Seattle, the City of Emerald エメラルドの町、シアトル【前編】
私が幼い頃、大好きだった童話、“オズの魔法使い”。
その文中に、竜巻によって自分の家に戻れなくなってしまった
主人公ドロシーが、魔女グリンダから
「黄色のレンガの道を辿ってエメラルド・シティへ行き、
オズの魔法使いに会うことができれば、
カンザスのお家へ帰れるでしょう。」と教えてもらう一説があります。
私はその頃から“エメラルドの町”という響きに憧れを抱いていました。
その後、米国には実際、
“エメラルドの町”と呼ばれる町があることを知りました。
それがワシントン州シアトルです。
シアトルは西海岸の中では比較的降雨量が多い場所なので、
秋から冬にかけて、一年の約半分は傘が必要な気候です。
しかし、その雨の恵みによって育った深い森や、
海の入江に囲まれた美しい町並が、
深緑に輝く宝石、エメラルドのイメージと重なります。
さらにシアトルは、バラエティ溢れる青果の産地であり、
豊富で新鮮な魚、ワイン、そして地ビールなどの食材に
恵まれた場所としても有名です。
なんといってもシアトルの名所と言えば、
公設市場の発端となり、100年以上の歴史をもつPike Place market。
魚の投げ売りで有名な魚屋さんを中心に、
地元産の生鮮食料品や自家製パン、生花、パスタの麺など、
所狭しと店が並んでいます。
大勢の人々で賑わうアーケードを歩くと、
大坂黒門市場で育った私は懐かしさで心がいっぱいになります。
夏場はアーケードの外にもファーマーズマーケットが開かれて、
まさに食のお祭り状態です。
写真はスターバックスの一号店。
うちの思春期の息子にはあまり見せたくないのですが、
ロゴの人魚がノーブラなのは、
このオリジナル店舗だけということで特に有名です。
お店の前ではジャズやラップなどのエンタテーメントが
いつも行なわれています。
ただ、いつ来ても混んでいます。
私も過去に数回訪れましたが、
この店で珈琲を買えたためしがありません。
たいてい、人の群れを見て諦めてしまいます。
閉店は夜の9時なので、どうしてもここで珈琲を飲みたい方は、
Pike Place Marketが閉店した後、夜8時ごろがオススメですよ。
シアトルのダウンタウンには、1901年創業の老舗高級デパート、
ノードストローム一号店があります。
しかしMacy’sと道を挟んだ場所にある
ノードストロームのアウトレット店、Nordstrom Rackの方が
価格に敏感な世情を反映してか、掘り出し物目当ての客が多い気がしました。
そして、シアトルの老舗スーパーマーケットと言えば、
1956年にアルバートソン出身のクロエ氏が創業した
地域密着型のアップスケール・ナチュナル食料品店、QFCも有名です。
現在は米国最大のスーパーマーケット・チェーン、Krogerの傘下ですが、
言われなければ分からないほど、店内の雰囲気には独自性があります。
青果陳列は、売場の真ん中でひな壇上に青果を並べ、
スポット照明を当てて、商品を際立たせる方法をとっています。
これはKrogerの陳列の特徴を感じさせますが、
壁にそって並べられた青果のカラーコーディネートはとても美しいです。
(おそらく種類の豊富さが美しさをプラスさせているのでしょう)
カットフルーツの断面を立てて並べたディスプレイも
フレッシュさを感じます。
買い手にとって商品の陳列と言うのは、
見た目の斬新さも確かに大事なのですが、
手に取りやすく、選びやすいということが
やはり重要ではないかと思います。
内装や陳列が芸術的で、広くて豪華な店には、
たまの気分転換に行くことはありますが、
私のような典型的な都会型の働く主婦にとって通常の買い物は
時間の短縮をしながらより良い商品を選んで買うことに重点をおきます。
ですから、商品が取りやすいように前出しされていたり、
陳列に配慮がみられたり、商品が見やすいように照明が当てられていると、
毎日通おうと思える店となります。
シアトル周辺で10店舗ある、小型の自然食料品店PCCも、
健康志向者の間では特に人気の店です。
ここは会員費をとり、その出資資金で、
安全で新鮮な、ナチュラル・オーガニックの商品を仕入れ、
会員へはディスカウントで販売する、いわば生協の仕組みの店です。
そのため、会員でないと多少、割高感があります。
バルク販売やグルテンフリーの商品も人気です。
【後編へつづく】