[第6回] POPの事業仕分け
最低線の売り場づくりからはじめる
中山政男
年間、かなりの店を見ていますが、
POPが乱れている店は、
売り場の陳列も同様に乱れているところが多いですね。結城さんがさきほど言われたように、
やはり商品ありきなんですね。
商品にまず語らせる。
それでも語れないところがあるだろうから、
それをPOPで補って語らせる。
結城義晴
品名・容量や価格は必需の要素ですね。
それにプラスして、適度なショーカードも必要です。
こだわった商品の、その理由を説明するといったように。
中山
例えば以前、クレソンの提案をしました。
肉の付け合わせだけじゃなく、
カツオやヒラメと一緒にカルパッチョ風にしたり、
ジャコとサラダにしたり、鍋物の具にしてください
っていうメニュー提案だったんですが、
クレソンが3倍から5倍位売れたんですね。
しかも、カツオやヒラメも売れた。POPも使いようによってはすごく効果がある。
POPひとつで、売り場って発展していくと思うんですね。
だからこそ「POPの仕分け」が必要だと思うんです。
要るPOPなのか、必要のないPOPなのか。
そして売り場をすっきりさせようよ、見やすくしようよって。
結城
そうですね。
中山
まず、基本的に必要なプライスカードを取り付けてみて、
次に必要な商品にショーカードを、
といったように、コーナー全体を見ながら進める。
結城
そうすれば仕事も相当楽になりますよね。
中山
そうです。
作業が相当省けてきます。
一回整理し、必要があればバラエティを広げればいいんです。
もちろん売り場には楽しさも必要ですし。一番もったいないのは、POPづくりに無理、無駄があって、
費用が余計にかかかっていることなんですね。そしてそれを管理する人は誰なのかが大事。
様々な方面から、いろいろな情報が入りますから、
あれもこれもと、現場でどんどん足していくと、
益々POPの内容が盛りだくさんになりすぎてしまいます。
私は、それはかえって、
お客様に親切だとは言えない結果になってしまうと思うんです。
結城
派手にPOPをつけたら、
たまたま売れてしまったりすることもある。
中山
そういうことがあると、
「このPOPで売れたんだ」と思ってしまいます。
ひどいPOPをつけたら本来、バイヤーには叱られます。
でもたまたまそれが売れたとしたら、
このPOPを全店につけろと指示が出ますよね。
でも、全てがその方法、そのPOPで売れたとは思えないんですよ。
結城
う~ん。なるほどね。
マネジメントの問題
中山
結城さんが以前、商業界の月刊『食品商業』の中で、
「POPが危ない、チラシが恐い」という特集をしましたよね。
今でも変わらない店はあります。さっきも言ったように、
ある程度の基本を決め、整理することで、
作業効率もよくなり、コストダウンもできる。
売り場全体に自然に気配りが行き届き、
清潔感がアップする。一度、それぞれの企業なりの基準を見直そうと
指導してるんです。
結城
POPの原則はあるんですよね。
今はそういった原則を学ばないんでしょうかね。
中山
大手企業でも、あれ…?と思うような手書きPOPが、
急に増えてきたりするのを見かけます。
結城
情報を出すということなんでしょうが、
でも、社内できちんと議論し、進めないといけませんね。ジャズのアドリブと同じで、
アドリブをやるのはここからここまでというルールが必要ですね。
しかもプロのアドリブ。
素人のアドリブはまったく聴けませんよね。それと同じことで、基本のPOPがあって、
手書きPOPのアドリブがある。
中山
まったくそうですね。
結城
1つはマネジメントの問題です。
マネジメントとは、
いかに成果を上げ、利益をきちんと出すかということですけども、
今は利益が出ない方に向いているようです。
すなわち、売上至上主義が蔓延しているようで、
POPもたくさん作れば売上げがあがると、
勘違いされている節がある。
中山
そうです。
一枚の用紙の中でも盛り込みすぎなのに、
それをもう一枚、もう一枚と付け加える。
一枚では物足りない気になってしまうんでしょうね。
<対象商品にプライスカード、必要に応じてショーカードを
きちんと乱れなく取り付けている売り場>
(つづく)