【#804】シラスと新ワカメの酢の物~季節の定番和風おかず~
シラスと新ワカメの酢の物
~季節の定番和風おかず~
春には新ワカメが
出てきます
売場に季節のおかずを
提供するのも惣菜の役目です
酢の物は地味な商品
それだけに季節が大事
とくに惣菜の基本商品は
はずせません
店が海に近ければ
生の原料を使います
採れたて生ワカメを
熱湯でさっと茹でて
地域を強調
海から遠い内陸の店の場合は
三陸などの有名産地で採れた
塩蔵ワカメを水で戻して
塩抜きをします
ここからが本番です
ワカメは緑の色が大事
生は茹で過ぎないこと
塩蔵は柔らかく
色の良い原料を選ぶこと
次に大事なのは甘酢です
地域で人気の甘酢を調べて使います
ユズを使ったり
ダイダイの絞り汁を使うなど
その土地ならではの
昔からのつくり方にします
つくり方はやさしいのですが
惣菜の「酢の物」は
商品化と売り方が難しいのです
大切なのはワカメの色
売場の中で目立ちます
次が値段です
大盛りで安く売ります
客はワカメの値段を
知っています
だから店でつくって陳列
混ぜるだけなので
安く売れます
昔からの商品だからこそ
気配りが大切なのです
★林廣美のワンポイント★
ワカメが新鮮な地のものなら、「地元の産地」を表示します。三陸などの場合は「柔らかい三陸ワカメ」と表示、そして地元の甘酢味なら「地元産の果汁使用」など強調します。食べた時の酸味が強くならないように甘酢をつくり、男性や子どもの好みを考えて口当たりの優しい酸味のメーカーの甘酢を使うなど気を配ります。
また冷ケースで長時間陳列していると、ワカメの色が黒く変色して、売れなくなります。色を気にするなら常温販売で売ってもいいでしょう。その方が色が持ちます。
材料を合わせてつくるだけなので、昼に売る分は午前中、ピーク時の夕方に売る分は午後につくるなどの工夫も大事です。人手が難しい時ですが頑張ってください。
●林先生の料理教室コーナー●
テーブルに並んだ時、ワカメの色がきれいだと誰でもうれしくなるものです。塩蔵ワカメは水で戻してカットして使いますが、戻した時に緑色がいい、柔らかい、ワカメを選びます。塩抜き戻しをしてから2~3日は冷蔵庫で日持ちするので、時間のある時に戻しておいてポリ袋などに入れておくとすぐに使えて便利です。
甘酢はスーパーで販売されているものを使います。残念ですが普通の甘酢のレシピでは酸味を抑えきれません。男性や子どもは酸味の強い味が苦手です。そんな場合は甘酢に「本みりん」を少し加えるとおいしく食べられます。みりんは小さな器に入れてレンジでチンをしてアルコールを飛ばします。この手間でアルコールが無くなるので子どもでも安心です。昔でいう「煮切りみりん」です。必ず本みりんを使ってください。みりん風調味料では効きません。入れる量は甘みを見て調整します。和食で一味足りないなと思った時のみりんのマジックです。調理人の㊙技術です。
<By 林廣美>