第4弾 サトーカメラ 佐藤勝人の巻[第4回/市場シェア]
<中略>
話はローカルチェーンづくり、菱食の低温食品事業部の初期のマーケティング戦略で盛り上がります。
そして再び、サトーカメラの店づくりに。
結城:
経営戦略が決まって
一番最初に言っていた60坪店舗の話、
ここにもどってくるわけですね。
佐藤勝人氏:
そうです。
60坪の店を最初建てたっていうのも
何も勉強してなかったわけじゃなかったんだけど、
気づいてみたらウォルマートですら47坪。
ヤマダ電機さんでもあっても40くらい。
60坪は、売上げから算出した結果なんですね。
だから勝つんですよね。
栃木県内にヨドバシさんも出てきてるんです。
ヨドバシさんだったらマックス100坪は作ってくるだろうから、
本店をその2倍の200坪にした。
そうして栃木県内全部、網羅したんです。
だから彼らが出店してきても、
もちろん凄い会社ですけど、うちは何も響かず、
どちらかと言うと、返ってこっちの業績があがってきたりとかね。
面白いですよね。
彼らがセールやれば、サトーカメラにお客様が来てくれる。
これは市場シェアの論理ですからね。
サトーカメラは、
デジタル一眼レフのシェアが60%を超えてるんです、栃木県内で。
デジタルコンパクトカメラが大体27~28%。
デジタルビデオカメラが25~26%。
写真そのものは30%のシェアを押さえてる。
結城:
すごいですね。
佐藤勝人氏:
真っ向勝負といっても、血みどろの戦いを好いているわけではないけど、
そういった部分も見せないとまずいんですね。
お客様から見ると、やっぱり戦ってる姿も好きなんですよね。
戦う姿勢を見せるから、お客様も
「サトーカメラ裏切ってないな」って来てくれるわけですよ。
全部が全部、戦わないでできたら、それは世話ないですけど。
やっぱりありますよ。戦っている姿を見せなくちゃならない部分は。
そこでお客様も賛同してくれて、
お前の店も頑張れよって来てくれるわけです。
応援に来てくれるわけです。
じゃ、どこで稼いでいくのか。
競争の中で、一番勉強になったのは、
消耗品というか、商品で
キチンと稼げる流れを作っていかないいけないということ。
日銭が入ってくる流れを作っていかないと、
経営が厳しくなるということですね。
結城:
そうですね。
佐藤さんは独学で勉強したのかもしれないけど、
セオリー通りの商売ですよ。
アメリカの食品スーパーでも、
ナショナルチェーンと言われるクローガー、セーフ、アルバートが
どんどんダメになっている。
アメリカ行っていつもお店見るんですけど、
アルバートソンという2000年の前までは、
エクセレントカンパニーって言われていたスーパーマーケットですけど
素晴らしい店で、僕も何度も感動したんですけど、
今はもうダメになってしまったんです。
一番頑張ってるのがローカルチェーンでドミナントシェアを高く持っている企業。
結城:
ここで面白い話を一つ。
FOTUNE誌が発表する「働きたい企業ランキング」の
いつも上にあるウェグマンズっていうスーパーマーケットなんですけど、
一店舗だけ見ていると高級グルメスーパーに見える。
だけど、ウェグマンズの本拠地のニューヨーク州の北側の
ロチェスターという町があるんですけど、
ここに行くとウェグマンズは23店舗ありまして、
その地域のスーパーマーケットのシェアを49%持っているんですね。
23店で49%のシェアを占めると、
ウェグマンズがグルメスーパーじゃない、
高級スーパーじゃないって逆に証明されるわけですよ。
もし高級グルメスーパーだったら、
町全体が高所得者ばっかりでいなきゃならないけど、
その町にはウォルマートもあるし、
アルディていうハードディスカウトもあって、非常に繁盛してる。
そこで49%を占めてるっていうのは
ウェグマンズがロチェスターのお客様に一生懸命対応しようって思ったら、
品揃えがそういう風になってきて支持されたということ。
ウェグマンズは、「コンシステンシーロープライス」という、
エブリデーロープライズもやって、
コカコーラは地域でウォルマートに次ぐくらいに安い。
そちらもやりながら、
でもお客様のグルメにも対応しようと考えたから、ああいうお店になった。
要は、この地域と決めたところのお客様に一生懸命に対応しようとすると、
結果としてあのようなスタイルになって、
それを他のエリアに持っていったら、上手くいったと。
こういう理屈が成り立つわけですね。
食品スーパーのような商売であっても、
ローカルチェーンでシェアを持つのは一番重要なことになってるわけです。
だから、佐藤さんも、宇都宮を中心にした栃木の、
サトカメの生き方は正しくそれだと思ってるんです。
佐藤勝人氏:
ありがとうございます。
続きます。