ECO-BEAUTY
全世界が注目したオバマ大統領就任演説で全米国民が最も関心を表わしたことは、経済対策の大きな改革として彼が打ち出した300万人の雇用を生み出す、“グリーン・ニューディール”と呼ばれる政策でした。
これは21世紀型の環境対策と資源の節約に重点を置いた公共、住宅、乗り物、生活物資の生産を開拓する新しい開発プロジョクトで、それによって“グリーンジョブ”という新しい職種が誕生すると言う事です。
今、全米の産業で大きなエコロジカルブームの到来を告げる兆しが表れ始めています。
というのも、その翌日にラスベガスで全米最大のホームショーであるNational Association of Home Builders (NAHB)が開催され、私は日本語通訳としてそのショーに参加しました。
そのNAHBにおいて一番注目を集めていたのが展示会場外に設置された、Green Building Programをモデルとして設計された環境・エネルギー対策に焦点を絞った特設モデルホームでした。
人数の制限をしていたので待ち時間30分以上と言う状態でしたが、今一番ホットなトレンド住宅を人目見ようと、誰一人文句を言うことも無く行列をなしていました。
オバマ大統領の演説は、全米中にエコロジカルブームを告げる一つのきっかけになるように感じます。
そして、この傾向はビューティ業界にも浸透しつつあります。
数年前から米国の美容業界で“ECO-BEAUTY”という言葉が出現ています。
合成物質を使用せず安全な環境で栽培される、ナチュラルやオーガニックの原料中心として製品を作り、パッケージも環境にやさしい資源を使った美容用品が販売されるようになっています。
また動物実験等を禁止し、利益の一部を環境対策に役立てるECO-BEAUTYの理念は“LOOK GOOD & FEEL GOOD- 自らの見た目も美しく、そして環境への貢献で自らの気分も良くなるという選択が貴方にはあるのです”
と消費者たちに謳い続けてきました。
近年米国で開催される美容関連展示会ではナチュラル志向に始まり、オーガニック、LOHASなどの環境にも人にも優しい商品が注目を集めています。
ニューヨーク州ポーとワシントンにある経済や消費者のリサーチを行うNPDグループが行った最近の調査では、経済が低迷する現在の状況下においても“ECO-BEAUTY”製品は継続的に成長する可能性を示しました。
これは過去のリセッション時には見られなかったユニークな傾向です。
ヘアケアー、スパプロダクトで世界的に有名なAvedaは風力発電に投資し、それを主要生産工場での電力に100%役立てていますし、認定オーガニック製品「Dr. Hauschka」は古代から伝わる太陽や月の自然法則に従って周りの環境に優しい農法で原料を栽培しています。
またソープ、メーキャップ、ヘアケア製品で知られるAubrey Organicsは空気、水、大地に一切工場から排出物を出さない処方で生産を行っています。
最近、小売業界大手のTARGET デパートメントストアーにも生活用品やペット、家具、電化製品などのさまざまな“ECO-FRIENDLY PRODUCT” コーナーが生まれ、ヘルス&ビューティセクションにも“ECO-BEAUTY”製品が並ぶようになりました。
全米で、そして世界で、“ECO-BEAUTY”という言葉を当たり前のように人々が口にする日は遠くはありません。
五十嵐ゆうこ