ESCOの問題点
先週からの続きのESCO(エスコ)の話である。
中小企業のエスコの問題点は以下の3つに集約できる。
1.リースや融資の与信がない
2.提案書作成までの省エネ診断のコスト負担
3.助成金の申請の手間は、
予算規模にかかわらず同じ
1の与信が最も大きな課題である。
もともと省エネやコスト削減のための設備投資は、
ランニングコストを削減することが目的である。
そのための投資額を、長期間で回収するのがエスコ事業である。
通常その期間は6年から8年に設定される。
しかし金融機関の統計では、
中小企業の残余命年数はそれ以下になっており、
よほどの優良企業でなければ、リースも融資も難しいとされる。
もちろん、エスコ事業者が資金を提供する
「シェアード・セイビングス」という方式もある。
しかし、これは、エスコ事業者が
設備投資の資金を用意しなければならないため、
実施可能な案件数に限りがある。
与信の問題については、
国や行政が保障する制度が、昨年あたりから実施されている。
しかし、100%の保障ではないので、金融機関も積極的ではない。
2の省エネ診断のコスト負担とは、
エスコ事業を提案するためのコストのことである。
エスコ事業による省エネ・省コストの提案書をつくるには、
対象施設の詳細なエネルギー使用実態を把握する必要がある。
例えば、エアコンなどのエネルギー負荷の高い設備の
電力量を時系列で把握するために、
配電盤に計測器を設置し、
数週間のデータ取りが必要である。(図参照)
電力計測器
機器の稼働率を正確に把握しなければ、
設備改修後の削減額を算定できない。
さらに、現場でのヒアリングや様々な設備の調査を実施して、
専門家のノウハウによる提案書を作成する。
これらの作業に係る経費は
通常、40万円から200万円は見ておかなければならない。
これを誰が負担するのか?
ユーザーから見ると提案書作成までは、
営業であり無料で行われるのが当然と考える。
しかし、提案自体がノウハウであり、
それを無料で提供していては、商売が成立しない。
なぜなら、ユーザーは、提案内容をそのままとし、
他の事業者から見積りを取ることもできるからである。
エスコ事業者の経営が難しいのは、
営業段階の経費を、
自社で負担しなければならないからである。
一般的に、機器メーカーは無料で提案書を作成する。
しかし、それは自社の製品に関するものだけであり、
答が決まっている。
エスコ事業者は省エネ診断を実施してから
提案内容を検討するので、根本的に異なる。
さらにもう一つ。
エスコ事業者の意見を代弁すると、
公共の省エネルギーセンターが省エネ診断を無料で実施していることが、
民間の省エネ診断事業が成り立たない要因の一つである。
3は、説明するまでもない。
2億の事業も、200万円の事業も、同じ手続きが必要である。
さて、先週はCGC中国の4月度地区環境委員会に出席した。
私は「レジ袋無料配布中止」(レジ袋有料化の行政の言い方)による
中国CGCの「緑と心の基金」の委員をしている。
その会議で「節電について」というテーマがあり、
東京のCGCジャパンが作った資料が配布された。
それは、コンビニやイオンの節電への対応状況をまとめた資料だった。
そもそも、広島では、全く節電の必要はない。
節電しても、関東を助けることはできないのである。
その状況でも、全国チェーンであれば、
同じように看板の電気を消している。
また、レシートの紙も枯渇しているようで、
レシートの広告部分をカットして、7ミリ短くする方法を説明された。
この際、紙のレシートをなくして、IT化できないものだろうか。
家庭ごとに自動的に家計簿ができるシステムを開発すれば、
ユーザーの囲い込みにもなるだろう。
<By 森下兼年>
1 件のコメント
今日は。
私は韓国の金と申します。
日本のESCO事業の問題点に付いてよく分かりました。
有難う御座います。
今は中国におりますが近い内に日本でお会い出来ないでしょか
私は上に書いた様な色んな問題点を解決した新しい方式のESCO事業を
日本で始めたいと思っている人間です。
是非 よろしくお願い致します。