クレアモントのファーマーズマーケット
現在、全米では6132のファーマーズマーケット(露天青物市)が開かれています。特に農作物が豊かで、有機栽培農法も盛んな南カリフォルニアでは、雨が降らない限り毎日どこかで必ず市場がでています。
私の家から車で10分のところに、経営学者ピーター・ドラッカーが2005年に95歳で亡くなるまで晩年を過ごしたクレアモント市があります。
ここで毎週日曜に開かれるファーマーズマーケットで一週間分の新鮮な青果を買い込むのが、私の週末の過ごし方です。
農薬を使用しないローカルの野菜や果物、家庭栽培用のハーブや野菜の苗、パンやオリーブを原料とした石鹸、ハチミツ等が売られています。
果物を販売する屋台では、熟した甘い果物がカットされ、皿に並べられて好きなだけ試食できます。
それからカントリー音楽を演奏するバンドや、詩人(最初はフリーで貴方の為に短いオリジナルの詩を作りますと書いてある)、古本を売る人など様々な露天があり、退屈しません。
車はどこにでも無料で駐車出来、いたるところにコーヒーショップやベーカリーの店が開店しているので、買い物のあとはお茶を飲みながらバンドの演奏を聴くのもなかなか楽しいです。
10歳くらいの男の子がトレーダージョーズの保冷用ショッピングバッグを肩にかけ、一人で野菜や果物を選んで買っているのを見かけました。おそらく学校のプロジェクトでしょうか?これくらいの年頃から青果の目利きが出来ればたいしたものだと感心してしまいました。
ところで、今アメリカでは脱サラをして養蜂を行なう人が増えているそうです。
その火付役となったのは、蜜蝋で作った缶入りのリップバームを全米で大ヒットさせたBurt’s Beesの創業者であるBurt氏です。彼は都会での仕事を辞めてメイン州の片田舎に移り住み、養蜂を始めました。ローカルの人々にファーマーズマーケットなどで販売していた手作りのキャンドルや石鹸、そしてリップバームが好評を呼び、人々の口コミが広がりました。
今では蜜蝋を使用したナチュラル・スキンケアラインがWal-Martを含む、世界中で3万以上の小売店で販売されています。
ニューヨーク州マンハッタンのユニオンスクエアには全米一のWhole Foods繁盛店があります。その店の前でも週に3度、“Green Market”と呼ばれるファーマーズマーケットが開かれており、毎回賑わっています。この青物市が出るときは、Whole Foodsの店内は特に混みあうそうです。ここからスタートした小さな生産農家のプロダクトが、後にWhole Foodsの店内で販売される可能性もあるそうです。
ファーマーズマーケットは、人々がローカルで採れた季節の新鮮な青果を求めて集まり、健康を意識した仲間が情報を交換し合える場となっています。さらに生産者にとっては夢を広げるチャンスをも生み出している、注目スポットです。
五十嵐ゆう子
JAC ENTERPRISES, INC.
ヘルス&ウエルネス、食品流通ビジネス専門通訳コーディネーター