第4弾 サトーカメラ 佐藤勝人の巻[第6回/アソシエイツ教育]
結城:
サトカメの佐藤さんの会社も、正しく学ぶ集団ですよね。
佐藤氏:
そうですね。
うちの場合アソシエイトって言ってるんです。
入ってきたときに彼らに説明するのは、
我々は販売員ではない、使いっぱしりじゃないんだ、
言葉は悪いですけど、労働者でもないんだと。
考える集団であってほしい、学ぶ集団であってほしいと。
佐藤氏:
採用するときに、サトカメは優秀な人が入るんですよねって
よく言われるんですけど、そんなことないんだよと。
皆、何の考えもなく、
どこにも就職できなかったからというレベルで入社してくるわけです。
だから、そういう子たちを一人一人アソシエイトとして育て上げていく。
もともと、何もできないのを知ってるわけです、こちらは。
新入社員ってそうですよね、何も出来ないですよね。
だから彼らによく説明するんです。
会社が金を払って、何も出来ない人に教える。
「普通は逆だろう」って言いながら、教えていく。
一つ一つの作業の指導もありますけど、
それだけじゃなくて、なぜ勉強しなくちゃならないのか、
なぜ学ばなくちゃならないのかっていうのを教えていく。
わかりやすく言うなら、
お客様を呼ばなくちゃならないのが我々の仕事。
もちろんイベントとか、いろいろありますけども、
最終的には働いている人間ですよ。
売っている商品は同じなんだから。
いくらサービスが良かったとしても、
最終的には人間、接客してくれたアソシエイト次第で、
お客様はどうしようかなと購買を決めるわけです。
置いといて、黙って売れる消耗品もありますけども、
高額商品になってくると、人が相手して、
人がお客様にあったものを売らなくちゃならない。
いくら機能的、性能的にキチッと説明したとしても、
最終的には、お客様は、
接客している人を気に入るか、気に入らないかなんですよ。
極端なことを言うと、田舎に行けば行くほどそうなんです。
田舎に行けば行くほど、人との繋がりっていうのを、お客様も気にする。
商品知識が素晴らしく堪能であればいいのかって、そういうわけではない。
最終的に、お客様のことを理解すること。
スチューレオナードが、「お客様はいつも正しい」
といっていますが、それだけじゃない。
お客様から学ぶこと。それを2002年に付け足して教えている。
「お客様は正しいから言うことを聞け」って言ってるんじゃないんだぞ。
お客様が、「これ、おかしいじゃないか、どういうことだよ」って言われた場合に、
確かにお客様が勘違いしてる場合もある。
でも勘違いさせたのは、我々の責任なんだから、
勘違いさせてすみませんでしたと対応しなければならない。
そして、勘違いをさせないためには、
どのように仕組みを変えていけばいいかを考える。
何がいけなかったのかを、お客様から学ぶ。
それを付け足したんですよ。
我々の勉強方法は、
どちらかというと教科書を開いてやる勉強じゃない。
いかに一つの現象から、結果から、問題を解読して、
そこからどのように改善していくのか。
仕組みごと変えていくのか。
それが分からない場合に本を見て 調べていく。
隣の店を見て真似していく。
隣の業界を見て真似する。
うちは失敗したけれど、隣の業界は、こういうことをやっていた。
だったらこうした らいいんじゃないかという話になる。
逆になっちゃうと大変なんですよ。
教科書からやっちゃうと、今度は出来なくなっちゃうんですね。
これはダメ、あれはダメってことが多くなっちゃうので、
あえてお客様から学ぶんだってことを教えている。
それをしていかないと、やっぱり間違える人間も多いんですよ。
我々は出来た人間じゃないからね。
どうしても理屈先行になって。
理屈に勝るものはないからね。
実践はどう考えたって、理屈には敵わないから。
理屈は100%あるけど、実践は100%はあり得ない。
イチローだって3割なんだから。
それで途中で分からなくなっちゃう子たちが多いので、
慌てずに、お客様から学びなさいと教える。
気づいたら、問題を提示して、そこから理屈を学んでいきましょう。
そういう路線にもっていったんですよ。
そうすると皆、結構、面白がって、勉強にのめり込んでいく。
佐藤氏:
私もそうなんですが、難しい本を読むと辛い、眠くなっちゃう。
しかも自分の仕事に関係しないと本は読まない。
