【#806】煮干しダシの「タケノコと蕗の煮物」~本当の季節の手づくり煮物~
煮干しダシの「タケノコと蕗の煮物」
~本当の季節の手づくり煮物~
惣菜の和風煮物が大ピンチ
一昔前は「惣菜」といえば
店で手づくりの煮物商品が
主力商品でした
今では惣菜売場は揚げ物が花盛り
そんな馬鹿な!
売っているでは無いか!と言われても
売場にある煮物商品は
昔の味の煮物ではありません
メーカーがつくっている
「煮物風」のものです
本当のおふくろの味を
今の奥さまたちは
母親から教わらなかったので
つくれません
メーカーの工場では「だしの素」
「液体だしの素」を使うので
おいしいけれど
何か違う
だから売れないのです
だから売れ残りも多いのです
煮物はダシを食べるもの
和食ではそれが基本です
食べれば本能で分かるのです
おふくろの味の季節の蕗は
煮干しを野菜と一緒に煮るので
手間がかかりません
昔から季節の蕗を煮る時には
相性が良い煮干しダシを
使うことが多かったのです
天然ダシの煮物は食べた人が
おいしいと宣伝してくれますよ
本物の味を売り込みます
トッピングに茹でた青菜を
見栄えよく盛り付けます
★林廣美のワンポイント★
煮干しは産地により大き目のものを煮干し、小さいものを「じゃこ(雑魚)」と言います。どちらを使っても構いませんが、新鮮なものを使います。和風の料理人は、「煮干しのはらわたを取って」などと面倒なことを言いますが、惣菜ですからそのまま使ってつくります。煮干しも食べられるように大きな煮干しではなく、小さな「じゃこ」を使います。
煮物味のレシピはその土地の味にします。東日本は濃い味に、西日本は薄味に仕上げます。
●林先生の料理教室コーナー●
家庭料理の季節の定番です。面倒ですが、蕗は青果で売っているものを3~4本大きく切って茹で、茎の皮を手でむき、スジを取って一口大に切ります。生タケノコは処理が大変なので、今回は外します。
昔は煮干しと蕗だけの煮物がよく食べられていました。蕗の味には山菜のアクがあり、煮干しの旨味はそのアクと相性がいいので、よく使われてきました。蕗と煮干し(小型の煮干し7~8匹)を鍋に入れ、ひたひたの水と調味料(醤油、酒、砂糖)を入れて火にかけ、15分ほど煮上げます。
季節の味を楽しむ料理です。もし蕗の葉が付いていたら葉は捨てずに、細い茎と共に細かく刻んで胡麻油で炒めてから、味噌と味醂、砂糖で佃煮風に煮含めると、人気のある「蕗味噌」という、季節の珍味「ご飯の友」ができます。本来は蕗のトウでつくるのですが、蕗の残り物の葉や茎でも簡単に作れるので、おすすめですよ。私はよくつくります。
<By 林廣美>