What is “KOMBUCHA”? “コンブチャ”ってなに?
先日、健康食料品店に商品を卸している知人と
会う機会がありました。
その際、「米国の健康食品業界で現在、最も売れている商品は何か?」
と訪ねてみたところ、
「KOMBUCHA(コンブチャ)」という答えが返ってきました。
“コンブチャ”と聞くと、我々日本人の頭には、
旅館などで良く出される“昆布茶”が思い浮かびます。
しかし、よくよく調べてみると、
アメリカのコンブチャは日本の昆布茶とは程遠い代物で、
なんとこれは日本で40年以上前に大流行した、
“紅茶キノコ”であることが判明しました。
紅茶キノコは、紅茶にキノコ型菌のようなものを発酵させた飲み物です。
どうも数年前に韓国から米国へ紹介されたらしく、
韓国語で菌をKOMと発音することから、
そういう名称になったのではと知人は話していました。
実はこのKOMBUCHA(紅茶キノコ)、
私の亡き祖母も自宅で作っていました。
遠い記憶ではありますが、
祖母に勧められ、ほぼ強制的に何度か飲んだ覚えがあります。
はじめは、紅茶と聞いて、おいしい飲み物だと想像していました。
しかし口に含むと、舌の先がジンジンと痺れるような感覚があり、
味覚オンチの子供にとっても、おいしい飲み物ではありませんでした。
内心、「これ絶対腐ってんで…。
何か白いカビみたいなの浮いてるし、
本当に飲んでも大丈夫なんか?」と安全性を疑っていました。
「おばあちゃん、これ大丈夫?腐ってない?」
「腐ってない。お婆ちゃんも飲んでみたけど、お腹こわしてない。
もの凄う、身体にええんやで」
「ふーん。でも何に効くの?」
「全部や。」
思い切って祖母に尋ねると、このような曖昧な返事が返ってきただけでした。
私はその後も不安を抱えつつ、
嫌々紅茶キノコを飲まされていたことを今でも思い出します。
しかし、知らぬ間に我が家の台所から紅茶キノコはこつぜんと姿を消し、
その後、祖母の口から紅茶キノコの“こ”の字も出てくることなく、
忘れ去られてしまいました。
KOMBUCHAは酵素・乳酸菌・アミノ酸・ポリフェノールなどが含まれていて、
内臓のデトックス、抗酸化作用、さらに美容にも良い発酵飲料です。
数年前からRAW VEGAN(生食ベジタリアン主義者)やロハス好きの
マドンナを代表とするセレブたちが、
ソーダなどの清涼飲料水の代わりに飲み始めたことが
ブームのきっかけのようです。
アメリカでKOMBUCHA(紅茶キノコ)が売り出されたきっかけは、
ロサンゼルス郊外のバーバンクという町にある小さなメーカーが、
韓国から持ってきた菌の素を、自分の家の台所で培養し、
ガラス瓶につめて売り出したのが始まりだそうです。
米国でヒットする健康食品のほとんどは、西海岸が発祥です。
西海岸は多くの健康オタクが住み、様々なカルチャーが融合し、
新しい物が比較的受け入れられやすい土地柄だからです。
そして一般的に広く知られる要因となったのは、
リンジー・ローハンが、発した一言でした。
彼女はアルコール摂取を禁止されていた期間に、
飲酒疑惑で出頭を命じられました。
その時、彼女が言ったのが、
「私はお酒は飲んでいない!KOMBUCHAを飲んでいただけ」という言葉でした。
KOMBUCHAは微量のアルコール成分を含んでいるのです。
それが一般消費者の間でも、
「What is KONBUCHA?(コンブチャって何?」という疑問が広がり、
KOMBUCHAに興味を持つ人が増える結果となったのです。
なんともまあ皮肉な宣伝効果ですね。
最近は、どの健康食料品店に行っても、
飲料コーナーや店の正面で、KOMBUCHAの瓶入り飲料を目にします。
驚くことに、グーグル本社の社員食堂で働くシェフも
この飲料をメニューの一部に加えて出したこともあるそうです。
知り合いが何本かサンプルを開けてくれたので、私も試飲してみました。