だから、自分の会社、現場で起きてる課題を、
どう解決したら良いか、どう仕組みを変えればいいかって考えた時に、
そういう関連の本を探して、3冊も4冊も読む。
それと同時に現場を見て、学んだことを現場に落とし込んでいく。
そうすると、やってて面白いなと。
アソシエイツには365日24時間、
いつでも勉強なんだよ、仕事なんだよと教えている。
一つのことに対して、ずーっと考えて、頭の隅に入れとけば、
どっかで解決策に繋がる。
だから勉強してないやつは直ぐに言うんだよね。
「思いつきで言わないで下さい」って。
思いつきじゃないんだよ。君は今ここで考えたから思いつきかもしれないけど、
私は、ここ一週間、ずーっと考えてきたから、この策が出たんだ。
そのために本を調べて、現場もチェックして、検証してきた。
そういうんです。
店長レベルだと、今考えろって言われた時にしか考えられない。
それじゃマズイので、
常に現場に答えがあって、そこから勉強し始めてくださいって指導する。
そういう勉強方法を教え込んでますね。
結城:
その現場主義っていうのは、僕も大賛成ですね。
現場から学ぶ。
結城:
今の話で面白かったのは、
コンサルタントとしていろんな業種に行って、
そこでは佐藤さんの経験やセオリーを言いつつ、
逆に、指導先から吸収して帰ってくるってくだりね。
佐藤氏:
そうですよ。
基本的な仕組みだと思うんですよね。
確かに王道と言われるのものも一つだと思うんです。
ただ、若干、皆違うんですよね。
方法は一緒でも若干違うんです。
やっぱり人間も筋肉質とか体質によって変わってくるわけだから
それと一緒で、企業も人も皆違うんですよ。
その違いを見極めてあげて、その違いを教えてあげる。
どの業種に行っても基本は変わらない。
私の仕事先ってどういうのがあるんですか?
とよく聞かれるんですけど、
町の小さな靴屋さんから、自動車屋さん、車検場から、卸売市場、
スーパーマーケット、ドラッグストアとか、薬局とか、
ホテル、ビジネスホテル、ラブホテルとか、リフォーム屋さん。
とにかくいろんな業種、業態があります。
一番笑っちゃったのは、お坊さん、お寺さん。
お布施どうしたらいいかって話で。
お布施のもらい方。
価格帯から何から作ってあげないといけない。
基本的には自分がやってるローカルチェーン商法ですよね。
これを彼らの業界、業態、業種に落としこんでコンサルするわけです。
そうすると、そこでまた気づくんです。
人の会社指導してて、
「あれ自分のとこは最近やってなかったな」と。
自分の会社を自分で指導してると、
どうしても自分だけが進んでいちゃう、進化していっちゃうから、
後に戻れなくなる。
原点に戻れって言っても、社員も進化してくるからね。
佐藤氏:
どんどん高度になっていくのはいいんですけど、
肝心な、基本中の基本を教えていないってことになったりするんですよね。
これが分からなくなっちゃうんですよ。
他業種を指導するときは、基本中の基本から入るんです。
そうすると、最近うちの新人に基本中の基本教えてなかったなとかね。
だから、いろんな業種・業態を指導することによって、
ローカルチェーン商法っていう自分の指導方法が出来上がってきた。
年配の方から18歳の子供まで指導することによって、
また帰ってきて、自分の会社にフィードバックすることができる。
「佐藤さんは誰の指導を受けてるんですか?」ってよく聞かれるんです。
最初に言いましたように、「お客様はいつも正しい」。
だから、お客様から学んでいるんですね。
そうしたことが身についたから、365日仕事してるんですよ。
結城:
二足のわらじって昔言ってたのが、今は一体になってる。
佐藤氏:
そうですね。
だから二足のわらじの時は、
ちょっと後ろめたい気持ちがあったんですよ。
自分の中で。指導してて。
週に3日やってるんで、
自分の会社には週に4日しかいなくて、
これはマズイなーって思ってたんですよ。
ところがそれが一つになった時に、
二足のわらじじゃなくなったんです。
俺のやってることは、二足のわらじじゃないんだ。
ビジネスで言うと、その指導先の会社と提携することもありうる。
サトーカメラで販売を担当したりとかね。
あるいは指導先のお客様を紹介してもらったりとか。
いまは、ちょっと面白くなってきたと。
結城:
なるほど。
<続きます>