益性も向上し、大きく発展する企業へと西友を変革できたと考えています。今後は、西友の強みとトライアル社の先進的な情報システム、データ活用等の強みを活かし、両社が協力し合ってさらに発展していくことを期待しています」

会見の冒頭は、
トライアルホールディングス紹介。
亀田ホールディングス社長が自ら語った。trial_seiyu_kameda

トライアルホールディングスは、
2024年3月にグロース市場に上場した。
認知度が足りないことを踏まえて、
出店している店舗タイプを説明し、
祖業であるIT事業への取り組みを語った。

「新規上場して資金を得たにもかかわらず、
十分に活用できていなかった」

その通りだ。

トライアルホールディングスは、
㈱ティー・エイチ・シーが53.96%の筆頭株主だ。
オーナーの永田久男会長の資産管理会社である。

2番目の株主の(株)Heroic investmentは7.66%を保有。
これも永田一族の会社。

61.62%をオーナーが所有して、
株主は安定している。

しかしまだまだ資金調達の余地はある。

続いて、トライアルカンパニー石橋社長。
子会社化について、戦略上の位置付けを4つ挙げた。trial_seiyu_isibasi

1.優秀な人材・企業文化の融合
2.売上高1兆円超への小売業への飛躍
3.人口集積地の関東を中心に242店舗獲得
4.更なる業界再編への布石

トライアルホールディングスの年商7179億円と、
西友の4836億円を単純合算すると、
1兆2014億円となる。

総合小売業としてみると、
第1位PPIH、第2位イオンリテールに次ぐ3位。

西友の営業利益は235億円。
営業利益率4.86%。

これは初めて明かされた。
4836億円の会社を3726億円で買った。
まあまあか。

石橋社長は子会社化の目的を6つ挙げた。
1.両社の質の高い人材の融合
2.売上規模の飛躍的拡大
3.関東エリアの事業基盤拡充
4.商品力の強化
5.製造・物流拠点の拡充
6.リテールテックの拡大

さらに石橋社長は関東エリアにおいて、
小型店「TRIAL GO」をサテライト店として、
出店加速する構想を明かした。

永田社長はリテールテックの拡大を語った。
とくに「スキップカート」の拡大を強調した。trial_seiyu_nagata

最後に以上の方針の実施時期や進め方の詳細は、
「現時点で、決まったことはない」

西友の看板や経営陣も当面は現行のまま。
大久保社長は続投。

そのほうがトライアルにとってもいいだろう。
もちろん西友の幹部や社員にとってもありがたい。

トライアルホールディングスは、
6月に決算期である。

子会社化のための株式譲渡の実行日は、
7月1日を予定している。
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次年度がスタートするまでには、
具体的な方向性が明らかになるはずだ。

私は月刊商人舎2月号で語った。
「緊急特別企画」西友はどうなる?
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座談会の最後の結城義晴の言葉。
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「それにしても西友はウォルマートといい、今、手を挙げているドン・キホーテやトライアルといい、企業文化がまったく違う企業の手に委ねられるという『不思議な運命』にあります。寂しい限りですが、『西友の教訓』に真摯に学びつつ、店舗や働く人たちのことは温かく見守りたいと思います」

その考えは変わらない。

〈結城義晴〉

2025年03月04日(火曜日)

「OICグループビジョン2025」の「勇気と忍耐と英知」

朝から横浜パシフィコへ。

みなとみらい駅から歩いていく。 IMG_0935 (002)

雨模様の上、海風が冷たい。IMG_0934 (002)

横浜港とベイブリッジが見える。IMG_0937 (002)

国立大ホール。
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入り口を入るとステンドグラス。
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ロピタが案内係。
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OICグループビジョン2025。
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ロピアを中核とするOICグループの、
チーフ以上の幹部が全員参集する。
千数百人。
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毎年恒例のOICグループ方針発表会。
2月末に経理を締めて、
1週間以内に新しい期の方針を発表する。

私も毎年、招待される。
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はじめに髙木勇輔代表取締役社長。
1時間のプレゼンテーション。

