vol. 06 自社物流も含めた「物流」の市場規模
★自社物流分21兆円が加わり44兆5000億円程度
前回は、わが国の物流業界の市場規模を、
物流事業者の売上高(営業収入)などから見てみた。
しかし、物流事業は専門事業者にアウトソーシングされるばかりでなく、
荷主自身が倉庫やトラックを持ち、
「自社物流」で行われるケースも決して少なくない。
とくに、一般的な消費財などのように、
輸配送や保管等に極端な専門性を必要としない商品では、
製造業者や流通業者による自社物流が、かなり日常的に行われている。
たとえば、わが国の緑ナンバーの営業用トラックと
白ナンバーの自家用トラックを比べると、
車両数では1対5.2と自家用が圧倒している。
ただし、輸送量(重量=トン)を比較すると1対0.67、
重量に輸送距離を掛けたトンキロでは1対0.14と、
営業用がメインとなっている(06年度、国交省『自動車輸送統計年報』)。
そこで今回は、物流コストという観点から、
物流業界のみならず、物流事業全体の市場規模を確認してみよう。
日本ロジスティクスシステム協会の『物流コスト調査報告』によると、
わが国の経済全体に占める物流コスト(マクロ物流コスト)の総額は
44兆5000億円(06年度概算)で、GDP(国内総生産)に対する割合は8.7%。
物流コストのうち28兆3000億円(63.6%)が輸送コスト、
14兆4000億円(32.4%)が保管コスト、
1兆8000億円(4.0%)が管理コストという内訳だ。
単純な比較はできないものの、
国交省の各種統計では、物流業界の市場規模が約23兆5000億円だったから、
44兆5000億円から23兆5000億円を引いた21兆円あまりが、
荷主の自社物流コストだということになる。
ちなみに、同調査では
アメリカの05年度のマクロ物流コストは1兆3060億ドルで、
同じくGDPに対する割合は9.3%。
物流コストのうち8090億ドル(61.9%)が輸送コスト、
4470億ドル(34.2%)が保管コスト、
500億ドル(3.8%)が管理コストとしている。
また、この調査では、産業ごとの売上高に占める物流コストの割合と、
さらに物流コストの内訳を「自家物流費」「支払物流費(対子会社支払分)」
「支払物流費(対専業者支払分他)」に分けて示している。
これによると、08年度の売上高に占める物流コストの割合は、
全業種では4.87%、製造業が4.78%で、
卸売業が5.06%、小売業が4.84%となっている。
消費材関連でとくに物流コスト比率が高いのは、
小売業のうちの「通販」12.90%、「コンビニ」6.63%、
製造業の「食品(要冷)」10.38%など。
他に製造業では「食品(常温)」「石鹸・洗剤・塗料」が、
卸売業では「日用雑貨系」「繊維衣料品系」「食品飲料系」、
小売業では「生協」などが、それぞれの産業平均より高い比率だ。
一方、「総合商社」「百貨店」などの物流コスト比率は
あまり高くないという結果になっている。
(続きます)
〈by 二宮 護〉
1 件のコメント
物流における、カートンボックス、運搬対象商品を梱包する箱の年間需要数量、市場規模はどれくらいでしょう? 特に生鮮食料品や冷凍食品、危険物なの運搬途上の状態を気にする種類の物流で。もし何か情報ありましたら教えてください。