第四回 次世代の標準、インターネットEDI
當仲寛哲(USP研究所)VS玉生弘昌(プラネット)対談
玉生:日本のメーカー・卸間のEDIは、
世界的に見てもかなり進んだものが普及しています。
一方、小売業界では、EDIはうまくいっていない、というのが現実だと思います。
世界に目を転じてみますと、
EDIFACTというプロトコルが多くの国々で普及しています。
また、現在では、国連が「UN/EDIFACT」という基準を管理しています。
※EDIFACT:1987年、ISO(国際標準化機構)が承認した、ビジネスプロトコルの国際規格
※UN/EDIFACT:現在貿易手続をはじめとしてビジネス全般に亘って幅広く使用されている電汎用国際基準
海外ではこれらのプロトコルが一般的なのですが、
漢字が載らないなどの欠点もあります。
そこで、日本では、財団法人流通システム開発センターが先頭に立って、
「JEDICOS」というプロトコルを作りました。
ところが、このJEDICOSもあまり普及していません。
また、流通システム開発センターは、次世代EDIということで、
「流通BMS」という仕様を定めました。
「流通BMS」は、JEDICOSに次ぐ新世代のEDI仕様で、
インターネットを使っています。
将来的には、圧倒的に早く、安く、大容量のインターネットEDIが、
主流になることでしょう。
皆様方自身、ご自宅でADSLや光ファイバーを使ってインターネットをつなぎ、
動画などを楽しんでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
インターネットでカラーの画像を見ると、
文字と数字しかない伝票のようなテキストデータの通信に比べて、
少なくとも20倍以上、動画にいたっては1000倍以上の電気信号を使います。
今やそれが簡単にできる時代です。
光ファイバーで、24時間つなぎっぱなしでも、月数千円ですみます。
■インターネットの落とし穴はセキュリティ■
玉生:当然ビジネスでも、インターネットという
優れた通信手段を使うようになりますが、問題は、
通信の途中に様々な危険性が潜んでいるということです。
途中でデータの盗聴、改ざんが行われたりする可能性があります。
ですから、まずビジネスでインターネットを使う場合には、
暗号化を行う必要があります。
もう一つ、インターネットEDIを実施するためには、
「成りすまし」防止のための、電子認証が必要になります。
Aという卸から、Bというメーカーに発注がきたときに、
確かにA社からの発注なのか、ということを認証しなければなりません。
そのため、認証を行う第3者機関があります。
日本ベリサインという会社が有名です。
ところが、電子的認証にかかる料金というのは、まだまだ高い状況です。
ある会社とある会社の間の通信を認証するのに、年間1万円以上はかかります。
取引先がたくさんあると、それだけ金額がかさむのです。
プラネットでは、すでに、
SMOOTHEDIというインターネットEDIを提供しています。
日本でインターネットEDIを行っているのは、このサービスしかありません。
また、プラネットでは業界認証局というものも作っていまして、
5年間1万円で、複数対複数の接続を認証することができます。
「もううちはWebEDIを導入しているよ」という企業もあるかと思いますが、
WebEDIとインターネットEDIは根本的に違うものです。
「インターネットEDI」は、マシンtoマシンで、
全てのデータが自動的にやりとりされます。
「WebEDI」は間に人間が入ります。
相手先のマシンから届いた情報を、
人間がブラウザなどで閲覧して作業するというものです。
ですから、WebEDIは割と手っ取り早くできますが、
必ずしも全てが自動化されているとは限りません。
なぜ、これほどまでに、インターネットEDIが日本では普及しないのでしょう?
そこには、「レガシー問題」が関係しています。
第五回に続きます