[第10回] ショーカードへの取り組み方
言葉が浮かばない
中山政男
POPをつくるとき一番困るのは、
多くの方が「ショーカード(商品説明カード)」の、
文章部分を書くことが苦手、ということです。
コピーを作るのに、どうも迷っているような感じがします。イチゴが5種類並んでいても、
みんな「甘くて美味しいイチゴ」になっている。商品と向き合えば、
それぞれの違いがコピーに生かされるはずです。セミナーでも、「コピー集を作ってもらえませんか」と、
言われることがよくあります。
結城義晴
商品特性を明確に理解する必要があるんですね。
中山
コミュニケーション不足の傾向もあるんでしょうね。
バイヤーが惚れこんで仕入れたものが、
甘いのか、辛いのか、酸っぱいのか。
きちんと情報として提供しないなんて、おかしいですよね。昔の話ばかりでもいけないんですが、
自分たちのころは、
バイヤーが商品内容の原稿を出してくれなければ、
POPは書けなかったんですね。
原稿に尾ひれをつけて長くしたり、短くしたりするのは、
たしかにコピーに慣れているPOP担当の自分たちの方がうまい。
だからそこはやりますが、まずは原稿を出してもらう。機械化したことの影響もあるんでしょうね。
機械が用意しているコピーやタイトル、
保存してある文章を使えばよいということになりますからね。
結城
機械化するとコピーは簡単ですね。
中山
昔、イトーヨーカ堂の売り場を皆が見に行き、
真似しようとしましたから、それと思いは似ているような気がします。
でも、売り場にこれだけのPOPが氾濫していると、
商品より目立ってしまいます。
結城
何度も言うようですが、
商品で語らせることが大事なんです。
中山
気持ちはわかるんですね。
パソコンの画面で見ていると、
「あ、ここにもう一色つけたいな」
「ここにも飾りをつけたいな」
「書体を変えてみようかな」
といった気持ちになりがちです。でも担当者が10人いて、
10人全員がそれをやってしまったら、
とうぜん、売り場にまとまりがなくなります。
デザインの基本は「引く」
結城
商人舎のコーポレートデザインを作ってもらったときに、
マニュアルをいただいたんですね。
「名刺に使うときはこうで、ここまではいいけど、
こういう使い方はだめ」だって。そういうルールがPOPにも必要なんだけど、
タガがはずれちゃてるから何でもありになってしまう。そういえば、最近、名刺もひどいですね。
中山
デザインと称されるもの、
全体的にこだわらなくなってきていますね。
パソコン操作に慣れ、イラストをいくつ入れても
抵抗がなくなってきているように見えます。一番勘違いされているのは、
デザインの基本は
「引く」ところから始めるんですね。
でも皆、「足す」ことから始めている。
結城
それはとても大事なことですね。
<コーナーづくりがとてもきれいで、カテゴリー表示がきちんと取り付けられている>
つづく