[第2回] POPにかかる経費
無駄な経費
結城義晴
ドラッグストアのPOPもすごいですよね。
中山政男
ものすごい量のPOPが貼られていますよね。
私がシステムを開発して、
パソコンでのPOPづくりを薦めてきたせいもあるんですけど、
手書きでPOPを書ける人や、
手書きをピシッと教える人が減ってしまったんです。
結城
そうですね。
中山
手書きができないから、パソコンに頼る。
でもこれは本当にもったいないことなんですよ。
「無理・無駄」が、ここに、ものすごく出てしまうんです。
それこそチェーン店だと、
トナー代が毎月、何百万円もかかってきてしまいます。
結城
印刷するためのトナー代は盲点ですね。
中山
慣れない人がPOPを作る場合、
特に試行錯誤しながら何枚もPOPをつくる。
そして同じPOPを何枚も何枚も貼るものだから、
売場もめちゃくちゃになってしまいます。
結城
例えば、コストをかけずに安く販売する「99円均市」の売り方なのに、
売場をPOPだらけにして経費をかけては、
論理矛盾ですね。
中山
私がよく、いろんなところでこの話をすると、
「いや~、先生、うちは売れてるんですよ」って言うんですよ。
「売れてるから何が悪いんだ」って。
結城
それなんですよね。
中山
でも、私が思うのは、
大量のPOPで売れているんではないと思うんですよ。
絶対に。
結城
その通りです。
例えばフェイスを3倍にして、POPをたくさん貼ったら、
「マグロが130%売れました」と言う。
でもマグロは確かに売れたかもしれないけれど、
本来、そこにイカとハマチを並べておいたら、
それらも売れて、バランスよくお客さんも喜んだはずなのに。
マグロだけが売れて、あとが売れなくなったら、
全体で利益になっているのか、
こういった計算も大切です。
中山
できていないですね。
POPをつくるのにいくらかかるのか
中山
今はかなり低価格なプリンターなどがありますし、
色の使い方などで変わってきてはいますが、
POPを一枚作るのにだいたい、
30円から、50~60円くらいはかかるでしょう。
でも同じPOPを何枚も何枚も貼ったり、ベタ塗りをすると、もっとかかる。
プリントアウトなどの時間や人件費を入れると、
千円単位でかかっている場合もあります。
結城
例えばB4サイズのPOPだと、一枚、どれくらいかかるのですか?
中山
B4サイズで50円くらいですね。
結城
ということは、一つの商品にPOPを6枚並べて貼ると、
300円くらいかかりますね。
中山
さらに、スタンドPOPの大きいサイズは、
トナー代だけで一枚100円以上します。
これをプリントアウトしているのを見ていると、
10分も20分もかかってるんですよ。
だから一枚で何百円もコストがかかります。
<大量陳列の例。あまり大きなPOPを付けず、効率がよい>
つづく
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第1回掲載から1年ぶりの復活です。
これはひとえに、事務局の不手際。
読者の皆様と中山先生にお詫び申し上げます。
本連載は、これから毎週木曜日に全12回にわたってお届けいたします。
ぜひ、ご愛読ください。
[商人舎事務局]