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RMLC2009年5月度報告―質疑応答| 商業経営問題研究会

商業経営問題研究会

RMLC2009年5月度報告―質疑応答

2009年06月24日(水曜日)
カテゴリー:
  • General
  
9:56 AM

井口征昭氏の「業態の盛衰」報告、その後の質疑

<村上篤三郎さん>
 百貨店、GMSはどうなるか。
 特に百貨店は、統合・合併などで分化が著しい。
 GMSも業態として括るのではなく、固有の企業の生き方と戦略を個々に見る必要がある。

<高木和成さん>
 SCにおける中核テナントとして位置づけるとGMSの位置づけも生き方も変わる。

<結城座長>
 業種⇔業態と対比的に語られ、「百貨店」から「コンビニエンスストア」が業態といわれるが、
 業態をさらに進んだものとして、「フォーマット」が位置づけている。
 業態のライフサイクルを整理する必要。
 米国では、A&P食品は食品のチェーンとして、JCペニーは衣料品中心のチェーンとして成長したが、
 利便性高めるために、住居関連など揃え始めるなどして、
 食品と非食品発祥の企業は それぞれ別の成長の仕方をしてきた。
 日本のGMSが模範としたKマートも、ウォルマート、ターゲットが侵食していったなど
 そのチェーン企業の出自が分かりやすい。

 「業態の盛衰」以外にも、同じ時期に「小売業態の誕生と革新」(中田信哉著 白桃書房)が出ており、
 アカデミズムの世界でも業態に関する関心が高まっている。
 今回のベースとなった商業統計も昭和51年から業態別統計が取られた。
 その後、平成11年からドラッグストアが入った。
 今、業態の整理が求められている。
 まずは業態=店舗(営業、組み合わせの形態)としたほうが理解しやすい。

<品川昭さん>
 実は西友が全盛の時代からGMSが悪いといわれていた。
 “G(ジェネラル)”という特徴のない概念が悪いのか。
 一方で、地方ではスーパーセンターのように、生活すべてをカバーするといって、
 仏具から車まで消費頻度が低いものまで品揃えしている。
 消耗頻度・購買頻度が低い商品、、専門店の品揃えまで取り込んでいる。

<杉田幸夫さん>
 その店が置かれた商業環境と相対的に見る必要がある。
 商業過疎の地域においては、何でも揃えても支持される。
 GMSの場合、組織内部にも問題がある。
 例えば人事開発をみても専門店に対抗できる品質のバイヤーがどこまで育てられるか。
 一品当たりの費用対効果も専門店にかなわない。

<井口征昭さん>
 専門スーパーは専門分野についての品揃えで、低価格訴求。
 専門店はラグジュアリー。
 百貨店は自前ではMDできない。業態というよりも「小売商業施設」。
 そんな業態がなぜSCをつくったのか。
 九州でイズミ見たとき、勝てないと思った。分類と現実に出てくる店の形は違ってくる。

<杉田さん>
 アソートメント面で見ると、個々のMDというよりも専門店アソートメントといっていい。

<山口紀生さん>
 百貨店生き残りの水準である“100億円”以上の80店舗がこれからも残るというが、
 自社MDができないのでは、そんなに残るのは考えられない。
 GMSはだめでも、自社で仕入れて売っている。

<品川さん>
 しかし、外部仕入れ(委託)の活用が過去の成長の原動力であった。

<高木さん>
 そもそも現在の自分たちの消費場面で、果たして百貨店は利用しただろうか。

<臼井旬さん>
 しかし、百貨店の持つMDのグレードとクオリティはやはり違う。
 本当に必要なもの、大事なものに対する価値観がある以上、
 それなりのグレード、クオリティを持つ消費は、専門店だけでなく、百貨店、または通販に向かうだろう。

<結城座長>
 百貨店は100万人商圏(「業態の盛衰」では50万人商圏)と考えると日本でも120店舗は計算上、残る。
 英国では、マークス&スペンサーのような店数を持つ百貨店だけでなく、
 ハロッズのような有名な単独百貨店もある。
 基本フォーマットに加え、その店の持つポジショニングが重要。
 その企業の特徴を示す「バナー」という概念がある。
 「バナーは」の5つの要素から成り立つ。プロモーション、イメージ、パーソナリティといったポジショニング。
 こう考えると、統合、閉鎖して、経営効率を上げることだけが、残り方ではないと思う。

<高木さん>
 百貨店も業態分化している。ごちゃまぜになっている(大型、小型といった分け方あるが)。

<杉田さん>
 江戸時代から続いているような構造と歴史から、経費面から考えると存続は難しくない。
 とはいえ、新たな業態開発は考えにくい。

<結城座長>
 百貨店の場合、残存者利益を享受する形での存続はできる。
 ただし、新たな立地、特に郊外での出店で成功は難しい。

以上のような、議論がなされました。

「食品商業」編集長 山本恭広

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