重要なことを淡々と、
実にわかりやすく語る。
髙木勇輔の「才能」が、
この語りにあふれている。

それがOICグループを一つにする。

スピーチのあとは、
会場からの質問に答えた。

「髙木代表にとって、
『愛』とはなんですか?」

最後はこの質問。

髙木さんは正直に、
思いを語る。

ロピアやOICの社員たちは、
こんなやり取りに象徴される、
トップとの絆で結ばれている。

次に浜野仁志取締役経営企画部長。
2024年業績報告と2025年の予算発表。
堂々としていた。

もちろんいい成績だ。

OICグループは食の製造小売業を標榜する。

さまざまな企業がグループに加わった。
グループ企業は2月末で35社。

そのグループ企業の紹介や、
全国の営業本部や台湾事業のホットな話題。

ランチを挟んで、
グループインしたトップ座談会。

さらにビジネスアイデアコンテスト、
2024年度MVP発表など、
盛りだくさんのプログラムが、
映像を駆使したプレゼンテーションで展開される。

私は午後4時から、
「研修講演」と題して、
2月のニューヨーク研修の報告講演。

30分の短い時間だが、
私は激励講演と考えている。

テーマは「際立つ『ポジショニング』」IMG_3434

ロピアの急速な成長を支えるのは、
多くの中途採用者やスカウト組だ。
プロパー社員と彼らが融合して、
多様性の強みを発揮する。

だからはじめに、
商人の「本籍地」と「現住所」のことを話す。
ニューヨーク研修でも一番先に語った。IMG_3440

それからスライドで簡単に4班の研修を紹介。

ニューヨーク研修で教えるのは主に、
ロピアが目指す「フォーマットづくり」であり、
そのための「ポジショニング」だ。IMG_3438

ウェグマンズのマンハッタン1号店では、
顧客満足と従業員満足の企業文化を学んだ。IMG_3439

ポジショニングは必ず「陳腐化」が起こる。
そのためには「エクスパンディング」が必須だ。

そのために組織で学ぶ。

最後にラインホールド・ニーバーの祈り。IMG_3443

いつでも、どこでも、
私の講演の最後は祈りだ。

そして「自ら、変われ!」

これが激励のメッセージである。

OICグループの目指すものは、
夢があって、しかも壮大だ。

それを理解する一助になったかと思う。

方針発表会のあとは、
場所を横浜パシフィコノースに移動。
雨は雪に変わっていた。

そして懇親会。

乾杯の発声はアキダイの秋葉弘道社長。IMG_3445

元気にカンパーイ!
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私も乾杯。
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乾杯のお役目、お疲れ様でした。IMG_3453

そのあとはニューヨーク研修に参加したメンバーが、
次々にやってきてくれた。

「楽しかった、面白かった、
勉強になった、また行きたい」

そんな声ばかり。

嬉しい限りだ。

私のライフワークは、
「知識商人」の養成である。

OICグループを見ていると、
それが実現していることを感じられる。

嬉しい限りだ。

ロピア取締役の庄司和良さん。
海外事業を担当する。
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相川博史さんと井上裕一さん(左)。
相川さんは東北・北海道営業本部長で、
㈱Firsto代表取締役社長。
井上さんは九州営業本部長。

お二人とも立派な経営者の言動になってきた。
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恥ずかしがり屋(?)の田中悟さん。
南関東営業本部長に就任したばかり。
このエリアの営業本部長にぴったりの逸材だ。
大いに期待したい。
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最後は㈱スーパーバリュー社長の内田貴之さん。IMG_3457
企業改革は好調だ。

「変わるものを変えられる勇気、
変わらぬものを受け入れる心の静けさ、
それらを見分ける英知」

ロピアに限らない。

日本にもアメリカにも、
ウクライナにも、
そして私自身にも、
この勇気と忍耐と英知は、
いつも求められている。

〈結城義晴〉

2025年03月03日(月曜日)

井阪隆一セブン&アイ社長退任の報とその意味

Everybody, Good Monday!
[2025vol⑨]

2025年第10週。

商人舎はGoogleカレンダーを使っている。
そのカレンダーも1月1日の週を第1週として、
今週は第10週だ。

今日は3月3日、雛祭り。
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雛祭りを迎える女の子たちが、
成人し、成長していく時代は、
いったいどうなっているのだろう。

それが心配だ。

輝かしい21世紀が待っていると思ったら、
20世紀に戻ってしまった。

突然ですが、
ブレーズ・パスカルの「パンセ抄」から。

「美徳の徹底追求」

美徳を両方の端まで
徹底的に追求しようとすると、
悪徳があらわれる。

それは、小さな無限のほうから、
感知できない道を通って、
こっそりと忍び込み、
大きな無限のほうからは、
群れをなしてあらわれる。

その結果、人は悪徳の中で迷子になる。
もはや、美徳の姿など見えない。
人は完全な徳さえ非難するようになる。
(断章三五七)

