vol. 04 物流とロジスティクス、SCMはどこが違う
★より総合化と情報化が進んだ進化形
物流の話題でよく耳にする「ロジスティクス」や「SCM」。
どちらも物流の進化形であり、管理対象を拡げたものだと考えるとわかりやすい。
物流自体、1950年代までのわが国では存在しなかった概念だ。
それまでは、物流を構成する六つの活動は、輸送は輸送、保管は保管というように、
それぞれ単独のサービスとして提供されていたのである。
それが、朝鮮戦争特需などによって「大量生産・大量消費」の時代に突入。
さらにアメリカ発の「流通革命」の影響で、日本でもチェーンストアが多数生まれ、
「多品種大量輸送」が求められるようになった。
多品種大量輸送を実現するには、単純に輸配送に注力しただけではムダが多い。
在庫の調整や荷役、流通加工など周辺業務との連携が不可欠。
そこで、こうしたサービスを統合的に管理しようとして誕生したのが、
「物流」の概念というわけだ。
物流業者側も、それぞれの活動を専門に請け負うだけでなく、
輸送会社が事業の中に保管活動を加えたり、倉庫会社が流通加工活動を行うなど、
仕事の垣根をまたぐような動きが拡大した。
80年代半ばには市場の成熟化が始まり、時代は「量から質へ」と転換する。
その結果、モノづくりや流通も「多品種少量」が主流になると、
輸配送も効率の悪い多頻度小口が増えざるを得なかった。
そのために増大した物流コストを問題視して、新たに導入されたのが、
「(ビジネス・)ロジスティクス」の考え方である。
企業が行う原材料の調達から販売までのモノの流れと、
それにまつわる物流全般を管理する、
いわば、自社の「企業内物流の最適化」を目的としたものだった。
さらにバブルとその崩壊を経た90年代の半ば、
物流の効率化やローコスト化に対する要請がより厳しくなるなかで、
トヨタの「かんばん方式」を手本に米国企業が発案した
「SCM」の手法が脚光を浴びるようになった。
SCMは「サプライチェーン・マネジメント」の言葉どおり、
原材料などを供給するサプライヤーや販売先の流通・販売業者などまでを、
サプライチェーンという商品供給の一つの過程と見なし、
その全課程を一気通貫して最も効率的に管理しようとするものだ。
企業内部にとどまらず、他企業まで巻き込んでムダを省く
「企業間全体の最適化」を目指して、大手家電などを中心に導入されている。
こんなふうに段階的に進化してきた物流だが、さらに将来は、
モノの供給で終わらずに、使用・消費されたモノの回収、そして再資源化する
「循環型ロジスティクス」が注目されている。
(続きます)
〈by 二宮 護〉
1 件のコメント
運送屋の跡継ぎ5名(31歳~42歳)に、「運送屋のイロハ」を教えている者です。
明後日に「SCMとは何か」というテーマで3時間の勉強会を開催します。その際に使用する解説用資料を作成すべく先ほどからネットでいろいろ検索しているのですが、いずれも横文字の引用が多く、平易な解説というか、読み手が理解しやすい書き方をしてあるものが無くて困っておりました。でも、ようやく見つかりました。是非先を読ませてください。お願いします。
*読んでみて彼らにも理解できるようであれば、資料として引用させてください。お願いします。
*ご承知と思いますが、概して運送屋の倅どもというのは、字を書くのが苦手で、得意なのは「頭をかく」ことくらいです。先日の勉強会の時、「時速60㎞で走行中の車は、分速何㎞か?」と質問したところ誰も回答できませんでした。メンバーに慶応大工学部出がいるのに、です。信じられますか?でもこれは事実です。
*蛇足~僕も稲門です。同じ商学部です。
そんな彼らに資料を読んで知識を自分のものにさせるには、