[第8回] POP制作機械の問題
機械化による無駄なコスト
中山政男
POP制作システムを販売する側も、
情報提供などをすべきだと感じます。
売った後のフォローをもっとすべきだと思う。
結城義晴
メーカーのトップが言っていましたが、
POPマシンが普及してしまうと、システム会社はやることがない。
せいぜいアフターケアくらいだって。
だから、あまり関心を持っていないようですね。
中山
普及するまでは、メーカーも、
より使いやすさを求めて工夫していたんです。
でも、だいたい市場に行き渡ってしまいました。
そうなると、その後は消耗品に気が向いてしまいがちになります。
保守契約をしているんですが、
修理のときもお客のためになる情報提供が少ない。
結城
だから、たくさんのPOPを作らせる風潮になるんですかねぇ。
あるスーパーマーケットの女性社員が商人舎のアメリカ研修会に参加して、
「アメリカにはコトPOPがないんですね」って、ほんとうに驚いていました。
POPの意味を勘違いしている感じもします。アメリカも優秀な店ばかり見てもらうんですが、非常にシンプルで、
なおかつ重要なところはきちんと書いてある。
そういった本来のPOPやショーカードを理解できない人もいる。
正常に戻すには
中山
必要以上に手間ヒマがかかっているという現状を、
どう、正していけばよいか。
結城
単位当たり営業利益を出してみればいいんですがね。
すべての資材、POPコスト、人件費などを粗利益から引いて、
営業利益を算出する。
それを売場面積で割って、単位当たりの営業利益を出して比較すれば、
無駄なことをやっている部門が判明します。
粗利益に占めるPOP関連のすべてのコストを、
「POP分配率」として算出してもいいですね。
これなら一目瞭然です。
中山
私はよく、失敗したPOPの量を見るんです。
そうすると、ものすごい量が捨ててあったりする。
ある店はトナーの在庫が大量にあると聞きました。
決算をしてはじめて、その実態がわかるようです。
結城
商品在庫ではなく、トナーの在庫ですか。
中山
非常にもったいないことです。
販促室は気付くべきだと思います。
オーナー企業であれば、指摘してすぐに改善できますが、
そうでないと今までの仕組みを変えるのに時間がかかる。あるドラッグストアでは、
POPだけで企業規模に合わないほどの費用をかけている。
本当にもったいない。
結城
ドラッグストアのPOPはすごいですからね。
コーポレートカラーがPOPから消えた
スタッフ
たとえばウォルマートは青、ターゲットは赤と言うように、
アメリカでは企業カラーがありますよね。
そのカラーに合わせた販促物を考え、訴求しているように思うのですが。
中山
以前は、POPにコーポレートカラーを入れるように、
デザインマニュアルを作成したものです。
それこそ、20店舗以上になればマニュアルはキチンとありました。
思えば、以前の方がコーポレートカラーを活用するということに、
こだわりが強かった感じがします。自分がデザインをやっているから言うわけじゃありませんが、
やっぱりデザイン意識は必要なんですね。
デザインを少し変えただけで、
月に何百万もコストダウンできるということだってあるわけです。だけど今は、そこまでこだわっている企業は、
少なくなってきているようです。
私は、今こそ、専任を2、3人置くべきだと言いいたいんです。
資材コストやトナーコストをコントロールすれば、
十分、専任スタッフを置くだけの費用は出ますから。
そうすれば違うこともできるようになります。
結城
なるほど。
時間がもったいない
中山
もったいないことに、バイヤーや店舗スタッフが
POP制作に時間を費やしてしまっているケースがあります。すばらしいPOPを作るのに時間を要したというのはいいとしても、
バクダンなどの装飾をつけたり、文字を大きくしたり、
色を変えたりするってことに、時間を費やしてしまっているんです。
スタッフ
POP制作をしていると、
クリエイティブな業務をしていると思えるんでしょうか。
中山
1枚のPOPを作るのに1~2時間ぐらいかけてしまっていることもあります。
商品の説明文から色使いなどに迷うこともあるようです。
プライスカードやショーカードなどは、
基本的なレイアウトだけでも決めておけば、
時間も短縮できると思うのですが、
あまりマニュアルが活用されていないようで残念です。
<コーナーパネル、イメージベルトですっきりと効率よくコーナーづくりをしている>
つづく