吉野家ホールディングス・安部修仁社長の講演会
第二期生の渋木克久です。
今日は東京ビッグサイトで開催中の「FOOMA JAPAN」(2011国際食品工業展)に行ってきました。
午後のFOOMAビジネスフォーラムは、吉野家ホールディングス(HD)・安部修仁社長の講演会。
吉野家HDはサイゼリヤとともに、私の修了研究でケーススタディとして取り上げさせていただいた企業。
その経営トップのお話を聞けるのでたいへん楽しみにしていました。
テーマは「吉野家の経営理念」。
経営学の研究では、経営理念は何よりも重要なこと。
安部社長のお話を聞いて、修了研究の過程で得た吉野家HDに関する知識を再確認するとともに、新たな発見がありました。
吉野家HDは市場の成熟と競合の台頭により2010年2月期に89億円の当期純損失を計上しました。
1980年の事実上の倒産から30年後に訪れた今回のこのピンチに対する打ち手は、
「うまい、はやい、やすい」という吉野家HDの価値の3要素の再構築。
「うまい」と「はやい」は魚河岸を発祥の地とする吉野家が、そこに集まるプロのお客に鍛えられて確立した価値であり、
「やすい」はチェーン展開による大衆化で必須となった価値です。
そう考えると、いかに企業のオリジンが大切かわかります。
吉野家HDのグループ経営理念は「For the People」。
お客が満足して店を後にしたときに自分たちの仕事が完結する、という思いが込められています。
安部社長は、「吉野家HDの活動目的のすべては『店』にあり、社内は分業化されていても1つの機能体である」と言います。
そのとき私は、結城義晴先生がいつも語ってくれる「店は客のためにある」という言葉と同じことを意味していると感じました。
講演が終盤に入ると、安部社長は「日本のマクロ市場は明らかに縮小しているが、
それでも新興勢力は強いPassionによってその市場の中で勢力を拡大していくだろう」との認識を示して、
人間の意志のエネルギーは何よりも強く、すべて自分のこととして考え行動することが大事だと語ってくれました。
講演終了後、ホールを出ると、前方から颯爽と歩いてくる安部社長の姿。
そのいきいきと輝く目を見たとき、言葉に表すことができない「リーダーの条件」を感じました。
またそれは、修了研究で私の中に描かれた吉野家HDの様々のイメージが一つに結ばれた瞬間でもありました。
私の修了研究は、これで本当の完成を迎えたのかもしれません。
<渋木克久>