日経新聞夕刊。
「セブン、井阪社長退任へ 」

セブン&アイ・ホールディングス。
井阪隆一社長が退任する。67歳。

後任はスティーブン・ヘイズ・デイカス氏。
取締役会議長。64歳。
母親が日本人のアメリカ人。
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1983年9月 Northrop Corporation入社。
アメリカの航空機メーカー。
その後、米国コンサルティングファームに転職し、
2001年6月、マスターフーズのCEO。

4年後の2005年9月、
ファーストリテイリングに入って、
シニア・バイス・プレジデント。

2年で辞めて2007年7月、
ウォルマートのシニアバイスプレジデント。

2010年4月、現在の西友の上級副社長、
2011年6月、西友CEO。

4年間勤めて2015年10月、
スシローグローバルホールディングス社外取締役。
2016年7月 同社代表取締役会長。

そして2022年5月にセブン&アイの社外取締役、
昨2024年4月、筆頭独立社外取締役。

アメリカ人なら当たり前かもしれないが、
次々に転職してキャリアを積んできた。

セブン&アイには三つの道があった。

第1が自力で経営を続ける道。
第2が創業家の伊藤興業主導による株式非公開化。
第3がアリマンタシォン・クシュタールに買収される道。

その第2番目が白紙となった。

第3の道は選びたくない。

そこで第1の当たり前の道を歩む。
ただし現体制ではそれが難しい。

だからデイカス議長に白羽の矢が立った。

決めたのは誰だろうか。

デイカス議長自身か、
伊藤家の伊藤順郎さんか、
ヨークベニマルの大髙家の大髙善興さんか、
それらの総意か。

善興さんがキーマンだと思う。
こんなときには、
最後の意思決定ができる人に頼るのがいい。

井阪社長は、
1980年3月、㈱セブン‐イレブン・ジャパン入社、
22年間頑張って2002年5月、取締役。
2009年5月、代表取締役社長COO。
同時にセブン&アイ取締役。

2016年2月に政変があって、
鈴木敏文会長が辞任した。
鈴木敏文

このとき鈴木会長は、
井阪セブン-イレブン社長退任を内示。
理由は「新しいアイデアが出てこない」

しかし取締役会などの反対にあって、
鈴木会長が辞任。

セブン-イレブン社長退任を言い渡されていた井阪氏が、
親会社のセブン&アイの社長になってしまった。

それから9年間。
井阪体制が続いた。
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もう、9年か、
いや、9年も経ったか。

複雑な感慨だ。

井阪さんも10年はやりたかったのだろう。

しかし状況はそれを許さない。
セブン-イレブンの世界戦略を担う技量も、
残念ながら不足している。

ただしデイカス議長にそれができるか。
「知見に期待したい」という声が出ている。
「海外人脈と交渉術への期待」もあるらしい。

しかしそれらと経営力は別物だ。
だからまったくの未知数。

それでも第1の自力経営路線に進む。
それがはっきりしたことは、
セブン&アイにとってはいいだろう。

順朗さんはファウンダーになるべきだと、
私は言い続けている。

そしてセブン-イレブンに関しては、
世界ナンバー1の30兆円コンビニチェーンを目指す。

全米コンビニエンスストア協会の調査では、
米コンビニ市場における店舗数シェアは、
セブンが8.5%の1位、ACTは3.8%の2位。

日本と違って、
米国ではまだまだ伸びシロはある。

世界を見渡しても、
成長余力はある。

ただし肝心かなめの日本市場で、
セブン-イレブンが圧倒的な優位に立ち続けられるか。
そこに鍵がある。

だから新たなトップマネジメントが、
求められることになるかもしれない。

腰を据えて最低でも10年、
やってもらう必要がある。

問題はヨーク・ホールディングスだと思うが。

いつも言っているが、
社員・従業員、顧客、
そして加盟店オーナーが、
安心し、納得する結果を導いてほしいものだ。

故伊藤雅俊さんも、
それを望んでいると思う。
伊藤雅俊

では、皆さん、今週も、
美徳を失ってはならない。
Good Monday!

