All In The Same Boat
本日、2009年1月20日、
米国では全世界が注目した初の黒人大統領である、オバマ氏の就任演説が行われました。
国民の結束と責任を呼びかけ、未曾有の経済危機に直面するアメリカの建て直しを、政府だけなく、米国市民全体でどうすればよいのかを考えて、力を合わせて行おうと。
新大統領の話を聞きながら、マイナス7度という厳しい寒さの中で頷く200万人の聴衆者の真剣なまなざしがありました。
原油の価格は下がったものの、アメリカ経済の屋代骨であるウオール街での株暴落や、住宅価格の下落、銀行の倒産、ビッグ3の経営失速は、この国が、さらに深刻なリセッションへと進んでしまうのでは、という不安を国民に与えています。
当然のごとく、不況の波は大きな津波のように、美容などのサービス業界へも押し寄せています。
比較的客足が順調であったリゾートホテル内のスパ・サロンでさえ、人員カットが行われ始めています。
業界紙でも「今まで通りのやりかたでは、この時期を乗り越える事は出来ない」と警告しています。
私が住むラスベガスは、好景気時の成長率も、他の都市に比べて目覚ましかったに比例し、現在では、全米の中で最も不景気の影響を受けている町にあげられています。
そして全体の8割にもおよぶサロン・スパなどのホスピタリティー事業が、売り上げ低迷に何らかの対策をうつ必要があり、2割が閉店の危機に立たされているといわれています。
先日あるサロンで、外部の経営コンサルタントを招いたミーティングに参加していた美容師の友人が語ってくれた話です。
最近は、このように経営専門のコンサルタントを招いて、顧客獲得のためのワークショップをひらき、スタッフ全員が力を合わせ、厳しい状況を生き残るためにさまざまな策を投じているサロン・スパは少なくありません。
そしてダイレクトマーケティグに力をいれています。
(米国では所得・人種・家族構成などをセグメント化された情報をDMのために販売するサービスがあります)
ターゲットを絞った顧客に、割引クーポンがDMで配達されるような試みを行ったり、顧客が新しい顧客を紹介するたびに、割引や化粧品のプレゼントなどの特典を提供したりしています。
またモールなどの大型ショッピングセンターに、週末スタッフが出向いて、アイラッシュエクステンションや眉毛カットデザインなどのデモンストレーションを行っています。
そして女性の職場が多いオフィスに、マフィンとスキンケアサンプルと、割り引きクーポンを入れたバスケットをもって出向き店の宣伝活動をぽこなったりしています。
バックバーのラインを増やし、手ごろな価格のバラエティーのあるメニューを取り入れることで、少しでも結果的に店頭販促に結びつける努力をしています。
今までは個人任せあった新しい技術の習得も、サロン側が講習費を負担するところが増えてきました。
さまざまな顧客のニーズに答えることができる、多様なテクニックをもつスタッフを育成しようと考えるようになったからです。
英語に“We are all in the same boat -我々は皆同じ船の上なのだ” という言葉があります。
これは、”皆が一丸となって難題に取り組み、たとえ大きな波が押し寄せても、困難を乗り切っていこう”という意味です。私の周りでは多くの人が、この言葉を口にし始めています。
そして、オバマ氏が当選した時に
“Yes We Can!- そう我々は出来るんだ!” と国民たちと共に何度も繰り返し言いました。
新しい風の元、2009年は再びアメリカの景気が蘇り、また多くのお客様がサービス業界を潤すことを祈っています。
(五十嵐ゆう子)