スーパーマーケットの競争力強化の視点 vol.2
第2回 組織計画は組織力強化の基礎づくり
前項では、競争力強化のための1つの重要課題、商品開発をスピードアップするためには、コスト(エネルギーと時間)をかけても、店舗の作業とシステムと、レビューのためのデータ処理システムを整備しなおす必要がある場合が少なくない、と述べた。
チェーンストアの複数のサブシステムは密接に絡み合っているので、それぞれのサブシステムは、他のサブシステムと連動し合うことが肝要である。
個人間、サブシステム間、部門間で協調し合わねばならない。
そして協調が重要なことは、企業で働く人は誰でも知っているにも関わらず、現実には、ギクシャクしている組織は少なくない。
その原因は多岐にわたり、長い間に複雑に絡みあっているので、簡単には解説することもできない。
そこで、今回は、組織力強化を妨げる1つの原因に過ぎないが、組織計画についてのみ考えてみることにする。
組織計画は、組織力強化の1要素に過ぎないが、建築に例えれば、土台づくりに似て、組織力の基礎づくりである。
■プロセスモデルと組織図の関係
組織計画とは、一口で言えば、仕事の流れ(プロセス)の区分をはっきりさせ、プロセスの1つ1つを、組織図に表わしたものといえる。
誰、ないしは、誰々に分担させるかと明らかにすることである。
製造業では、大量生産のため、戦前から工程別に処理の仕方(作業方法)と、その成果(製品・仕掛品)を標準化し、それぞれの担当者を決めていた。
工程の中には検品も含まれ独立したプロセスとして設計されていた。
家を建てる場合、戦前は柱や板を建築現場に運び込み、大工が数人でノコギリを引いたり、カンナがけをして、工程の区分は不明確かつ不文律の受持ちはあっても、役割も不明確であった。
戦後に建築法は一変した。
木材は、工場ないしは工房でカットされ、現場では組立て作業を行うだけになった。つまり分業にされたのである。
小売業も、昭和30年代にチェーンストアが現れるまで、プロセス別に分業はなかった。商品を仕入れて販売するまでの処理過程が短く、取扱量も少なかったからである。大工さん達のように不分律的に受持ちが出来上がっていても、マネジメントと呼べるものではなかった。
しかし、チェーン化が少し進み、ワンストップ・ショッピングのために、取扱商品の数が数千アイテムに及び、しかも、単品を大量販売するようになると、いやでも分業化せざるをえなくなった。
しかし、昭和30年代の後半から40年代にかけて行われた分業は極めて大雑把なものであった。
商品を鮮魚・精肉・青果・グロサリーなど、商品グループにわけて、担当部門を決める分け方と、プロセスとしては、仕入と販売に2分割して、商品部と店舗に担当させるにとどまった。
例えば、店舗における商品の流れには、検収、搬入、保管、値づけ、品出し、陳列、補充、売切りなどのプロセスがある。
生鮮食品では、この他に冷塩水処理、商品づくり、計量、値づけなどのプロセスが加わる。
以上のようなプロセスの流れを図形化したものを「プロセスモデル」と呼ぶ。