〈結城義晴〉

2025年03月02日(日曜日)

塩野七生「マキアヴェッリ語録」の「まったくもって情けない現実」

夜の自由が丘。
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いつもの花屋。
モンソーフルール。
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3月最初の日曜日。

1週間が過ぎたのに、
まだ時差ボケが残る。

とにかく眠たい。

ゆっくりと過ごして、
塩野七生さんの本をぺらペらめくる。

最初に読んだのが、
『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』
(1970年 新潮社)
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衝撃を受けた。

それから、
『海の都の物語』
――ヴェネツィア共和国の一千年
(1980年 中央公論社)
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1981年に続編が刊行された。

これはいい本だった。
だからイタリアでは一番最初に、
ヴェネツィアに行った。

それから三部作。
『コンスタンティノープルの陥落』
(1983年 新潮社)
『ロードス島攻防記』
(1985年 新潮社)
『レパントの海戦』
(1987年 新潮社)

発刊されるとすぐに読んだ。

そして、
『わが友マキアヴェッリ』
――フィレンツェ存亡
(1987年 中央公論社)
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そして『ローマ人の物語』
(1992~2006年)

出るのが待ち遠しくて、
出版されるとすぐに読んだ。

私の書くものにも反映された。

正規軍は、勝たなければ、
すなわち負けである。
ゲリラは、負けなければ、
それで勝ちになる。

『わが友マキアヴェッリ』の続編というか、
語録編が『マキアヴェッリ語録』IMG_0930 (002)

冷徹な観察者のニコロ・マキアヴェッリ。
フィレンツェ共和国の外交官。
そして「君主論」「政略論」「戦術論」の著者。

「マキアベリズム」などと、
誤解もされているが、
塩野さんは共感して、
その語録をまとめた。

「まったくもって情けない現実だが、
人間というものは権力をもてばもつほど、
それを下手にしか使えないものであり、
そのことによって、
ますます耐えがたい存在と化すものである」
『フィレンツェ史』 

500年後の現在、
世界最強国の首長たちの姿もそれだ。

「ある人物が、
賢明で思慮に富む人物であることを
実証する材料の一つは、
たとえ言葉だけであっても、
他者を脅迫したり、
侮辱したりしないことであると言ってよい」

マキアヴェッリに同感したい。

賢明であることも、
思慮に富むことも、
その価値観に中に認めない者もいる。
だから困る。

「なぜならこの二つの行為とも、
相手に害を与えるのに
何の役にも立たないからである」

脅迫したり、
侮辱したりしても、
何の役にも立たない。

「脅迫は、相手の要心を目覚めさせるだけだし、
侮辱はこれまで以上の敵意を
かき立たせるだけである」

「その結果、相手は、
それまでは考えもしなかった強い執念をもって、
あなたを破減させようと決意するにちがいない」
『政略論』

「祖国の存亡がかかっているような場合は、
いかなる手段も
その目的にとって有効ならば
正当化される」

ウクライナは今、そんなときだ。

「この一事は、為政者にかぎらず、
国民の一人一人にいたるまで、
心しておかねばならないことである」

「事が祖国の存亡を賭けている場合、
その手段が、正しいとか正しくないとか、
寛容であるとか残酷であるとか、
賞讃されるものか恥ずべきものかなどについて、
いっさい考慮する必要はない」

「なににもまして優先さるべき目的は、
祖国の安全と自由の維持だからである」
『政略論』

「人間というものは、
一つの野心が達成されても、
すぐ次の野心の達成を願うようにできている」
『政略論』

ウラジーミル・プーチンのことのようだ。

「人間というものは、
危害を加えられると思い込んでいた相手から
親切にされたり恩恵を施されたりすると、
そうでない人からの場合よりは
ずっと恩に感ずるものである」
『君主論』

これ、ドナルド・トランプの、
プーチンへの気持ちを表している。

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「宗教でも国家でも、
それを長く維持していきたいと思えば、
一度といわずしばしば
本来の姿に回帰することが必要である」

会社でも組織でも同じだ。

「それで、改革なるものが求められてくるのだが、
自然に制度の改革ができる場合は、最も理想的である。
だが、なにかのきっかけでその必要に目覚め、
改革に手を付けた場合も長命だ」

「つまり、はっきりしていることは、
なんの手も打たずに放置したままでいるような国は、
短命に終らざるをえないということである」

「改革の必要性は、
初心にもどることにあるのだが、
なぜそれが有益かというと、
それがどんな形態をとるにしても、
共同体である限り、その創設期には必ず、
何か優れたところが存在したからである。

そのような長所があったからこそ、
今日の隆盛を達成できたのだから」

「しかし、歳月というものは、
当初にはあった長所も、
摩滅させてしまうものである。
そして、摩滅していくのにまかせるままだと、
最後には死に至る」

私がセブン&アイの人たちに、
「伊藤雅俊に戻れ」というのは、
このことだ。

マキアベッリから500年後の今、
その言葉の意味を考えさせられる。

ニコロ・マキアヴェッリ――。
手元に置いてときどき読んでみてはいかが?

