vol. 07 物流活動を支える各プレイヤーたち
★輸送事業を担うキャリアーとフォワーダー
物流の仕事には、よく知られている輸送や保管に加えて、
荷役(にやく)、包装、流通加工、情報管理などがあることは、
すでに紹介したとおりである。
では、こうした仕事のそれぞれを、
どんな事業者たちが、どんなふうに担っているのだろうか。
今回はまず、物流コストの約6割を占める輸送の仕事を担うプレイヤーに
スポットをあてることにしよう。
貨物輸送の仕事というのは、
トラックなどの自動車、貨車などの鉄道、
貨物船やフェリーなどの船舶、航空機といった輸送機関を使い、
モノを移動させることである。
そこで輸送事業は主として、
これら輸送機関を自社で保有する各事業者によって行われている。
こうした事業者たちは、
輸送機関そのものを示すキャリアー(運ぶもの)という言葉から、
「キャリアー」(輸送事業者)と呼ばれる。
だが、鉄道、船舶、航空機などのように、
駅や港湾、空港にしか発着できない輸送機関では、
発荷主や着荷主などへ直接集荷配送することができない。
そこで、自社の別部門や関連会社、他の事業者に依頼して、
部分的にトラック輸送を行うといったことが日常的に行われる。
あるいは、トラック輸送事業者が納期によって、
一部で鉄道や船舶、航空機といった他の輸送機関を使うようなケースもある。
このように、自社の輸送機関ではなく他社保有のものを活用した輸送事業を、
「利用運送事業」(フォワーディング事業)と呼ぶ。
大手の輸送事業者の中には、「陸運事業者」でありながら、
事業内容に「船舶輸送」や「航空輸送」などを加え、
複数の輸送機関を使って事業を展開したり、
「鉄道利用運送」「船舶利用運送」などを事業内容に含めて、
キャリアーながらフォワーディング業務にも手を染めているところが多い。
輸送事業に限らないのだが、
大手の物流事業者の大半は複数の業務を兼業しており、
物流の中の一部の業務だけを提供する事業者というのは、
中小規模に多い傾向がある。
フォワード事業に特化している事業者たちは、
キャリアーと対比して「フォワーダー」と呼ばれている。
フォワーダーは、キャリアーである事業者から貨物スペースを買い取り、
不特定多数の荷主から荷物を預かって混載して輸送するので、
貨物取り扱い業者とか貨物混載業者などとも称され、
特に空運業界の航空フォワーダーがよく知られている。
さて、自動車輸送と鉄道輸送は「陸運」、船舶輸送は「海運」、
航空輸送は「空運」と言い換えることができる。
さらに海運は、国内の「内航海運」と国外の「外航海運」に、
空運も国内と国際に分かれる。
このように輸送の仕事は
四つの輸送機関による陸・海・空の各輸送事業者(キャリアー)と、
利用運送事業を行う事業者(フォワーダー)たちが関わって行われている。
次回からは、輸送機関ごとに
物流市場に占める地位などについて見ていくことにする。
(続きます)
〈by 二宮 護〉