「流通革命」の総括とこれから 2008年6月度報告後編
2008年6月度報告後編は品川昭氏(品川エコ・エコノミー研究所)の第3講(最終講)。
「流通革命」の総括とこれからとタイトルされています。
「第一次流通革命」は、生産拠点と消費の現場をつなぐ接点として、役割を果たした。
1950年代から始まった重工業主導の大量生産・供給態勢の完成と、
伝統的な消費スタイル、
および60年代の耐久消費財の開発と「三種の神器」としての家庭での普及。
そして、90年の日米構造協議による規制緩和が、
各フォーマットの発展を促し、
“乗り物”として使いこなしたSMチェーン、
専門店チェーン企業の成長を際立たした。
それが「第二次流通革命」とのまとめがされました。
品川氏のまとめについては、主に下記の意見、補足がされました。
①規制緩和だけでなく、(一人当たりGDPなど)消費環境の向上も、
チェーンストアの成長の土台となったこと。
「SPA」確立などに見られるように、
製造業からの小売業参入も「革命」の要素を築いていること。
②小売業主体のもと、流通経路を「太くする」「短くする」ことで、
生産側にあった価格決定権を小売り側に引き戻そうという、
いわば「権力奪取」の活動が「流通革命」であったはずだが、
中間にある「問屋」“無用論”へと短絡的に解釈され、
クローズアップされた。
③現下、海外調達の限界が見えてきたことから、
IYによる農業法人参入のように、自ら調達ネットワークを形成する必要が出てくるなど、
食品スーパーにおける「革命」の方向が変わってきた。
*以上の議論の参考として、
「食品商業」最新号(8月号)での井口氏の寄稿していただいております。
「PBの販売量が増えることで、生産工場の稼働率が上がってきている。
小売業による製造業への関与が単なる商談段階だけでなく、
仕様書から生産ラインにまで踏み込むようになり、
売価決定権だけでなく、製造プロセス自体も小売業が掌握する時代」
こういった主旨で、「革命」のレベルが変わってきたことを示唆する内容です。
(事務局)