Little Lady’s Birthday Party
米国では、未だに収まらない株式の下落と不動産の低迷による不況が影響し、消費者達は昨年以上に財布の紐を固く締めているのが現状です。
そして一番影響をうけているのが、われわれ美容サービス業なのです。
生き残りをかけて、各ビューティサロンも凌ぎを削って様々なアイデア商戦を繰り広げています。
今回はその中から、私が最近見聞きしたユニークなサロンの新企画について紹介したいと思います。
先日、懇意にして頂いているアメリカ人のお客様から面白い写真が数枚、Eメールで送られてきました。
そのメールには、彼女の7歳になるお嬢さんが、お友達の誕生日パーティへ招かれた際に撮られた写真が添付されていました。そこにはお姫様のように髪を結い上げ、かわいいガウンを着て、右手にソーダの入ったシャンパングラスを、左の指で苺をつまんだ、映画の“プリティウーマン”さながらのちっちゃな淑女たちが、並んでペディキュアを受けていました。
そして、招待をうけた子供達の付き添いである母親たちもチェアーマッサージやマニキュア等をエンジョイしていました。
親も一緒に楽しめて、子供達も1日だけのシンデレラ体験が出来るということで、今までで招待された中でベストのお誕生日会だと、そこにいた誰もが満足していたそうです。
店や、そこで働く美容スタッフにとっても、自らを宣伝する事無く、新しい顧客を開拓するチャンスが出来て、パーティが終わる頃には、各自のサービスを気にいったお客様から、新規の予約がどんどん入っていたそうです。
最近、このようなサロン体験パーティの宣伝はファミリー向けの情報誌などでもみかけるようになりました。
私が働くサロンでは、フォトジェニックデイという、プロのカメラマンを呼んで希望のお客様に有料でメイク、ヘアー、まつげのエクステなどをワンセットにして施し大変身させて、記念撮影をするイベントを行いました。
ワインやジュース等を飲み放題にし、おしゃれをして写真を撮るのが大好きなアメリカ人達は、見学の友人なども連れてきてかなり賑やかなイベントとなりました。
そして、やはりわれわれにとっては、自分の技術をデモンストレーションすることが出来、まつげエクステに関してのお客様の質問にも答えながら、同時にそのプロセスを見せることが可能です。
そして、宣伝費用をかけることなく、店自体をアピールすることにも繋がります。
人は視覚に刺激されるものです。
ですから目の前で、誰かが美しく変身していく姿を見せられると、固く閉められた財布の紐も自然に緩んでくるのだと思います。
こうして、お客様の心をくすぐる戦術は、これからもどんどん編み出されていくのです。
五十嵐ゆうこ