正確な計測こそが省エネの前提条件
先日、東京国際展示場の「エコオフィス・エコ工場EXPO」に
弊社のエネルギー・モニタリング・システム「グリモ二」を展示するため、
4日間東京に出張した。
グリモニは電力計測装置からデータを直接、iPod touchで受け取り、
瞬時電力や電力使用量の時間変化などを表示するシステムである。
折からの節電ブームで弊社のブースは大盛況であった。
東京では、すべてのオフィスやお店が節電に取り組んでいる。
しかし、何をどれだけやれば、どれくらい消費電力を減らすことができるのかは、
計測しなければわからない。
省エネのための、設備更新の計画を
現場でのデータ計測なしで行うことは、とてもリスキーである。
空調設備などは、実際に計測装置を用いて稼働状況を把握しなければ、
その本当の負荷はわからない。
一例として、実際にあった話を紹介する。
とあるスーパーマーケットの本部で空調の更新を検討していた。
一般的な考え方として、
設置年数の古い店舗の空調設備を更新することが効果的であると判断し、
10年以上前のものを最新型に変更した場合の省エネルギー効果を計算し、
費用対効果を算定した。
そのとき、空調設備の負荷率(稼働している割合)を夏季は60%程度で計算した。
十分費用に見合う省エネが期待できると判断し、数百万円の設備投資を行なった。
ところが、実際に設備更新後に電力計測を行なったところ、
空調はほとんど稼働していなかった。
稼働率は営業時間のわずか5%程度という結果になった。
その理由は、スーパーマーケットの食品売り場は
冷凍陳列ケースをたくさん設置しているため、
この冷熱で夏場でもクーラーなしで冷やされていたのである。
これは廃熱がうまくいっているケースであるが、スーパーでは珍しいことではない。
ということは、空調設備の更新による省エネの効果は
計算上よりもかなり小さなものであった。
このような失敗をしないためにも、
自社のエネルギー消費の実態を知ることは非常に重要である。
<By 森下兼年>