日本茶でも何でも、珍しい飲み物にはフレーバーをつけて
売るのが好きなアメリカ人らしく、
KOMBUCHAにもマンゴー味やらジンジャー味やら、色々な種類がありました。
「やはりオリジナルを試さなくては」ということで、
私はフレーバー無しのタイプを飲んでみました。
口に含むと、あの舌を刺すような感覚が蘇りました。
しかし、飲めないというほど強い味ではなく、
炭酸入りの薄い甘酒という風味で、中途半端な味でした。
私の覚えている“紅茶キノコ”は、
もっと甘くて酸っぱく、癖のある味だった気がします。
もっとも、祖母は甘党でしたので
砂糖を多めに足していたのかもしれませんが。
KOMBUCHAは1本、$4~$6と割高な価格にもかかわらず、
ロサンゼルスやニューヨークに多くいるUrban Detox Diet派の
人々の間で根強い人気があるそうです。
Urban Detox Diet派というのは、都会に住みながら、
気軽にデトックスダイエットを行なう人たちのことです。
私の知人の健康オタクのアメリカ人は、
1日に2本、1週間で14本のKOMBUCHA飲料を飲み続けています。
私は彼に尋ねてみました。
「ところで、KOMBUCHAは何に効いているの?」
「実のところ、他にも色々なサプリメントも飲んでいるから、
どれが何に効いているのか、正直のところわからない」
「おいしい?私は不味いと思う。
あなたのように高いお金を出して続けてまで、飲まないな」
「僕もあまりおいしいとは思わないよ。
でも慣れると悪くないよ。
それに発酵食品を手軽に摂取できるのは、
忙しい僕らにとってはありがたいんだ」
日本では、伝統的な発酵食品である“塩麹”が昨年から大ヒットしています。
私も入手して料理に活用していますが、
これは食品をおいしくするので気に入っています。
そのことをアメリカ人に話すと、
「でも、そのままでは食べられないのでしょ?
何か手を加えるとなると、面倒じゃない?」と言われました。
私は「でも混ぜるだけですよ。それでおいしくなるんだから。」と答えました。
つまりアメリカ人にとっては、ボトル詰めされた発酵飲料というお手軽さが
味よりも重視されているようです。
ちなみに英語では菌のことを“culture”といいます。
米国の大手スーパーでも流通している、シロタ菌入りで有名な
ヤクルトも同じ“culture drink”です。
現在、ヤクルトは世界中で毎日2800万本も飲まれています。
健康飲料に関する2011年度の売上調査によると、
KOMBUCHAは前年度に比べて27%も売上げが上昇し、
年間に370ミリオンドル(日本円にして約2億9600万ドル)も売れたそうです。
2015年には500ミリオンドルを超えると予測されています。
<By 五十嵐ゆう子>
4 件のコメント
6月7日まで米国研修でお世話になりました!(ただ今自宅に戻ってきたところです)
とても充実した研修になりました。五十嵐さんの「熱い!」お話を伺って、この業界に入った時の気持ちを思い出すことができました…最近忙しくそんな気持ちで仕事に向きあえていませんでした。
また初心に戻って仕事に取り組みたいと思います。
ありがとうございました!
三浦様
コメント感謝です。
常日頃、いつもドキドキ感と感動を忘れずに研修も、このブログも
続けていきたいと思っております
本当にありがとう御座いました
五十嵐
五十嵐さん、こんにちは。スマホから検索して見ています。
西海岸には健康茶がいっぱいですね。漢方ではどうですか?
欧米では日本で言う紅茶キノコをKombuchaと呼ぶ。これは20世紀初頭にロシアなどで流行りだした飲料で、何故か日本の昆布茶と誤解されたらしい。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%86%E5%B8%83%E8%8C%B6