第1回 世界最大の国際照明展「Light+Building」 を訪れて
2010年4月11日から14日の4日間、
ドイツのフランクフルトで行われた世界最大の国際照明展
「Light+Building」を視察した。
隔年開催で、約17万人の入場者、2000を超える出展社、
会場の広さは東京ビッグサイトの
10倍はあろうかという規模だ。
プレーンなダインライトからスポットライト等、
店舗空間向けのテクニカルな照明器具、
住宅用シャンデリアやフロアスタンド、
屋外用では街路灯や道路灯、
ビルのライトアップ用機器に至るまで
あらゆる分野の照明器具と、
そのコントロールシステム等の新製品が展示されている。
私の仕事は、多店舗展開を指向する
大手チェーンストア本部と一体になって、
お客様から見て、
どんな価値と利便性を与えてくれる店なのかを、
際立つ業態感のデザイン、
分かりやすいグレード感で表現することである。
そして、その実施プロセス監理と多店舗展開のための
標準化コンサルも主な業務として重視している。
だから照明は、
店舗イメージのデザイン戦略を企画、
コンサルする私にとって、非常に重要なアイテムだ。
今年4月から始まった「改正省エネ法」実施により、
350坪から450坪の店舗面積を持つ
スーパーマーケットであれば、概ね7~8店舗規模、
コンビニであれば概ね35店舗~40店舗規模のチェーンは、
毎年チェーン全体で1%以上のエネルギー削減と
その報告が義務付けられ、それを果たさなければならない。
スーパーマーケットを例にとれば、
照明に消費されるエネルギーは、
冷蔵ケース類、空調に次いで3番目だが、
上位2つは、お客様の目に直接入らない。
照明だけが空間イメージの構成要素として
お客様の目(視覚的に)に入る。
今後はお客様にとって快適な買い物空間の提供と、
お店の省エネ度進化は、必ず両立させなければならない。
その意味で改めて申し上げるが、
店舗イメージ作りにとって、
私は、照明は大切だと捉えている。
「Light+Building」展では、実に70%~80%が
LED光源による器具で占められていた。
日本に比べ、もともと直管型蛍光灯はすくないが、
日本市場のように、
LED光源による蛍光灯型の代替え商品は皆無であった。
フィリップスやオスラムなどヨーロッパ大手も
中小のメーカーも一からLED光源の特性を追求した、
LED光源ならではの照明を、幅広く提案している。
そして何よりも光そのものが美しい。
電球色でもなく白色でもないが暖かみある光で
空間や商品を照らし出している。
LED光源の発光部である素子製造では、
日本の技術は世界最先端だが、
その応用力では、日本はヨーロッパに比べと遠く及ばない。
チェーンストアの省エネは社会的な貢献度が大きいという、
私自身のテーマから、
2009年秋の環境省主催による
「第一回省エネ照明デザインモデル事業」に、
コンビニチェーン中堅のセーブオン様と共同で、
「オールLED照明コンビニ店舗」というタイトルで
応募し、採択された。
マスコミにも数多く取り上げられ
一定の役割を果たしたつもりだった。
しかし今回の視察で、なかば予測はしていたが、
その安堵感はものの見事に打ち砕かれた。
照明や家具を空間デザインの基本に据え、
生活文化を次々と開発していく
ヨーロッパという市場の厚さと産業背景の重さが、
やはり衝撃的であった。
私個人の力は小さいが、
日本のチェーンストアイメージや
お客様のための売場環境作りを、
より良い方向に導くために、
一層の努力と研鑽とアピールが必要だと
改めて強く感じている。
<by小林清泰>