第1回 クレートとイフコ
クレート=Crate
Google翻訳では、名詞では竹かご、動詞では包装するという意味。
ただし、ネットでクレートを検索すると、ペット用ケージに関わることが大半なので、
少々驚きます。
もともとクレートとは、酒瓶箱などのように、内容物が可視可能な容器を指しました。
小売・流通の分野では。いわゆる通い容器のこと。
ユニット・ロード・システム運用を構築するための、物流・マテハン什器のことをいいます。
*ユニット・ロード・システムとは、荷物や貨物を、1つの単位(ユニット)にまとめて輸送・荷役・保管しやすくするシステムの総称。コンテナ輸送、パレット輸送など。
これまで小売・流通業界では、これらの容器に、万重(バンジュウ)、プラコン、トレー、コンテナ、バット、カートン等々と、さまざまな呼称を使っていました。
物流クレートの標準化にあたり日本スーパーマーケット協会をはじめとする小売業団体は、その呼び名を『物流クレート』に統一したわけです。
小売業が主体になって使い始めたクレートでは、
オリコンやイフコ・コンテナーシステム(以下イフコ)が知られています。
オリコンは、㈱昭和電工が1970年代に、小売業のニーズに基づいて開発しました。
そのオリコンも、今では用途に応じて数百種類が氾濫しています。
イフコは1993年、環境先進国のドイツで誕生しました。
ドイツのシェラー社(IFCO Systems N.V.)が、
青果流通向けにレンタル方式のプラスチックコンテナーを開発したのが始まりです。
デポジット制度のあるドイツでは、瞬く間に広がり、EUの主要な小売業に広がりました。
そして1995年、京都・環境国際会議の開催にあたり、京都議定書(COP3)素案策定のために欧州視察に行った
大阪大学大学院で環境工学を専攻する盛岡通教授が、
イフコの取り組みを見て、日本でも導入すべきとして紹介しました。
日本では1995年(神戸・阪神大震災の年)にイフコ・ジャパン㈱が設立されます。
そして関西地区における農産物の流通に、生協やイオンがテスト採用しました。
いまでは、産地集荷~市場~店舗陳列の一貫什器としてイトーヨーカ堂やJAの流通業で広く使用されています。
当初は1種類だった容器も、現在では数十種類になりました。
乳製品・日配品の流通において取り組みの始まった「標準クレート」は、この青果物流通における「イフコ」の考え方と同じといえるでしょう。
(続きます)
<by 商人舎標準クレート研究チーム・中林>