省エネ製品導入の落とし穴
都合により休載していました森下兼年さんの
「スーパーマーケットの省エネ環境戦略」が本日より復活しました。
最新の省エネビジネス情報を毎週月曜、ご紹介いただきます。
もちろん、スーパーマーケット実務に役立つ情報も随時、執筆いただきます。
ご期待ください。<事務局>
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今週は山口県の宇部市と広島市の2つの会場で
「企業の省エネトレンド」というタイトルで講演させていただいた。
当初お話をいただいたのはひと月以上前で、
その時点では、企業の方に興味を持っていただく話が良かろうということで、
20年ぐらい前からの「省エネビジネスの変遷」や
「省エネ装置」と呼ばれている機器の話を準備していた。
そこで、お話ししたことを記したい。
省エネ製品やその手法については、
良いものもあるが、問題のあるものもある。
それは適応する現場の状況にも左右されるが、
問題の本質は、その売り方にある。
例えば、毎月の電気代が100万円とすると、
これを90万円に削減する省エネ装置があるとする。
この装置が100万円だとすると、元を取るのに10カ月かかる。
長い目で見るとコスト削減になる投資でも、
中小企業の場合は、資金に余裕がないので導入しにくい。
しかし、これを
「月々2万円で導入できます」という提案を受けたらどうだろうか。
そうすると、すぐに毎月8万円のメリットがでる。
中小企業でもすぐに導入しようということになる。
毎月の経費を削減したい中小企業が、すぐに飛びつく提案ではなかろうか。
ところがここに落とし穴がある。
100万円のものを毎月2万円の支払いで買ってしまったのである。
これはリース契約で行われることが多く、
4年以上支払い続けなければならない。
そのため、もし提案を受けただけのメリットがなかった場合や、
設備に何らかの問題があった場合でも、
途中解約は出来ない仕組みになっている。
なぜなら契約の相手がリース会社になっているからである。
ランニングコストの削減になって喜ばれる場合も多い反面、
期待した効果がない場合や、無理な省エネのため
設備全体に影響が出てしまうこともある。
途中解約を求めたが応じてもらえないとうトラブルが多く、
訴訟になっているケースもある。
しかし被害額が小さいため、泣き寝入りのケースもたくさんあると思われる。
このような背景があり、
1990年代には、省エネ=詐欺というイメージが定着しつつあった。
そこで当時、アメリカで流行していた
ESCO(エスコ)という手法が日本に導入された。
次回は、「ESCO」を紹介する。
<by 森下兼年>