〈結城義晴〉

2025年03月01日(土曜日)

イオン・グループ企業4新社長の「商人の本籍地と現住所」

3月に入った。

すっかり春めいてきた。
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梅の木。
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今が盛り。
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青い空に映える。
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 勇気こそ地の塩なれや梅真白(うめましろ) 
〈中村草田男〉

「地の塩」はマタイの福音書から。
「あなた方は地の塩である」との、
イエス・キリストによる「山上の垂訓」の一節。

世のために尽くせ、という意味がある。

勇気をもって世のために尽くせ、
梅が真っ白に咲いている。

草田男の教え子が学徒動員で戦地に赴く。
その「かどで」のときに、
「無言裡に書き示したもの」とか。

白梅にはそんな勇敢なところがある。IMG_0908 (002)

サトザクラも満開だ。IMG_0912 (002)

3月は私にとって、
懸案の問題は残っているものの、
とりわけて大きなイベントはない。

懸案の問題とは単行本の執筆だ。

根本の発想は変わらない。
けれどプロットの構想は大きく変わってきている。
ケーススタディを入れたいと考えている。

それはとても面白いし、
役に立つ。

ニューヨーク研修が終わって、
そちらに集中できる。

3月5日が啓蟄。
3月20日が春分。

この啓蟄の15日間が、
その構想を実行に移すときだ。

決意を新たに2025年3月を迎える。

さてイオンが、
着々と人事や組織の改編を進めている。

商人舎流通SuperNews。

イオンnews|
グループ4社の新代表人事発表、イオンビッグ社長に三浦弘氏

3月1日付でグループ会社4社に新代表者が就任する。

三浦弘イオンビッグ(株)代表取締役社長。
三浦さんは㈱ビッグ・エー 代表取締役社長、
アコレ㈱ 代表取締役社長を経て、
イオンビッグ取締役副社長だった。

ダイエー出身の55歳。
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私は高く評価している。

山本 浩喜イオングローバルSCM㈱代表取締役社長。
山本さんはジャスコのプロパーで52歳。
2016年にイオングローバルSCM首都圏運営部長となった。
そしていまそのトップ。

サプライチェーンマネジメントの専門家だ。
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伊藤秀樹イオンマーケティング(株)代表取締役社長。

1994年ダイエー入社の54歳。
ダイエーの営業企画や営業戦略を担当し、
2015年に執行役員業態開発部長。
2023年にリテールビジネス改革本部長、
そして昨2024年に取締役デジタル担当。

イオンマーケティングで重責を担う。
そしてイオン㈱DX担当を兼務する。

一度、インタビューし、議論しよう。
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木原弘恵イオンベーカリー㈱代表取締役社長。

木原さんもダイエープロパーの53歳。
食品畑を歩いて、
2014年、㈱ボンテ 代表取締役社長。
ダイエー傘下のパンの製造小売業。
同社関東ベーカリー部長から、
イオンベーカリーの社長への抜擢。
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イオンベーカリーは、
「カンテボーレ」を中心に148店を展開する。

もともとは㈱マイカルカンテボーレ。

楽しみだ。

今回の4人の代表取締役社長の人事を見ると、
ダイエー出身者が3人、
ジャスコプロパーが1人。

イオンはこういった人事を次々に行っている。

実にいいことだ。

これこそ多様性である。

「商人の本籍地と現住所」を、
私は声高に言っている。

商人として、
最初に影響を与えられたのが、
「本籍地」である。

「本籍地」は大切にしなければならない。
「本籍地」の悪口を言ってはならない。

その後、それぞれに経緯があって、
「現住所」がある。

商人の本籍地に多様性をもつ企業は、
意志一致が進めば、強い。

変化にも対応できる。

期待しよう。

最後に、私はこれまで、
人を脅したことがない。

人を脅す人間は信用しない。

日本の法律では「脅迫」は、
「生命、身体、自由、名誉または財産に対して
害悪を告知すること」。

相手に恐怖を与える言動。

一方、「恐喝」は、
「相手を脅迫して畏怖させて財産を交付させること」
すなわち「脅迫行為+財産交付の要求」のこと。
こちらは犯罪となる。

「脅迫」や「恐喝」のない世界にしなければならない。
「脅迫」や「恐喝」をことさらに評価してはいけない。

それが人類の英知と品格である。

〈結城義晴〉

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