この夏注目のデシカント空調と「ESCO」
今年の東京の夏は、エアコンが使えるのだろうか?
今やコンクリートとガラスの中で働いているビジネスマンにとって、
エアコンなしということは考えられない。
寒いのは厚着やカイロなんかで何とかなるが、
暑いのはどうにもならない。
これから省電力になる製品は
「コスト度外視」で導入されることになるのではないだろうか?
私はCO2削減コンサルタントなので、
さまざまな省エネ商材の紹介を受ける。
先週は、商社から夏のエアコン問題を解決できる
デシカント空調システムの説明を受けた。
これは、湿度をコントロールするもので、
エアコンの温度を高めにしても、
湿度を低くすることで快適に過ごすことができるシステムである。
その上、室内が高圧になることで、
外部からのチリや埃が入りにくく、
衛生的な空間を作り出すことができる。
通常の温度でコントロールするエアコンより、快適であるらしく、
スーパーでのお客様の滞在時間が長くなる傾向にあるという。
やはり寒すぎると滞在時間は短くなるというのは道理である。
このシステムは、気温は高めで湿度が低いので
「ハワイの気候」を人工的に作っているようなものだ。
実は広島で既にこのシステムを導入しているスーパーがある。
なんとなく居心地が良いと評判である。
ESCOの仕組み
ところで、先週の続きのESCO(エスコ)の話である。
詐欺と言われるのは、売りっぱなしで、アフターフォローがないことから、
効果が出なかった場合やトラブルが起きた場合に
泣き寝入りになってしまうことが問題であるとされる。
そこで、アメリカで省エネの効果を
契約で保障するビジネスが生まれた。
ESCOとは「Energy Service Company」のこと。
省エネルギーに関する包括的なサービスを提供し、
その顧客の省エネルギーのメリットの一部を
報酬として享受する事業である。
簡単に言うと、省エネの運用改善や設備更新を行って、
ユーザー企業の水道光熱費を削減し、
その費用で、設備の導入費用やESCO事業者の利益を出すものである。
ユーザーから見ると、
初期投資なしでランニングコストを削減することができ、
契約期間が終了後は、そのまま設備も利用できるので、
より大きなメリットを得ることができる。
国策でも推進され、ある一定の件数が行われてきたが、最近は頭打ちらしい。
大規模な工場や施設はほぼ省エネが進み、
ESCOの対象となる施設が少なくなっているからだと言われている。
しかし、まだまだ中小企業には省エネの余地が大きい。
それは、資金的な問題で設備投資が遅れているからである。
そのため、初期投資を必要としないESCOは
中小企業にマッチしていると思われる。
しかし、なかなか導入が進まないのが現状である。
次回、中小企業のESCOの課題について話したい。
<By 森下兼年>