“Glad to see you” in Portland! あなたに会えて良かった!
誰かと素敵な出会いがあり、
そして別れる際に、
私が一番聞きたい言葉があるとしたら、
「君に会えて良かったよ。」という一言です。
“ We’re glad you’re here!
(あなたが、この店へ買い物にきてくれて良かった!)” と
壁に書かれたメッセージを、
久方ぶりに訪れたオレゴン州ポートランドの
Fred Meyer Market-place (スーパーセンタータイプ)で目にしました。
このチェーンは創業1927年の老舗。
写真の店は1945年にオープンし、
つい数年前に全面改装したHawthorne Blvdにある店舗です。
Fred Meyerは1997年にSmith Food & Drugと合併し、
その後シアトルを拠点に展開してきたQFCを吸収、
さらに1999年にはKrogerと合併して、
大型店舗はKroger傘下のスーパーセンターとなりました。
Fred Meyerは一昔前のWalmartのように、
生鮮食品、電化製品、雑貨、衣料、装飾品、ガーデン用品など
5つ以上の広大な売場があり、
とにかくアイテム数が多く(約23万アイテム)、
安さを前面に打ち出したOne Stop Shoppingのイメージがありました。
ところが最近改装している店舗は非常に洗練され、
高級感を漂わせています。
特に青果部門は上品な木目の床と
多種多様でフレッシュな品揃えはWhole Foodsを彷彿とさせます。
上階からエレベーターでおりてきた所からも
フレッシュな青果売場が見えるのでインパクトがあります。
徒歩圏内にあるWhole Foodsの競合店、
New Season marketにも、けしてひけを取りません。
そして2階にあるホームファニッシング部門では、
アロマの香りが漂い、Bed & Bath Beyondを彷彿させます。
それでいて価格はWalmartやTargetにも
十分対抗できるのですから、
近くにこの3つが並び、価格がさほど変わらないのであれば、
私なら気持ちよく買い物を楽しめて、
エンターテイメント性のある、現在のFred Meyerを選ぶでしょう。
ポートランドにある人気の食料品店といえば、
必ず話題に登るのがNew Seasons Marketです。
地域密着型(スタッフのほとんどはローカルの人間)で、
地産地消(生鮮食料品のほとんどがローカルで生産されたもの)、
オーガニック&ナチュラルを前面に押し出し、
フレンドリーで親切なパパママストア的な
カスタマーサービスを提供しています。
店の理念やユーモア性を顧客と共有するように
いたるところに書かれている様々な
“メッセージ(言葉)”を読むのも面白いのです。
店の造りやデザインは明るくポップで、
什器は暖かな色合いのものを使用しています。
New Seasonsのもう1つの特徴は、
味と見た目を吟味し、ヘルシーさも強調した惣菜の素晴らしさです。
ポートランドが、今や全米でもトップクラスの
「スローフードとグルメの町」として
有名になったきっかけと言われているのは、
New Seasonsが出現したことも影響しているそうです。
今回は都会向けにオープンした小型の新店舗を訪れました。
ちょうど日本のスーパーの平均的なサイズに近い都会型の店は、
限られたスペースなので品揃えの選定が要になります。
この店より前にHAPPY VALLEYの大型店を見ましたが、
都会に住む、私のような忙しい主婦には、
これくらいの小規模の店舗の方が買い物がしやすく感じます。
ポートランドで洗練されたグルメ食料品店と言えば、
必ず最初にあげられることで有名なZupansがあります。
3店舗しかない小規模の地元家族経営の店です。
今回はSE Belmontの店舗に参りました。
あちらこちらに展示されている
グルメフードのポップ写真が美味しそうですね。
まるで食アートのアトリエのようです。
Zupansは都会の比較的裕福な人達の住む場所に出店し、
ローカルに密着した品揃えをしています。
ローカルのニーズをよく理解しているのです。
平日の午前中にもかかわらず、店内は賑わっていました。
この11月に4店舗目が5号線を南下した
Lake Oswegoというリゾートダウンにオープンするそうです。
そして、ポートランドには知る人ぞ知る、
ユニークで、世界中の食材が手にはいるという
Barbur Foodsという店があります。
ここは数年前に通りかかったことがある店で、
バーバーなんて、聞いた感じはまるで床屋(Barber) さんだなと思っていました。
ロケーションも少し不便な場所にあり、駐車場も狭く、
外から見た感じは古く、田舎臭さを感じる店構えです。
しかし次から次へ車が出入りし、
ベンツやらBMWやらの高級車も乗り入れていたのが印象的でした。
ここはたった1店舗しかない小さな店で、
店内はぱっと見た感じでは普通の食料品店なのですが、
非常に繁盛しています。
地元の人が書き込みをしている口コミサイトのYelp.comでも
人気の店なのです。
惣菜売場には他では見られない珍しい食材があり、
ドライ売場にはエスニックな商品がところ狭しと並び、
ブッチャーと書かれた対面販売の肉売場は人気があるようで
人が並んでいました。
青果は、店の出入り口にパレットにのせたダンボールのまま、
色気もなくドーンと(ある意味ダイナミックに)陳列されていました。
今回、同行した私のボスの浅野が、
店から出てきた一人の女性客にいきなり話しかけました。
「何故、この店はこんなに流行っているのでしょうか?」と浅野。
「この近くに住んでいるから便利だし、
青果が新鮮で珍しいものも多く、肉の質が良い。
あとは惣菜のバラエティーがほぼ毎週変わることだわ。
教師の仕事をしてて料理を作る暇が無いから
ここの惣菜をよく買うのだけれど、
いつも珍しいものがあるから飽きないし、味も結構美味しいのが魅力ね。」
「他にはどんな店舗に行ってるんですか?」と浅野。
「Safewayかな?ここから近いんで。」
「でも、この店を利用する頻度の方が高いのですね?」と浅野。
「ええ、今日はミルクが切れたんで来たのよ。
実はミルクの価格はこの店はけして安くは無いの。
でもね、何かついでに珍しくて、
面白いものがないかなって思うから
ついついここへ足が向いてしまうのよ。
ここはMy Store (私のお店)ね。」
うーん、なんと素晴らしい!
お店にとってMy storeと呼ばれることは
何よりも嬉しい賞賛の言葉です。
その彼女の一言は、我々を再び店内に招き入れて、
珍しい惣菜を買い求めるきっかけとなりました。
見た目は飾り毛のない店ですが、
客にこれだけ指示されて、
繁盛している店が持つ魅力について知るのも勉強になりますね。
今回のブログ締めは、現在、全米365店舗のチェーンTrader Joe’sです。
地元に暮らす人々や名所などを描いたアートが
店内に飾られています。
店の外にかかれた
“Trading Hours 8-9.
YOUR SE PORTLAND NEIGHBORHOOD STORE
(あなたが暮らすSE PORTLANDに密着したお店。営業時間は8~9時です。)”と
書かれてある看板がにくいですね。
私はどこを旅していてもTrader Joe’sを見つけるとホッとします。
「あ、あったぁ!」と嬉しくなってしまうのです。
これも「Glad to see you!」ですかね。
<By 五十嵐ゆう子>