RMLC2009年6月度報告―#4 品川氏の報告(続編)と質疑応答
6月RMLCの最後は、先月に引き続き、
品川昭氏より「業態の盛衰」について報告していただいた。
前回は、業態を導入(赤字)⇒成長(高収益)⇒成熟(低下)⇒衰退(赤字)
のサイクルで見ながら、
「企業戦略」が、店舗網、価格・サービス政策などの「フロントシステム」、
SCM、ソーシングの仕組みなどの「バックシステム」の2つのシステムから
構成されること。
その上で、「価格」「バリュー」「サービス」の3つの部分に
イノベーションの余地があり、イノベータの存在があること。
特に良品計画やユニクロは「バリュー」の部分でイノベーションを発揮し、
カテゴリーにおける上位企業にランクされるまでの成長を
果たしたことが解説されました。
その続きです。
続・業態の盛衰を読む(品川昭氏)
■業態認知と専門店分析について
業界内ではなく、一般消費者がどのように認知しているかという視点でみると、
以下の企業(店舗)を「百貨店である」と認知した人の割合は、
三越、高島屋で93%以上、
伊勢丹、丸井は48%、
パルコは36%、と出ており、
専門店分析や業態型コンセプトを見るに当たっての
ユニークな視点と結果が明らかにされている。
また、専門店の優位性を見る角度として、
「店舗コンセプト」「郊外立地」「広く深い品揃え」「高度接客対応」
の4つの象限からみられる。
■総合スーパー(ジャスコ対イトーヨーカドー@古淵)にみる優位性比較
直営売場年商はイトーヨーカ堂が140億円、ジャスコは100億円。
駐車場および総売場面積で大差ないことから、
「レジ待ち時間」「顧客サービス」「野菜の鮮度」「野菜の価格」
から見た食品売場の「接客価値ベクトル」を測定することで、
同一業態内の比較を試みている。
その結果、双方とも、「違いを出す」ことよりも、
競合相手に合わせるという行動が起こっているとする。
例えば、「レジ待ち時間」といった顧客サービスの改善よりも、
価格、鮮度対策にその行動が見られる。
真似の繰り返しと同質化の競争ではあるが、
結果として、双方のレベルは上がっていることは事実。
以下、品川氏の報告を受けて参加者から質疑、意見が述べられた。
<高木和成さん>
調査や情報収集に膨大な労力を投じているが、
業態・フォーマット論の解釈に消費者視点を入れるのは疑問。
業態論とは、企業の経営戦略として、意思を持って出すものだ。
<結城座長>
総合スーパーは、非食品分野はベーシックに限定し、食品分野に特化している。
これは戦略性というよりも、非食品の効率低下により、必要に迫られた結果といえる。
「専門店」の領域はロングテールに位置する商品が多いだけに分析には苦労する。
従って、総合スーパーを整理することで、「業態の盛衰」の構造が見えると思う。
『食品商業』編集長 山本恭広